店主酔言

書籍・映画・その他もろもろ日記

2003.12

 

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[ 以前の日記 ]
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[ 銀鰻亭店内へ ]



12月2日(火) 

 ガシャポンで「寿司処大回転」なるシリーズを見つけて1つ購入。リーメントのシリーズが1/6にはデカ過ぎたので、こっちは…と期待したのだが、残念ながらダメ。サイズは微妙に大きい程度で使えないこともないけれど、ミニチュアとしてのグレードが低すぎる。紙粘土細工で出来そうな皿、それにくっついて一体化してるシャリ、半透明なネタは下側のダボ穴が透けて見える…ときてはなぁ。ここしばらく上質すぎるフィギュアにばかり接していたせいで点が辛くなってるかも知れないけれど、せめて形は忠実でないとマズイと思うんだ、うん。

 とか文句たれてる素人モデラーのもとへ、ヨソ様の仕事の廃材が大量に届く。オモテの仕事(って妙な表現だ)の伝手で貰ったものなのだが、石膏だの木材だの樹脂だの計量容器類だのスプレー類だの金属パーツだの、使いさしが混じっていてさえ宝の山。友人Mに手伝ってもらってえっほえっほと運び込み、さてと気付いたら先日までの整頓でやっと作った希少なスペースが埋め尽くされてしまっていた。う〜む、これは不思議。<あ〜る君か貴様は
 また片付け物に終始するであろう週末を思いやりつつ、ちょいと早めのクリスマス気分であった。たぶん相方にはそう思ってもらえないだろうけれど。


12月3日(水) 晴

 DVD『ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔 スペシャル・エクステンデッド・エディション』購入。う〜ん長い。しかし略すとLORTTTSEEとなって、なんか自動生成されたパスワードみたいであるが。本編もむっさ長いのは承知のうえなので、鑑賞を楽しみに棚に収める。半月ぐらいしたらヒマも出来るだろう…って、長いよなぁ(ため息)。

 ガシャポンコーナーで阪神タイガースの頭でっかち(約三頭身)フィギュアを発見。相方のため1個試し買いし、妙にリアルな顔の造形におののく。ヘタな1/6ドールより良く出来てるんだけど、それがちっちゃな胴体に繋がってるのを見るとブキミである。ちなみにメーカーはエポック社。いい仕事してますね〜。
 ここではまた森薫の『シャーリー』『エマ』のレリーフプレートを発見。物欲神への信仰が萌え、いやいやいやいや燃え上がるに任せて購入。ずっしり重い銅製のプレートに彫り込まれたエマの姿が可憐である。どっちかっつーとシャーリーのほうが好みなのだが…これはこれで!<木村先生風味
 このシリーズ、メアリ・バンクスやネリーといった他のメイドキャラも網羅していて、その筋の人にはなかなか好ましいものであろう。ただなぁ、それよかとっとと次回作が出ないかな〜ってのが、ファンの偽らざる気持ちかとも察するが。ええ、骨身に沁みて察しますとも!<それは察してると言わない


12月4日(木) 曇時々雪

 ここしばらく読んでいた『カットスロート』読了。かねて読みたく思っていた『髑髏島の惨劇』『暗黒大陸の悪霊』以前の、カナダ騎馬警官隊スペシャル・チームの活躍…なんだが、これはまだチーム発足の頃。なワケで既に馴染みになったメンバーが集まってくる過程をなるほどと得心しつつ見ることになり、また創設者にしてリーダーであるディクラークが過去の事件で家族を喪った(しかも二度も!)痛手から立ち直った過程もあわせて知ることでキャラの背景も深まるものが。
 さらに、彼が失意を紛らわすべく打ち込んだ、騎馬警官隊そのものの草創期のドキュメンタリーが事件の一翼を担っており、その内容が事件と並べ描かれていることもまた興味ぶかい。原住民(つまりインディアン)に対し行われた非道と反撃、まさに血で血を洗う抗争の中に失われたものが、現代の酸鼻な事件にどう関わるか、かなりワクワクと読み進められた。まぁ、悪役サイドがいささかステロになってるきらいはあるけどね。
 で、終盤、いきなり怪獣もの(違)になってぎょっとさせられたのだが、これは作者お得意のトンデモ芸というやつ。次作品に比べればバカっぷりも大人しいといえるだろう。続くシーン、そして文字どおり断ち切られる結末は、暴力の中に憂愁さえ滲ませて寂寞としている。まぁ、これは僕がこの先を既に知っているゆえの感傷でもあるのだろうけど。
 ところでこの本、すでに廃刊になっていて入手できないと思っていたのだが、あろうことか我が家の書庫の底から発掘されてきた。相方が何となく買って、特に興趣なく読んで埋めておいたらしい。どこで何を手にしているか分からない、これだから本読み人種は面白いのだよな。つーか、どうせならこれの前のも買っておいて欲しかったなあ。 <贅沢

