店主酔言
書籍・映画・その他もろもろ日記

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3月2日(土) 吹雪時々晴
 昨日までの上天気が嘘のように冬将軍が反攻に出た中、苛立ち紛れに街へ。Loftでようやく解消する。何がっつーとたかが木ネジだったんだが、コレがどこにも売ってないときた。コンビニはまぁ無理だと弁えていたが、スーパーに無いデパートに無い家電店のDIYコーナーに無い…ときて、すっかりクサってたんである。ちなみに発見した売り場は狭いと侮っていたんだが、細かいサイズで揃っていて非常に助かった。嬉しくなったのと今後の用心のために、複数種類入ったセットも買っておくことにする。こんなちっぽけなパーツを探しに、再度あちこち彷徨いたくはないもんである。

 ところで僕は新しモノ好きである。またアウトドア系グッズに弱い。さらにプリミティヴ系の変なデザインが大好きなのだ。
 で。今日、まさにそういう財布を見つけてしまった。oxmox(サイトはこちら)というドイツ製のブランドなのだが、クリプタンという新素材で、アウトドアユースな頑丈づくり、そしてプリントがケルト系絵模様…ときては、もう抵抗できない。サイズと容量を確認して、速攻でレジへ走ってしまった。
 手触りもザラついた中に妙にしっとりしてて面白いし、ポケットが大量にあるのでカード地獄(最近何処でもカードカードってのは勘弁だよなぁ!)な世界の住人としては大変ありがたい。難を言うなら、非常に高価だったということだろうか。僕がかつて買ったどの財布よりも高い。いや、そもそも僕は財布を買うのに4000円以上出したことがないのだが、今回のヤツはその3倍である。代金を払ったら残額はソレを下回ってしまった。
 中身より高価な財布って、いったい。
 ちょっと侘しくなって、復活した寒さで遊ぼうとアイスキャンドルなんか作ってみる38歳なのであった。ロウソク1本の明かりって、あったかいけどビンボくさいね。

3月6日(水) 曇のち雪
 文章にせよ映像にせよ、好きな作家と趣味が一致することは非常に嬉しい。それは文字どおりホビーの領域でも良いのだが、作家自身の職能に関する分野だと、ことにも喜びはひとしおのものがある。
 ……ってぇのは、たぶん、それが滅多に無いことだからなんだろうな。
 『謎のギャラリー(北村薫/編、新潮社)こわい部屋』を読み了えて、非常にがっかりしてるのだ。面白くなかったとは言わない。どの作品も、それなりには興をそそり、通勤電車の旅を短くしてくれた。だが、しかし、けれども、されど、しかれども。
 怖くないのだ。
 ドキドキしたのは1編だけで、それも、こう、寒さを感じるというよりはスリル満点という系統だった。足元を吹きすぎる風、頭がぐらぐらするような感じは味わえるのだが、身に迫った恐怖ではない。全体には、どっちかというと「あわれ」な話が多いような気がする。ことに、葉書にまつわる1編は、悲哀の深さをひしひしと感じさせてくれた。でも、でも、これは違うよ「怖い話」じゃないよ。
 この先に控える『謎の部屋』『愛の部屋』を思いやりつつ、やはり作家はその作品をもって付き合うべしであろうかなどと思うワタクシなのであった。やんぬるかな。

 今日までに読んだ本で、他に面白かったもの数点。
 『楽園まであともうちょっと(今市子/著、芳文社)』
 色(しかも男色)とゼニという要素を描いて厭らしくも生臭くもない。掲載誌から考えてもいわゆる「ボーイズラブもの」と定義すべきなんだが、作者の持ち味、飄々とした愉快さは健在である。僕個人としてはアリサちゃんのパパ(笑)を応援したい。頑張ってください。
 『MONSTER 18(浦沢直樹/著、小学館)』『21世紀少年 8(同)』
 前者は完結編。いわずと知れた手塚賞のベストセラー。この巻はルンゲ警部とグリマーの活躍で(特に警部、オイシイところをもって行き過ぎ!いいキャラだよなぁ)終わってしまった感があるし、また謎や仄めかしが大量に残った気もするが、全体を思い返すと感興ひとしお。ラストがアリガチ&読後感が軽いのも、濃かった中途部分を思えば良いバランスではと思う。残った謎なんかは勝手に憶測すりゃいいんである、怪物の正体を見た一瞬の戦慄には代えがたいもの。
 後者はいよいよ盛り上がる……んだろうか?ってところ。子供時代の空想が「ご町内から戦争がはじまる」悪夢と化して戻ってきて、オーウェルの「1984」&マシスンの「オメガマン」ばりに社会に取り残された主人公たち、そしてその後の世代がいかに生き延びるのか戦うのかって話だろうと思うんだが、どうも先が読めない。だからといってわくわくと待つほど引き付けられないんだよな。漫然と待っている印象。この先の展開に期待するべきというところか。
 ……これぐらいしか面白いのに当たってないなんて。ここしばらく不作だよなぁ。

 この後には『屍鬼(小野不由美/著、新潮社)』が控えている。やっと文庫化(棚に入るサイズ)になり全巻揃ったので、張り切ってかかりたいところである。が、京極夏彦のアレを思い出さないよう、万全の体制を整えてかかりたいものだ。何ってアレだよ、そう『脂鬼』……うわぁ!
 原作より先にパロディを読むべきではない。また、それがインパクトの強いものならなおのことであるな。しくしくしく。

