店主酔言

書籍・映画・その他もろもろ日記

2003.11

 

 

 

 

 

 

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

13

14

15

16

17

18

19

20

21

22

23

24

25

26

27

28

29

30

 

 

 

 

 

 

[ 以前の日記 ]
2000  9 / 10 / 11 / 12
2001  1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 10 / 11 / 12
2002  1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 10 / 11 / 12
2003  1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 10

[ 銀鰻亭店内へ ]



11月1日(土) 晴

 気温もほどほど高く、快適な休日。しかし配達が来るわ明日は所用があるわ書庫はさっぱり片付いていないわで、のんびり寝こけてもいられない。さっさと起床し、いつもながらの作業に取り掛かる。かくて始まった時点で既に休日ではなくなっているのだよ、驚いたかね明智君。わはははは!は〜あ。

 とりあえず生活領域が片付いたあたりで『招かれざる客たちのビュッフェ(クリスチアナ・ブランド/著、深町真理子・他/訳、創元推理文庫)』読了。アイロニイに富みかつブラックな掌編集。犯罪に至る道筋や手段、それが暴かれる顛末よりも、犯人の心理の弱さあざとさいじましさがじっくりと書き込まれて面白い…のだが残念、どうも言葉遣いの古臭さが鼻につく。訳者がわざわざ時代がかった匂いをつけようとしているきらいもあって、ために話がすとんと腑に落ちぬ心持がせぬでもない。一筆啓上仕り候。
 ああ、でも「ジェミニー・クリケット事件」は少しく好みだったなぁ。金持ちの小父さんと養子たちの関係の中での殺人はフレドリック・ブラウンあたりにも一脈通じるものがあるし。波津彬子氏に描いてもらうと似合いそうだ。
 続いて『モノクローム・ガーデン 1(夢路行/著、IDコミックス)』を読む。相方ねこまお気に入りの作家さんなのだが、このテイストは僕も病みつきになりそうだ。ほのぼのというかマイルドというか、和むというか寝ちまいそうな心地よさというか、なんともいえまへんな〜。いや言ってますけどね。
 近付く冬を鬱陶しく思ったら、ちょっとハイテンションな雪だるまとの出会いを期待してみるとしよう。自作は体力的に辛いのでやりませんが。 <できるのかよ!


11月2日(日) 晴

 学生時代の先輩の結婚祝賀会。40にもなって気恥ずかしいとやらで披露宴は行わないそうだが、そのうえ参加者にムサい野郎どもばかり(しかも半数ぐらいが『でぶや』のゲストに出られそうな按配)を集めては、主役であるべき花嫁さんに申し訳が立つまい。ということで、相方ともども、身支度を終えてから街へ出、お祝いものとブーケなんぞ誂えてお持ちしてみた。実際のとこ会場には新婦のご友人も若干見えていて、むっちり集団がご迷惑をかけることも無かったのだが。
 10余年を経てなお気の置けない会話ができる付き合いが嬉しく懐かしく、心地よい時間を過ごさせていただいた。いや〜楽しかったッス!今度は新居にお邪魔して暴露話をしますんで、覚悟してくださいO先輩。

 帰宅後、酔いを醒ましつつ、録画しといた『鋼の錬金術師』を観る。今回は列車ジャックの話。小ネタが削られてるのがちょっと寂しいが、あの外見で妙に可愛らしいアルの言動が微笑ましいのでよしとしよう。
 とはいえ、設定や話の登場キャラも原作から大幅に変えてあるので少し違和感を覚える。エドは国家錬金術師になってない(つーか、これから試験を受けに行く)し、大佐は中佐だし中尉は少尉だし(妙な表現だな〜)このエピソードにヒューズ中佐(今は少佐)が絡んでくるし。
 しかし、テレビというメディアを考えると、現在進行形の物語にするのは万人向けには親切なんだろうね。原作のように巧みに過去と現在を織り交ぜ物語に深みを与える…ってのは、デフォでは見直しの利かない映像においては難しいことだから。