 『楽園まであともうちょっと 2(今市子/著、芳文社)』を読む。
 ホモネタの純愛路線に借金とヤクザを絡ませる浮いた設定、なのに妙に地に足がついたドタバタ喜劇…で今回も楽しく読めるのだが、モノホンの変質者を登場させるのはちょっとなぁ。ホモネタでも痴話ゲンカ程度は笑えるけど、あのキャラクターの出現でいきなり生臭くなったような気がする。やっぱこの作者はファンタジー路線のほうが好きです。つーか、こっちの世界が好きでもないのについて行くのが無理だったのかなぁ。

 夜、TVシリーズ『TRICK』を観る。2シーズン目でハマり3シーズンを喜んで迎えたのだが、今シリーズはどうも低調。ゴールデン枠にきて表現を抑えて…もいないのに、どうも一味足りないボケボケ風味。演技&演出はテンポが悪い、そもそも脚本で骨子であるところのトリックが練られていない、以前のエピソードと同工異曲が目立つ、んでもってパロディ要素もイマイチ。
 特に今回なんか幾らでもいじりようのある横溝ネタだから、きっちり作れば作るだけ面白い…筈なのに、あっちにもこっちにも隙間だのアラだのがゴロゴロ。もう一翼を担うダジャレ(いや、掛詞なのか?)は全編にくまなくまぶしてあるけれど、役者のトーンがかみ合ってなくて聞きにくい。せっかく面白いシリーズなんだから、もっと気合入れて作って欲しいなあ。
 そもそもこのシリーズ、自称超能力者とか超自然現象とかのトリックを解明するのがメインテーマであった筈なのだけど、今回のはそのどちらでもない、単なる予告殺人なんだよな。ぜひ本道に立ち戻って、しっかり笑わせかつ驚かせる話をお願いしますです。あと1話しか無いけどさ。


12月5日(金) 曇

 新作が出ない…と3日にボヤいていた『エマ(森薫/著、エンダーブレイン)』の3巻が既に発売されていることを、ネット仲間にしてメイド萌え友(勝手に認定)のJUNCITさんに教えてもらい、勇躍買いに行き首尾よくゲット。しかし同時発売の『ヴィクトリアンガイド』は手に入らなかったのが残念で店内を3周ほどウロウロし、気付いたら『アクメツ 4(田畑由秋&余湖 裕輝/著、秋田書店)』と、『妻という名の魔女たち(フリッツ・ライバー/著、大瀧啓裕/訳、創元社)』などが一緒にレジカウンターに載っていた。後者の復刊は実に嬉しいですな。しかし文庫が1冊700円オーバーたぁ、えらい時代になったもんですが。
 さて、本題の『エマ』。遡ること100年ちょっと前、階級の壁に隔てられた恋人たちの物語。芽生えたばかりの想いを引き裂かれたふたりのその後を描いて切ない1巻である。どんな辛いことがあっても人生は続く、それと言葉に出さず、互いの在り方を知ることもなく耐える二人それぞれの姿勢が痛々しい。こと恋愛ものというと初手でアレルギー反応起こす僕ですら、抑えた哀しみが伝わってきて胸ふたがれる思いがした描写だった。かくいう僕が思い出せる「ヴィクトリア時代の階級と恋愛」というと『シャーロック・ホームズ』の「ボヘミアの醜聞」ぐらいだったりするのだけれど、アレみたいに男のほうがヤな野郎なら、まだ救いもあるのになぁ。
 それにしても今回登場のウィリアムの母らしい人物は、今後どのように関わってくるのやら。老メイドに「お嬢様」と呼ばれているということは貴族かな。つーこたぁ父は逆の「身分違い」結婚をしたのだろうか…などと拙い憶測をめぐらせつつ、続きを心待ちにしたい。願わくば悲恋に終わったり、未開地(たとえばアメリカ)へ駆け落ち…なんて当てのない終わりになりませんように。


12月6日(土) 曇のち雪

 アニメ『鋼の錬金術師』を観て呆然。ううう、何がしたかったんだ今回の話。えーと、とりあえず次の目的地の示唆と、1エピソード分の時間つぶし…ですかね。って、ストーリーにほとんど観るべきことが無くて、そういうオトナ事情しか見えない話ってのは問題あると思うんだけど。キャラの性格はおかしいわ会話は破綻してるわ、アニメと原作は違うとかってレベルじゃね〜ぞコレ。脚本家は何を考えてたんだ?
 あと、今回のゲストキャラをやった女性、タレントさんらしいけど声優向きじゃないなあ。つかほとんど棒読みじゃ立ち芝居にも向きませんけどね。声そのものは耳に心地よい低音なのだから、ぜひ精進して欲しいもんです。