3月10日(日) 晴
 珍しく早起きの日曜日。リアルタイムで『ハリケンジャー』と『龍騎』を観る。前者の展開はわりと「お約束」。なんだが、既存の特撮モノの要素を山盛りに入れて、きちんと進行させてるのが嬉しい。なんかこう、時代劇観てるのとカブるな、こういう安心感は。で、観終えたところで、エンディングを影山ヒロノブが歌ってたのか、と今さらな発見(いつもこのタイミングで中座してたのだ)。たしか昔は「KAGE」とか恥ずかしい芸名を名乗ってたよなこのヒト。いや、そもそもその前のレイジー時代の名前が恥ずかしくて幾分マシなのに変えたのかもしれんが。確かにアレは過ぎてみれば赤面モノだわなミッシェルつーのは。
 さて『龍騎』。視聴者には見え見えだったシザースの正体が割れる展開だが、よく描けてたと思う。台詞も多すぎず少なからず、演出もくどくなく、場面ごとの映像も綺麗だ。刑事君役の役者が表情の使い分けがうまい。サワヤカ好青年が一転して鬼畜野郎になる瞬間が、ちょっと大げさなんだけど分かりやすく見えていた。うむ、たかだか2話で消してしまうには惜しい悪役であったよ。パワーアップのために人をという凶悪な方法もあること、それを思いつくのは彼だけではないだろうことを匂わせる言動が、この後の他ライダーの伏線として生きるといいな。消え方もまた悪党のお約束でありつつ、かつミラーワールドに一定時間しかいられない事の意味を見せて強烈であった。あと、蓮がいい。これは役者じゃなくキャラとしてなんだけど、主人公よりちょっと先を行っている「大人」の部分がうまく描かれてると思う。それに反発しながら理解し追いつき始める主人公もいい。次のライダーも登場が決まってて、波瀾の予感とともに楽しみになってきた。
 ところでバズーカかついだ牛ライダーって、どういう発想なんだろうなあ。

 午後。明日は『指輪物語』を観に行くつもりなので、軽い予習(つかあらすじの復習)がてらにバクシのアニメ版DVDを上映。いやあ、懐かしい。しかしこうして思い返すに、やっぱ『指輪』って架空戦記だなぁ。指輪そのものにまつわる話の基本は北欧神話のアレに原型が見えるし、戦闘場面は中世の勇者伝説が下敷きになってる感じがし(たとえばボロミアの最期なんて『ローランの歌』に極めて近い)決してトールキン独自の物語とは言いきれない。いや、だからといって価値が減じるワケではもちろん無い。ただ、ファンタジーの金字塔と呼ぶよりは、独特な世界を作りそこの1個人から国に至るパワーバランスを描ききってみせたのが凄いトコだと、僕が思ってるだけなんだけどね。
 ところでアニメ版、アラゴルンの声がジョン・ハートだってぇのは知らなかったなあ。しかし何が驚いたって、脚本にピーター・S・ビーグルの名があったこと。『最後のユニコーン』作者と同一人物、なんだろうねえ。そういえばアレのアニメにはクリストファー・リーが出てて、今回の映画ではサルマン役。なんかこう、因縁を感じるものが……別にないか。

3月11日(月) 晴
 ねこまに合わせて休みをとり、かねて期待の『ロード・オブ・ザ・リング』を観に行く。まさか指輪財団が許可を下すとは!と製作発表に驚き、Webで予告映像を見て「綺麗じゃ〜」と大興奮し、既に観てきた友人知人の賛否両論な感想を聞いてこころ揺れていたのだが……今日こそ決着をつけてやる、いざ勝負!
 負けた。
 うわ、呆気ない。しかしだ。
 勝負にならん。冒頭、緑豊かなホビット村の風景を目にし、そこを鼻歌交じりにやってくるガンダルフの姿を見た瞬間、もう心は「とらえ」られ「つなぎとめ」られてしまっている。忘れていたはずの物語がどっと脳裏に溢れ出してくる。もう後は抵抗もできず、一気呵成に旅路へと引っ張っていかれてしまうだけ。んで、うち続くどの場面も「まさに指輪」そのものときた。凄い。凄すぎるぜこの画(え)は!ひょっとして読者に脳内サーチかけてイメージまとめたのか?いや、それとも実はオノレの望むものを観るよう暗示かけられたとか?などとトンデモ系の疑いまでもちたくなるほど、目にする全てがイメージどおりなのだ。
 もちろん情景のみでなく、役者もいい。特にクリストファー・リー演じるサルマンには魅了された。炯々たる眼光、立ち姿の気品、動きに満ちる迫力。あの塔の上で詠唱する姿ときたらもうもうもう、大いなる魔法使いこれにあり賢者かくあるべしというところ。ガンダルフとの魔法合戦は原作にない?それがナニ?いいじゃんかよ『ウィロー』で魔女が掴み合いやってたのに比べれば!とか盲目的に口走ってしまいたくなる。あ、もう言ってますねすいません。
 もちろん、対するガンダルフも素晴らしい。表情に慈愛と哀しみを称えつつも、猛然と馬を駆り剣を振るうアクティブ賢者の面目躍如。スチルで見るだけだと「見分けつかねぇんじゃ?」と危ぶんでいたアラゴルンとボロミアの「きちゃないヒゲづらコンビ(ごめんよ)」も、動き出すと個性は明白、泣けるほどカッコ良い。ホビット、エルフ、ドワーフはもとより、オークやゴブリンその他の異形それぞれも、違和感なく「別種族」として存在している。何よりあのバルログの凄まじさ!そして「黒の乗り手」。かつて王であり勲(いさおし)を称えられた者としての威容を残しながら、光に盲いてあさましく臭いを追ってくる姿が背筋をザワつかせてくれたことよ、のう。<何時代の人?
 ストーリーは、やはりというべきか大筋を残して省略され、改変されている。だが、それが気にならない。強引に作られたアルウェンの出番すら許容してしまう、いや、させられてしまう。圧倒的な映像の力を久しぶりに味わった気がする、そういう作品だった。3時間がまったく長く感じない、すぐに2周目に入りたくなってしまう、実に久方ぶりの感動であった。
 とかく事前に聞き及んで危惧していた字幕の猛威については、僕にはあまり感じられなかった。ぱっと見で読み取れる長さに収めるにゃ無理があるってものだろう、まぁあんなモノじゃないの?いや、だからって誉めやしないけどね「韋駄天」はいただけないわな。実のところ、僕は聞き取れた言葉の断片から脳の深部に納まっていた原典を掘り起こし、そいつを字幕に使っていた。原作を知ればこその特権というものだろう。だからもちろん幕切れも「尻切れトンボ」とは思わない。お楽しみはこれからだ、来年とはいわず今すぐかかってきたまえ!見事ノックアウトされてやろう!<駄目じゃん

