店主酔言
書籍・映画・その他もろもろ日記

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[ 銀鰻亭店内へ ]
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4月01日(日) 曇
 本日の日記は
    1.このサイトのどこかに隠してあります。
    2.馬鹿者には見えません。
    3.レギオン襲来による停電でアップできませんでした。
    4.書こうと思ったのですが日付が変わったので断念しました。
 ・・・・最後のは「嘘」じゃなくて「言い訳」といいます。良い子は真似してはいけませんよ。つか、来年の今日またやるつもりなので、真似しないで下さいね〜 <嘘。

4月2日(月) 曇のち雨
 知人の娘さんが小学校入学ということで、プレゼントなど用意する。モノは最近よく出回ってる簡易型のデジカメ。利発な彼女が初めて持つ「自分だけ」のカメラで、どんなものをファインダーに収めるのか。なかなかに興味深いところではある。

 さて、大人宛のプレゼントには市販のカードに署名して添えるのを通例としている僕だが、子供相手ではそうもいかない。少しは真面目にメッセージなど書いてみなくては……しかしアレだな、先方はまだ小学生未満(本日時点)、自分で読んでもらうには平仮名オンリーが望ましいだろう。内容はエディタで推敲して、さて一筆とペンを……あれ?……おや?……んんんんん?
 か、書けねえ……ッ。
 字が思い出せないというのでは、もちろん無い。が、子供に読ませるような、きちんとした形の仮名文字が、どうしても書けない。丁寧に書こうとすると手が震える。勢いをつけると斜体になる。おまけに文字の並びがガタガタだ。仕方なく定規で線を引いて下書きをし、ペン入れしてゴムかけてと、まるでナニカみたいな事をしてようやく事なきを得た。
 う〜む。ワープロ使っていると漢字が書けなくなるてぇ話はよく聞くが、まさか我が身で、しかも平仮名で実証してしまうとはな〜。そういえばペンを持つ機会なんて、最近は郵便物を出す時ぐらいしか無いものな。ご同様にネットを遊弋するような人々の間には、いったいどれほどこういう状況があるものやら。日本語の衰退、文字の衰亡、表現力の枯渇、国民の学力低下、もって思うべしということか。ああ、やんぬるかな。体験者として警鐘を鳴らすのは義務というべきだろう。
 とりあえず、これだけは言っておきたい。

 笑うな。 <って警鐘は?

4月3日(火) 晴時々雨
 ドラマ『陰陽師』を観る。以下、今夜のヒロツさんちのチャットから……
 (背景もチャットに合わせてここだけ変更)