12月8日(月) 曇時々雪

 キンキンに冷え込んだ真冬日。路面は鏡のごと輝き、道行く人はみな呪いを受けてペンギンと化した。いつか王子様が現れて姫と恋におちるまで…って、同じ鳥なのに「白鳥の湖」のストーリーに乗せてサマにならんのは何故だろう。アレかな、一般人がかのバレエを踊ろうとするようなモンでしょうかね。

 『鉄腕バーディー 3(ゆうきまさみ/著、小学館)』を読む。
 い〜い感じにキナ臭くなってきやがったなぁ(ニヤリ)とか、夜陰に紛れてほくそ笑みたくなる一冊。敵も味方も新メンバーが登場、個々の思惑を抱えて入り乱れる、否応無しに緊迫感の高まる展開やよし。頭数が増えても「これ誰だっけ?」にならない個性のせめぎあいも、そのチリチリするような興趣を高めている。ひさびさに「早く次を!」と素直に言えるコミックだ。ところでゴメスさんの家族が気になってるのは僕だけっすかね?
 続いて『文鳥様と私 5(今市子/著、あおば出版)』。
 例によって作者の家庭内で増殖(既に繁殖の域を越えてると思う)し支配階級として振舞う文鳥たちとの日々。文字どおり食い物にされている姿には慄然とする…笑いながらだけど。いやはや、己を奴隷に売り渡す猫飼いの身にしても、ここまで虐待されないものなぁ。
 それにしても、この美しいカラー表紙にも、鳥たちがあんなコトやこんなコトをしたのかも知れないんだよな。そう思うと一層趣ふかく、香り立つような絵であるのう。どういう香りかはさておいて。


12月9日(火) 曇時々雪

 今日も今日とてペンギン日和。凍てついた路面で盛大に転ぶ。今年の初転びをずいぶん早くやらかしてしまった。冬将軍からの手痛い一撃というところ、かなり悔しい。
 今日はまた食玩『大英博物館〜古代エジプトの遺産〜(北陸製菓)』の上陸日。が会社近辺のコンビニでは見当たらず、いささかクサっていたところでねこまからメッセンジャー。首尾よく発見したとのこと。げに持つべきものは濃い相方である。なんたって似たようなモン買い漁るから、部屋が2倍速で狭くなるんだぜお立会い!<自慢できねぇって
 帰宅早々にパッケージを開くと、内箱とスポンジ(しかも丁寧に型抜きされてる)の中から小さな美術品が姿を現す。いや、決して誇張ではない。細かく入ったヒビに至るまでのディテール、年経り古さびた色合い、素材を使い分けて表現された手に心地よい質感、これを食玩と言っては申し訳ないほどの出来栄えだ。今回引き当てた中では、特にカノポス壷(ミイラの内臓入れね)が良い。ひんやりした石の雰囲気がよく出ていて、やはりこいつを12インチフィギュアに持たせて『ハムナプトラ』ごっこせにゃあと妙な義務感に駆られてしまう。イムホテップがくるぞ〜…ってナマハゲかい! <生禿だけどな
 なお今回のお菓子は「パディントンハニークッキー」なる小さなクッキー。さくさくと軽い食感とおさえた甘味が好ましい。つか毎度思うんだけど、北陸製菓さんはこっちに販売拡大すること無いんですかねえ。このクッキーだけでも買いたいんですけど…いつか分からないけど、コンプした後でも。


12月10日(水) 

 相方の協力あって『大英博物館』ほぼコンプ。残すは「耕作する男性の模型」のみとなった。古代の田吾作とベコですな。
 それにしても、ダブりが8個もあって、うち2個がレアリティの高い(らしい)「スカラベのブローチ」だっつ〜に、何でこれが出ないんだろう。ちなみにブローチは、金色にエナメル風彩色で質感もあり、まんま使えそうな美しさ。裏にピンをつけてあげますから、どなたかコイツを身につけて僕と「ミイラ再生」ごっこしませんか1932年ユニヴァーサル製の。できればジタ・ヨハンみたいな美女希望。脇役の男は要りません。 <そんなコトばっか言ってるな〜