 しかし、興奮を鎮めてつらつら思うに、広壮な景色や目を驚かす技術を擱くと、この映画から感じたのは「哀しさ」だったような気がする。
 『指輪』の冒険行に出るということは、それに先立つビルボの『ゆきてかえりし物語』、10代の頃に楽しんだストーリーをハッピーエンドに読めなくなるということだ。指輪を目にし瞬間にもせよ欲望の塊に変じてしまう老いた彼を目にした時に、だからフロドと同じように辛くなる。また、その指輪を端緒に迫りくる巨大な脅威が描き出されるほど、強大な力と和を結ぼうとするサルマンや逆手に取って利しようと考えるボロミアの「弱さ」も、目に映るとことさら、身に迫って感じ取れる。人(ではないけど、正確には)が陥り易い迷妄、でも決して悪意に始まったわけではないそれを、愚かと呼ぶことも嘲ることもできない。原作でも感じた寂しさ切なさが、層倍の強さで戻ってくる。受け止めかねてふと視線を逸らしたくなるほどに。
 映画というメディアでそれを感じられる、そういうものに出会えたことを喜ぼう。たぶん、これが僕の『ロード・オブ・ザ・リング』の楽しみ方になるんだろうな。

 昼食の間中、口がふたつ欲しいほどの勢いで映画を語り、いささか疲れたところでトイざらスへ。抵抗力が落ちている身にはデンジャー・ゾーンである。あっという間にドラゴン社の12インチ1体と、ついに発見!なメタルギア・ソリッド2のトレーディングフィギュア3つを手にレジへ引き寄せられていく。しかもねこまの乗せたジェニー(だっけ)が2箱も重ねられているではないか!あな恐ろしや……って、体力があったら金星獣イミールとドラゴンも買ってましたけどね、ええ。何が危険なんだかなぁ。

 午後からは続けて『モンスターズ・インク』。笑わせどころ泣かせどころが読めてしまう……んだけど笑わされ泣かされてしまう、こんチクショウ!な傑作である。予告の時から魅了されていたブーがいい。とにかくいい。ただカワイイだけじゃなく、無尽蔵のエネルギーで大人を振り回す、ナマの子供が活写されてる。そのくせコトッと寝てしまって、寝顔が愛くるしかったりするんだなコレが。モンスターの世界ではトンデモ本に出てくる宇宙人みたいな扱いをされる子供を、それでも大事に思ってしまうサリーの気持ちが素直に分かってしまうなあ。僕、筋金入りの子供ぎらいのつもりなんだけどね。
 終幕後、電力?会社の社長モンスターの声が、ジェームズ・コバーンと知って驚く。パンフで見る爺ぃは「スピーク・ラーク」の頃に変わらぬダンディな面構えであった。懐かしいのう。あとで『荒野の七人』『大脱走』あるいは『ルッカー』でも眺めるとしようか。む、実はかくれファンなのか僕?<だったら『電撃フリント』だろう

3月13日(水) 晴
 一昨日買ってきたメタルギア・ソリッド2のトレーディングフィギュアを並べてみる。オタコン、オルガ、オセロットという取り合わせは妙なものがあるなあ。三大勢力拮抗つーかオタコンだけが弱っちぃというか。またどこかで見つけて買い足してやらねばなるまい。せめて雷電ぐらいいないと、ちょっと可哀想だ。って仮にも主人公に向かって「せめて」てぇのが可哀想つー説もありますが。
 造形は写真で見てたとおり良いが、塗りが少々雑である。特にオルガの顔が怖い。人形は顔が命、まして女性キャラなんだから、もちっと気を使ってやって欲しいなあ。つか僕、オルガって好きなんだよね。小島作品には珍しい「強い母親」なところが。「女で、おまけに虎だ」とでも申しましょうか。そもそも扉を選ぶチャンスさえ与えてくれずにひと呑みにされそうですけどね。

 フィギュアといえば、チョコエッグ騒動後の海洋堂はタカラと手を組むことになったらしい。また卵形のチョコにフィギュアを入れて150円で販売するとか。名前は「チョコQ」、プレスリリース(pdfファイル)の写真によるとモデルのチョイス&造形は前にも増して素晴らしいものがある。両生類・爬虫類の健在、かと思うとスズメ(だよね)という身近な存在が入っている。タカアシガニ(かな?)なんて、どういうパーツ構成にするのか興味津々だ。あとは、ガワの味良かれと期待するのみである。せ、せめてホワイトチョコは無しにしてくれ〜。どうせメインユーザーは大人なんだからさぁ!<開き直るな

3月14日(木) 晴
 最高気温が10度を超えたというのに、会社は相変わらず暖房が入っている。燃料の無駄遣い、地球に厳しい環境だなぁ。それよか社員に厳しいって話がありますが。みんな暑さでデレデレのたれたれになってて、仕事しようって空気じゃなかったものな。ぬ、めぐりめぐって会社自体に厳しいことになってるのか?ヤバくないかコレ?

 そういう会社に夜まで居残って、ふらふらと帰宅。途上、書店パトロールに赴く。星野之宣の『ブルー・ホール』と『未来のふたつの顔(J・P・ホーガン/原作)』が文庫化されていたので即購入。前者は単行本で持ってるのだが、同じサイズの『ブルー・ワールド』と並べたいなぁと。別に日中の暑さで脳が干上がったワケじゃないぞ。<誰も突っ込んでないつーに
 他に『幻獣の国物語(TEAM猫十字社/著、朝日ソノラマ)6』を買う。ヒロイン・夏芽と家来たち(笑)の成長著しく、また結びつきの強まっていく様子が好ましい。相手の優れた点に一方的に惹かれる関係ってのはザラなんだけど、互いに弱さを理解し労り合える、それを含めて受け止められるってぇのは稀で、そして強いやね。それにしても、蘿&斎槻の皇子様ズに比べて、タイト&ストリクスの竜騎士コンビは大人だったのだなぁ。いや、なんか改めて見直しちまったぜ。あと王様パーティの脱出劇が面白い。爺ちゃんたち、いい味出してます。悲惨な状況の多い今回の中で、唯一息が抜けたというか。今後の健闘に大いに期待したいもんですなぁ。ところでワシも緑茶を一杯。