 【04/03 23:43】[ やむ ]「少年ドラマシリーズ」は夕方18時からやれよな(爆)>NHK
 【04/03 23:43】[ ⊂ ̄ェ ̄⊃ ]ドラマDモード氏んでくれ(;´Д`)
 【04/03 23:44】[ ⊂ ̄ェ ̄⊃ ]原作メタメタにぶち壊しやがって身の程知らずが(;´Д`)
 【04/03 23:44】[ ⊂ ̄ェ ̄⊃ ]稲垣吾郎芝居ヘタすぎ。逝ってよし!
 【04/03 23:45】[ TAKO’S ]絵の処理が平成ウルトラマンっぽくてヒーロー特撮みたい。みちのくで撮ってたの?<ラストだけちょこちょこと...
 【04/03 23:45】[ やむ ]博雅が一番難しいと思っていたのだが,案の定であった。残念。 晴明は,まぁ,あんなものか。
 【04/03 23:46】[ TAKO’S ]演技は大根ズだったねぇ。
 【04/03 23:46】[ ⊂ ̄ェ ̄⊃ ]杉本哲太の芝居だけ良し。ほかのあらゆる要素が駄目すぎ。
 【04/03 23:47】[ やむ ]「間」が悪かったねぇ。 蜜虫たんも,もっとエッチくさい美人なのに。
 【04/03 23:47】[ TAKO’S ]ばわ〜! へいちゃん版水戸黄門とどっこいか??
 【04/03 23:48】[ 司葉 ]ばわ〜〜〜(^o^)/
 【04/03 23:49】[ TAKO’S ]ばわ〜!>司葉さん
 【04/03 23:49】[ ⊂ ̄ェ ̄⊃ ]へいちゃん水戸黄門はビデオにとったので後ほどみるよてい。
 【04/03 23:49】[ 司葉 ]稲垣吾郎のダイコンは予測済みだったのでまぁイイかなと(笑)
 【04/03 23:50】[ ⊂ ̄ェ ̄⊃ ]フレームレート落としてあったけどわざとかなあ。>D(大根)モード
 【04/03 23:50】[ 司葉 ]しかし脚本はブツ切、演出は平板、セットはチープ、カメラは工夫無しと最悪でござったな。
 【04/03 23:50】[ やむ ]杉本哲太が良かった? そうは思わなかったが...
 【04/03 23:51】[ 司葉 ]映画草創期じゃあるまいし、真四角な画面録りしてどうするんかね。
 【04/03 23:52】[ 司葉 ]ライティングもペタペタ。陰影を出せよう、北枕ぶくセンセイなんだから(笑)
 【04/03 23:53】[ 司葉 ]僕も良かったと思うのでつが>杉本哲太  少なくとも、あの中じゃ。
 【04/03 23:53】[ TAKO’S ]あの中ではマジメに芝居続けてるような>杉本哲太 ね〜ちゃん刺した奴は...(笑)
 【04/03 23:53】[ ⊂ ̄ェ ̄⊃ ]わしは良かったと思うよ。それともまわりがひどすぎたのか(笑)>杉本
 【04/03 23:53】[ 司葉 ]前に観た「怪」でも良い演技してましたので、サービス点つきかも。
 【04/03 23:53】[ やむ ]しっかし,本当に少年ドラマみたいだったなぁ。志の低いぶん,こっちの方が駄目だけど。
 【04/03 23:54】[ ⊂ ̄ェ ̄⊃ ]低予算の時代物は見ててつらいね。>セット等
 【04/03 23:54】[ 司葉 ]うーにゅ、ここらへんコピペして日記に貼ろうかのう(笑)
 【04/03 23:54】[ TAKO’S ]「わたしの青空」版ではないのかなぁ。あれのライティングは素晴らしかったのに...
 【04/03 23:55】[ やむ ]先にも書いたように,このホンで私が一番注目してたのが博雅だったんだけど,アレでは落第だと思ったよ。雅な武人じゃなかったもの>哲太演技
 【04/03 23:56】[ ⊂ ̄ェ ̄⊃ ]貼ってよし!
 【04/03 23:56】[ 司葉 ]セットがチープでもカメラと照明で見せようはあると思うんだ、必殺みたいに。
 【04/03 23:56】[ やむ ]本物の晴明が,アレと酒や友情を酌み交わすとは思えん>偽博雅
 【04/03 23:56】[ ⊂ ̄ェ ̄⊃ ]博雅というより平安のワトソン先生だったけども。びっくりする役。
 【04/03 23:57】[ やむ ]ってか,今,地面が揺れてるんですけど〜(笑)
 【04/03 23:57】[ 司葉 ]朴訥な面が強調されすぎてたかもね>博雅  九十九の乱ちゃん思い出した部分ありか?
 【04/03 23:57】[ TAKO’S ]原作読んでないからよ〜わからんが(爆)ゴローちゃんが素で雅にしかならんので、キャラを変えてるのかも>哲太
 【04/03 23:58】[ やむ ]原作では,彼こそが陰界と陽界を結ぶ役だったと思うんだけど,アレじゃただの馬鹿>博雅
 【04/03 23:58】[ 司葉 ]実は僕も原作2本くらいしか読んでない。獺が夜這する話と、あと何だっけな(笑)
 【04/03 23:59】[ TAKO’S ]地震は東に行進中?地底に大ムカデ?? 東海で震度5強!
 【04/04 00:00】[ やむ ]晴明がヘソ曲げたんじゃない?(笑)
 【04/04 00:01】[ 司葉 ]晴明っていえば、坂田靖子さんのは可愛かったなぁ(笑)
 【04/04 00:01】[ ⊂ ̄ェ ̄⊃ ]文春文庫で出ているので読むべし。といいつつ僕も新しいのは未読。
 【04/04 00:01】[ TAKO’S ]ヘタするとまた死人か。関東に近づく...そして富士は...
 【04/04 00:01】[ やむ ]玄奘の話は「陰陽師」の中でも屈指の傑作なんだけどなー 夢枕氏の心情を察して余りある。
 【04/04 00:02】[ 司葉 ]知人にも薦められていたんで、今夜アレ観たのだけど・・・・やっぱ本だな。
 【04/04 00:03】[ 司葉 ]映画のほうに期待でしょう。絵面は凄く決まりそうだよ。
 【04/04 00:03】[ ⊂ ̄ェ ̄⊃ ]夢枕獏って原作のガードが堅い人だったよーな気がするんだが。
 【04/04 00:03】[ TAKO’S ]結末はこちら?1巻のゲストが...>http://www.amuse-pictures.com/nippon/index1.html
 【04/04 00:03】[ ⊂ ̄ェ ̄⊃ ]映画の話もあるの?
 【04/04 00:03】[ 司葉 ]龍脈を辿って帝都へ・・・・加藤かッ!(笑)
 【04/04 00:03】[ やむ ]何でも可愛いので(笑)>坂田さんの 最近,文庫で次々と再刊されてるね \(^o^)/
 【04/04 00:04】[ 司葉 ]映画は野村萬斎がやるって。>晴明
 【04/04 00:04】[ やむ ]まず,原作。そしてコミックを読め。 すると泣きたくなるぜ,今夜のドラマに。
 【04/04 00:04】[ 司葉 ]単行本1冊残して全部手放したのが惜しくもあり>坂田さん
 【04/04 00:05】[ やむ ]博雅はだれなんだろう?>映画 晴明よりよっぽど重い役だと思うのだが。
 【04/04 00:06】[ ⊂ ̄ェ ̄⊃ ]それは期待できそうだ。>野村萬斎
 ……とか言ってるウチに、地震がことのほか大きかったと分かり、皆それぞれにTVモードに突入した。命拾いしたなNHK。そして僕も日記を省力化できてラッキーであったとかなかったとかってハナシはあるが、まぁいずれにしてもコイツは保存しておくので、シリーズ進行の折節に読み返そうね、みんな。このまんまのレベルで最終回まで行ったら、受信料不払い運動でも起こしたまい。