11月3日(月) 晴

 文化の日。この日に明治天皇の誕生日を祝うか「デ・カルチャー」と呟くかで世代が分かる…て、そうまで極端だと外見だけで分かりますが。

 さて、我が家は休日恒例の書庫の片付け。例によって不要なものと読み返し必須&再入手不可納品を分けて箱に入れていく。モノが本なのでちったぁ文化のかほりがすると思う向きもあるだろうが、実のところ古びた紙の匂いが立ち込める中での肉体労働なんだよな。あえて文化的にしようと思うと、手を止めて発掘品に読み入るしかないワケで。
 ねこま「しなくていいから働きなさいよ」
 うむ、懐かしい本を見つけてうっかり適当なトコから抜くと、一気に崩落してくるからなあ。『栞と紙魚子』実写版か『鋼の錬金術師』のシェスカかってとこですか。つーかシェスカが1人欲しいんですけど、いませんかね何処かに。本の中身を一字一句暗記できるなら、図書館が丸焼けだろうが古書を処分しようが焚書時代が来ようが対応可能だと思うんすけど。考えてみればあの娘、『華氏451度』世界なら神にもなれるかも。ああ、そういえばこの作品も世代チェックに向いてるかもしれんなぁ…何処にあったかなあの本は(5分後、落盤事故発生)

 とか何とかバカをやりつつ日暮れを迎え、夕食を終えてくつろぐ頃には居間に小さな本の山が出来ていた。まぁ、そのアレだ、秋の夜長に読書はお約束ってことだよ、うん! <牽強付会


11月5日(水) 曇

 モダンバレエの公演を観にいく。
 柄じゃないと言われたらそのとおり、なんせ相方の趣味である。僕はコッチ方面には全く音痴なので、今日の看板であるところのシルヴィ・ギエム嬢についても名前しか知らない。そういうレベルの人間が新聞記事をみつけた時に「おお、これは」と思わせるのだから、たいしたネームバリューなのだろうなと思うのだけど…畜生、墓穴だったぜ。 <ええ、そういう経緯です

 かくて厚生年金会館の狭い座席に身を押し込め、まずは東京バレエ団の群舞を観る。やはりと言うべきか、これがさっぱりノれない。クラシックと違って衣装はシンプルこの上ないモダン、ましてストーリーを明快に示したり、役柄による演技があるわけでも無いんで、よほど完成度が高くないと粗が見えてしまうんだろうね。ふわりと跳んだ女性の着地音が響いたり、静止すべき場面で力が入ってぶるぶるしてる筋肉を見たりすると、ああこりゃ上手くないなぁと素人ながらに思えてしまうし。まぁ、それだからこそ厳しい世界、人並み外れた修練が必要なんだろうけどな。
 眠気が去ったのは二幕目、ギエムのソロだった。ほっそりした女性、無駄なもののまるっきり無い、まるで作り物のようなプロポーション、関節を無視したような自在な動き、音楽以外の全き無音。芸術たる所以を見せつけられた、いや、人外の領域に踏み込もうとしているような印象が残った。
 おかげで次の演目「ギリシャ」は、粗も人間味として楽しめた気がする。基本的に動きが多く、また明るいメロディや考古学系で見たデザインのようなポーズが散りばめられていたせいもあるだろうけれど。

 そして終幕、本日のメインである『ボレロ』。
 真っ暗な中、微かに始まるリズム。細く細く流れ始めるメロディ。その中心に、白く細く手がひとつ浮かび上がる。震え蠢くその手がもうひとつの手を探り当て、二つが顔を体をなぞり描き出す。円形の台の上、リズムを辿って踊る女性、周囲の暗がりに並んだ椅子に座した男たち。ひとり、また一人と曲のトーンが上がるにつれて舞い始め、やがて轟々ととどろくような音楽の中で狂乱めいたうねりとなる。
 …怖い、と思った。
 僕がこのプログラムについて知っているのは、相方に教わった僅かなことだ。中心で踊るソロがリズムを、周囲の群舞がメロディを担当すること、この振り付けが行われるまでは誰も踊らなかったこと。それは作者のラヴェルが当時脳に障害を起こしていて、踊れるような曲になってなかったため。代表的なのは『愛と哀しみのボレロ』のラストで踊ったジョルジュ・ドン…とまぁ、そんなことを、序盤ではまだ取り留めなく思い出していた。
 が、曲が激しさを加え、にもかかわらず淡々と、だが同時に強烈な力と意思を示して舞う女性の招くまま群舞の人影が増えるにつれ、それらが全て脳裏から零れ落ちていった。いや、他の何もかもが、意識から飛んでいって、ただ鼓動と一体化したようなリズムだけが残るのだ。しかも、それを意識しつつ、止めようが無い。操られ魅せられ惹き寄せられ、逃れられない気分になる。瞬きする間も惜しく、ひたすらに見入っている自分が、怖い。身じろぎもできない。
 さらに怖いのは、そうして見入るものも、身近で舞う者にも、女性は何の関心も見せないことだ。
 だから、どこまで連れて行かれるのだと、不安を覚え止まってくれと思う。
 同時に、終わってくれるなと、ほとんど祈るように思う。
 そんな矛盾をよそに、せめぎあう音は耳を聾するほどになり、唐突に終わった。

