先ごろ、とある友人の掲示板でWebページのアクセシビリティについて話を伺う機会があり、ちょいと衝撃を受けた。サイトの主催者氏が大幅なリニューアルを行うに際してレイアウト(これがまた実に美しいんだ)をCSSに切り替えた理由が「視覚障害者にも読みやすいコンテンツ」を目指してのことという、彼自身の辛い経験を含めてのその背景にこころ動いたのはもちろんだが、正直そうした人がWebを利用するという認識がまるで無かったんだよ僕ぁ。恥じるべき無知ではあるけれど、これは本当に驚きだった。
で、ちょうど仕事で機会があったのを幸い調べてみると、視覚障害者がWebを「見る(つまり音声で読み上げる)」ためのアプリケーションは幾つもあるらしい。代表的なものとして「ボイス・サーフィン」「ホームページ・リーダー」など。だが認知度は低いし価格は高い、必要とする人へのプレゼンテーションも万全とはいえない。だいたい、前者を紹介しているページのひとつなんざぁ、パッケージ画像らしいものを丸ごと貼り付けただけなんてぇのがあった。ALT属性での説明文すら無しでは、このソフトでも読めないんだけどどうよ?
まぁそれはさておき、こうしたツールを使ってコンテンツを読むと邪魔になる要素が、昨今のWebサイトでは非常に多い。
テーブル:列ごとに読むので、これがレイアウトに使われていると妙な順番で聞かされることになる。
画像:リンクの場合は特にそうだが、ALT属性なしでは何だか分からない。もちろん動画は意味が無い。
フレーム:ページ扱いになってしまうので、いちいち切り替える必要がある。
PDFファイル:ブラウザでテキスト化できない場合には全く使えない。
こうした基準に照らしてみると、企業サイトのほとんどが非常に不親切ということになるのではなかろうか。先に上げたような本末転倒はさておき、Flashを多用してたりメニューに使っていたり、画像をボタンにしているところは大方がそうだろう。もちろん日本の自治体でコレを考えてコンテンツを作ってるところもほとんどあるまい。
しかし、この件についてアメリカでは既に1999年に勧告がなされ、2001年6月には米国リハビリテーション法508条が施行、連邦政府および全州政府が提供するすべての電子情報技術に対し、アクセシビリティの基準を設け、過度の負担とならない限り基準を満たしたものしか調達・開発・保守・使用できないことになっているという。
権利大国アメリカ、差別アレルギーの産物と思っていられるうちはいい。障害者をイレギュラー・ファクターとして考えているのもよかろう。情報にアクセスしたいなら、求める側が努力すべきとするのも、ある意味間違いではあるまい。傲慢ではあるけどな。
だが、視覚は誰しもいずれ衰えるものだ。
僕なんざぁ小学校3年生から40目前の今に至るまで瓶底眼鏡が手放せないから、見えないことの不便は嫌になるほど知っている。これから年を取ってさらに見えなくなったらどうしようという不安もひと一倍大きい。なんたって本が読めなくなるじゃないか!もとより本で悪くした目だけどさ。いや、まぁそれは脱線としてもだ。
バリアフリーなんて大仰なことを言わずとも、考えて損は無い問題だと思う。既にそうした「誰にでも読めるページ」の基準をチェックできるサイトやソフトも出てきている。サイト管理者諸氏、ものは試しで以下などどうだろうか。
Another HTML-lint gateway
ウェブヘルパー(総務省)
Personal i-Checker Ver.1.0(IBM:アクセシビリティーチェック用フリーウェア)
ウェブバリアファインダー(バリアフリー無料診断ページ)
ちなみに最初ので試してみたが、僕の表看板サイト「 FOXHOUND IRREGULARS 」のトップは42点、そこでダラダラ連載の挙句放置している小説は基本レベルでCSSを使ってるせいか74点で、それぞれ「ふつうです」をいただいた。が、この日記(先月分)に至っては13点「がんばりましょう」である。不勉強の証明みたいなモンだ、情けないのう。
もっとも「スタトレのピンズ買い足したらTNGばっかでツマンネーヨ!うわ〜ん!」なんて中年の叫び、わざわざ読みにくる向きもそう多くはないと思うが…って、うるさいほっとけ!<障害云々以前の問題。