 さて、唐突だが、僕はいわゆる「快楽殺人犯」が嫌いである。いやまぁ、好きってヒトにはそうそうお目にかかれない…筈なんだが、世の中には、彼らの生い立ちが不幸だとか幼少時にトラウマがあるとやらで肩入れし、あまつさえ連中の人権を言い立てて擁護に走る人間がいるのだ。取ってつけたような理由を言い訳にするな!不幸なら何をやっても許されるのかよ?てめぇの欲求の為に他人様を玩具にし生命を踏み躙るようなやつに、何の権利があるってぇんだフザケルナ!と、新聞紙面でそのテのネタに出会うたび憤りがこみあげる。人非人とか人外てぇ言葉はこういう「人としてのルール」を踏み越えた連中のためにあるんだろう、こんな手合いは一面トラップドア(ベトナムバージョン)とバナナの皮で構成された密室に放置してやって、滑って落ちて悲鳴があがるのを公開してやりゃあいいと思うばかりだ。え?ちょっと変わってますか?どの辺が?
 さて、今日読み終えた『グリフォン(ブライアン・ハーパー/著、渡辺庸子/訳、創元ノヴェルズ)』は、まさにそういう殺人犯の話。生身の女とまともに接することのできない男が、狙った相手を文字どおり物(つまり死体ね)にして歩くが、とあるターゲットに失敗し、さて…?というもの。犯人と狙われた当の女性と捜査に当たる刑事を主要キャラとして、追いつ追われつの攻防戦をスピード感ある展開で描いている。
 犯人と被害者の人物造形、特に後者が生命の危機に遭って変化してゆく様が活写されていて思い入れを誘う。で、3人目の刑事君はイマイチ描写が薄いというか進行役の感があるのだけれど、この男がもつ殺人者への嫌悪感が、まんま上で書いた僕の気持ちとカブるんである。おかげでさらに感情移入の度合いが高まり、メアリ・ヒギンズ・クラーク的ハーレクイン風味も少々匂うしラストもいささかお約束と思いながらも、スムーズに読み終えることができた。うむ、満足。
 しかしアレだな、現実の殺人犯にもでっかい鉄槌くらわしてやりたいと思うのは僕だけじゃないだろう。ぜひ日本の刑法に「仇討ち制度」を盛り込んでいただきたいモンである。ええ、道端で見かけたらもちろん「義によって助太刀」と乱入したいんですよ。差料に研ぎをくれて期待してますぜ。<って銃刀法違反だよ


12月12日(金) 晴

 書店ツアーで『ジョジョの奇妙な冒険』文庫版が平積みされているのを発見しわーいとレジへ。で、車中で開いてみて初めて、再版なった1巻と知る。うおおおぉぉッNOオォォォォッ!この失望!この怒り!くらえいっ僕!と、幾分オーバードライブかけて自己ツッコミしても切ないばかり。アレですな〜、関心のあるものが目に付くとすぐレジへダッシュする習性をどうにかせんとなりませんな〜。<他人事みたいに言うな

 そぞろ歩くうち、ガシャポンでタイガースのデフォルメ人形を発見。年季の入ったトラキチであるねこまのためひょいひょいとコイン投入。ムーア、星野監督となかなかの当たりがきて、最後に何やら黄色いものが。メタルギアソリッドの敵兵よろしく「?」を頭上に開けてみたら、なんとクリアバージョン。
 …ええと、幽体波(スタンド)?アビス?T-1000?いやさソラリスの海?
 プロポーションはさておき顔はそっくりなうえに歯まで作りこんであるフィギュアなので、微妙に気持ち悪い代物である。これがもしシークレットなんだとしたら、有り難くないっす。つーか、勘弁してください。
 
 『MAZE(恩田陸/著、双葉文庫)』読了。
 アジアの西端の何処かの国の辺境にある、ひとつの建築物。遠いとおい昔から、そこへ入り込んだ者が消えるという。
 謎を解くため呼ばれた男が辿り着く、ひとつの解。
 戦慄を誘う、その答。
 まさかそんなモノがと思いつつ、血臭漂う迷宮というイメージに『Cube』なんぞ思い出す。
 けれど更に謎は深まり、新たに提示される推理。
 「竜哭は、のび太の机の引出しだ」
 コミックで呼んだそんな台詞を、ふと思い出す。或いは「インド人のラジオ」なのか?
 揺らぐ思考を、現実が遮り、しかし。
 ……いや、心地よく翻弄してもらった。まぁある意味どうとも取れる幕切れで、うまく逃げられたかな?という気がしないでもないけれど、途中で味わう高揚・迷い・それに恐怖はどれも濃厚。特に最後のそれときたら演出効果の妙もあって、びっくり箱のように瞬時に総毛立たせるものだ。作者には懐かしいTV番組や小説へのオマージュでずいぶんと楽しませてもらったけれど、『Puzzle』以来のこういう作品も非常に好みだ。ぜひぜひ、またふたたびまみえんことを。


12月13日(土) 晴

 朝刊で、都築道夫氏の訃報をみる。
 熱狂的にファンになって漁り読んだ記憶は無い。けれど僕の書棚には、初期の伝奇ものやハードボイルドに始まってショートショート、時代ものや安楽椅子探偵のシリーズがずらりと並んでいる。そう、躍起になって追うでなく、ごく当たり前に手にし傍らに置いて折ふし読みふける、そんな付き合い方をしていたんだなぁ。
 氏はまた、僕には内外のミステリへの生きたガイドとして、つとに指針となってくれる存在だった。エッセイや後書きで目にしたタイトルを求めて外れを引いた記憶は無い。いや、ミステリだけじゃない、本棚一杯にひしめく時代小説だって『なめくじ長屋』や『神変武甲伝奇』を読んだから踏み込んだ、こんなふうにどれほど世界を広げてもらったろう。
 一面識もない、ファンレターをしたためたことも無い。けれどまこと得がたい指南役であった。感謝をこめて、合掌。


