店主酔言

書籍・映画・その他もろもろ日記

2004.1

 

 

 

 

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[ 以前の日記 ]
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[ 銀鰻亭店内へ ]



1月1日(木) 曇時々晴

 夜半から明け方にかけ、除夜の鐘も聴かないでDVD『スキージャンプ・ペア オフィシャルDVD 』を鑑賞。ありえね〜ジャンプ競技とそこで繰り出されるウルトラCっつーよかウルトラQ的(どんなやねん)な技の数々を、本物のオリンピック放送風ばりに作り上げた個人作品である。どこの国の人が観ても笑えるネタと演出は見事としか。実はWebで発表されるたびに毎回楽しんでいたんだが、大きい画面で一気に鑑賞すると面白さもひとしお、映像の可笑しさを引き立てるアナウンスのトバしっぷりも一層楽しい気がする。これのおかげで普通のジャンプ競技をも笑いなしに観られなくなった人間の一人として、本年度も新作を期待したい。

 ひと寝入りした後は、新しい年を迎え、気分も新たにフィギュアの改造…って実は昨日の続きなんで全く新味に欠けてるんですけどね。
 『メタルギア ソリッド』のリキッド・スネークの首をもいで髪をひっぺがし、ヤスリをかけてリペイント、さらに手を加える予定なのであるが、今はラッカーシンナーと熱湯を使ってソフビを剥がす段階。室内に異臭たちこめ、台所から進軍してきたねこまより、ついに退去命令が出た。しょうことなしに作業終了。これが仕上がるのは、相当先になりそうである。が、これをもって書初めの代わりとし、本年ますますの精進を心がけたいと…って、書初めは3日の行事だったような?ま、いいか。

 で、雑煮にありつきつつ、長らく楽しみにしていた『ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔 スペシャル・エクステンデッド・エディション』を開封。
 カットされていたシーンが山盛り追加され、劇場で観たときは尺が全く違っている。その結果、当時食い足りなかったり不満が残ったシーンが、どれも収まりよくなっていて驚く。たとえばアラゴルンの戦線離脱イベントは、まず事前にエオウィンとの会話によって彼の人族との遠さを見せつつ過去にあった繋がりを知らせ、その後でエルフたちの場面が数カット入ったことで夕星姫アルウェンとの絆の深さを再認識させたことで、彼が生きて帰り戦う拠り所を示すものになっている。
 摂政デネソールと息子たちの場面が追加されたことでは、何より不満だったファラミアの人物造形がきちんと行われている。王無き国家ゴンドールの旗を守る兄、その兄を盲愛する父、二人に認められることのみを望んで空回りする弟。原作では殆ど描かれないこの経緯が入り、作中で成長する人物として描かれたことで、ファラミアは層倍して魅力的なキャラクターになったと思う。願わくば原作どおりのハッピーエンドを迎えてくれんことを。ただなー、デネソール父ちゃんがアレだからなー、一緒に焼殺されそうな気がして怖いんですが。
 またファンゴルンの森のシーンが増え、森がいかに深く大きく、また年を経た神秘の場であるかも示される。メリー&ピピンの原作ギャグが入ってオルサンク陥落が素直に喜ばしく見えるのも嬉しい。欲を言えば劇場のビッグスクリーンでこいつが観たいもんである。『王の帰還』公開前イベントに、どこかで演ってくれんかな〜。


1月2日(金) 曇時々晴

 しこたま朝寝して、絵に描いたような寝正月を満喫。いや、そんなモノ誰も描きたかぁないとは思いますけどね。

 のそのそ起きだした後は、昨日に引き続き『二つの塔』DVD鑑賞。本編と同じくらいボリュームのある、怒涛のオマケ映像に突入である。
 雄大なニュージーランドの自然を堪能しつつ、映画の舞台裏へ足を踏み入れる。そこで展開するのは、作品に携わった人々の苦闘の記録。お約束だなぁと思いつつ、順風満帆に進むプロジェクトなんてものは存在しないと、ある程度の年齢になると嫌になるほど思い知らされてるモンなので、妙に感情移入して見入らされてしまう。あぁイヤだねぇ中年の緩んだ琴線。プロジェクト某がヒットするワケだ。高い目標・夜を日に継いでの作業・満足のいかない完成度・リテイクの嵐・迫る納期・疲れ果てたスタッフ・切迫状況でも湧き出るアイディア…って、この最後のが一番タチが悪いんだよなぁでも必要なんだよなぁつーかソレが出てこないともう行き止まりなんだよなぁとか縷々思っては目をうるませてみる。まぁ、そういう情けないフィルタを外しても、一つの作品を作るために多くの人が動き、その力を尽くす様ってのは感動的であり、まして、その被造物が好きな物語であるのだから既に抵抗は無意味なのだよな。ままよ、開き直って素直に感激してみるとしよう。頑張れPJ&WETAスタッフ!いざって時には骨は拾うぞ!<すげぇ嫌な応援態度
 それにしても、観れば見るほどアラン・リーとジョン・ハウの存在は大きいなあ。『指輪』世界の確固たる視覚イメージはこの「指輪御用絵師」2人で作られたようなもんだから指針としないほうがおかしいけれど、こうして設定画と実際の映像を並べて見ると、そもそも持っていた完成度の高さに愕然とする。そして、画面の中の諸々の出来栄えを見るにつけ、その中を歩きまわれた人々がむやみと羨ましくなってしまう。あ、もちろん、本人たちが次から次へと描き上げるそれを受け取っては立体・映像化していったスタッフも羨望の対象っす。小道具いっこでもいいから作らせて欲しいよう…と、思っていたファンは世界にどれほど居るのやら。せめてレプリカでも頑張ってみますか。