3月15日(金) 晴
 朝、地下鉄駅へと向かう道でキレンジャクの群れに会う。その数20羽前後、かれらは渡りの往復に同じルートを通るはずだから、去年の12月13日に見かけたのと同じ連中に違いない。偶然の邂逅が嬉しくて、つい後を追って観察してしまい、遅刻しそうになってしまった。ま、得難い出会いということでひとつ……って連中にしてみたら、物影からじーっと見てる怪しいニンゲンなんだろうね。次の渡りにはまたコースを変える筈だが、また会いたいな〜。<迷惑だってばよ

3月16日(土) 曇
 毎春恒例の書斎(つーか最近めっきり作業部屋)の片付け。今まで作業台に使っていたワゴンがねこまのミシン台として徴発されちまったので、予備のテーブル板に脚をくっつけて自分の城を再構築。ついでに部屋のレイアウトを少し変えてみた。とはいえ壁は「みっしり」詰まった本棚で埋め尽くされてるので、せいぜい分散してる素材の箱を寄せ集め、かねて用意のプラ抽斗に突っ込んで机の下に積んだだけなんだが。しかしおかげで床面積がスッキリと広がり、また本を積み上げるスペースが…いや、なんでもありませんゲフンゲフン。
 ただ、真面目に問題なのがスプレーブース。前の机の高さとサイズに合わせて作ったんで、移動するとまた排気チューブを付け直さないといけないんだよね。ん〜む、もっと簡便に作れば良かったかなあ。いっそやり直すか?単なる箱にファンつけただけの本体と、あとチューブは着脱可能にして、内部に蛍光灯つけて、集塵機もセットにして。
 いや、道具作ってる暇あったら本作業にかかりゃいいんですけどね。なんかこう、環境が整わないと本腰入れられない性格なのよ。おかげで何一つマトモに完成しない……って、ほっといてくれよう!

3月17日(日) 曇
 最近、日曜日は寝坊→定番TVを3連チャン、がパターンになりつつある。『ハリケンジャー』『龍騎』をビデオで観て、昼から『TRICK2』。いや、今日は本当は全部予約録画にしてドールがらみのイベント(リカちゃんとかジェニーちゃん系のカスタマイズものとか服の展示即売らしい)を見物に行くはずだったのだが、言い出しっぺのねこまが不調で動けないときた。仕方が無いので、そのまま寝てよう日ミッション遂行。ん?オマエは寝てる必要ない?まぁ、そうとも言いますが、猫どもも寝てますし、これも世間のお付き合いということでひとつ。<狭い世間だなぁ
 『ハリケンジャー』は相変わらず、正統派特撮戦隊モノのパターンを踏んでいる。いいぞいいぞ〜。変身ポーズもあらかた覚えたし、これでタカオと遊ぶのだ!って4歳児相手に何を準備してますかね僕は。それに、たかが一つ覚えた程度では先輩・柳刻満氏の域にはまだまだ。なんせ氏は特撮の変身ポーズすべてを網羅されており……って、だから何でそういうモノを競うんじゃわりゃあ!<逆ギレ
 さて『龍騎』はなかなかヒネリが効いてる。冒頭のアレには素直に騙された。「吾郎ちゃん」=牛ライダー・ゾルダだと思ったもんなぁ。それにしても牛モンスターは出てこないんだね、ちと残念。どんな造形になるのか、わりと楽しみにしてたのだよ。とはいえ、ムチャクチャなサイズの武器を構える姿がパワードスーツっぽくて意外にカッコいい。装着……いや変身前のキャラも、前回の刑事クンとは違ったタイプのマイマザー星人(古)らしくて、またひと波乱期待できそうだし。あと、今回初登場の吾郎ちゃんとセンセイは、「決め」の時の声がいい。前者は乱闘シーンへ登場のときのドスの効いた第一声、後者は「変身!」が決まっていた。アクションがちょっとヌルい気もするが、ま、今後を楽しみに……ってこの先どうなるのかね彼らは。刑事クン同様2話で消えたら寂しいのう。
 それにしても、番組スタート時には乗れなかったこの作品も、回が進むとそれなりに興も湧いてくるねえ。相変わらず「ライダー」じゃないって抵抗感は残ってるし、何より主人公の存在感が弱いまんまなんだけど。もっと頑張れ真司!<そういう興味の持たせ方を想定した主人公なのか
 『TRICK2』は、出だしの台詞から『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(いいのかコレ!)で始まり、相変わらず小ネタの嵐。前回画面枠スレスレで「ジンジャー」つー名前を書いた赤いハンドル(鳥居似)つき台車が出てたけど、今回は場面が変わるごとにそのテのお馬鹿アイテムが溢れてる。小は子供の習字から、大は役場の看板まで、出るわ出るわ。しかも今回、最終エピソードだけあってキャストが豪華だ。寺田農だの八名信夫だのというベテラン役者が大真面目にスットンキョな台詞を並べアヤシゲに振舞うのが面白い。手塚まことが妙な「自称外人」で狂言まわしをしてるのも笑える。ただ、トリックそのものは今回あまり難しくなさそうなんだが……あ、いつもそうか。まぁ本質的に「真剣なトリックあばき」じゃないドラマなんだから、そんなこと言うのも野暮ってものだろう。
 あと今回面白かったのが、ヒロイン(?)奈緒子が何かというと「椎名桔平」を持ち出していたところ。あのオルメカ顔の岩のどこが似てるというんじゃ!と、画面外からツッコミたくなる状況を重ねていって、最後に出てきた妖術使の素顔がアレ。ってことは奈緒子の予言だったのか?「世に不思議なし」とばかりにトリック崩しをしていく話の主人公が実はモノホン、トリックなしの超能力者であるってのもこの作品の面白みであるよなあ。映画も製作されたってことで、楽しみ楽しみ。あ、まずは前シリーズを観たいものだよな。どっかでレンタルしてねえかなぁ。<買え!(と言われそうな気が)

 夜に入って、蒐集棚の店卸。集めるだけ集めてほったらかしにしていた食玩類を分類・整頓し数を記録、HTMLにまとめる。ついでのことにCGIも導入して、ページから直接注文(違)できるようにしてみた。仕上げにカラーアレンジをして公開したいと思う。つか待ち体制ばっか整えてないで、自分でトレード相手を探し歩く努力もすべきだよなあ。ま、昨日も言ったけど環境から入る人間だってことでひとつ。<だからソレをやめろって