12月17日(水) 曇

 不覚にも風邪を引き、2日間寝込む。
 まぁ土・日連続でむやみにピッチを上げて持ち帰り仕事と片付け物に励み、明けた月曜に汗かいて出勤したら社内が冷蔵庫っつー「消耗戦後に大寒波→シベリア遠征」みたいな日程をこなしたんだから不思議は無いが。ん?年のせい?それはその、敗軍の将は兵を語らずってことで不問に付してください。

 平熱が極端に低いので37度程度でフラフラする。動き回るのは論外だし、字の細かい本は辛い。かくて相方が書庫から運んでくれた『OL進化論(秋月りす/著、講談社まんが文庫)』を眺めることに。これは良い選択だった。どこから読んでも話に入れ素直に笑え、するうちうとうと眠り込み、また目覚めて読みふけって気分の悪さを忘れていられるのだよね。うむ、4コマかくあるべし。願わくば文庫版の続きを早く出していただきたいもんである、次に風邪をくらった時のために。
 
 夕刻、多少は仕事もできる程度に回復したので、どてらを羽織ってモニタに張り付く。ついでにWebをウロウロして、フィギュアの新商品をひやかすうち岩下志麻を発見。うーん『極道の妻たち』バージョンっすか。確かにそれなりにカッコいいんですけど、化粧が濃くて漫才系のオバ…いや、某女優サンにも見えるような。岩下志麻さんならば、僕としては薄化粧に上品なスーツなんか着てるほうが好みですね。もちろん、ぽそぽそした風味のおじさん3人とセットで…って象印のCMフィギュアですが問題ありますでしょうか。もちろんテニスウェアも欲しいっす。<コアすぎ


12月21日(日) 晴時々曇

 久方ぶりに仕事から完全解放。布団の中で喜びをかみしめる。
 がしかし、これまで2週間近くの日々を仕事に追いこくられていたとなれば、家内で雑事が山をなすのは自明の理。早々に甲羅を剥がれ、市中引き回しの刑に。うう、お代官さま許してくだせぇ〜。切支丹伴天連の祭りの準備なんざオラには関係ねえですだ〜。

 抵抗むなしくクリスマス関連の買い物を済ませ、本屋で荷物をちょいと増やして帰宅後は、溜まりに溜まったビデオ鑑賞。『TRICK』『鋼の錬金術師』『アバレンジャー』『555』『ポポロクロイス物語』『鉄腕アトム』と片付けた。こうなると、ほとんど作業。しかも「面白ぇ!」と唸らされる要素が乏しかったもんで、いささか辛くさえあったかも。
 特に出だしの『TRICK』はシーズン(シリーズ?)最終回に至ってなおピンボケ風味、前作ファンには悲しい幕切れ。一応は推理モノなのに肝心なトリックが底まで丸見えてぇのが、とにかくイタダケない。せめて前エピソード(老人ホーム)みたいに二重底にぐらい出来たのじゃなかろうか?動機もイマイチ説得力が無い。黒門島ネタは積み重ねてできた大きな謎だから、前シーズンからのくだりを見せないと、常に懐疑的なヒロインを騙し得るにはいま一つって気がするのだよね。死者2人でそれを埋めるってのは、ちょっと強引に過ぎないだろうか。
 あと芝居もギャグも何とか形になって笑えたけれど、最後をありきたりに纏めて終幕ってのは、この作品として良かったんだろうかと疑問が残る。「ジュヴゼーム」微笑ましくて大いに結構なんですけどね、キミたちそういうキャラですか?つーか、それで鍵が作動するのはどういう理屈なのか言うてみんかい!
 次いで『鋼の錬金術師』。エピソードの後編は、話としては形になってるのだけれど、オチのつけかたが非常に強引。毒素を植物に吸収してもらって…なナウシカ志向は悪かぁないけどさ、さらに急速成長?させて分解できるってのは都合良すぎるんじゃないでしょうか。それこそ「等価交換もクソもない」話になるんじゃないかと。ついでに言うと、生物への干渉はそれなりの力を必要とするかに描かれてきた中で、植物だけは例外ってマイルールじゃないですかねぇ。確か小説&CDドラマになってる筈のこのエピソード、アニメにして端折ったんでなければ納得いかないです。今度検証してみたいっすね。
 『555』は年末進行みたいな急展開。もっと前からやっといても良かったような話をぎゅうぎゅうと詰めていて、密度は高いけど素直に喜べない。しかも花形ヤギフェノクこと流星塾のおとうさん塾長の手に全てを帰する形で収束しようとしてるんで、これまで偶然の連鎖で繋がれた過去がどうにも白々しく見えて仕方が無い。それならそれでヤギパパの陰謀によほどの説得力が無いと…なんだけど、和製ソリッド・スネークみたいでカッコいいヤギパパの存在感だけで語ってる現状&これまでの展開をみる限り期待はできそうもないし。つーかヤギパパ、他キャラ全てを見下ろす190cmの長身が、なんで変身すると縮みますか?<そこはツッコんじゃダメでしょう