 スタンディングオベーションの人波の中、すげえ怖かったと思った人は何人いるんだろうと、間抜けなことを考えていた。もう一度観たいような、二度と近付きたくないような、矛盾の固まりになる体験であったな。


11月6日(木) 

 何とはなしにビデオの整頓を始め、その過程で『仮面ライダー龍騎 ハイパーバトルビデオ』なんかを眺めている秋の宵。月曜日(いやそれ以前から)の轍を踏みまくり、結句何をしてても寄り道体質は変わらんつーことですな。
 それにしても、やっぱ面白いわこれ。セルフパロをやるには、力を入れすぎてぇこたぁ無いですな。よしオチがベタとしても、内容の盛り込み方次第で満足度が上がるって見本だと思う。
 ところでオチといえば、これはあくまで真司の夢ってことになってたワケだけど、もしかしたらひょっとしたら、無限に分岐するミラーワールドにはこういうパラレルが存在してた可能性もあるんだよな。つまりライダーはすべからく人類の自由と平和を守る使命を帯びて集結していると。
 で、浅倉の如きがああだった以上、当然、ガイだのインペラーだのカニ(その呼び方はどうか)だの、あまつさえタイガも…でも喋り方や個性は同じという。
 で、集められた者がいる以上、当然集めた側も同様なワケで、神崎兄が司令官として鏡の向こうの401号室から「戦え…」と。
 合体モンスターは、やっぱ持ち主同士が呼吸を合わせて造形するんかなあ。
 究極のピンチになると、リュウガと龍騎が合体して最強化するとか。
 ……何処を取ってもすげぇ嫌なんですけど。誰かどうにかしてください、この妄想。


11月7日(金) 

 例によって遊弋していて東京都写真美術館によるファミコンソフト人気投票という企画を発見。懐かしさにつられてつい覗き込む。
 ファミコンといえば、まず「ファイナルファンタジー」と「ウィザードリィ」のRPGから入った記憶がある。その後「桃太郎伝説」「貝獣物語」「メタルマックス」「MOTHER」と、ドットキャラに感情移入し平仮名メッセージに思い入れして遊び呆けたもんである。が、しかし、いざや投票っつーと真っ先に「へべれけ」を持ってくるあたり、どうにかならんか僕。あ、でも良作中の良作「百の世界の物語」も入れましたが…知ってる人、少ないんだろうなぁ。
 ちなみに相方は、かつての日ハマりこんだ「クインティ」を一押し。可愛いキャラ、適度な難易度のアクションは確かに楽しかった。よし、週末の片付け時にでもファミコンとソフトを出してくるか! <片付けちゃうやん


11月9日(日) 晴時々曇

 雪がチラつくのを見て気分うきたつ朝、相方とふたり、近所の小学校へと出かけてゆく。コース上、公園と神社を通るのだが、渡りを前にした鴨を眺めたり枯葉を蹴り散らして駆けたり珍しいコケを眺めてみたりしていると、どうにも足が捗らない。ふと思い直して歩き出すと、梢から幹へ跳ぶキツツキ(コゲラとアカゲラの中間みたいな…)を見つけてしまったり。うむ、ウォーキングは楽しいなぁっ!
 …じゃなくて。
 総選挙なのであった。何を期待できるでもない投票はつまんないよ、なぁ。