 ところでDVDのオマケといえば、隠しメニューの小ネタも外せない。先回はMTV製作のバカ&下品ネタだったが、今回はそのMTVでのムービー・アワード受賞スピーチ。ちなみに受賞者はゴラム。アンディ・サーキス(ゴラム/スメアゴル役)との掛け合いってだけでも笑えるのだが、その内容がまた…他愛ないネタなのにどうしてこんなに面白いかな〜。やはりゴラムのキャラクターが、単に不気味でおぞましいだけじゃなく、哀れで何処かコミカルなものに仕上がったからだろうな。原作とはズレてるけど、この変化は望ましいものだったと思う。いやパロディのためじゃないっすよ断じて。
 ちなみにこの小ネタのチェック方法、ネットのどこにでも転がっているが、万一未見の方があった場合のために書き留めておく。1. 本編ディスク1をセットし、シーンセレクションを選択。2. チャプター最下段(香草入りうさぎシチュー)の、さらに下「new scene」へカーソルを進める。3. 左側に指輪のアイコンが表示されたら再生。


1月3日(土) 曇時々雪

 今日は相方の初出勤。数日ぶりに1人過ごす徒然に、積読の山に手を伸ばす。『魔女の死んだ家(篠田真由美/著、講談社)』『くらのかみ(小野不由美/著、講談社)』ともに「ミステリーランド」と銘打たれた、少年少女向けの書き下ろし単行本である。
 このシリーズ、とにかく装丁がいい。しっかりとした製本、クロス装の背と色調を合わせた花布と紐。小口は角を丸く落としてあって、全体が柔らかく手に馴染む感触となっている。持って心地よい、近来稀な上作といえよう。また装画もそれぞれ個性的な描き手が選ばれていて、それだけでも興味をそそる。って実は前者は波津彬子氏のイラスト目当てで買ってしまったんスけどね。
 さて、肝心な中身はというと。
 そこそこ甲羅を経た本読み、もしくは夫々の他の作品を経てきた人には、ちょいと残念な出来だろう。『魔女〜』はいつもの作品に横溝・乱歩テイストをふりかけた感があるのみでネタに新味が無いし、『くらの〜』はアンフェアな部分があってミステリとは言えない。よしジャンルを問わないにしても『東京異聞』ラストで「おいおい」と思ってしまった僕にはちょいと眉間に皺の寄る話であった。
 しかし、本来のターゲットである小・中学生を考えると、いずれも非常に面白く読まれるのではないかと思う。発想の転換あるいは逆転、論理的に状況を整理すること、じっくり取り組むほどに面白くなるこうした作業を柔らかい脳で行うことは実に楽しいし、それをひっくり返された時の奮起もまたひとしお。そういう愉しみを十二分に味わえる作品として、友人知人のお子様たちが適当な年齢になり次第、薦めてみたい本であった。
 つか僕自身、それらの作業が大好きなそういうコドモだったわけで、それが容易にできるようなネタ振りをしてくれるこうした本に、もっと沢山巡り合いたかったもんである。やっぱ小学校低学年で『黒蜥蜴』とか『蜘蛛男』(しかもジュニア版ではない)に特攻かけるのは、ちょいとヤバいものがありますわな。ええ、その、傍目にも後のヒネクレ人格形成にも。

 1日に『スペシャル・エクステンデッド・エディション』を劇場で観たいもんじゃのぉばーさんや、とボヤいた(一部粉飾あり)のだが、それを目にした方から「ちゃんとあるよ!」とのご教示をいただいた。ありがたいこと、重ねがさね御礼申し上げまする。ちなみに公式サイトでの発表はこちら。万障繰り合わせ、しっかり鑑賞してくるとしよう。
 それにしても、上映時間の長大さに今更ながら慄きを覚えるなぁ。こんなシロモノを劇場で観るのは、そのかみ『アラビアのロレンス』をぶっ通して以来だ。腰が痛み尻が痺れシートから立ち上がれなくなった記憶が蘇るのう。往時に比べて劇場の椅子は格段に快適なものになっているが、こちとらの年齢と腰周りの贅肉は倍化していることゆえ、それなりの覚悟をしなくては。日数も迫っているが、準備運動でもしておこう。<ってどんな