 かくて何となくモヤモヤと夕べを迎え、また明日から仕事である。ううむ、なんかこう物足りないなあ。あ、しまった、年賀状書いてないぞ!つか買ってませんよどうするよ?


12月23日(火) 曇

 『ベルセルク 26(三浦 建太郎/著、白泉社)』を読む。
 多くのコミックが陥りがちな「強さのインフレ」。拮抗するキャラがどんどん強くなってしまいに人外魔境化し、読者を白けさせるこの現象は主にジャンプ系のバトルもので多発、最近では『新暗行御使』なんかがコレですっかり面白くなくなっちまっている。
 で、この作品でもその傾向が…なんだけど、それで飽きちまうかというとそうでも無い。なんせ強化されてく度合いが、10:1ぐらいで敵が有利なんだもんな。今回もその例に漏れず、凄惨な逆境が主人公を見舞う。既に人世の外へ出てしまった協力者もいるけれど、それは当てにできるようなものではない。仲間とともに明日の日を拝めるのか、いまだにハラハラできるところだ。
 そういうバランスの悪さ(いや、無さか?)だけでなく、脇を固めるキャラが魅力的なのも飽きないポイントと思う。只人に過ぎない脆い者たち、個々の境界の上で踏み迷い続ける人々が直接または間接に主人公と関わり或いは惹かれ、続ける旅の行く末はいずれ暗夜と思っていても見守りたくなってしまうんだよなぁ…誰をって?いや、それを聞くのは野暮ってもんでしょう。<お嬢様と魔女っ娘の間で迷い中
 ところで今回「髑髏のおっさん」が大活躍で、言葉の端々からその正体も概ね見えてきた。ベヘリットの使い道(おえっ)も明かされ、作者の計画性が感じられる部分だ。インフレ気味に見えていても物語の落ち着き先は既にしっかり決まっているのかもしれないな。その着陸がどんなものか、またいつなのかは全く読めないけれど。


12月25日(木) 曇

 同名コミックの舞台となるヴィクトリア朝のイギリスについての解説本『エマ ヴィクトリアンガイド(森薫・村上リコ/著、エンダーブレイン)』が届く。ヒロインの働く「上流階級の家庭」における雇い人の構成を主に、当時の生活・文化・社会構造・歴史的背景などなどについて記されていて、文字どおりガイドブックとしてしばし時間旅行を楽しめる。あとTRPGクトゥルフとかシャーロック・ホームズのゲームブックとかをプレイするにも良い味付け資料となるだろう。まぁ前者に『エマ』のようなメイドさんが登場したら、それだけでプレイヤーの正気度がゼロになりかねん気もするが。
 非常に分かりやすく書かれているが、下層階級である使用人を主眼に据えているので、維新前日本のそれとはかなり肌合いの異なる身分制度と、そこに流れる理不尽な差別意識が読み取れて、少しく悲しい気持ちになるかもしれない。江戸時代なんかと比較すると、とにかく厳然としていて、融通とか曖昧とかって要素が一片も入り込めない印象があるのだよね。まぁ、それもまた英国人の気質であり、魅力の下地を作っているものなのだろうけど。ちょうど今、通勤の友がかの国の骨董商事情だったりするものだから、過去と今、富裕と貧困双方からその図式を眺める感じで複雑な気分を味わってみたり、ではあるな。
 『エマ』ファンとしてはまた、描き下ろしのサイドストーリーが嬉しい。こういう静けさに満ちた小品はいいですなあ。萌え尽きそうっす。いつか彼女が、想い人ともこういう静謐な時を持てることを素直に願ってしまいますですよ、はい。


12月27日(土) 

 盆休みから苦節約半年、待ちに待った冬休み初日。気合を入れて遊び呆ける…べく、まずは身辺のお片付け。さらに年賀状を印刷し餅を買いに出、水槽のメンテをフルセットで。何かを得ようとするなら常に代償がつきまとう、これすなわち等価交換ってヤツですな。<普段片付けときゃいいダケと思われ