 帰宅後、特撮&アニメタイム。『アバレンジャー』はリジェが育ってリジュエルになって、その過程ではじき出された謎の少女(本来の魂?)が地上へ…というもの。本編はイマイチ盛り上がらないが、今回のギガノイド用戦闘員らしい白仮面タキシード集団が不気味で良かった。手回しオルガンの旋律とともにフィルタのかかった風景の中を往く姿は、ウルトラQあたりを彷彿とさせる。きっとアレが記憶にこびりついて、後々思い出す子供がいるに違いない。
 続いて『555』。ストーリーは進行しキャラは交錯するものの、例によって盛り上がらない。特にキモであるべき戦闘シーン、スピード感の無さはどうにかならんのだろうか。新兵器登場で改善されるかと思ったら、敵が迫ってくる状況で武器を取りに行ってぺちぺち入力…プロレスじゃね〜んだからさあ、やめろよ八百長かよ金返せゴラァ(払ってません)。カードバトルの龍騎ですら、途中で邪魔が入ってたんだぞ。
 とりあえず流星塾の真相が少しずつ見えてきたことで、話はずるずると次回へ。やっぱ草加はオルフェノクなんだろうな〜とか思いつつ、エンディング代わりの寸劇には素直に笑ってからアニメにシフト。
 『鋼の錬金術師』は、綴命の錬金術師の話と国家錬金術師試験の話のミックス。現在進行形の物語にしたことで、兄弟があの家を訪れる理由付けが上手く行われている。あと、ニーナとの交流も…うううう、この後にあの話が入るのか。怖いよう。
 ついでというか、後で出遭うはずの出産話も、ヒューズ中佐夫人のエピソードとして登場。うろたえまくる中で「掌パン」錬成を会得ってのは今ひとつ気に入らないけど、現時点でコミックに遅れること2年の設定を思えば良しとすべきか。そう、この赤ちゃんが3歳になった時に…うううう、やっぱしあの局面が訪れるのか。切ないよう。
 最後は『ポポロクロイス』。ガミガミ魔王の登場がゲームを思い出させて愉しい。あのキャラにしては今ひとつハジケっぷりが足りないような気もするが、「漢のロマン」をいきなりブチかまされても困るわな。実はしつけ正しいガミガミ家から、ラストのピエトロ&ナルシアの微妙な笑いまで気持ちよく眺めた。締めくくりがこれってのは、精神衛生上は正解かもしれんのぉ。


11月11日(火) 曇

 ガシャポン「ぼくの小学校 4時限目」が出ていたのでいくつか購入。「算数セット」が懐かしい。現役小学生の子供さんがいる同僚は「オハジキ一個いっこへの名前付けを思い出すと具合が悪くなる」とのことだったが。察するに1/35スケールの兵隊プラモを一個中隊分、改造塗装するような感じでしょうか。うむ、察して余りありますな。<察し方が間違っており
 他に当たったのはスケール違いの机と椅子(と、いい具合に臭いそうな雑巾)、それと「音楽セット」。ハモニカやトライアングルは相方のジェニーちゃんには少しばかり大きい気もするが、12インチのフランケンシュタインあたりには適当かな。似あうかどうかは別としても。
 しかし今月以降は食玩、ことに海洋堂製品がラッシュ状態。「アリスのティーパーティー3」「チョコQ・どうぶつ奇想天外!編」「大英博物館・古代エジプトの遺産」「和漢はちみつのど飴・アンティークテディベアコレクション2」などなど、我が家が混沌の坩堝となるのは必至であろう。覚悟の程を決め、もって決戦に臨まねばなるまい。ええ、後へ引く気はありませんともさ! <いいのかそれで


11月12日(水) 曇のち雨

 灰色の濃度をどんどん増す空の下、出社しようと表へ出たら雨が降り出した。地下鉄を乗り継ぎ最寄駅に着いた時には土砂降り、会社へ歩く途上でそれも霙に変わった。本格的な、冬将軍の宣戦布告である。
 時間が経つにつれ雷が轟き、降るものは色を白くし強度を増して霰となった。いきなり実弾(BB弾だけどさ)の使用は卑怯だよなあ。

 そんな昼時、出かけていったコンビニで「アリスのティーパーティー3」「チョコQ・どうぶつ奇想天外!編」を発見。うぬ、物欲の神よ、昨日の覚悟を験されんとてか!得たりや応!と箱買い。いや、大人だから大人の買い方しなくちゃね。 <違います
 まず開けた「アリス」は例によって挿絵の雰囲気そのままの出来栄え。特に鏡を抜けてきたアリスが、素材の使い分けもあいまって秀逸である。その他のラインナップも、かねて希望の白の王(ヘイアからサンドイッチを受け取るポーズ)と女王(くたびれ虚脱した表情がリアル!)だの羊の腿肉(ご挨拶している)だのトーヴとボロゴーヴとラースだのとネタの濃度が上がっていて嬉しい限り。最後のは、もはや芸術レベルの造形。これを200円お菓子付きで買えるとは!
 ただ、パッケージには「最終章」と書かれていて残念である。まぁネタが無尽蔵にあるワケではないから仕方ないのかとも思うが、それならせめて「バタつきパンフライ」を出してからにして欲しいな。
 続いて「チョコQ・どうぶつ奇想天外!編」。ラインナップは22種、ライオン・チンパンジー・イザリウオ・ヤマネ等など、かのTV番組を観ている者には馴染み深い題材が選ばれている。少しデフォルメを効かせてコミカルにしてあるものもあるけれど、基本的には例によっての写実主義、ことに疾走するチーターはバランス感覚も見事な逸品である。あと、ロンサム・ジョージ(ゾウガメ)がセレクトされてたのにチトほろり。
 しかし、このタイプのチョコにはシークレットがお約束だと思うが、存在してるのだろうか。番組のマスコットはリストに載ってるし…つーこたぁもしかして、千石先生ですか? <かなりイヤ