4月7日(土) 晴
 何かと気ぜわしい日が続く中、ようやく自宅の机周辺を片付ける時間が出来た。書いたきり忘れていたメモ、参考にしようとページを折った本、プリントアウトしたWebページ、それらの間に膨大な埃と猫の毛と紙魚(うわぁ)が挟まったものを仕分けしファイリングまたは廃棄していく。都度やっておけば、こんな苦労もしなくて良いのにねぇ。ってヒトゴトみたいに言っても労働せねばならんコトにかわりはありませんけれどもさちくしょーい。
 ひと段落したところで、戸外のカラスの声に気付く。ちょっとせわしない、仲間を呼ぶ時の声だ。トラブルか?と窓を開けてみる。若いオスが一羽、近くの電柱の上で鳴きたてているだけだった。
 そうか。春なんだよな。呼んでるのは仲間じゃなくて、まだ見ぬ恋人か。
 もとよりカラスは鳥の中では一番好きでもあり、声援代わりにとオヤツのレーズンを一掴み投げてやった。こちらが窓を閉めたところで、ようやく飛んできてついばむ姿に、野の生き物なのだなぁと妙に感心する。そういうモノにオヤツなんか与えてはいけないんだけど、まぁ寂しいモノ同士の連帯意識として大目に見よう。
 とか、ひとりごちて作業に戻ってしばらくしたら、またカラスの声。今度はこもったようなコロコロという声に、覗いてみたら。
 彼女連れて来やがったよ、をい。
 2羽でイチャイチャというか、「はい、あ〜ん」「あ〜ん」とかって仕草で受け渡しをしてる。ううう、裏切り者ぉ〜。春愁を分かつ友じゃあなかったのかようカー公。<違います。あとベタな名前はつけないように。
 ことほどさように野生動物との接し方は難しいのでした。なんか間違ってますかワシ?

4月8日(日) 晴
 朝8時、ねこまをたたき起こして『アギト』を観る。先日、観そこねていたエピソードをビデオでチェックできたので、意味不明だった部分がすっきり愉しめる。裏GILさん、ありがとう!
 先週、ライダーとして出動(?)しようとする翔一の背に真魚が叫んだセリフのせいで、アギトが登場したとたん「早く帰って晩御飯つくらなきゃ」とか脳裏にアフレコしてしまいつつも、わくわくと見入った。いや〜面白いわこの展開。謎また謎、その引きも強からず弱からず、それぞれ気になるところで宙ぶらりんになっている。観続けずにはおれんなぁ。
 しかしナンだよな、謎だらけの上に人間関係も錯綜しそうな物語、1年でちゃんと収まるのか?なんかドラマの外でドキドキさせてくれるよなぁ。って、素直に物語だけで盛り上がらない辺り、オレも汚れちまったぜ。ふっ。

 昨日に引き続き、身辺整理(……ってヤな響きだねオイ)。
 書類がひと段落してもデータ類とかホビー関係の素材や道具類とか、まだまだ山のように残っている。なんかな〜、冬眠でもしてたのかね僕ぁ。いや、この状況だと冬に備えて集めた食料を埋めまくって忘れるリス……てぇことは暖かくなったら掘り忘れたそれが一斉に芽を出して……ひ〜〜〜っ。
 こわい考えになるのはよそう。とりあえず、最近すっかりなおざりになった読後感想など。
 『真夜中への鍵(ディーン・クーンツ/著、細美 遙子/訳、創元推理文庫)』
 クーンツによるリライト作品。ちなみにオリジナルの作者リー・ニコルズは、ハラペーニョ加工工場の爆発に巻き込まれ死亡したとされていたが、あとがきによれば真相はもっと無残な最期だったらしい。まずは冥福を祈りたい。<本気にしちゃダメだにょ
 さて本編。サスペンスなのだが、あまり緊迫感が無い。つか、これは読み手の側に問題があるのかも知れないが。というのも、ほとんどの舞台が日本なので、今出るかもう出るかまだかまだかと気になって、本筋の展開に身が入らないのだ。何がって……変な日本人。タコ・カクタとか、コショウとか。あと怪しい風習や食文化が出ればひと安心なんだけど……出ませんねぇ。
 まぁこれは冗談としても、今ひとつ強烈な「引き」を感じられないのは事実だ。身に迫る危険や息詰まる闘いが見えない。一応シーンとしては用意されてるが、いまひとつ盛り上がりに欠けるのだ。
 さすがに後半でのひねり具合は上手いし、中盤を彩る心理戦(と言っていいと思うんだコレは)はミステリの香りを漂わせて読ませる。中の上作、またいつか読み返してみたら違う印象も持てるかもしれない。
 それにしてもクーンツ、よく日本について調べてる。切り身を1とか3切れで出さない理由なんて、今の日本でどれぐらいの人間がわきまえているだろう。ただ惜しむらくは、それが寿司の描写に使われてることだ。アレはいわば「パン屋の1ダース」だったはずだ。重箱の隅つつきが好きなこういう読者のため、また日本を舞台に新作を書いて欲しいものである。