3月19日(火) 晴
 昼食を買いに行ったコンビニで『ロード・オブ・ザ・リング(「S」をつけさせろぃ!)』のチョコを買う。カードを集めてみたくてちょこちょこ(シャレじゃないぞ)買い集めているんだが、最初に出たのがオーク、次がウルク=ハイときて、すっかり暗黒モードに入ってたヤツだ。ちなみにその後で購入したスナック菓子のシールは、闇軍勢の写真集ときた。ついでにその日、相方が買ったチョコからはとどめのサルマン様御降臨。しくしくしく。もういいのよ放っておいて!
 で、今日はよーやっとアルウェンが出た。ん〜、今イチ嬉しくないな、何故だろう?リヴ・タイラーが好みじゃないからか?それとも既に心はモルドールに囚われているのか?とか呟きつつ、オヤツを買いに出たときに今度は『モンスターズ・インク』のミニフィギュアを購入。囚われているのは物欲であったよ。知ってたけどさ。

3月20日(水) 晴
 仕事の合間に、先ごろ発表になったSONYの新型ロボ(SDR-4X。インプレスのページに情報が)のムービーを眺め暮らす。無表情なくせに仕草愛らしく歌って踊る連中を眺めてるだけで、じわ〜っと幸福感。これが「よろこびの機械」ってヤツですか?<違います
 それにしても、洋モノのロボットで、こういうの無いよねえ。こういうモノを見ていると、東西の文明というかメンタリティの違いってやつが思われるなあ。『鉄腕アトム』を夢みて「友達を作っちまえ」な日本人と、「機械は人の指図で動けばいい」懐かしきフランケンシュタイン・コンプレックスに浸る欧米(特に後者)人。いや一概にそうと分けられはしないんだけど、向こうモノの映画観てて出てくるロボって…フェンボットにヘクターにターミネーターって手合いじゃん?クラートゥやロビーって良い者系は、主人の命令次第っていう、どっちかつーと機械そのものだし。やはりこれはアレかな、人型ってモノに対する宗教的なイメージもあるのかな。神の象をあらわすとする考えに対するに、八百万も神様がいて、多くが獣神だったりするからこの国は。んでもってその延長で他所から来た神様もアリにしちゃって、ご近所さんのノリでお参りしちまったりする暢気さ。でも、ま、僕ぁそういう国民性に生まれて良かったと思っているのだけどね。キャパシティが大きいほうが、何かと楽しいじゃん?な?

 夜に入ってTVのニュースで、今度はナノテクの特集を見る。髪の毛の1/30の歯車には愕然。す、すげぇ!
 しかし、これで終わるワケではあるまい。いつか必ず出現するはずだ、コレに般若心経を書く人が!あ、いやそうじゃなくて!さらに縮小してロボットを作るのだ!そしてそいつを踊らせると!<結局そこへ戻るんかい

3月21日(木) 曇のち雨
 春分の日とてめでたく休み。先週の土曜日に続いて作業スペースの整備をする。スプレーブースとリューターが可動になり、さっそくちょいと削りモノ。防塵マスクが見当たらなかったので、先日ヴィレッジ・ヴァンガードで買った玩具のガスマスクを試しに装備してみたが、これが意外と効果的で嬉しい。口のところに付いているフィルタが濾紙なんで、布マスクより通気もいい、またゴーグルと別パーツになってる親切仕様だし。難点は、誰か訪ねて来た時に、間違ってもそのままドアを開けられないってコトかな。まぁ、どうせ予告なくやって来る友人知人はこの程度じゃ驚かない連中ばかりだし、赤の他人の休日に押しかける宗教勧誘なんかにはいい薬だと思うけど。ふっふっふ。驚かせてやるから訪ねて来い。<こら

 最近、感想を書きたくなる本に出会えてない。小説畑、ことにも翻訳系は壊滅的だ。話自体も今ひとつなんだが、それ以前に日本語がヘタクソで話に惹きこむ力の無いものが多く、「ツマンネーヨ!」という感想さえ書きたくないっつーか、書くだけ時間が惜しいというか、そもそもこんなモン読んじまって損した時間返しやがれウガアアアア!くらえギルス・ヒールクロウ!ってなのが多くてなあ。ああ疲れた。<やめとけ中年
 そんな中でコミックは救済である。特に『パピヨン(清水玲子/著、白泉社文庫)』は良かった。表題作は以前に読んでいたんだけど、異種生命を描いて秀逸なSFで、オマケに幸福な幕切れなんで、非常に好み。ほっといてくれ、僕ぁドラマ至上主義じゃねえのヨ。
 で、文庫には他収録短編が2本あるのだが、中でも『MAGIC』に泣けた。
 未開惑星に消えた恋人の影を追いつつ、その娘を育てる男。ふたりの間に通う心がやがて隠しようもなくなった時、襲う悲劇。しかし、ことの真相は惑星そのものの謎にこそ秘められていた……な〜んて陳腐な紹介は、するだけヤボってもんだ。読め、そして泣け!である。あ、状況が逆な、星野之宣の『セス・アイボリーの21日』と並べて読むと面白いかも。つか、それぞれ泣けてしまうから非常に危険かな。ま、涙腺のトレーニングつーことで。
 ところで、これも最近気に障ることのひとつなんだが、オビの「近未来アドベンチャー」は違うだろ。どこが近未来やねん。強いて言うなら「サイレント」は該当するかもだけど、せいぜい5分先の未来って程度だ。もちっとツボを突いたコピーを捻れよ、作家に失礼ってもんだろうが。って「涙腺トレーニング」たら言うてるオマエは何だってハナシもありますが、まぁ気にせんよーに。読者なんてこんなモンです。<開き直るな