 夜に入って路面は雪解け水が凍って黒い鏡面と化した。ペンギン歩行で家へ帰り、筋肉痛に驚く。ううむ、体力低下著しいってこったなぁ。これはやはり負荷をかけて鍛えなおさねば。まずは毎日食玩を買って、その重みで。 <をい


11月13日(木) 曇時々雨

 今日もチョコQをせっせと開封、オオカミが出たので大喜び。遠吠えポーズはシンプルだが、深い呼吸を感じさせる身体の線、それに沿って流れる毛並、伸びやかに同族へ謳いかける表情などなどまで分かる細緻な作りが素晴らしい。
 コレに限らず、今シリーズはとにかく作り込みが(以前に輪をかけて)ものすごい。なんかこう、見つめているとモデラーの意地を通り越した執念が立ちのぼってきそうだ。ライオンには極小のスイギュウの頭骨がついてて、それの歯までしっかり立体。イザリウオは口が開閉できて、餌の小魚を咥えたポーズも可能。ヤマネは台座と別に作ってあって、本物同様に転がせる。そういう点をあげつらうにつけ、なんかこう、あちこちムズムズしてきてうわ〜っ!と叫びたくなるほど細かいのだ。いや喜んでますけどね。
 ちなみに今回、チョコの内側がバナナフレーバーで結構食べやすいのも嬉しい点。いや、これは快挙と言ってよかろう。チョコエッグから始まってこっち、甘いばかりのチョコにひたすら耐えてきたんだから。
 ただ、僕バナナ味って好きじゃないんだよな。できれば次回はイチゴにしてください。 <贅沢


11月15日(土) 晴時々曇

 既に週末の恒例行事と化したきらいのある書庫整理。片側の壁の一部がダンボールで構築されている状態は、みっしり詰まった中身の重量ゆえか妙な迫力がある。やはりアレかな〜、相方と猫を捕まえて裏側に押し込めてみるべきか。そこでE・A・ポーになるか「しまっちゃうおじさん」になるかは、ひとえに僕のキャラクターにかかっていますが…。

 それはさておき、棚を攫えば奥から日ごろ記憶の片隅にすら浮かばないものがゾロゾロと現れるのが本読みの常。それで懐かしくなって読みふけってはっと気付くと日が暮れてたり腹が減って動けなくなってたりそのまんま日が経ってミイラ化してたりってぇのもよくあることだ。 <ねぇよ!
 で、そういう危機を避けるべく、僕としてはできるだけ過去から目をそむけて作業を行っていたのだが、先週とうとう捕まってしまった。アンソロジー『たんぽぽ娘』。編むは風見潤、かわいらしく「ロマンチックSF傑作選」と銘打たれているけれど、埋めがたい時の重さをにじませる『チャリティからのメッセージ』、愛の代価を問い掛ける『われら誇りもて歌う』などが収録されていて、ふんわり甘い少年少女の夢とのみは言えないものがある。つーか表題作にしてからが、恋が人に何をさせ愛が人をどう変えるかを描いた名作だからなあ。同シリーズの『魔女も恋をする』『見えない友だち34人+1』『天使の卵』なども一緒に掘り出したものだから、この1週間は新しい積読本に全く手が出ませんでしたぜ。いや〜、本当に面白い小説ってなぁ、いつ読んでも素晴らしいやね。おまけに、古くなった紙の匂いを嗅ぎながら、当時女子供の読むものの代名詞だったコバルト文庫を気恥ずかしく買い求めたことまで懐かしく思い出した。畜生、ここんトコ冷えるもんだから目からハナミズが出らぁ。 <名品に対する反応がそれか

