店主酔言

書籍・映画・その他もろもろ日記

2005.4

 

 

 

 

 

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4月1日(金) 

 カレンダー 1枚めくれど 雪の中
 と、季語も何もないヤツをひねってみるエイプリルフール。嘘ならいいのになあと、窓の外を眺めて溜息一つ。え?春はもう来ない?嘘だよね?

 とか言ってたら「チョコQ」で期待のカエル登場。カエル大好き、俗称カエラー(そんな言葉はありません)としては非常に嬉しい。よしんばソレがウシガエル、別称食用ガエルであってもだ。とりあえず、ウマいし。<どういう意味で好きなのか
 出来の素晴らしさは、もはや言うまでも無い。普通に置いて眺めた時もさることながら、ひっくりカエ…もとい返して腹を見ると、その微妙な曲線に、あのひんやりと柔らかくぽってりぷにぷにした感触まで甦る心地する。で、こう、ジタバタ暴れられて押えきれずに顔に飛びつかれ、泥田の中へすっ転ぶと。ああ、なんかもう妄想レベルに堕ちてますな。カエル萌えー。

 それにしても、回を重ねるごとにディテールが細かくなり、またポーズに動きが入っているのには驚くばかりだ。これは海洋堂の動物フィギュア全般にいえることだけど、シリーズを通して見ていくと造形師・松村氏のレベルアップが如実に覗えるという、別な楽しみも発生しているような。今回ラインナップのミシシッピアカミミガメ、所謂ミドリガメなんか、以前にペットシリーズで作られたときはまるっきり固定ポーズ、ブロックの上でじっとしているような生気の無さだったけれど、今回は水の中で手足をバタバタして泳ぐ、あの一種ぶきっちょな動きが見事に再現されていて驚愕モンである。ううむ、ファンの1人として応えるべく、空いた水槽で1/1スケールのジオラマでも作るべえか?

 さて、時期を同じくして買い漁っている「海洋楼」のほうはヒキがイマイチ。なんだかやたらに調味料入れと春巻、あと可愛いけど欲しくないチャイナの娘さんが増殖している。金魚ギョウザが欲しいんだけどな〜。
 とりあえずキャンペーン終了までは、毎日2本ペースで茶を飲みつづけるべく、相方・ねこまに義務付けられている。なんかこう、火刑法廷の拷問が脳裏に浮かぶんですが頑張りますです、はい。


4月9日(土) 雨時々曇

 通勤電車の中で見た広告を端緒に相方と日本語について駄ばなし。今の教育では「通り」の読み仮名は「とおり」「とうり」のいずれでもOKだそうだ。なんだか「たうり」に戻ったような響きが面白いなあ。「全然」を肯定に使うのと似た、旧表現の復古めいた感覚がある。
 ヲタの端くれとしてやたら使う「萌え」なんてのは、「カワイイ」でも「イトシイ」でも「ホレタ」でも「イロッポイ」でも無い、全く新しい感覚の表現だと思うし、某ちゃんねる特有の言い回しなどにも奇抜かつ的を射たものがあって驚かされることがある。まこと言葉とはイキモノであることよのう。
 もちろん「役不足」と「役者不足」を逆用するなんてぇただの馬鹿だの、いい年した母親役が「ヤバいわよ」とか口走るCMはどーかと思うけどね。不愉快系が多いよ某P&G。<思いっきり特定してます


4月10日(日) 霙のち雨

 ビジーの波間を泳ぎきってようやく辿り着いた休日の朝。ここ数週分の『仮面ライダー響鬼』を観る。
 ストーリーの展開はさておき、明日夢少年の要領の悪さ空気の読めなさ距離感の取れなさときたら、見ててイライラするを通り越して、あちゃ〜と目を背けるしかない。さらに運も悪いときてて、典型的な巻き込まれ型、しかも周囲をもトラブルに引き込みかねないタイプと見えて、たいていの人には精神衛生に悪いことこの上ないのじゃなかろうか。
 だが、この「掴めてない」状態が(『龍騎』等以前の主人公たちと違って)あの年頃には誰しも大なり小なり持っている問題なものだから、一部には却って感情移入しやすい気もしないではない。いや、かくいう僕もご同様、というか人並み外れてそういう傾向があったもので。
 まず他人の顔を覚えるのが苦手、なもんだから状況把握に時間がかかる、おまけに「理論に納得できないと実行できない」という奇妙な癖があるから悲惨だった。後者が具体的にどういうことかっつーと、例えば跳び箱で「助走後、踏み切り板へ飛び乗って前方向へ跳び、箱の2/3以上奥側へ手を着いて体を引き上げる」という力の流れが言葉でもって頭に刻まれないと実行できなかったワケだ。音楽、美術なども同様、少年どころではないドン臭さである。
 そういう記憶をもって少年を見ると、やはりあちゃ〜と、今度は頭抱えて転がりまわり押入れに飛び込みたくなる気もしないではない。ついでに、その状況をありのまま受け入れてくれる「ひとみちゃん」の存在が無性に妬ましくなったりなんかして。ちくしょー、僕の青春を返せ〜!(違)