3月22日(金) 曇
 朝、戸外を見ると妙に煙っている。窓ガラスが汚い。埃か?と考えたが、車粉(道外の人向け知識:路面のアスファルトが削れて粉塵化したもの。スパイクタイヤ規制で無くなった)が消えてからこのかた、この時期にこんなに汚れてたことは無い。妙だなと思いつつTVをつけたら、黄砂だという。例年、少量は飛来してるそうなんだが、風向きのせいで今年は大量に降ってるそうな。んん〜大陸からの風。海を越えて届く砂漠の息吹。大自然のロマンってヤツ?
 ま、ザラにあるこっちゃない。素直に感動してみよう。BGMなんかつけてみるか…「黄砂に吹かれて」はベタ過ぎるな。
 赤い〜風の吹く街〜♪ <何故かポケットビスケッツ。懐かしい。
 ねこま「…司葉クン」
 む、起きたのか。
 ねこま「枕もとで妙な裏声出すなっ」
 うう、なぜ殴るかなこの女は。いささかなりと、目覚し時計よりは趣もあろうというものを。
 しかし一歩戸外へ出ると、大自然のロマンに感動するよか、黄粉まぶれのわらび餅になったような気がする。いや、わらび餅とコミュニケートしたことは無いので、気持ちのほうはよく理解できませんが。

 帰宅途上『野鳥の会、死体の怪(ドナ・アンドリューズ/著、島村浩子/訳、ハヤカワ・ミステリ文庫)』を見つけて即ゲット。前作『庭に孔雀、裏には死体』から期待していた続巻だ。ここしばらくの不作に、これでストップがかかってくれるといいのだが。頼みますぜ〜先生〜。<誰
 『-パンゲアの娘-KUNIE(ゆうきまさみ/著、小学館)』2&3も購入。買い逃してたんだよねコレ。日常と超常が暢気に同居する物語、今のところ「おおっ!」ってほど盛り上がりはしないのだが楽しい楽しい。本筋に関係ないところで笑えるネタが多いのも好みだ。模型屋のおっさんとのアレなやり取りなんか、いいよねえ。
 しかし「領主」の先祖についての両面からのエピソードを見ると、著者の皮肉屋っぷり健在を称えつつ苦笑がこみあげる。これ、どこまで行っても「自称・文明人」が踏み入りがちな迷妄の姿そのものだよ。最近じゃ某「世界の警察」国家が似たようなことしてるんだけど、たぶん本人?は正義の味方のつもりなんだろうね。
 他には『メタルギアソリッド2』の攻略本をまた1冊。発売当初の4冊、全攻略の3冊と合わせて計8冊目。そんなに要りゃしないんだけど、ま、イロイロとその、使い道があるのよ。つか、内容比較してサイトで紹介しろっつー説もありますな。中にはスゲェ大ハズレも…いや、なんでもありません大統領。

3月23日(土) 
 褐色の土埃舞う中、買い物に出る。道行く車がみな黄色っぽくくすんでいる。ん〜む、こういうのを「黄塵を拝する」というのか。<言いません。そもそも字が違うし
 で、バス停に立ってたら、これは灰色に薄汚れた白犬が1匹、東のほうから駆けてきた。通行人が呼び止めたが、さらりとかわして急ぎ足。僕も傍を通りしなに口笛を吹いてみたが、ちらっと見たきり真っ直ぐ西へと走って行く。おそらくはオノレのテリトリーを巡回するのであろう、人間如きには関わりたくないか…と見送ってみたのだが。
 約2時間後、買い物を終えた僕がそこから数キロ西の地点でまたバスを待っていたら、そいつがやはり東から小走りにやってきて、西へと駆け去って行くではないか。なんだ何処へ行くんだおまえ。もしかして凄い大旅行の途中だったりするか?犬版グレート・ジャーニーなのか?待て探検家、せめて名前を聞かせろ!<違うと思うぞ

 『野鳥の会、死体の怪(ドナ・アンドリューズ/著、島村浩子/訳、ハヤカワ・ミステリ文庫)』一気読了。久々に面白い本だった。う〜い生き返るぜ〜ぷは〜。つまり今まで死んでたってことで。かゆ。うま。
 ゾンビな呟きはさておいて、迷惑な身内に取り巻かれ悪戦苦闘する探偵役という、前作の楽しみが元気に生きているのが嬉しい(われらがヒロインには全然嬉しくないのだろうが)。その身内がばら撒いた「名探偵」の評判のおかげで恋人と2人の時間も持てず、離れ小島に逃れ行ったというのに彼らが先回り。加えて熱狂的なバードウォッチャーたちがブラウン運動よろしくウロつく中、殺人事件が発生。またも最重要容疑者は身内?というアタマの痛いシチュエーションが、ノリ良くリズミカルに描かれている。嵐の中の絶海の孤島というシチュエーションも深刻になりようがないほどコミカルで、だからといって殺人が軽々に扱われることもない。うむ、実に達者な筆の運びよ。
 何より読ませる要素は、やはりキャラクターだろう。ほんの端役の老婦人まで、少ない言葉で効果的に書き込まれ、その表情や仕事中の姿が想像できるのだ。戯画化されているというそしりもあろうが、個々の性格付けがきっちり行われていないと、筋がいくら面白くても読ませるものにならないんだよね。例えば『風とともに去りぬ』なんか、キャラが立ってないとハーレクイン・ロマンスになっちまうじゃん?かえり見れば、僕の大嫌いな「作り手の都合が見え見え」な作品って、皆そこが下手なのかもしれない。後で見せ場こさえて死ぬキャラに、そこでだけスポットライト当てたって白けるわな。まんべんなくキチっと、けれどクドくなく要所を押さえる。そういう描写は難しいと思うけど、この作者は観客を笑わせながらそれをやってのけてる。しかも2作連続で。あっぱれ!
 難を言うなら犯人が分かり易く、かつ意外性が無いんだけど、ま、それはウルサく言うほどでもない。とにかく読んで爽快なのだから。また次を楽しみにしたいもんである。