 さらに発掘を進めいにしえの名作を掘り出す…のはほどほどに、休憩がてら『鋼の錬金術師』をリアルタイムで観る。「綴命の錬金術師」タッカーのエピソード、その後編である。
 ちょっとアレだのコレだの見せすぎな気がしないでもない。文字と一枚絵で語り読者のペースで飲み込ませるコミックと違い、流れ去る映像と音と言葉で綴るのだから仕方ないとしても、あのくぐもった声での「おにい…ちゃ…ん」を聞かせ、あの無残きわまる最期を映し、あげくエンディングをわざわざニーナとアレクサンダーの映像入りスペシャルバージョンで見せますか。なんつーかこう、全力で泣かせにきてます狙ってます。しつっけぇよあざといぜズルいぜ浅田次郎かアンタはしまいにゃ泣くぞうえぇぇ〜んニーナぁ〜。 <泣かされてます
 全体に、物語世界の残酷な側面を示して上首尾な展開ではあった。ついでに、原作では名前が出た時には死んでいた「鉄血の錬金術師」バスクのおっさんこと准将閣下も登場、勝つためならば民間人も盾にしそうなステロな職業軍人ぶりを見せつけることで軍の別面を現してくれたし。こういう立場から人類全体としてみるとタッカーの行為も言い訳も否定しきれないのが「現実」なんだよな、悲しいけれど。うう、それを思うにつけても嫌なオヤジだグラン准将、道理で死んだと聞いて驚かれ、かつまた誰も気の毒がらんワケだ。とっとと殺られてしまえ〜! <すっかり感情移入してます
唯一残念なのは、アルの台詞「それ以上言ったら…」が削られたことかな。あの子の沈着で大人しい、けれど優しく意思の強い性格を示すのに何よりの言葉だと思うのだけど。


11月17日(月) 曇時々雨

 今日も今日とてコンビニへ、チョコQとアリスを買いにゆく。前者はシークレットがヤドクガエルだそうだし、後者はノーマルコンプするのにカエルが欠けている状態、カエルマニアとしてこれがカワズ、もとい買わずにいらりょうか。オヤジギャグですねすいません。

 『ヘルシング 6(平野耕太/著、少年画報社)』を読む。地獄絵図の一巻。特に由美絵とハインケルがすっげぇゴツくなってて…じゃなくて、覆しようの無い勢力差で英国を蹂躙する吸血鬼集団、その一片の容赦も無いさまは他に表現しようが無い。定命の身でこれに立ち向かう一握りの人々の心意気あれど、ただ切なく見入るばかりである。さて、元祖・伯爵よろしく無人の艦で漂う主人公に策はあるのか、次号が待たれることであるな。いつになるかは知らねども。
 ただ、ちょいと気になるんだが、絵が変わってきてるなぁ。しばらく安定してたように思ったのだが、今回また全体に線が太く粗くなった。こういうの嫌いじゃないけど、キャラが違って見えるようになると困るかも。つーか他はどうでもいいが由美絵が(以下略)
 『ぼくだけが知っている 2(吉野朔実/著、小学館)』も読了。小学校の1クラスに集められた子供たちの、喧嘩や爆竹やラブレターや泥棒やうんこや家出といった子供ならではの波乱万丈な日々を、だが「子供の頃から大人だった」主人公の目で淡々と見つめているストーリー。子供には紡ぎ出せないような鮮やかな切り口上が無理なく子供の声で聞こえてしまう、この著者ならではの技もまた愉しい。変わり者と呼ばれて子供時代を観察者として過ごした向きには、妙に懐かしい空気漂う作品だろうな。あ、その後周囲に馴染んでいつしか普通の子供になりつつあるあたりも、主人公と似てますけど。<って、オマエか


11月18日(火) 晴

 出社の道すがら、立ち寄ったコンビニで「江戸小物倶楽部」なる食玩を見つけて購入。書棚をひとつ江戸時代に費やす者の、これはご挨拶ってとこかな。品物自体はあんまり趣味に合わないのだ、サイズも1/6じゃないし。っていつのまにか相方に毒されてますな〜。
 ちなみに菓子は茶色と白のマーブルチョコ。これはやはりアレかな、机に升目を切って烏鷺を戦わせよとのことだろうか。
 今日はまた「仮面ライダーキッズ」の4シリーズ目も発見。ラインナップに「乾巧」があるのに驚きつつ、まずはタイガと地獄大使をゲットする。あとはサイドバッシャーが欲しいかな。たっくんは…ええと、遠慮しときます。つーか変身する人を入れるならオルフェノクにしてくれてもいいんじゃないのかな。灰色ずくめでベルト締めてるの。ダメ? <駄目だめ