1月4日(日) 晴

 ゆるゆる日常へ戻り始める冬休み最終日、常の日曜のように寝床の中で特撮タイム。
 『アバレンジャー』は、人をルンバで踊らせてから正月アイテムに変えてしまうトリノイドが登場。本来はデズモゾーリャ様復活祝いに作られたもの、妙にメデタイ攻撃しかできないとあって、主人公側も緊張感なしの陽気な戦いっぷり。当然ながら正月の何たるかを知らないアスカが、いつもより多めにボケております〜ってあたりがツボでしょうか。来年はマホロと一緒だといいね。って番組終わってるがな。
 さて『555』は急展開…つーか大急ぎで風呂敷を畳もうとしてる印象があって、何とも収まりが悪い。全ての謎を握っていた花形前々社長の静かな消滅、とうとう本音を吐いた海道、結局は何も成し得ず殺されてしまう草加…と、ネタは面白く役者の演技も良いシーンが続くのに、今までの描き方が散漫だったんで形ばかりの後始末に見えるんだよな。しみじみ、損をしてる作品だなぁという思いを新たにする。ほんと、1年かけて丁寧に破綻なく描けたら、どれほどの名作となったろうにねぇ。
 ところでオルフェノクの王、姿かたちからしてバッタのようだ。んでもって王はオルフェノクを食って成長する…つーこたアレか?ファイズやカイザってなぁ「王を守る」んじゃなくて実は寝坊すけ王様のオメザにされないよう、「王に擬態して身を守る」もんじゃないのか?
 ねこま「お友達ですよ〜って?」
 そうそう。んで王に成長して貰わないとオルフェノクは自滅するらしいから、他人をだまくらかして餌に…って、それは村上前社長のやろうとしてたことのような。ひょっとしてマジで擬態スーツっすか?設定そのものが被り物なんて、そんなライダーはいやだぁ。

 久しぶりに晴れたことだしと、相方とふたり戸外へ。氷点下も1℃程度だと暖かく感じる季節になっている。とはいえ路面はツルツルなので、初春は名のみのペンギンウォークである。いや、いっそペンギンみたいに腹で滑っていけると楽なんですけどね。誰かそういうウェア開発してくれんべか。
 近在の菓子舗で甘味を買い込み、後は炉辺へ戻って手仕事にいそしむ。昨年から持ち越しのフィギュア改造、今日はひたすらペーパーがけ。水びたしの作業を続け、手がシワシワになるまで続行。こういうコツコツ作業からは本当に長らく離れていたけれど、性に合っていたのだなぁと再認識した。やはりこれを書初め代わりに、今年は立体モノを頑張ろう…ってもう4日なんだよな。とことんタイミングが悪いのも、やはり性分なんだろうね。


1月5日(月) 晴

 昨年から通勤の友として来た『ロンドン骨董街の人々(六嶋由岐子/著、新潮文庫)』を読了。おのがイメージにあるものと時に似通い或いは全く反する英国とかの地の人々が活写されて、頷きつつ瞠目しつつ楽しく読めた。確かに「骨董」という特殊な業界においてのことではあるのだけれど、そこに現れた魅力的で、かつ食えない気質は非常に端的なものではないかという印象がある。ただ難を言うと鋭いまなざしを彼我に注ぐ作者自身もそれに多少染まってる部分があって、いささか鼻につくきらいも無いではない。ま、嫌悪感をもつほどではありません、つーか反発したらテメェが子供に見えるかもって程度ですな。
 中で気に入ったフレーズは、幸福に対する彼我の捉え方。「社会の常識や、隣の人と比べて『こうでなければならない』という価値観に縛られたときから、不幸や絶望が始まる」というのは、日々の暮らしを思ううえでもまことに重い言葉だと思う。グローバルにももちろん適用可能なんで、どっかの国の大統領の耳から脳までぐいぐい押し込んでやりたいです、ハイ。


1月6日(火) 晴

 会社の近所のスーパーの店先で、エポック社のガシャポン発見。中身は野球盤。子供時代はゲームにもスポーツにも興味はなかったけれど、やはりそこはかとなく郷愁を覚えますなぁと3個ゲット。
 出来は非常にいい。1/6か少し小さめ程度の大きさなのに結構細かいところまで再現された形になっている。もちろんプレイは出来ないのだけど、プラスチック製の選手のシルエットを立てて、小さな小さなボールを転がすことも可能。おまけに厚紙製のパッケージまでついているので、遊んだ後はお片付けだ!ううむ、これが200円で買えるってのはいい時代だなぁ。次はパンチキックをお願いします。

 帰宅途上、今度はロフトの地下で、ガシャポンを300台ほど並べてフェアをやってるのに出くわす。食玩もいろいろ並べてあるので大喜びで突入したのだが、残念、どれ一つとして呼んでくれるものが無く、少し寂しい心持になる。たとえるなら、家で本を読んでいたら遊びに誘ってもらえなかったような。いや待てよ、これも物欲神の罠かも知れん。このささやかな空白に付け込んで、何か恐ろしい誘惑がふりかかってくるのだ!ここは警戒おさおさ怠りなく、覚悟を決め準備を整えてお待ち申し上げ…って、アレ?