4月09日(月) 晴
 気温が20度まで上がった日中、陽気に浮かれて書店ツアー。いや、どんな陽気でもやってますけどね。店内で今ごろ『審問(パトリシア・コーンウェル/著、相原眞理子/訳、講談社文庫)』のCMが流れているのを聞く。例によってストーリーのアタマを紹介してるな……と思ったら、声はさらに続けた。
 「衝撃のラスト!」
 は?
 あの〜、もしも〜し?アレのどこらへんが衝撃なんでしょうか。つか作者が衝撃を与えたがってるのは、ラストじゃねぇでしょ。話の流れから言うと乱気流の後で軟着陸というかさ。この人の本で衝撃のラストっつったら『業火』ぐらいなモンじゃないのかなぁ。
 過激な惹句を並べれば客は買ってくれるかもしらんけど、デタラメ吹かれて「買わされた」と思ったら、本の面白さは半減だし、以後その出版社の本には用心すると思うんだ僕。つか僕だったら間違いなく用心しますけど。アオリ文句だけでヘタレ訳のク●本つかませようてんじゃあ無いでしょう、真っ当な本を売ってるんだから広告もフェアにやったほうがいいと思いまっせ講談社さん。別にドコカと比較してるワケじゃあないですけどね、ええ、版権買い占めてゴミにしてる某社とだなんて口が裂けたら言えませんともさ。

 とか言いつつ帰途にまたパトロールして『地獄の静かな夜(A・J・クィネル/著、大熊榮/訳、集英社)』購入。初短編集ということで、非常に楽しみだ。これは持論だが、短編が上手い作者は長編も上手い。しかし逆は真ではない。ゆえに、僕にとって短編小説とは、その作家を本当に好きになれるか否か(名前を見ただけで掴んでレジへ直行するか否か)の試金石なのだ。キングしかり京極しかりアシモフしかり。まぁキングについては長編がだんだん重たくなってきて、近年はあまり読んでいないけれど。『ジェルサレムズ・ロット』みたいなの、また書いてくれんかな〜。
 書店を出てCDショップへ。怪しいパックもののDVDでも買おうと思ったのだがめぼしいものが無く、『仮面ライダーアギト』のCDのみ買って帰る。ボルタック商店の決り文句(これが最後のひとつですよ)状態だった。人気、あるんだなぁやっぱり。いずれカラオケで熱唱してやろっと。このテの歌だと柳刻満氏には勝てないだろうけどな。

4月10日(火) 晴
 2日連続で上天気。なかなか爽快であり体調もグーである。
 この、天気が良いと気分が良くなる体質というのは、いったいどこから来るものなのだろうか。幼年期から自覚はしてたものの、理由について深く考えたことは無かったのだが……こう気持ち良く晴れると、窓を開け空を見上げて「やはり餌を求めて歩き回った先祖の記憶が遺伝子に刻まれているのか。それとも実は太陽電池なのか。それはさておき、こう天気がいいと久しぶりにハンドル握りたくなるよなぁ」とか思ってしまうワケなのだよ。 <仕事しろよ
 ところで、こういうのも「お天気屋」と言うのかな?誰か教えてプリーズ。

4月11日(水) 晴
 友人のつきあいで土産物屋へ。地元民にはまず用の無い店なので、ものめずらしくウロウロ歩いていたら、妙なモノに行き当たった。
 キティちゃん。「ちゃん」までが名前のような気がする、サンリオの扁平猫キャラクターだ。それがぐるんで」いる。しかも、ただの着ぐるみではない。なんつーかその、すこぶるつきにチョイスが怪しい。
 。まぁいいだろう、北海道は酪農の盛んな土地である。しかしそれは道央部であって、札幌近辺ではないのだが。
 ウサギ。雪ウサギ、と書いてある。どうせならナキウサギにすれば特産なのに……でもアレは地味だからな。それにしても、雪降る地方は他にもあろうに、なんでコレが北海道限定なんだか。
 で、ここから本腰を入れて怪しくなる。
 ラベンダー。紫色の怪しい生き物をかぶったキティ。なんか、目鼻のついた紫スライムに後ろから食われかけている、と見えないでもない。
 そういえば、少年のぼそぼそしたモノローグで綴られた某TVドラマを頭に北海道を訪れる人が、多かれ少なかれ「一面のラベンダー」を期待しているらしい。実際のトコはそう広い畑は無いし、花が密な植物じゃないから、接近して普通に見てもツマンナイんだけどね。遠きにありて思うが花。
 マリモ。植物学的には面白いものなんだろうけど、要はコケ玉。それを何でキティに着せるかな〜。アマゾンのナマケモノが、あまりにも動かないので苔むしてたりするっていうけど、キティもそういう生き物なんだろうか。触ってしっとりしてたら凄ぇイヤだと思うのだが。
 そしてコイツがきわめつけ。
 クリオネ
 なに考えてるんだコレ作った奴ぁ?
 つーか、そもそもアレを「流氷の妖精」とか言う人すべて、よく分からない。アレは殻の無い貝なんだぞ。地上で言えばナメクジだ。ぬるぬるツルツルだ。しかも肉食(プランクトンを食う)なんだぞ。舌状の歯で、こう「ざりざりざりざりざりざりざり」と。そんなものキティに着せて楽しいか?可愛いと思うのか?
 ……しかし、よく考えてみると、キティ自体あまり可愛いと思ってないんだよな僕。実は何着てようと同じなのかもしれんな〜。