11月21日(金) 曇のち雨

 相方ともども日々のシノギが忙しく、家へ帰れば夜半の日々。蓄積するストレスを発散させるべく、せっせせっせと食玩を買いまくる。いや、別に忙しくない時でも買ってますけど、まぁ気にすんな。<開き直りかよ
 まずは「はちみつのど飴」のテディベア、これは相方気に入りのアイテムだが、今回もクマと、傍らの小物の組み合わせが愛らしい。またこの小物が、小ささの限界に挑戦するような精密ぶり。コサックダンスを踊るミニミニベアだの妙にリアルな戦車だのは序の口、女の子ベアが持ってるバッグが開いてミニベアを納められるに至っては驚きを通り越して呆れてしまった。原型作った人も凄いけど、現場で量産してる人たちもどえらいウデをしてそうな。こう、なんというか、職人タッグって感じがしますなあ。
 続いて「アリスのティーパーティ」。ようやくゲットできたカエルの爺さんは愛嬌のあるスタイルが非常に好ましい。同時に手に入れたシークレットも、これまた呆然とするほどに上出来だ。鏡の国の旅を終え、思いにふけりつつ仔猫に語りかけるアリスの表情、無心にじゃれつく仔猫、傍らには親猫ともう1匹の仔猫がくつろぐ夢の終わりの情景はもはや「フィギュア」というより「工芸品」の領域である。
 さらにチョコQ「どうぶつ奇想天外!編」はナイルワニが素晴らしい。渡河中のシカ(インパラだろう)を、突然水中から襲ったその一瞬。空中で身をもがく獲物を、次の瞬間には水中へ引き込むであろう躍動感溢れる姿。原型師・松村しのぶ氏は、以前は苦手に見受けられた哺乳類も完全制覇、もはや技芸神に入った観がある。きっと今に悟りの境涯に入ってスパチュラとかリューターの名前を忘れるにちげぇねぇ。<そんな筈あるかよ


11月26日(水) 曇時々雪

 鼻風邪気味。当然ながら勤労意欲はマイナスレベルへ落ち込み、運ぶ足も重くなるばかり。これではいかんとコンビニへ立ち寄り、チョコQを購入。会社に着くなりエネルギーの補給がてに開けてみたら、シークレットのヤドクガエルだった。わーいわーい。今日も頑張って働くぞ〜!
 とか思いつつ、カエルの可愛らしさに魅入られて仕事にならん。つぶらな瞳、細い手脚、吸盤付きの大きな指先、寸詰まりの胴体、何をとっても愛くるしい。もっとも、このフィギュアに作られている2匹は、雌をめぐって熾烈な戦いをくりひろげてる瞬間なのだけれどね。

 帰宅途上、今度はリーメントのプチサンプルシリーズ新製品『街のデザート屋さん』を発見。相方のため箱買い。
 出来は相変わらず、なかなかのもの。塗りが少しばかり甘くてリアルさを極めてるとは言い難いけれど、スケール感と造形は素晴らしい。1/6ドールの小物としては極めつけといってもいいだろう。これからミニチュアを作る際の手本としても便利だと思う。
 問題は、そろそろ収納スペースが限界に近付いていること。やはりアレかな、一度交易所の中身を一掃するしかないかねえ。


11月29日(土) 雨

 フィギュアスケートの大会(NHK杯)を見物に、相方は旭川へ。遠路はるばるケツを凍らせに行くたぁご苦労なこったぜと見送って、はたと気付くとこっちには餓死の危険が迫っているのであった。うぉぉぉ、メシ作ってけ〜!

 ってのは冗談として、それなりに調達した残り物だのレーション(おいっ)だのをパクつきながら、例によって書庫の環境整備。書庫に移動した机の周りはそれなりに片付き、来週あたりから作業再開できそうな按配だ。ついでに傍らの書棚の中を整理し、ディスプレイ用のスペースも確保。うむっ、これでもっと玩具が買えるな!<違う
 さらに、居間兼寝室のパソコンデスクも新調。居住性がぐっと向上したおかげで、これまで以上にPCと睨めっこできる時間が増えたというワケだ。よし、張り切ってソリティアでも…ってオヤジか僕ぁ〜!<遺伝子おそるべし