1月8日(木) 雪

 パチパチチリチリという微かな音に目覚める朝。タイマー点火したストーブの熱が、煙突に当たる雪を溶かしている音だ。やれやれ今日は雪模様かねとカーテンを開け、一面まっ白な風景にしばし立ち尽くす。心中「わーい雪だ雪だ〜」と「雪かき面倒くせぇなぁサボりてぇなぁ」の思いが交錯するのは毎年のことながら、この両者の間で迷う時間が年毎に長くなっているような。いや、正確には後者についての言い訳を…いや、何でもありませんゲフンゲフン。よい子は真似をしないように。
 それにしても、ここ数年「雪祭り直前にドカ雪→開催期間中にものすげー上天気」か「雪不足→雪を掻き集めて開催したらドカ雪」ってパターンが多いような気がするな。これも異常気象ってヤツなのだろうか。はたまたカレンダーが地球のペースに合わなくなってるだけなのか、或いは冬将軍の破壊工作か?などと、TVで暴風雪波浪警報を眺めつつ、間抜な考えをめぐらせてみる。脱線ついでに、そういえばガキんちょの時分、波浪警報って聞くたびにハロー警報って何のこっちゃとか思ってたなぁなどとも。濃霧注意報つーと、森の奥から赤い帽子の小人さんが大量に押しかけてきそうだなぁ。んじゃあ農務長官って…って、こうしてるうちにサボりの言い訳も思いつくという訳であり。<つけんな

 今月4日、火星へ着陸したアメリカ航空宇宙局(NASA)の火星探査車スピリットの送信画像をネットで拝む。若年の頃の憧れの星がイメージどおりの赤い砂漠なのに、嬉しいより先に何か不思議な感覚を覚えた。たぶん、それは「異星」という言葉で表現するにはあまりにも身近にありそうな景色だったからなのだろう。「モハーヴェ砂漠の夕焼け」とかキャプションがついてたらそのまま納得できそうなんだものな。
 が、だからって『カプリコン・1』なんぞを引き合いにする気は微塵も無いけどね。だって、地球から訪問できる距離だけれど全くの異世界に、こんなに似た景色があるってだけでも、その偶然に驚くことができるじゃないか。もしかしたら生きてるうちに訪問できるかも…とか、素直に明日を夢見る要素が乏しい時代、せっかくだから愉しまにゃあ。
 もっとも、今の状況で人間が踏み込むのはどうかとも思うけどね。岩のつもりで腰掛けて、最後の火星人の家を踏み潰したりしたら目も当てられないや。<それもまた夢だけどな


1月10日(土) 雪

 最近、また中国茶にハマっている。特に、茶葉を組み合わせ糸で丸い形に括ってある細工茶というヤツが気に入りだ。手軽だし、耐熱ガラスのコップに入れ湯を注ぐと、解けてきて水中花のように開く見た目も楽しい。
 ただ、先の尖った細い葉が同心円状につんつん突き出しているのが何かに似てるなぁと、ここしばらく気になっていたのだが、本日やっとソレが分かった。
 モルボルだ。
 そう、あの『ファイナルファンタジー』の、丸くてでっかい植物モンスターである。湯の底でゆらゆらと葉がたなびくさまも、なかなか風情が…って、アレって確か毒のブレス吐くんじゃなかったっけ?

 週末のルーチンワークを処理しながら『ラスト・ヴァンパイア(ホイットリー・ストリーバー/著、山田順子/訳、新潮文庫)』を読む。ヒト社会に紛れて生きる異種生命体、しかもヒトを餌食とするものを描いたシリーズ2作目。食物である「血」に、生命としての繁殖欲求に、失われていく仲間への愛にひたすら飢えた生き物の描写は、映像化した作品が「ハンガー」と名付けられたのもむべなるかなと思わされる。その熱情の激しさに、ややもすると彼らのほうに感情移入させられるためかホラーとしては全く怖さを感じないものになってしまっているけれど、こういう視点でモノを見せてくれる話というのは、それだけで興趣があらぁね。
 ただ、セックス面がとかく強調されすぎてる気がするのと、1話目『薔薇の乾き』との設定の違いが目に付くのはいただけない。解説子によれば作中と同じ程度の年月を経ているゆえ…とのことだが、それは理由にならんでしょ。コナン・ドイルじゃあるまいし、たった1作なんだから、ちゃんと読み返して書いてくださいよ。

 TVアニメ『鋼の錬金術師』を観る。待ってました!のアームストロング少佐本格登場。謎めかしてるぞシブいぞカッコイイぞ!でもオープニングで既に脱ぎ脱ぎパワー全開だぞ!…って、つまるとこ本編にはあまり大きく関わってくれなかったんですけどね。先を楽しみにしますです。いや、脱いで欲しいワケじゃありませんてばよ!
 「賢者の石」を巡る話の重要人物、ドクター・マルコーの登場とスカーの襲撃を組み合わせ、さらにファーストエピソードのその後を重ねながら、散漫にならずスピードを削がず、ちょっぴりギャグを入れつつ重い話を損なわず、しっかり見せるエピソードだった。作画の質も高く、非常に満足。ついでに言うと軍の暗部を体現したグラン准将が見事お亡くなりあそばして、気分スッキリ。いや〜、初登場時からヤな奴全開、今回の回想シーンでさらに嫌いにさせていただいたので。もしかしてこのカタルシスのために登場したんですかね。
 ところで今回から主題歌が変わったのだけど、エンディング曲のテーマ『扉の向こうへ』って…マズくないっすか?この作品で「扉」っつーとアレですぜ?向こうへいったら「ばかだな」ですぜ?もってかれちゃいますぜ?


