ねこまと過ごす休日。のんびりと起き出し、パンと簡単な惣菜で朝食。買っておいたフィラデルフィアチーズと
ブドウジャムを一緒にパンにつけて食べる。美味い。我ながら上出来だった・・・・と悦に入っていたら、相方が残りを全部ヨーグルトに入れて食べてしまった。葡萄のシーズンが終わるまでに、また作らねば。
さて共働きの必然ながら、家の中には普段なおざりにしている雑務が溜まっている。昔話の老夫婦よろしく、それぞれこなしていかねばならない。まず掃除。運悪く猫のトイレを分担することになる。しかも猫ってヤツぁ、こっちが掃除してると「今そこに用があるんだ〜」と入り込もうとするから癪に障る。僕が無神論なのは、こいつらのせいも多分にあると再認識した。もし神のおわせば、かくも不躾にして倣岸不遜我侭放題言語道断なる生物を人の上に置くはずがあるまい。って、猫の下と認識してる時点で既にダメダメな気もするけど。
続いて60cm水槽の水を替える。「横井さんとスーパーチョッキーズ(ヤマトヌマエビ)」は元気で鋏を振るっているようだ。先週引いてきたクラウンローチのチビも元気そうな45cmのほうは、今回はゴミ拾いだけにとどめる。見るからにクリアで美しい水の場合は、替え過ぎも却って宜しくないし。
屋内があらかた片付いたところで買い物に出る。
ねこまが「おでん」を作るというのでスーパーへ。
ねこま「司葉クン、具は何がいい?」
僕「・・・・別に、何でも」
ねこま「なに〜?志の低いヤツめっ!」
僕「なんで、おでんの具に志が要るんだぁ!」
結論は出ずじまい。歴史の判断に委ねねばなるまい。委ねられても迷惑だろうし、とりあえず玉子と大根は確定なのだが。
柚さんからお借りした『怪〜福神ながし〜』を観る。以前に『七人みさき』を観ていたので、全4話の最初と最後を観たことになるワケだ。
さて感想を・・・・というと、残念としか言いようがない。『福神〜』は評価に耐えないというのが素直なところだ。話の骨組みは悪くないのだが、要らんものを盛り込みすぎて進行がギクシャクし、本筋を見失わせてしまっている。『七人〜』はツマミを取る間さえ惜しく見入ったが、『福神〜』は途中でトイレに立ってしまうほどだった、と言えば伝わるだろうか。とにかく雑然としていて、まるで中学校の映画研究会の作品だ。いや、そんなこと言うと中学生に失礼かもしれん。とにかくプロの仕事じゃないと思う。文句ばかりが先に立つのは(この日記のスタイルからも)不本意だが、どうしようもなく粗が見える。
某御大その他の特別出演は良いとして、アップはまだしも止め絵にまでする理由がどこにある?ファンサービスのために本筋と無関係なところをクローズアップしてどうするんだ。じっくり見れば分かる程度に、さりげなく画面の中に置くのが粋ってものだろう。また、キャラを出したいのも結構だが、大勢詰め込めば良いというものでもあるまい。特に気になった●●●なんか、描き込みが足りないうえに役者が軽いせいもあって、ワケのわからん人物になってる。そんな飽和状態の中、不意に現れる●●は取りあえず消すために出したとしか思えない。せっかくいい味が出てるのに、この扱いはあるまい。僕ぁ何が嫌いって、作者サイドの都合が見え見えでキャラが消されるぐらい嫌いなこたぁないのだ。
主人公の一人の筈の●●に至っては出番も碌に無く、狂言回し以下の扱いだ。話にも、いらん要素が多すぎる。狂乱した●●のシーンはポイントだけで済んだ筈だし、余計なものを省いたあとで●●屋と●●屋の過去なんか出して厚みを持たせた方がラストに至るカタルシスも出たのじゃなかろうか。ここまでで作ったイメージを台無しにして終わるのが製作サイドの意向だったなら、見事に成功したと思う。『必殺』シリーズを意識しているからといって、シリーズが駄目になっていった歴史をもなぞりたいわけではあるまいに。
主演が少々若すぎ声が軽すぎることも、畑から掘りたてみたいな役者が多いことも、苦しい演出が多いことも特撮がショボいことも、話の運び次第では幾らでも無視できるのだ。現に『七人〜』はそんな要素も些末事としてねじ伏せるだけの「話&映像の力」をもっていた。しかし本筋がアラまみれだと、それらすべてが表面に吹き出してきて、目も当てられぬ有り様になる。
「小説と映像は違う」は、この作品のHPや雑誌で原作者の京極夏彦が述べていることだが、まさにその通りだと思う。だが、原作付きである以上、原作のファンを当て込んで映像化していないとは言い切れまい。小説とは異なる、いわばパラレルワールドを展開してみせようというなら、話や設定を映像向きに変えるだけでなく、「受け止めさせる」だけの説得力のあるものを作ってみせねば、言葉は単なる言い訳と化す。・・・・まぁ原作者が製作してるワケじゃあ無いんだから、咎めることもできまいが。ていうか僕、某衛星放送の契約者じゃないから、こういうこと言う権利も本来は無いし<腰くだけ
しかし、ここまで不平をたれるのも『七人〜』の出来が意外なほど良かったからだ。話の流れもきれいにまとまってるし、メインの役者も悪くない。上のほうでは難を言ってみた主演の田辺誠一は、とにかく表情(かお)がいい。上目遣いにきつく睨む視線が上手い。あと2年したら、もっと得体の知れない又市役になれそうだと思う。蛇足ながら、某証券会社のCMで演じていた金田一耕助は(原作を思うとちょっと鋭すぎるが)実にCOOLだ。彼の主演で作ってくれんか往年の『獄門島』タッチで。
そして、おぎん役の遠山景織子が文句無しに素敵だ。台詞回しにぎこちなさが残るものの、やはり顔。人形めいた美貌が微妙な表情を形作ると、もう眩暈がするほどイイ。謎めいたキャラクターにはぴったりだと思う。
各回を彩るゲスト陣にも光るものがある。『七人〜』の夏八木勲・小松政夫なんか役どころを活かして涙が出そうにシブい。小木茂光は「男泣き」を抑えた演技で見せてくれた。『福神〜』では何といっても近藤正臣。役柄のオイシサだけではない決め方が光っている。あと杉本哲太には驚かされた。どっかで見た人だとは思ったけど、確か横浜銀蝿(知ってる人、年齢が分かりますぜ)の弟分バンドでスタートして、『ビーバップ・ハイスクール』に出て、後は子供番組の特撮物に出ていた・・・・と、これは
ねこまからの情報だが、その過程で演技をしっかり磨いてきたんだろう、過去を苦悩と狂気ないまぜに背負った男を演じきってサマになっている。いや〜驚いたわ。
とまぁ、それだけに最終話としての『福神〜』のシメの甘さはいたましいものがあったということだ。だから他2話についても是非この目で確かめてみたいと思う。DVDで出してくれないだろうか。必ず買うぞ。そしてしっかりと見て・・・・また日記のネタにさせていただくのだ!今度はユーザーとして胸張ってっ!