 と前フリをしたっつーことで、少年ガンガン増刊『鋼の錬金術師』スペシャルを読む。雑誌の厚みの大半はコミックスで出ている分の再録(ベストセレクション)なのでソッチを全て読んだ者には目新しさは無いが、デビュー直前の作者のラヂカルな生活ぶりと当の作品が収録されていて、これが読ませる。前者は迫力満点(笑)、後者は油断してると重さに驚かされるものですな。
 「なぜ、造った」はK・ブラナー監督のフランケンシュタイン映画のコピーだったけれど、ヒトが他の生命をの都合で作り変える話には常にこの問いがつきまとい、新奇性を失わせる。本作『ストレイ・ドッグ』に近いところでは道原かつみの『キャウ・キャット・キャン』なんか好例だと思うが、並べてみると、それら先行作品に比して行為の結果を表すに地味というか、ある意味ドラマ性乏しく大人しい印象がある。もっとも、こういう目的に猫を使うなんざぁ、猫飼いからすると無理の極致って気がするんで、設定上は荒川氏に軍配を挙げたいところだが。いやほんと、猫なんざぁ飼うもんじゃありませんぜ。金を出して自分を奴隷に売るようなもんです…って、え〜…脱線はさておき。
 そういう同ネタは幾らもあるのに、この作品が魅力的でいられるのは『鋼』がそうあるように、当を得たネームによるキャラクターへの親しみ易さとストーリーテリングの間の絶妙さ加減が一だろう。大剣を背負ったアイパッチの大男とイヌ耳少女という、和製ファンタジーにありがちな絵柄…と冷めて見たはずが、ほんの数ページの会話で距離感は消え彼らの傍へ引き込まれる。そして、ラスト近く明かされる「あること」によって、それが全く違った画になる。瞬間、ここまでの物語が急速にぎゅぎゅ〜っと高密度化して、ある種圧力をもって胸に迫る。敵キャラの言葉も含めて、主人公の負ったものを、描かれていない過去に遡ってまで想像させる。う〜ん、やっぱ上手いわこのヒト。
 付録のシールと下敷きは中年には不要なシロモノだが、とりあえずこの作品を収録したコミックスが出るまでは大事に保存したい雑誌になったな。

 で、読み終わった直後にTVアニメ版を鑑賞。今日は番外編の大佐との試合をメインに、4コマや他の番外編、それにアニメオリジナルらしい戦争中の話を盛り込んでいる。脚本・演出ともに暴走気味なまでに質は高く、ファンにはサービス満点だったかと。個人的には「走るな!猫かわいそう!」がツボでした。オリジナルのシーンもコメディの中に埋もれないきりりと光るシリアスぶりだったし、申し分ないです。ところで妙にクローズアップしてたあの女性は何でしょうね。またハチャハチャな脚本があるんで、そのネタ振りとかじゃないといいんですが。
 あと、いよいよアームストロング少佐が登場してくれたのが嬉しい。まぁ、今回モブの1人扱いで台詞は全く無かったけれど…次回に期待してますぜ!


12月29日(月) 雨

 大晦日を直前にして雨。気温はプラスの7℃を上回り、路面はさながら小川のよう。そいつをルビコンに見立ててじゃぶじゃぶと踏み渡り、休暇中に遊ぶ素材を求めて一路、街の中心部を目指す。が…いや、もう、なんつーか、激戦区の様相を呈しているっつーよか地獄に近いですね。どこを向いても買い物袋を手にしたオカアサン族が跳梁跋扈、制圧されたデパート地下なんざぁ通り抜けるだけで消耗するっす。マゴマゴしてると相方と生き別れに、どこかへ流し去られそうな勢い。とりあえず退避すべく書店へ逃げ込む。
 がしかし、ここは僕らにとって罠っつーか究極の危険地帯。これから嵩張るシロモノを買い込もうって時に『NHKスペシャル・文明の道―Comic version 2 クビライ(星野之宣/著、NHK出版)』を発見してしまった。敵はしっかりA5版の単行本サイズ、だがこの作者に出会って素通りするわけにはいかない。ついでのことに皿までと、他にもコミック数冊を2人で選び出した。ところで毎度思うんですが、毒を食って死ななくても、皿を食ったら確実にあの世行きのような気がするんですがどうでしょうか。