1月11日(日) 

 最終回めざして元気に盛り上げてる『アバレンジャー』をリアルタイム鑑賞。やはり大ボスの出現ですか緊迫感が出てきましたなあとワクワク見入るも、主人公・凌駕の能天気っぷりにガックリ。一度はマジで殺そうとした相手に手をのばしてニコニコ和解モードって、なぁ。互いを理解できた経緯も見せずにそりゃ無いでしょ。ミコさまにおかれましては断じてこれを受け入れず、あくまで自分の都合と趣味で戦い散っていただきたいモンである…って予告でしっかり共闘してるからダメか。
 続く『555』はその盛り上がりすら乏しく、事態は何一つ解決しないままズルズルと最終回へ。目新しいことといえば、暴食モードの王様フェノクが最強にして最凶の北崎くんを食べてしまったぐらいか。しかし未だ覚醒しない由、寝て食ってまた寝て…って、アンタはこないだまでご長寿日本一だった故・かまと婆ちゃんか!
 序盤は「どういう展開が」と思って偶然の連鎖に呆れ、中盤は「この謎の答えは」と期待して大雑把な絵解きに呆れ、終盤の今「どうオチをつけるのか」だけが気になって眺めているこの番組、最終的に呆れて終わることになりそうだなぁ。ネタは良いのに料理が最悪、勿体無いこった。もう何がどうなっても気にせずに、ビリケン・カブラペンと呼び声の高い新年度ライダーに期待しよっと。


1月13日(火) 曇のち雨

 夜に入って降り出した雨音が、思い切り季節はずれな宵。半端仕事をこなしつつ、たまさか目についた『殺人鬼』をひもとく。もちろん反則すれすれトリックが楽しいスプラッタじゃなくて、猟奇な表紙も懐かしい横溝正史の短編集(角川文庫)である。好きなんだよね〜この本。ファンにはありがちなのだろうけど、最後に収録されている『百日紅の下にて』がもう、幾度読み返しても飽きないのだ。
 西陽差す坂道の傍ら、半身を焼かれよじれた姿となりながら咲き誇る百日紅。辺りは一面、終戦直後の荒漠たる瓦礫の山。その中に独り佇み花を見上げる義足の男。そしていま一人、復員服の男が坂を上って彼に語りかける風景が、まさに一幅の絵のように目に浮かぶ。そして始まる会話、ふきこぼれるように語られる情と怨念、かたや静かにつづり合わされる事件の顛末という語りの妙。やがて謎が解き明かされ、現れる男女の像の美しさ。そして別れの時に告げられる名、その行方が静かに胸に落ちてもたらす哀しみに満ちた余韻。
 申し分なし等と言うはおこがましいけれど、他に言葉が無いなと思う。こういう物語を一編でも書くことができたなら、魂売ってもいい。って僕の物欲まみれな魂じゃ絶っ対に見合いませんけどね。


1月14日(水) 猛吹雪

 昨夜の雨から一転、雪。しかももの凄い風に乗って上から叩きつけ、かつ横から吹きなぐるという荒れっぷり。鉄道は止まりあおりをくらった地下鉄はすし詰め、車は動かず飛行機は飛ばず、窓の外では林檎売りが…ってのはお約束だから置くとしても、まぁ恐ろしい状況であった。本気で、会社への道で遭難するかと思ったもんな。しかし、こういう「いかにも冬」な天候が久しく無かったもので、妙にこころ浮き立つ気分になってしまい、八甲田山から南極物語、挙句物体Xまでの情景を思い出しつつ帰宅したら。
 玄関が消えてました。
 身ごなしの重い巨大な獣がゆうらりと腰を下ろしたような、巨大な吹き溜まりができてまして。かくて自宅に入るのに闇の中でスコップふるって数十分、気分はすっかり炭鉱節であったとさ。どっとはらい。

 先ごろ火星に到着した探査機が、着陸地点でのミッションを終え、遠い山並み目指して走ることになったという。燃料が尽きるまでひたすら進むと聞いて、古いSF短編『消失点』を思い出した。山への道で残骸になり誰かの発見を待つよりも、あの話のように景色に溶けていってくれるほうが幕切れとしては好みだなぁ…いや、実際にそんなことになったら、火星の七不思議その1になっちまうでしょうけどね。


1月16日(金) 晴

 2日にわたって荒れた空(といっても当地には昨日は降雪は無かったのだけれど)がカラリと晴れ、気持ちよく真っ青。いや〜、太陽電池の身としてはお日様を拝めるのがとにかく有難いです。日本列島を半分覆い尽くした合体低気圧のおかげで、なんかこう、トワイライトゾーンの1エピソードみたいな世界になってましたもんね昨日まで。
 かくて職場で窓越し充電を果たし、足取り軽やかに帰宅。相方の帰りを待ちながら、向こうの積読本に手をのばす。

 『ワンダフルライフ(清原なつの/著、ハヤカワ文庫)』
 道の真中で全裸で寝ている酔っ払い青年。実は彼は異星から来たスーパーマンだった…という発端から、かれら家族を描いていく連作コメディSF。しちくどい専門用語を散りばめることなく軽快に、けれど真剣なテーマをもって描かれる「異星生物との生活」はそこらの長編小説より読み応えがある。作者一流のシニカルな台詞回しもまた楽しい。