4月12日(木) 曇のち雨
 プロバイダお引越し。長らく手を切りたいと思っていたso-netを解約し、ヒロツさん主催のkowloo.netへ移り棲む。
 名前を見てお分かりのとおり、というかコレが一発で分かるようならかなりディープなヒトだと思うがクーロネットである。某ゲームをイメージするも良し、既に地上に無い、あの闇と混沌を抱き込んだ巨大な建築物を思うも良いだろう……って僕、この目で見たこともありませんけどね、九龍城砦。
 しかし手元に本はあり、その多くの図版と目撃者の言葉から想像することはできる……なんか臭そうだね、ヒトの暮らしがぎゅうぎゅうに詰まっててさ。闇の混沌の言う前に、人間のタフさを見せられてしまうような気がしたのだった。

4月13日(金) 雨
 「ぐるみのくせにぐるんでいる(c)今野淳子さん@P-freak(s)」キティに衝撃の新事実!なんと、ラベンダーキティは2バージョンあるのだっ!
 ……いや、別に騒ぐほどのコトじゃないですけどね。
 僕が目にした「紫色の怪しい生き物」は、耳と尻尾を見ると、どうやらキタキツネらしいのだな。紫色してるけど。んでもって、今野さんが発見してくれたコレクターさんのページ「キティの館」によると、耳の丸いクマタイプ(当然ながら紫色)もあるらしい。
 また、ここで見る限り、北海道限定のキティは他都道府県を圧して数が多い。何故だキティ。なんで東北にゼロなのだ。そのくせブラキストン線越えて浸入してるのはどうしてだ。実は2派に分かれて大陸から渡ってきて、一方は北海道から、もう一方は九州辺りから上陸したんじゃないだろなキティ。んでもって九州あたりで原住民と一戦交えて沖縄方面へ追い出して、そこらにはキティの顔の金印が埋まってて以下略。

 とか言ってると、また奇妙なモノを発見。
 のど飴を買って何気なくパッケージを見たら、原材料「ティーツリー」についての説明が書いてあって、それに曰く、
 「沼沢地に生息する、非常に生命力の強いフトモモの植物」。
 なにかこう、あらぬものが沼地にニョキニョキ生えてるところを想像してしまいましたよ僕ぁ。げに世界は広く、また脱力に満ちみちていますな。

4月18日(水) 晴
 ようやく床上げをして外出できるようになった。先週末から風邪を引いてたのだけど、ここまでこじらせるのは珍しい。希少なので永久保存……してどうするっちゅ〜ねん。
 と、リハビリがてらに軽いボケなどかましてみるが、やはり何となく調子が出ない。そもそも熱に弱いんだよね、わし。平熱が36度を下回ってるせいもあるけど、体温が上がると飯は喉を通らなくなるし、常日ごろはどうということも無いダメージが拡大されてくる。たとえば歯。上下4本横向きに生え揃った(?)親不知に圧迫されて痛み出す。また脚。10代の頃に艀に飛び移って挫いた踝とか20代に剥がした膝とか、あっちこっちがトラブり出すのだ。寒い日に「古傷が……」とか言って酒の一杯もひっかけてればサマになるけど、鼻グズで真っ赤な顔でソレは絵にならないわな。損な体質だこと。
 …つか、風邪をひきやすいだけで充分損だと思いますけどね。

4月22日(日) 晴
 天気晴朗なれど気温の上がらぬ日曜日。とっとと雑用を片付け、猫と一緒にストーブの傍に転がって読書とビデオに明け暮れる。
 まずは月初めに買った『地獄の静かな夜(A・J・クィネル/著、大熊榮/訳、集英社)』。期待した以上に面白い。ただし「こういう作風もあったのか〜」という面白さだから、ファン以外が目を剥いて驚いたり感涙に咽んだりするようなものじゃないとは思う。僕としては「64時間」の小粋さが特に好ましかったし、表題作の乾いた残酷さにも揺さぶられる思いがしたけれど。ええわ〜、おっさん!<失礼なヤツ
 ただ、この本については非常に腹立たしいことが一点ある。例によって、出版社のマヌケな行為だ。カバーの見返しに書かれた内容紹介なのだが、ここでソレをバラしてどうする〜〜〜!!というシロモノ。小説の最後に書かれていてこそ「そうか、あいつか…」とこころ密かに微笑むことが出来ようというネタを、読む前にバラすなっつーの。
 とりあえず警告!この本を買った方、ゆめゆめ見返しをお読みにならないように!とか書いといてみるか。仲間内の誰かが引っかかることだけは、たぶん回避できるだろ。
 真面目な話、的外れなアオリ文句(例えばハヤカワ文庫のアレに「女性版エルキンズ登場!」とかね)がついてるより罪が重いぞ、ネタバレは。こちとらダイジェストが読みたくて単行本買ってるワケじゃあねえのだ。そこんとこ、お間違いなく。