 目的地・ハンズへ着いた後は、リストに従って…いた筈が、なんだか考えもしなかったものまで山と買い込み、挙句最上階で生体を少々求めて重荷にあえぎつつ撤収。かれらを水に慣らしてやりながら、収穫を吟味する。まずは問題のNHKスペシャルから。
 連載を終えてさよならした筈の宗像教授との再会が、まず嬉しい。そして、今回は教授自らの調査行ではないためかトンデモ度合いが乏しいとはいえ、モンゴルの広大さを叙情的に描きつつ「義経=ジンギスカン説」を敷衍する筆致はいつもながら力強く想像を導いてくれる。遠く遠く馳せる想いを情話で締めてしまうのは歴史の論証としてはリングアウトなんだろうけど、『成吉思汗の秘密』以来のこころ温まる結び方だったと思う。
 ところでこのシリーズ、1巻目は安彦良和氏の手になる『アレクサンドロス』だったそうな。NHKとも思えない(いや失敬)、なんともオイシイ企画じゃないですか。で、この後も続きがあるんでしょうか。できればまた教授にご登壇いただきたいんですが…スポンサーさん、ぜひよろしくお願いしますです。
 他にはまず『殺手(篠原烏童/著、徳間書店)』。香港を舞台とするロマン・ノワール…と言いたいとこだが、掲載誌がソッチ系なんで美青年ぞろぞろ、違う意味でアヤシイ世界になっている。まぁ展開そのものはきちんとサスペンスもあるので不満はないけど、前作・前々作と同工異曲の気配がしないでもない。この作者には、ぜひまた面白いSFを描いていただきたいんだけどなあ。
 『愛すべき娘たち(よしながふみ/著、白泉社)』。ぶっとんだ設定や奇矯な人物を詰め込みながら地に足のついたドラマを演じ、おまけに感動までさせちまうという離れ業が今作も炸裂。母・娘・孫、三代の女たちがそれぞれの世代で形づくる愛の形の不可思議さは繰り返しても読み飽きない。この人の場合、言葉が主で絵は補助って気がするので好き嫌いはあるだろうけれど、ぜひ友人に勧めてみたいもんだな。
 『ホワイト・ガーデン(獣木野生/著、新書館)』ある日いきなり不可解なペンネームの変更をされた作者の、伸たまき時代の珠玉の短編集。不可解と言ったけど、その前後の代表作の流れっぷりから察するに、どうも作品より思想を優先することにされちまったようで、読み手としてはいささか同調しにくいものがあったんだよな。しかし、ここに収録された短編はいずれもそうした強制的な感触をもたず、ただそれ自体の輝きをもって胸をうつものばかりだ。人はいさ…ってところでしょうか、懐かしみつつ愉しみを新たにできますです。SF・ファンタジーの好きな人は、ぜひ読んでみて欲しいメランコリイの妙薬でっせ。


12月30日(火) 曇時々雪

 昨日の暖かさを一転、今日はマイナス気温で終始。凍った街を逃れ某地方都市に住む両親のもとを訪う…って、暮れもここまで押し迫ってから賀状ソフトの家庭内サポートってのは情けないものがありますぜおとっつぁん。せめてもうちっと早く呼んでおくんなさい。
 とかなんとか文句を垂れるも、世の父親というものはこういう時には耳が遠くなるものと相場が決まっている。ついでに母親というのは子供が目の前にいると餌を詰め込まねばという使命感をもつものとみえ、帰る頃には強制労働させられたフォアグラ用ガチョウみたいな気分になっていた。どんなやねんと言われるとちょいと矛盾してるかな〜って気もしますが。

 そんなこんなで草臥れて帰り、古い書類の整理なんかしていたら、学生時代からやってたTRPGの記録を発掘。リプレイとか小説とかもあって、これが意外と面白い。文章の拙いところを添削したら、それなりに人目にさらせるものになりそうだ。読む人がいるかどーかは謎だが、データ保存の意味からもテキスト化したい気はするな。休み中にひとつ…って、食玩の整理とか手をつけてないフィギュアの改造とか濃い目の用事が溜まりまくってるっつーに、そんなコトやってる余裕は無いっつーの!ああ、でもきっとやっちまうんだろうなぁ、たとえば持ち帰り仕事を犠牲にして。ええ、もう確信してますが何か。<何かじゃねえよ


12月31日(水) 曇時々晴

 今年も最後の一日、相方と買い物に掃除に洗濯にと常の休日のごと過ごす。ま、平和なもんです。しかし早々に一段落したもんで、ねこまは手持ちの人形たちのお召し替えに突入。棚に飾ったシオン・アベル・ミツキ・タマキ等などの半分にチャイナを、残りには振袖を着せるのだそうな。いや〜、人形とはいえ女の子は華やかでいいやね。それに引き換えこちとらの机の周囲の人形は…変身サイボーグにハカイダー、岸田森にフランケンシュタイン・モンスター、あとは二次戦のパイロットとかソリッド・スネークとかだもんなぁ。どう頑張っても華やぎませんて。いや華やいだら気色悪いって話もありますけどね。
 しょうことなく食玩の整理をしつつ、ちまちまとフィギュアの改造に手をつける。いや、別に華やかになるようなモンじゃないっすけど…と呟くうちに除夜の鐘。もしかしてこれで年越しか?いいのかそれで?



翌月へ






[ 銀鰻亭店内へ ]