所用あってヨドバシへ。で、用が済むか済まぬかに、習慣で玩具売り場へと流れ着く。おお、いつの間にか改装したとみえ、低くなった棚ごとに品名が明示されて見やすくなっているのぉ。が、当然ながら通路の面積は狭まってるので、混んだ時を想像するとちとオソロシイ。クリスマスには早めに来ねばだな。
改装時に出たらしい投売り品がワゴンに積まれているのを見つけて寄っていくと、12インチフィギュアがいくつか目に付いた。中でも大きな箱はメディコム・トイの『魔界転生』は柳生十兵衛&天草四郎、それぞれ\5,000。旧作版だったら迷ったかもしれんのだが、新作はな〜。追い剥ぎするにも衣装が特殊すぎ、欲しいものは刀ぐらいだ。こいつはパス…と行き過ぎかけて、陰に小さな箱があるのに気付く。モノはシド・ヴィシャス、言わずと知れた、音楽センスよりも奇矯な言動と麻薬中毒と殺人とで有名だった『セックス・ピストルズ』のメンバーだ。ピストルズっつーと最近はオヤツを要求するスタンドしか思い出さなかったしご本人にも興味は無いが、お値段\3,500也、衣装のデキと細身の男性素体はなかなかに魅力的。よっしゃ買った!
草葉の陰のパンクロッカーに失敬なことを考えつつ、小物のコーナーへ。いわゆる食玩ではなく、ブラインドボックスのミニフィギュアも含めて、世の中にこんなに出回ってるのか〜と呆れるほど、かなりの面積を占めている。なんたって『怪奇大作戦』まであるんですぜお立会い。サイズのわりに出来は悪くなさそうだけど、キャラ単体ってのがちと淋しいですなこれ。タイムスリップグリコのケムール人みたいに、ちゃんと情景になってるほうが見栄えがすると思うっす。つか、キングアラジンは「あの」エビ反りポーズでないとイカンでしょう!つかアレ以外却下! <そこまで言うか
まあ、文句があるなら背景を自作すりゃいいんだよな〜と、また無意味に思考が好転し始めたので、相方のためにメガハウスの『私のケーキ屋さん』をいくつか掴んでレジへ。先回の『あなたにギフト』に続いて細工が細かそうなのが楽しみだ。
『ローマ人の物語 17(塩野七生/著、新潮文庫)』読了。シーザーとアウグストゥスの衣鉢を継いだティベリウスの治世、帝国を磐石のものとしながら孤独に生きたその生涯を辿る巻。筆者の筆もシーザー萌えようやく冷めてきた辺りで読みやすく、整理された文章と図版で同名入り乱れる厄介な系図が素直に頭に入ってくる。
それにしてもティべリウスって性格も立場も徳川秀忠に似てる気がするなあ。天才入り乱れた時代の後、戦後処理と体制の確立に努めねばならぬ使命ありきの人生、家族にも世評にも歴史にも省みられない。実際は先人のアイディアを汲み取り、実情に即して進めていくってのは非常な才能と人並みはずれた努力の要ることなのだが。今まで読んだこのシリーズの中、それゆえ彼に等身大の人間らしさを色濃く感じるのは僕だけではないと思う。シリーズ、いよいよ奇矯かつ有名な愚帝の時代に入るところ、直前にはこういう人もいたと、歴史の授業じゃ知り得ない、まさに「生きた」過去を見せてもらった満足の1冊だった。
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