 続いて『虐待者 -プロファイリング・シリーズ- 上・下(ブライアン・フリーマントル/著、幾野宏/訳、新潮文庫) 』。
 通勤電車の中でちょっとずつ読んでたのだけど、なんかこう、盛り上がらなかった。事件そのものも、敵(と、あえて言ってしまおう)とのやり取りも、いまひとつ踏み込みが浅い印象だ。前作の息詰まるような焦燥感が無い。身内の足の引っ張り合いが影をひそめ、かわりに主人公の私情が出てきてるあたりで気が緩んだというかナントイウカ。ヒロインの独断場、なのに特に印象的でない男と後向き……とまでは言わないけど、前向きでない色恋沙汰に踏み込んでる辺り、脱力したというか見損なったというか。ケイおばさん(ごめんスカーペッタ)ほどとは言わないけど、熱情でも気合でも、いま少し発散してほしいものである。
 そもそもこのシリーズ、生まれた時から「チーム」として動く人々の活躍に面白みがあったと思うのだよね。せっかくのセールスポイントなんだから、なんとか次回では復活させていただきたい。頑張れじ〜さん!<またもや失礼なヤツ

 ビデオは『怪奇大作戦』を10数本、立て続けに観る。いたいけな子供の頃に指の隙間から観ていたもの、今となっては噴飯もののネタもあるが、それでもザワザワするような感興は消えない。う〜む、やっぱり岸田森はいいよなぁ。演技が素晴らしく上手いワケじゃないけど、雰囲気が格別だ。ゲストもいい。死神博士以前の天本英世なんか見つけたひにゃあもう感涙ですぜあ〜た。<ってダレ
 それにしても、公害や人口・交通問題、果ては社会心理の悪化までこの時期に描かれていたんだからなぁ。人間、ちっとも先へ進んでないってことなんだろうね、先がどこかは分からんけども。

4月24日(火) 晴
 深海生物のフィギュア目当てにスポーツドリンクを買う。マズイとは言わないけど、僕の好みから言うとちょっと甘すぎる。酸味があれば飲みやすいと……いや、そうじゃなくて問題はフィギュアなんだが。
 これは、イヤだな。
 何がって「コウモリダコ」なんだが、せっかくクリア素材なのに不透明のべたーっとした茶色の塗装なのだ。もともと形がさほど面白いものじゃないのに、造形の細かい部分までべったり塗りつぶしている。さらに、なにが腹が立つって、2個ともコレだったんだぜオイ!<買うなよ

 フィギュアといえばコーラにFFXのがついてるが、アレは何なんだろう?まだゲームも出てないのに気の早いこっちゃ。これで土壇場でゲームが発売中止になったりしたら、幻のキャラグッズとしてプレミアもんになるのかも。実はそれが狙いだったりしたらスゲェ嫌ですが。

4月25日(水) 晴
 ODNのJDSLプランに申し込んでみた。本当はNiftyでNTTのADSLを……とか考えていたのだが、いかんせん当地には7月頃まで来ないときている。思い立ったが命日もとい吉日のこのギョーカイで、ソレはないでしょNTTさん。いやサみかかさんよウ、今までさんざん貢いできて、これ以上焦らされちゃあ溜まらねェや。ここらで気持ち良くお別れしましょうぜ、ってなワケで上手くいったらマイラインもテレコムにしちまおうかなとか目論む僕であった。でも出っ歯のオッサンの人形なんかは、間違っても欲しくないのでそのつもりで。もっとマシなもの考えてくださいテレコムさん。<オマケに注文つけるな

 さて、昨夜ヒロツさんちのチャットで紹介されたネタが、あまりにもイケてたのでここで保存。その名も France Five 」!提供元は楽天丸さんだ。拍手〜〜〜!!
 特撮アニキ&アネゴたちの自主制作らしいんだが、何がイケてるって、まずこれがフランス製だってことだ。フランスといえば文化のお国、ルーブルには(各国の)名画秘宝がぎっしり、トレビア〜ンでジュッテ〜ムで、ベルサイユに薔薇の花咲くってぇお国柄。ふらんすへ行きたしと詩人も詠うその国で、何が悲しうて戦隊モノ「ジュウシセンタイFrance Five」。
 しかも、とにかく濃い!ヘボな衣装やセットが気にならなくなっちまうほど気合の入った作りになってる。テーマ曲付きのオープニングはあるわ、キャラの設定はアレだわ、5人揃ってお約束なポーズは取るわ。大丈夫かフランス人!いいぞ、もっとやれ!
 ま、ここ数年、フランスで日本アニメが人気とかゲームがウケてるとかって話は聞いてたから、実のところさほど意外じゃあ無いのかもしれない。『メタルギア2』の初体験版トライアルなんか、上位はほとんど仏国勢で占められてたし……って、それはそれで別種の驚きだよな。やっぱ外人部隊の御国柄なんでしょうか。