 『天使の声(吉野朔美/著、集英社)』
 ヒトの心の揺らぎ、迷い、狂いを美麗な絵柄で描く作者の、これは中篇2作を集めたもの。3人が死んだ事故でただ一人生き残った男が何故か片耳の聴力を失い、その真因に辿り着くまでを描く表題作、愛ゆえに人が何を為すかを苦く綴る同時収録作の2本はいずれも衝撃的。ことに後者『眠れる森』は、冒頭で告げられた言葉の真の意味を知った時に徒事ではなく動揺させられた。なんかこう、コミック純文学という感触ですねこれは。


1月17日(土) 晴

 不惑にして惑わずと言いながら尚惑うのが人というものであろう、と悟ったようなことを呟きつ惑い居る誕生日。ナニに惑っているかと問われると、ゲームにフィギュアに食玩にといささか冷や汗なものばかりですが。めでたくもあり目出度くもなしと例のように掃除・洗濯に汗をかき、少し風邪気味になる。ちょいと横になり、昼ながらナイトキャップを…と『盤上の敵(北村薫/著、講談社)』を手にする。
 寝るどころではなく一気読み。
 『スキップ』に始まる静謐な心への語りかけや『覆面作家』などの「人の死なない」日常ミステリシリーズとはかけ離れた、サスペンス仕立ての物語。また描かれたもののおぞましさは、上に挙げたようなかねてのスタイルの好きな向きとは相容れないほどだ。実際にそういう意見も多く寄せられた由、前書きに述べてあるのはむべなるかなという印象がある。
 がしかし、果たしてそうなのか。生理的嫌悪感を催させる悪意の存在は、かねての作品の中にもちらりちらりとその歪な影を落としていた筈だ。だからこれは、そうしたモノをあえて眼前に引き据え正面から見つめさせようとする試みだったではなかろうか。まずはそのテーマ設定に、僕としては大いに拍手を贈りたい。
 逃亡犯の襲撃から妻を救おうとする男と、一人の女性の告白を交互に織り成して語られる事件は、思いがけない展開と終局を迎える。その幕切れは、決してシンプルな勝利ではない。むしろ暗澹とした、これから始まる長い闘いを思わせ、それゆえ白のクイーンになぞらえられた女性の夢見る光景にただ切なく胸絞られるばかりである。おそらくキングの目に、その景色が同じように映らないことを思えば、なおのこと。また、実のところ世界はチェスより将棋に似ているもの、かれら2人の中にも同じような「黒」がやがて芽生えかねないのでは?と考えをめぐらせると、もうほとんど遣り切れなくなってしまうぐらいだ。
 けれど、あえてチェスと見なされたこの盤面において、本来クイーンこそが最強の戦う駒である筈だ。読み手の万年ポーンとしては彼女がかく強く立てることを望み、また己が「歩」ではなく生きるべしと、少しく決意を新たにするのであった。
 ところでこのタイトル、同じく局面をチェス盤に見立てたエラリイ・クイーンの『盤面の敵』を意識してのものなのだろうか。そう思ったら改めてあちらも読み直したい気分になってきた。体調が回復し次第、発掘調査に向かうとしよう。

 アニメ『鋼の錬金術師』鑑賞。のっけから少佐が脱ぎかつポージングしまくる濃い目な展開。しかし誰もツッコんでくれないので、そのままシリアスになっちゃったのが惜しまれる。まあ、原作と違うあの状況では仕方ないかもしれないが。
 違うといえば話の展開、過去のエピソードも大いに手が加えられている。が、原作好きを不快にするようなものではなく、却って両社を引き比べて楽しめるようなものになっていると思うのだが如何か諸兄。特にドクター・マルコー脱走の経緯は(いささかご都合に重ね過ぎたきらいはあるものの)トラウマ山盛りの彼の言動に大いに説得力を加えるものだったと思う。しかし、それにしても軍服の似合わないおっさんだねぇ。<細かいこと言うな
 あと、この物語が置かれた時間が「終戦後」と「再戦の兆し」の間で流れていることが、今回の話で前面に置かれていたのも良かった。「戦争の渦中」の無残さ過酷さ理不尽さを描いたアニメは多いけれど、こういう時制でそれを省みかつ恐れる視点ってのはなかなか得られないからね。