3月24日(日) 曇
 ねこまと街へ。某「黄色い潜水艦」へ、人形の服を買いに行くというので付き合う。実はジェニー大好きな彼女、ここで扱ってるアゾンの服を手持ちの人形に着せようと以前から目論んでいたそうだ。道理で僕がツールだのフィギュアだの探すのについて来ると思った。
 これまでは偵察モードだったのと好みの服が無かったのとで控えていたらしいんだが、今日は棚の中身も豊富だったのでアレやコレやと見比べている。結局は自分では作れないようなものを幾つか選んでたが、後で見せてもらってその細かさに驚かされた。ジーンズなんか、ポケットにちゃんと物が入れられるんだぜ?1/6スケールでやるかここまで。GIジョー系統と一緒といえばそうなんだけどさあ、オンナノコ人形の細っこいプロポーションなのに!すげーぜ!オニやあんたら!
 ところで人形って、ジェニー「ちゃん」とかリカ「ちゃん」とか、どうしても「ちゃん」付けで呼んでしまうよな。キティ、ミッフィなんかもそうか。つか実は「ちゃん」まででフルネームだとか?某漫画家が描いてた「101匹リッチちゃん」みたいに!<それ違うって
 何はともあれ、ちょっと触発されたので、人形の首を幾つか買って帰る。作りかけの他のブツと並行して、ちょいと顔なんか描いてみるとしよう。

 帰宅後はビデオ録りしておいた『ハリケンジャー』『龍騎』『TRICK2』。最後のは最終回。謎解きはわりと予想通り、手堅くまとまった印象だ。今回は石野真子の独り勝ちってところかな。いや、キャラクターとしてじゃなくて、話のそこここでアイドル時代の歌を出してるあたり。けっこうインパクトあるもんだよなあ、反則って気もしないではありませぬが。
 先週も書いたけど、このドラマ、映画もやるそうでちょいと楽しみである。早く公開日決まらないかな。つか、これまた先週も書いたけど、前シリーズ観てみたいんだけど、さすがにDVDフルセット買う気にはなれないんだよなあ。御再放送していただけますと御有難いことで御御座いますですけど、はい。

3月26日(火) 曇
 帰宅途上、ふと思いついて散髪に行く。世間一般では床屋は休みの日だが、僕が行きつけのトコは年中無休である。いつも担当してくれる店長氏は休んでたけど、まぁいいやと若い衆に頭を預け、後は爆睡モードに突入した。気持ち良くバッサリやってもらった髪は掴めないほど短くなり、風通しが非常にいい。
 で、足取り軽く帰宅し『殺人者はそこにいる(「新潮45」編集部/著、新潮文庫)』読了。こいつはカロヤカな内容ではない。
 昨今、世間を賑わせた凶悪殺人事件とその顛末を綴った「実録モノ」。基本的には被害者をクローズアップすることなく、犯人を糾弾し現行法への疑問を提示する書き口となっている。無期懲役にしといて仮出獄中に再犯、しかもさらに凶悪な事件をおこした3人の話なんかは特にそのカラーが濃く見える。こと殺人に関してはイスラム法こそ至上と常々考えてる僕みたいな極端論者には、概ね賛同できる切り口だ。
 ただ、こういう本を読むときに、自分もまた犯人たり得る、歪んだ部分を持ち合わせていることは心しておかなくてはならないなと思う。妻子を殺して自殺しきれず、自己陶酔めいた「実況中継」を残しながら歩いた男の記録などは、寒いものを感じながら不本意にも理解できる気がしてしまった。まぁ、結句、週刊誌ベースの書き方なんで「怖いもの見たさ」野次馬としての視点しか持たなければそこまでの本でもあるのだけどね。
 「人間は自分がどれほどの悪人なのか、どれほどの悪人になりそこなっているものなのか、それがわかっていなういうちはいくら善人ぶっても何にもならん。なにか犯罪のことを聞いてしたり顔に眉をひそませたり、あざ笑ったり、一万マイルも遠方のジャングルの猿の話でもするように【凶悪犯人】のことを話したりするのは、いったいどういう権利が自分にあってのことなのか、それを真面目に考えないうちはただの俗物にすぎん」
 寝る前に開いた小説で出会った言葉が、妙に重く感じる夜更けであった。相手は丸まっちくて小柄なカトリックの坊さんなんだけどね。

3月30日(土) 雨のち晴
 年度末で大忙しの週が終わり、ようやく迎えた休日…なんだが、平日が忙しいということは家の中を顧みる余裕が無いということで、しこうして本日は大掃除と洗濯と片付け物に追いまくられることとなる。え〜いくそ、ついでにCDを端からmp3へ落としつつ読書じゃ!
 『月の出をまって(波津彬子/著、小学館)』
 常ながら風情のある絵と話である。ゆかしき空気の流れる速度さえ違うような時間の向こうの国の物語集、しばし浮世を離れて堪能。コミックには派手なイベントや効果が必須って人には向かないだろうけど、小説でも掌編を愉しむ人にはぜひお勧めしたい。僕としては「ローランドの遺産」「昼さがりの幻影」の2編が特に好み。え?主人公が若い女性だから?いや、べ、べべべべつに、そんなこと……と、言い訳考えつつ容量オーバーでフリーズ。<著者に比べて志が低い
 『ホームズ 2(久保田眞二/著、集英社)』
 文明開化の日本から英国を訪れた日本の少年の目を通じて語る、ホームズ・パスティーシュ第2弾。相変わらず渋い。ま、ホームズの奇矯な部分が削られてカッコ良すぎるきらいはあるけど、ま、薄いファンにはこれも良いのでは。ただ、それでも地味系で、やっぱ門外の人にはアピールしにくいだろうね。現状支持の僕としては、そういう人のことなんざぁ知ったこっちゃないのだけど。
 『天才柳沢教授の生活 18(山下和美/著、講談社)』
 行住坐臥、常に淡々と自己のリズムな柳沢教授の日々。一話ずつ、さまざまな形で心にふれてくる話も巻を重ねてもう18冊。読後感は悪くないが、少々馴染みすぎたかなという気がしないでもない。先が読めてしまうようになったんだよね。嫌いになれないだけに、これは却ってツライかも。
 『ヨコハマ買出し紀行 9(芦奈野ひとし/著、講談社)』
 ゆるやかに水没していく未来の世界に暮らすアンドロイドの少女たちと周囲の人々。静かに流れ過ぎていく時間が、けれど決して優しくはない。子供たちは育ち、アルファの背を追い越していく。それはやがて来る、年老いた人たちとの別離をも意味している。暢気に茶飲み話をしながら、昔がたりを聞きながら、いつかそれに対面するであろう永遠の少女たちを見て、少し物悲しくなる1巻でった。いや、彼女らは常のごとく「ほにゃ〜」としていて、だからこれはおそらく最初に認識した別離の衝撃をまだ忘れられない、僕だけの感傷なのだろうけれど。
 『ファサード 10(篠原烏童/著、新書館)』
 11年付き合ってきて、ついに10巻。まずは作者氏へ、おめでとうございます!『幻惑の摩天楼』からず〜〜〜〜っと追いかけている身としては嬉しい限り。時空から時空へ飛ばされ流されていくファサードの、その時と場で出会うものたちとの間に織り成される一幕限りの物語群は、いつに変わらず楽しませてくれる。まぁ繊細巧緻になってきた絵柄は、僕個人としては「霧の宵闇」時代のほうが好みなんですが、ま、それはさておき。巻の中では、愛あふれる「いと小さき手 げに深きその心」が読ませる。”環境を考える”な〜んて言ってるエライ人、まずこれを読んでチョシルの立場になってみて欲しい。その場限り、勝手な工事だの間引きだの緑化だの養殖だのして、ディンドになってる自分が見えてくるから。実際のとこ、自分が何なのかを見極めることは不可能だけど、せめてものごとの繋がりを考えるようにしたいよね。