 休みがて、昨日買ってきた『鋼の錬金術師 パーフェクトガイドブック(荒川弘/著、エニックス)』を読む。
 値段の割にチープっつーか普通のコミック装丁なのが寂しいなぁ。いっそ1,000円台に上げてもいいから、このサイズのハードカバーにして欲しかったぞ。カバーは皮装ふうの印刷にエンボスで紋章入り。でもってソレを外すと、当然アレが「ばかだな」と…うわはははは!<いや〜笑いましたぜ実際
 さて、中身はというと、これまでの内容の総ざらえ一覧表示解説つき、しっかり読んできた人間には真新しいところは乏しいかな。しかし、こうして纏まった形で眺めてみると、この世界ってば実にきっちりしててゲーム向きだな。いや、発売予定のPS2ゲーじゃなくて、TRPGに。『ギア・アンティーク』のシステムに錬金術を組み込んでやりゃ一発って感じだ。どうです誰か?
 あと、このテの企画には欠かせない仕事場紹介と合作&パロディ4コマはなかなか楽しかった。特に、牛を飼うのも食うのも大好きという、なんか錬金術よか道(タオ)の方向へ踏み込んでるきらいのある作者のキョーレツな(強烈というのと微妙に違う)個性がいい味出してる。4コマの一部はサイトでも拝めるものだけど、リピートしても笑えるものな。いや〜錬金術って素晴らしいッ!この調子で丸ごと1冊やってくだせぇっ!<ムリ
 最後の描き下ろしエピソードは、ある意味「人体錬成に成功した」男の物語。ノクターンの似合いそうな静かな哀しみの染み入る、余韻せつない話であった。人を失うことの苦しさ、喪われずそこに在ることのむごさ、多くはホラーで語られがちな二律背反テーマが描ききられて実にお見事である。
 …この話とトイレットペーパー錬成が同じ脳から出てくるんだから、人間ってやっぱスゲェよなあ。<感心の方向が違う

 続いてTVでアニメ鑑賞。鋼の錬金術師詐欺事件、悲嘆から立ち直る過程のエドのエピソードとして描きよく出来ていたと思う。ただ、敵の手応えを増すためならん、登場したオリジナルキャラの存在はどうかと。小悪党ヨキ中尉にくっついてる意図がイマイチ定かにならんくて、消化不良な気がしたし、エドの「騙し」に言及できないのも錬金術師としては妙な気がする。こんなキャラを出すぐらいなら、冒頭のウィンリィのシーンをもっと増やして欲しかったっす。


11月30日(日) 曇時々雨

 朝からリアルタイムで『アバレンジャー』『555』『ポポロクロイス』『アトム』と眺める。命がけで「賢者の贈り物」してる『アバレ』はいよいよ盛り上がってきた印象。互いの為を願うゆえにその反対の行動をせざるを得ない恋人同士ってのは萌え…もとい燃えますなぁ。まぁ欲を言えば邪魔者役のミコ様には例の鎧で暴れて欲しかったんだけど、スーツアクターさんが困るだろうし。なんかミコ様小さいから<アスカと比べるな
 対するに、って別に比較するスジでもないんだが『555』はイマイチ。この1年を通じてふらふらふよふよと定まらないキャラが往来し行き違うだけだった結果、誰がどんな行動をしても説得力が無いくせに違和感ありありつー負の矛盾コンボ。警察を恐れてこれまでの怖いものなしマイペースぶりを御破算にする蛇フェノク、この前まで忘れてたメル友にすがり、挙句それが前回手ひどく扱った啓太郎と知っても「好き」を口にする鶴フェノク、ンなこたぁ理の当然であろうに「キミとボクは違う人間かも」と一歩間違えれば怪しい宗教かぶれみたいなことを口走る馬フェノク、いずれも「やっぱお前ら人間やめてるぜ!」とか思いたいところだが、これまで人間のほうもそれに比して支離滅裂だったのだよな。あああ。
 ただ、唯一首尾一貫してるのが猜疑と憎悪の塊みたいな草加であったのは面白いかも知れない。「敵=怪人=殺す」「正義の味方」のカリカチュアとしてその視点に立ってみると、その行動は間違ってないんだよな。ううむ、なんかますますイヤな話だが。最初はオツムに花が咲いてるだけに見えた啓太郎が、巧に続いて鶴フェノクを受け入れるところを見せてくれたことで、対抗馬になってくれれば…って、それで最終回へ収束できるんかなあ。
 つか何でここまでイヤな作品を気にかけ眺めてるのか、いい加減自分を理解し難い気もする今日この頃。そういう影響を意図して作られてるとしたら、ある意味すごい話だな。そんな可能性は無ぇだろうけど。

 夜に入って相方帰宅。電車で酔ったと言いつつ、すぐに予約録画しといたNHK杯の映像に目を通し始める。現場で見てきたつーに、好きだねぇ。いやさ好きだから出かけていったんだろうが、2日間みっちり動いたコチトラぁ体力負けである。よってもってオヤスミナサイ。




翌月へ






[ 銀鰻亭店内へ ]