 ちなみにFrance Fiveに大笑いしたのは、テーマ曲にあの『超電子バイ●マン』を使っているってのもある。ノリも良ければ歯切れも良い、カラオケで気持ち良くシャウトできる懐かしいメロディにフランス語の歌詞……ううう、すっげぇ変。笑えるよう。
 たしか元歌はこんな歌詞だったと思う。記憶が曖昧なんで、間違ってるかもしれないが。
   君の心に しるしはあるか?
   戦うために選ばれた ソルジャー
   ソルジャー バイ●マン
   おそれていてはダメだと
   心にだれかの メッセージ
   宇宙の青いエメラルド
   地球に 悪の手がのびる
   バッと バイオ フラッシュ・アウト!
   5つの愛が 呼び合って
   バッと バイオ フラッシュ・アウト!
   悪をさえぎる 壁になれ
   超電子バイ●マン
   超電子バイ●マン
 ううむ、懐かしいぞ。なにが懐かしいって、オリジナルを楽しく眺めた(デザインキャラも話も良かったからなぁ)記憶もある上に、学生時代、酒を食らってはコレの替え歌をがなってたのだ。
 どんな替え歌かというと、こんなのだ。
   君の心に 忠義はあるか?
   上野の駅で募られた ソルジャー
   ソルジャー 自●隊
   おそれていてはダメだと
   心に総理のメッセージ
   東洋の神秘のアイランド
   日本に ア●の手がのびる
   バッと 74(ナナヨン) クラッシュ・アウト!
   3つの愛が 呼び合って
   バッと 74(ナナヨン) クラッシュ・アウト!
   ア●をさえぎる 壁になれ
   陸・海・空 自●隊
   陸・海・空 自●隊
 時おりしも憲法9条にヒトコトあるらしいオッサンが総理になることだし、続けて往年の名曲『自●隊に入ろう』なんてどうよ?<ヤメレ

4月26日(木) 晴
 定番コミックを購入。

 『鬼切丸(楠桂/著、小学館)20』
 シリーズ完結……なんだが、このカタルシスの無さはどうしたモンだろう。スタートからず〜〜〜っと付き合ってきたシリーズであり、作者の技術(絵も話もネームも)の成長ぶりをも楽しんできたというのに惜しむ気にもならん。参ったなぁ。いや参るコト無いんですけどね。
 んむ、なんだかアリガチなパターンで、しかも急いで終わった印象があるんだよね。これまでずっと「普通の人間と鬼とアウトサイダー」という構図でエピソードごとにきっちり作られてた話が、ここへきて「人外集団」だけの闘い、しかも「はしょった」ソレでばたばたと終わってしまったような。
 予定通りの帰結なのか、最近多い作家と編集部の行き違いによるものかは分からない(つか興味も無い)が、一言で言えば「ここまで積み上げた話がもったいないな〜」という幕切れだった。そういう意味では惜しんでおるのかな、やはり。

 『西洋骨董洋菓子店(よしながふみ/著、新書館)2』
 相変わらず面白い。失礼ながら画力はさほどでも無いと思う、しかし台詞回し(&フォントの使い方)が上手いんだよな。ギャグとシリアスの配分が絶妙。神田君と会長の会話なんか、苦笑しつつ不覚にもほろっと来てしまうもの。大の男がドタバタする日々の背後に流れる過去のしがらみが顔を出す辺りも、お見事。まさか彼がアレだとはねぇ。つい読み飛ばしてた伏線に驚いて、1巻目を読み返しちまいましたよはい。
 ただ、やっぱり雨中の戯れシーンは「ゲロしそーに気持ちわりーよ」だなぁ。30男の現実を知る者には、どうしても素直に浸れない。これは岳本野ばら流の乙女の読み物っつーことで納得するべきならん。

 『からくりサーカス(藤田和日郎/著、小学館)17』
 一大決戦に向けて盛り上がるシチュエーション!の筈なんだが、なんかこー惹かれるモノが無い。いきなり出てきた集団に感情移入しそこねたつーか、週刊少年ジャンプ的な悪しき対決シーンの連続を予感してしまったというか。この作者のことだから、裏切ってくれるのではないかと期待もできるが……本誌で読まない派としては次回待ちだな。

 『 百鬼夜行抄(今市子/著、朝日ソノラマ)2』
 待ちに待った文庫版。いやもう、単行本を見かけるたびに誘惑と戦いましたよ僕ぁ。んで、この本を手にして渇望が治まったかというとさにあらず、ますます続きが読みたくなるという……うぉ〜〜〜。
 妖怪もののけの類が当然のように跋扈する日常を、だからといって派手な闘いで片付けるのではなく、恬淡と過ごしている登場人物たち。妙なおかしみと清澄な空気が混在する雰囲気は実に好ましい。飄然たるもののけ達のキャラも生きていて、次がまたまた待ち遠しくなってしまった。うううう、単行本で買いなおすべぇかなぁ。<物欲に憑かれてるらしい