 ひと段落したところで、プライズものやフィギュアなどの整理。買っては開けて並べて次と交換して適当にそこここに詰め込んで、って繰り返しをしているので、「そこここ」がエライ事に。今週分だけでチョコエッグ・クラシックとか指輪とかモンスターズ・インクとか増えてるし。掘っても掘っても何かかにかが出土(笑)してさっぱり片付かない。う〜ん、何故かなあ。途中で作りかけのアレコレに目がいってパテ盛ったり削ったりしたのが原因だろうか。<ソレです

3月31日(日) 快晴
 春の見本のように晴れあがった空の下、不健康に埃っぽい街中へ。改造用の素材を求めて手芸屋を歩こうと思っていたのだが、ねこまがハヤカワ・ポケットミステリの新刊を探すというのでA書店方面へ針路変更。ん〜とアレだ、『ガメラ2』で言うと、自衛隊のベース設定地点とガメラ着陸地点ぐらいの差であるな。って実はあの着地地点、最初の映像だとアーケードの無い「二条市場」になっちまうんだが。ま、設定上で恵庭と滝野が急接近したうえに実際は支笏湖だったレギオン墜落ポイントよりはマシってことで、ひとつ。<何がよ
 書店では早々に『宗像教授伝奇考 特別編(星野之宣/著、潮出版社)』をゲット。未収録作品だった「龍神都市」と描き下ろし1編が収録されている。これを買わずにどうしましょうか、ええ。しかしアレだな、巻末に諸星大二郎との対談やらマップやらシリーズ総解説やらが載ってるということは、やっぱりこれで完結なんだなぁ。巧みに描かれたまことしやかな古代史や教授のキャラクターが気に入ってただけに、非常に残念である。つか、このへんいらないから、描き下ろしをもう1本プリーズ!テレビドラマに(また高橋英樹主演でシリーズ化!)するんなら、ネタももっと欲しいでしょ?ね?ね?駄目っすか!……駄目っすね。<分かってるなら言うな
 他にエドワード・ゴーリーの絵本『不幸な子供』を発見。小公女みたいな境遇の少女がそのままどんどん悲惨な方向に陥って世の辛酸をなめ尽くし……んで、そのまま最後まで不幸という話。こういうパターンの話の結末はハッピーエンドと決め込んでる読者を、寒々しく歪んだモノトーンの情景に置き去りにしてくれる。いっそ小気味よいばかりの酷薄ぶりに言葉を失い思わず引き攣り笑いしてしまう読後感は、マーク・トゥエインの「マーク・トゥエインおじいちゃんのよい子のためのクリスマスのお話」と好一対であろう。パターン嫌いを自称する向きに、ぜひ一冊。
 とか言いつつレジへ向かった時には、なぜか『黄金の羅針盤』とかその他の童話の分厚い本が上に乗っていて非常に重くなっていた。そういえば、さっきから視界の端を相方がウロウロしていたような。つか、せめて自分で1冊持ってくれ。

 帰宅後、夕食をしたためつつDVDで『X-MEN』を観る。設定もストーリーも大幅に手を入れられてて原作好きには「え?」の連発であるが、その違和感を差し引いてもあんまり上手にまとまってない印象が残る。話のつながりも良くないし、何より原作とオリジナルを中途半端に妥協させようとした結果、却って説明の必要なコトが増えてしまい、そいつの消化におおわらわと言うか。たとえばケリー上院議員の後始末や”マグスのおっさん(マグニートー)”の過去話は、わざわざ映像で引っ張るほどのものだったんだろうか。要所に短いカットを挿入してやるだけで、十分に経緯を見せることは出来たと思う。あと、ウルヴァリンがローグ同様に「余所者」である必要性は無かったんじゃないかなあ。原作でだって好き勝手に放浪する癖があるんだから、その帰途って話で良かったのではと。んでX-マンションの面々は彼からローグに案内してやる形にすれば、結構尺は省けたと思うぞ。口数は少ないけど面倒見がいい、つーか、一匹狼を気取ってるくせに他人を見捨てることができないお節介焼き気質なオッサンなんだから、そこを生かして動きまわらせれば話に一本筋がとおり、散漫にならずに済んだんじゃないかなあ。
 まぁ文句はさておき、女性キャラが綺麗に映像化されてるのは非常に嬉しい。特にストーム、原作よりちょっと可憐な印象だが神秘性は強まった感じで実にステキである。赤毛の美女ジーン・グレイも麗しい。ミスティークは……ベースが綺麗な女優さんなんだから、せめて1度ぐらい素顔で出してくれってトコでしょうか。あと実は僕、ジュビリー好きなんで、ローグとキャラ混ぜられるのはどうかと思いました、ええ。男性キャラ?あ、それは別にどうでもいいッス。特に原作でも悩む以外は印象の薄いリーダーのサイクロップスなんかは……可哀相な気もするけど、映画ではウルヴァリンとの口喧嘩ばかりしていて原作以上に存在感が無いんだよね。ジーン、こんなヤツのどこがいいの?(笑)


翌月へ




[ 銀鰻亭店内へ ]