1月18日(日) 曇

 『アバレンジャー』は、やっとフルメンバー揃って反撃…なんだけど、いまいち盛り上がらない。皆でこぞって強引にアバレキラーを迎え入れる展開が、無理矢理すぎてどうにも鼻についてなぁ。キラーもなぁ、一緒に名乗るなよ。つかオマエ「ときめきと破壊!」って言わなかった?シルバか!
 とまれ、リジュエル→リジェ→赤ちゃんに戻ってマホロの手にという展開は急ながらプチ感動。パスされたアスカが「私の子として育てます!」と真っ向から受け止めるのも、お約束ながらいじらしい。というか、たぶんそれ、キミの子だと思うけど。未婚の父が2人になった恐竜やに、さらなるドタバタネタの予感…いや、ダメか、来週はキラーが前面にノシてるし。ヤツデンワニに子守りでもして貰いたまえね。
続いて『555』。中身とは全く無縁のところで気をもませ続け、本日めでたく最終回。うーん、凄い。何がって「どんな無茶なコジツケで着陸するんだ?」と思わせといて、着陸しねぇで終わっちゃったんだもん。しかも余韻まがいに視聴者にゲタを預けるでもなく、本当にほっぽり出しのTo Be Continue。ある意味、究極の無茶っすね。
 だいたい「オルフェノクではなく、人間としての欲こそが敵」なんて、最後に悟ったようなことを言われてもなあ。それ、常に前面に出てたでしょうが。オルフェノクゆえの残忍さや欲望、闘争心なんか何処かで描かれてたか?「ヒトとオルフェノクの間」が明確にされないゆえに、そこで迷う者の苦悩も見せられず語れず、かつオルフェノクへの恐怖もいまひとつ盛り上げられず、結句すべてが塵に還っての幕は1年を費やすドラマとしてどーよと思う。王の残骸を前に独り立つエビフェノク姐さんが思わせぶりだけど…って、ひょっとして、唯一定命でなくなった彼女を敵として、ここから真の闘いが始まるですか?ここまでがプロローグだとか?<遠慮します
 見どころといえば、海堂ヘビフェノク君の演技ぐらいかな。王をその身に潜ませた少年の最期に見せた表情、その後の闘い、そして終幕の所在なげな姿は、そこだけきちんとドラマを作っていたと思う。演じた唐橋充氏の今後の活躍に期待したい。


1月22日(木) 晴のち曇

 出社の途上、ちょいと時間があったので書店を覗く。さしたる収穫は無かったが、雑誌置き場に『タイタニック』なる箱を発見。ドールハウスや中世の城などと同じように、週刊ペースでパーツを求め、最終的には1/250スケールのあの船が完成!だそうである。
 ええと。
 確かに出来栄えはすごそうだが、しかし、アレを作って楽しいのかな。完全再現ってこたぁ、当然ボートの数が定員に足りないんだよね。やっぱアレか、完成時には前もって冷凍庫で巨大な氷塊(ロックアイスなんかを利用すればOK!)を作って双方風呂場へ持ち込んで、浸水式とかやるんでしょうか。その時はやはり甲板にオーケストラのフィギュアを置くのか?鉄道模型だったらそのぐらいのがあるかなあ…などなど、埒もないというか実もふたも無いというかいっそ不謹慎な考えが脳裏をぐるぐる。他のツッコミどころを思い出すべく『タイタニックは沈められた(ロビン・ガーディナー他/著、内野儀/訳、集英社)』でも再読すべ〜かな〜と思いつつ帰宅…しそうになったのは内緒である。いや、ほら、沈没を予知した書だったのか?と言われてる本のタイトルが『Vanity』ってぐらいで、人世の儚さ空しさを感じちゃいまして仕事にふと疑問を。<アタマの中身がVanityだぜ


1月24日(土) 晴

 いつもの週末掃除と持ち帰り仕事で忙しく過ごし、ひと息がてらに『秘剣、豪剣、魔剣(新潮文庫)』を読む。ずいぶん以前に読み終えて時代小説棚に詰め込んでいたものを、先ごろの大掃除で発掘したヤツだ。中身は記憶にあるものの、読み返すと以前とは違う興趣がじわ〜っと沸き起こってくる、いずれも味わい深い作品ならではの良アンソロジーである。特に、同じ人物が登場して同じ時間を歩んでいても、切り口&作者次第でがらっと違う物語になる数編が面白い。あと、小説ではないけれど、渡辺淳一氏の「首斬り浅右衛門」についての考察は非常に勉強になる。この人の小説(あとジェンダー絡みのエッセイ)は大がつくほど嫌いなものが多いんだが、科学者の視点をもって事物を読み解くこういう小品は本当に上手いと思う。今からでもシリーズ化してくれんかな〜。

 夕刻『鋼の錬金術師』を観る。エドとアルの帰郷ばなし、いよいよアームストロング少佐が盛りっと押し出してきて楽しい楽しい。で、戦を乗り越えてきた大人たちに反発し、やがてその哀しみを察するエドを描くストーリーも悪くない。ただ惜しむらくは、彼にそれを考えさせるご老体の言葉が、いまひとつ説得力に乏しいつーか読み取り難いつーか不明確であったなと。お遊び部分が充実してた話なんで、そっちが軽くなっちゃうとバランス悪いっすよ。


