『ターン(北村薫/著、新潮文庫)』読了。
実に良かった。静かな朝に目覚め、冴えきった、だが落ち着いた気持ちで新しい一日を迎える、そんな読後感である。
日々を淡々と過ごしていたヒロインが、ある日巻き込まれた交通事故。気が付くと彼女は前日にタイムスリップしていた。しかも
周囲には他の生き物のいない、メアリ・セレスト状態。そして1日が過ぎ事故の時刻(シャレじゃねぇぞ)が訪れると、彼女は再び1日前に戻っているのだった。24時間で繰り返す「ターン」。彼女はそれを「くるりん」と呼び、その中で暮らし始めるが……。
メッセージは「覚醒」であり「行動」だろう。こんな異常事態に遭わずとも、日々の生活の中、ただ漫然と繰り返し「ターン」し続けていないか?その状態に不平を唱えるばかりで、自ら外へ出ようとしたことがあるか?という厳しい問いかけでもあると思う。
しかし、それらは高圧的には語られない。ひとりの女性の清新な意識がそう悟り、心を決め動き出すまでの過程を、ただ静かに見守らせるだけである。テーマはもとより、このスタンスも非常に好ましいものであった。このへん、意余って空回りに感じられた前作『スキップ』から長足の飛躍である。つか、そもそも『スキップ』は話のコシラエが嘘くさすぎて、途中でしらけてしまったのだよね。小説になり得ていない絵空事というか。主人公たるティーン(死語)の視線にしたって、昔のヒトでももっと生々しかったと思う。
閑話休題。話を『ターン』に戻すと、僕みたいなヤツだったら、本物の「ターン」にとらわれても意外と呑気に生活し続けてしまいそうだな。なんせ不老不死なんだぜ?毎ターンごとに図書館に通えば、過去の書籍は全て読み尽くせるかも!……って新刊の無い世界にいずれ飽きるに決まっているんだが。それにモノが作れない、所有することも(24時間しか)できないのじゃ、早晩フラストレーションが溜まるだろう。そう考えると、実はマニアって、毎日活き活きしてるのかもしれないなぁ。
コナミスタイルでプレゼントしている『メタルギアソリッド2』のカードCDが届く。10月2日に申込受付を始めたらサーバも落ちよとファンが押しかけたというシロモノだ。実は30,000枚も用意されていて、今日申し込んでもイケる状態らしい。
中身はビュワーがわりのhtmlと、E3で公開されたムービーだ。既にコナミのサイトから落として観たものだが、サイズが少し大きくて綺麗である。飽かず眺め、発売を心待ちにしてしまうのう。
しかしナンだ、このCD入れると回転音が妙にウルサいんだが。薄いのか?いざという時はパキっと割って、尖った破片でテロリストに立ち向かうためなのか?
夜は例によって『キングスフィールド』。最初の集落から潜って、とうとう遺跡を抜け…抜け…抜けたいよう。と泣いているところ。 <ダメじゃん
一応、向こう側へは行ったんだが、上空を飛び回っては火の玉を吐いてくるシロモノがなかなかに危険なんである。動きに合わせられないもんだから、弓も魔法も当らない。くそ〜この!降りてきやがれ!勝負だ!とか言ってもどうにもならない。仕方なく、元来た方へ戻って取りこぼしを拾い集めてみたりする。まぁ、これはこれで楽しいのだが。
ただ気になるのが、プレイを続けるうちにひょいひょいバグが出てくることだ。『シャドウタワー』で壁ズリ(専門用語:壁を「調べ」ながら平行移動すること)してたらポリゴンの隙間に落ち込んで、真っ暗闇の中でにっちもさっちも行かなくなったことがあった。結局その時はリセットしたんだが、今回はというと。
・同様の「穴」。
僕は某所の水場に飛び込んだら、そこでハマった。真っ暗で身動きできず、しかし酸素ゲージはだ〜〜〜っと減った。死亡である。
友人にも、別の場所で同種の災難があったらしい。困ったもんだ。
・キャラ消滅。
あるイベントの後、移動したキャラが、その固定位置から消えて無くなった。いったんマップアウトしたら出現したんだが、心臓に悪い状況である。なんたって病気のおっ母さんなんだから!別な場所にいる娘が「お母さん死んじゃった」とか言うんじゃないかと、おっかなびっくり話し掛けちゃったよ!
まあ、それはたいした問題じゃないかも知れぬ。別な友人は、モンスターが目の前で消えたそうだ。ただ、当り判定だけは残ってて、結果として透明モンスターに襲われるという悲惨な事態になったらしい。
そういえば、倒して出現するコインが表示されないことも多々あるな。敷石の隙間に入ったのを這いまわって探すとでも思えば笑える状況だから、まぁいいけど。 <そんな主人公はイヤだ
・モンスター出現
固定位置にいるモンスターが、マップアウトすると同じ場所に出現…するのは分かる、つかゲームのお約束だと思うんだが、同じ室内でソレをやられると流石に驚く。某所でスライムを倒し、ある方向へずいーっと後ずさったら、さっきの場所に「ぽこん」とスライムが湧いたのだ。前後移動殴打殴打、と社交ダンスみたいなリズムで倒して小銭を稼いだが、これもナンではなかろうか。
1〜3作目では、こんなにアラは無かった気がするんだけど、そこらへんどうなってるんだろうフロムソフトウェアさん。大容量のPS2で格段に広く美しく早くカッコ良くなったのは認めるけど、ゲーム会社っぽくない、四角四面なキッチリ加減が美点でもあったんだから、そこらは変わらずにいて欲しいなあと愚考するものでありますです恐惶謹言。
ぬ。なんか手紙になっておるな。これを書置きして、また潜るとしよう。