4月28日(土) 晴
 GW初日。しばらく低迷していた気温が一気に上がり、木蓮・ツツジ・梅・桜・クロッカス・チューリップ・水仙その他が一斉に咲き出した。ものみな一度に花開くのは北国の習いとはいえ、ここまで何もかも一緒くたというのはなかなかあるものでは無い。目にも鼻にも賑やかな春である。
 この季節、決まって訪れる「春の使者」がもうひとつ。
 ワラジムシである。
 ヤツらは、何故か春になると室内に出現する。厳冬期に寒さを逃れてというなら分かる。あるいは雪解けの頃、浸水した床下から高所へ高みへと避難するのなら、それも納得がいく。だが、その時期にはまったく出てこない。開いた窓枠に猫が乗り、風の匂いを嗅ぐようになった頃合に、どこからともなく這い出して来るのだ。
 ただ出てくるだけなら、我慢する。だがしかし、ヤツらは妙な場所に潜り込んでは簡単に死ぬのだ。上げた布団の下から三葉虫の化石みたいにぺったんこになって出現されたひにゃあ貴方(涙)
 三葉虫の赤ん坊だと思えば我慢……できる筈も無く、今年もヤツらの早期発見と撃退に追われる身なのだった。あああ畜生、ジュラ紀に生活なさった皆さんは、どのように対処なさったのでしょうか。<いねぇよ

 ところで北海道の桜は、本州それも東京以南のものに比べると色が濃い。またほぼ葉桜のせいか、あまりというか殆ど幽玄な風は無い。根元に死体が埋まっているとしたら、酒の肴に桜餅をむさぼり食べて大笑いする能天気なオッサンではないかという気がするのだが、いかがか。

4月29日(日) 晴
 例によって『アギト』を観るべく早めに起きる。相方を起こさぬよう無音状態でチャンネルを合わせ、さて『ガオレンジャー』を眺めたら……今週の敵(オルグ)が長い剣を振り回していた。構えて、下からぐるりと弧を描き、再び下へ来たところで撥ね上げる。おお、これは!
 円月殺法。
 いや〜、お若い方にはお分かりになりませんでしょうなぁ。つーか僕も分かりません世代の筈なのだが。なんで素直に「ギャバン・ダイナミック!」とか言えないのかね。妙に情けないぞ。
 さて『ガオレンジャー』自体はさして興味を持てないので、漫然と流す。なんせ僕の戦隊モノ嗜好は『バイオマン』で頂点に達し、あとは下る一方だったからなぁ。これはひとえにあの作品が凄すぎたせいだと思う。敵の幹部として作り出された少年が「自分には母親がいない」ことを疑問に思った果てに母を求めて「お母さん狩り」を始めちゃうとか、戦闘場面にいきなり現れた第三者(シルバ)が一方的に攻撃しまくった挙句「貴様らと遊んでいるヒマは無いっ」とか言ってやはり唐突に去っていってしまうとか、女優が駆け落ちしたせいでイエローが死亡&代替わりしちゃうとか、とにかく凄かった……って、注目すべき点が違ってますかわし?

 『ハロウィーンの死体(ポーラ・ゴズリング/著、山本俊子/訳、ハヤカワ・ミステリ文庫)』読了。
 アメリカの片田舎の小さな町で起きる殺人という、僕の大好きなパターンの作品。住人たちの個性、会話の妙味、小気味のいいテンポ、徐々に明らかになる過去と謎のほぐれゆく展開、どれを取っても好ましく読めた。難を言うなら登場人物が多くて、ついついキャラクター一覧を見返さざるを得なかったということぐらいか。うう、年は取りたくないものだのぅ。
 シリーズ2作目だそうだが、僕は不幸にして1作目をやり過ごしてしまったらしい。早々に探してくるとしよう。

4月30日(月) 晴
 『パーフェクト・ブルー(宮部みゆき/著、東京創元社)』『心とろかすような〜マサの事件簿〜(同上)』を続けて読了。
 僕が読んだ限りにおいて、この著者の作品はとかく「情の物語」になりがちだと思う。それは決して欠点ではない。ことに時代物において、細やかな人物&情景、そして心理描写は素晴らしく効果的だ。『怪』で連載されてたシリーズなんか、京極夏彦を差し置いて読み耽らされてしまったし、『蒲生邸』なんか懐かしの「少年ドラマ」タッチに引きずり込まれたものなぁ。
 ただ、ミステリ=謎解きとして読んだ時、それがいささか以上に切り口を鈍らせている印象があるのは僕だけだろうか。ことに犯人へ向けられる視線が、どんな場合にも一縷の暖かさを残しているのは、果たして作品として如何なものか。前作しかり、後者の表題作然り……状況を考えると嫌悪感しか持ち得ない相手を断罪しない、それは作者一流の優しさなのだろうけれど、カタルシスという面では大いに欠けるものがあると思う。『長い長い殺人』のように激した感情で物語られた結末ならば、また違った感興もあるけれど。
 でもま、犬好きにはマサは魅力的な探偵だ。それに表紙&挿絵の美しさ楽しさが本の魅力を一層高めていると思う。春の一日に読むには相応しい本だったろう。北国の妙に肌寒い春ではあっても。


翌月へ




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