1月25日(日) 晴

 日曜恒例の特撮タイム、まずは『アバレンジャー』。ミコさまことアバレキラーが見事に散って、嗚呼感動のラスト前!だブラ。<声優さん共通ネタ
 例によってハイテンションで「仲間」認定したがる凌駕はさておき、邪悪も孤独も己のものとして昂然と最期を択び取るキラーの描写は実にいい。また、ドライな関係を保ちつづけたトップゲイラーが最後に彼の名前を呼ぶ辺り、もう泣かせどころなんてもんじゃないですぜ。ちーん。<泣いてるし
 しかし今回、僕としてはヤツデンワニがイチオシ。いじらしくて良かったなぁ。もともと邪命体のくせに人との暮らしに馴染んで「これがワニの幸せ〜」と主張し、デズモゾーリャの影響から助けを求める姿が妙に愛らしい。赤ん坊見てヨダレをたらし、惚れた女性に軽蔑の眼とともに蹴飛ばされ、幼稚園児にたしなめられつつ、これからも幸せでいて欲しいな。そんな幸せはイヤだって気もするが。
 さて、続く時間は新番組『仮面ライダーブレイド』。顔写真が出た途端「ビリケン」とか「ぴちょん君」とかを髣髴とさせられていたんだが、ネットの功罪というべきか、画像を見ているうちにすっかり慣れてカッコ良く思えてきていたヤツである。動くまで馴染めなかった龍騎に比べると、長足の進歩と言え…ないけどさ、まぁ。
 謎の組織に属して怪物と戦うライダー、その背後に横たわる謎、そして1人の裏切りによる(らしい)組織崩壊。職業ライダーがいきなり無職のボランティアになって、さてこれからどうなるのかって導入部をスピーディーに描いている。が、ちょいとスピーディーに過ぎて、怪物の名称(アンデッド)とか主人公の立場とかが分かりにくかったんじゃないかな、という気がしないでもない。いや、僕ぁネットでさんざん情報集めしてたんで、さほどのことは無いですが。ダメな大人として、当然ってとこですな!<威張るな
 ちょっと気になったのはオープニング。ステージ上のキャラとライトだけって演出なんだけど、地味っつーか華が無いっつーか、いっそ寂しいというか。ポーズつけてるキャストの皆さんが初々しいおかげで、『555』のハイパーバトルビデオの「へっぽこミュージカル」を思い出してしまった。これから回を重ねて印象が変わるか、それとも映像が変わってゆくかに期待してみるか。
 ところで今回登場のアンデッドたちはコウモリ&バッタ、次回予告に見えたのは植物っぽかったが…旧ライダーの踏襲ですか?伝統ってヤツなんでしょうか?つーこたぁ最後の敵は、ひょっとしてもしかしてイカだったり?


1月26日(月) 曇時々雪

 帰宅途上、ちょいとロフトへ寄り道。おりしも2月のイベントを前にチョコのコーナーが出来ており、赤やピンクの彩りとハート型の乱れ飛ぶ異空間と化していた。その一角を食玩が占めてるのは時流ってヤツかねぇ…とぼんやり見ていたら、リーメントの新製品『カフェめし』を発見。相方の1/6世界のため、と、カートンを手にしてふと寂寥感に襲われる。な、泣いてなんかいないやい!
 ちなみに胃が痛くて寝ていた相方は、献上品をご覧あそばしていささか御景色宜しくなられ、かつは不要なラムネ菓子を全て拙者に下賜なされましたとさ。うえ〜ん。

 …てな冗談はさておき、中身の出来は相変わらず上々。色がちょっと合ってないものもあるけれど、造形がいいのでライティング次第ではかなりリアルに見えると思う。小物類のチョイスも非常にオサレ〜で、カフェなんぞとは縁の無いこちとらとしては雑誌のグラビアを立体視してるような気分であるな。
 今日は他に北陸製菓の『赤毛のアン とろけるメイプルシロップのクッキー』を2つばかり買ってみた。フィギュアは例によっての海洋堂、何処から見ても破綻の無い造形が素晴らしい。アニメはあまり観ていなかったのだけど、かすかな記憶にあるキャラと完璧に一致するものなぁ。素人が口にするは愚かだけど、こういう構成力のある人が羨ましいっすよ、全く。


1月27日(火) 曇時々雪

 薄雪のうえに可憐な梅鉢模様を見る朝。雪国ならではの情緒と見るか、この寒空に外を歩く猫を哀れと思うか、はたまた野生の逞しさに感動するか、とリアクションを考えつつ佇む暇人ひとり。いや、その、会社行くのが大儀なもんで、足を止める理屈を捻ってるだけかもしれませんが。

 怠け心のままに、通勤途上で書店へ。ふと目についた『黒のトリビア(新潮社事件取材班/著、新潮文庫)』をパラパラ。「警視庁には馬がいる」とか「腐乱死体の膨張率」とか、役に立たないというより立てたくない知識が詰まっている。猟奇趣味を売り物にするうえにタイトルからしてTV番組の真似事とは軽佻浮薄よのう…とか心中偉そうに呟きつつ平台を眺め回したら、津山三十人殺しだの大久保清だの、海外の殺人鬼ネタだのがゴロゴロしていた。戦後のカストリ雑誌全盛の頃ですかこりゃ。いや、実地に知ってるワケじゃないですけど。
 ちなみに手にした本は己が猟奇趣味の命じるまま、素直にレジへ持っていった。ことのついでにどっかで「へぇ〜」ボタンも購入すべきだろうか?<やめれ

 さて仕事を追えて帰宅途上、近所の家の犬小屋から「にゃ〜」という声を聞く。ここの犬は冬場は室内にいるので、不法占拠しているらしい。思わず返事をしたら、驚いたらしい小さな影が、ぴょんぴょんと横っとびに逃げ去っていった。
 梅鉢模様の正体見たり。寒さ極まるこれからの季節、キャットフードでも持ってきてみるか。



翌月へ






[ 銀鰻亭店内へ ]