 『巷説百物語 狐者異(こわい)』を観る。先ごろWOWOWで放映されたのを録画しといたものだが、これが期待以上の出来栄えで非常に嬉しい。
 原作はいわでもがなの京極夏彦、監督は『TRICK』の堤幸彦ってところはさておき、愉しみどころが他に2人。考え物の百介役・吹越満、事触れの治平役・大杉漣の両氏である。いずれ劣らぬ芸達者、我が家の贔屓役者なのだ。
 …いや、実に面白かったっす。
 期待の2人の演技は文句無し。謎と、最後に突きつけられる主題に戸惑う百介は、迷いを抱く青年を演じて一流の吹越満にはハマり役だったし、原作とはまるっきり違う治平は大杉漣がきっちり組み立てて自分のものにしている。他に山猫廻しのおぎん役・小池栄子が「少女にも年増にも見える」不思議な容貌を見せて魅力的だし、嶋田久作や遠藤憲一という脇役も、それぞれのキャラを立てていたと思う。ただ、主役たる小股潜りの又一を演じた渡部篤郎が、ちょっと…。台詞の端々に妙な濁点が入り、それが耳障りで、舌先三寸をもってなる二つ名を演じきれていなかった気がする。惜しいところだったなあ。
 このシリーズ、以前に製作されたドラマでは、「仕事人」カラーを前面にシリアス路線を押していて、それはそれで良かったけど、原作のいまひとつの側面、都筑道夫氏の『なめくじ長屋』シリーズと似たアウトロー集団の活躍を楽しむにはコミカルかつ生活臭漂う今回のほうが好ましいと思う。ちょいと下に走ったネタもあったけど、あの時代あの身分を真面目に画にすると、軍配はこっちに上がりますな。
 とか思ううち『なめくじ』が懐かしくなり、ついつい書庫へ発掘作業に出かけてしまったり。うーん、今読んでも面白いわこれ。堤監督、こっちをシリーズで録ってくれませんかね?


4月13日(水) 曇

 サイトを始めてこのかた、掃いて捨てるほどスパムメールを受け取ってきたし、また面白かったものについてはこの日記でもしばしば晒し者にしてきた。が、最近はこれといって目新しいものがなく、また量が増えすぎてフィルタ任せにしていたのだけれど。
 来ましたよ、小粒ながらの力作が。
 「透き通るような皮膚を持った Angel達の無修正動画です。」
 皮膚ですぜ。肌じゃなく。しかもFROM名が「透明天使」。透き通る=透明ですか。なんかこう、『インビジブル』ですか?とお約束にツッコミたくなるわな。
 このテのもののご多分に漏れず、どーにもこーにも怪しいURLつきであった。実はグラスキャット仕様になった珍種のエンゼルフィッシュ画像とかなら興味も無いではない。それなら見に…行かくかっつーと別問題ですけどね、やっぱ。


4月18日(月) 晴

 ここしばらく、通勤の友に『なめくじ長屋』シリーズを選んでいる。先だってふと思い出して、懐かしくてならなくなったヤツだ。
 読み返してみるにつけ、筋立ての面白さ、台詞回しのテンポの良さ、目の当たりにする如き習俗の情景の描写に唸るばかり。旧い角川版の手ずれがしてボロボロになったもの、どのエピソードもオチまで覚えているというのにじっくりみっちり読みふけってしまい、アタマはすっかり江戸住まい、帰宅するなり溜め込んだ江戸の資料を引きずり出し、切絵図の上をなぞってみたりなどさせられる。当然、積読本の山は高くなるばかり、処分のための分類作業は滞るばかりである。いや〜、面白い本ってのは魔物ですな。
 が。
 ここまで好きなシリーズなのに、なんと取りこぼしがありましたよお立会い。
 いや、ずっと変だなとは思ってたんだ。雑誌で読んだのに、収録されてない話があるな〜と。しかし作者が亡くなってしまってることもあり、そのまま流れたのかなあと勝手に納得してたところ、しっかり1冊、ちゃんと文庫化、きっちりamazonに在庫があるじゃねえか。ええ、もう、即効で注文しましたともさ。せずに置くもんかべらぼうめえ。
 シリーズもの好きの諸兄諸姉、時には好きな作品名や作者名をサーチエンジンにかけてみられては如何だろう。ネットの有難さ、ひょっとしたら、こういう思いがけない新刊?をゲットできるかも知れない。


4月20日(水) 曇のち雨

 ぼけらっとテレビを眺めていたら、日本時間で4月3日に亡くなったヨハネ・パウロ2世の後継ローマ法王が決まったというニュースが。なんだか峻険な顔つきに眼光炯々、アンソニー・ホプキンス@レクター博士にちょっと似た爺様である。聞けばドイツ人ジャーマンでもってガチガチの保守派らしい。前法王も本質的には教条主義な人だったのが容貌の温和さで誤魔化されてたきらいがあるけど、この人はまあ、見るからに頭が固そう。やらされていたとはいえ軍国少年だったとか、「真の信仰は唯一カトリックのみ」と声明を発したことがあるとか、素直に頷かされてしまう。神の愛を説く宗教のトップがこれで大丈夫なんかなあ。
 とか、他所ごとながらぶちぶち言ってたら、ねこまいわく
 「眼鏡かけると印象が柔らかくなるよ?けっこう可愛いお爺さんかも」
 えーと…これもやっぱり眼鏡っ子萌えっていうんでしょうか?斯道の権威に、ぜひお聞きしたく。

 読書は相変わらず『なめくじ長屋』三昧。ことにも好きなエピソード「人ごろし豆蔵」や「人食い屏風」を読み、幕切れの切なさにしんみりしてみたり。こういう、一芸に打ち込んだ職人の技が絡んだ事件になると、センセーの情味あふれる計らいが余計に胸に堪えるのだ。たぶん、絵だの文章だの江戸趣味だのプラモだの食玩だの、いろんな事に手を出しては、全て半ちくに終わっている己ゆえ、憧れこもごも職人たちへ思い入れ一入であるからだろうけど。


4月21日(木) 雨

 先日amazonにてぽちっと購入した本が到着。まずは待ちかねた『さかしま砂絵(都筑道夫/著、光文社)』を取り出して、通勤カバンへ。一度はすれ違って巡り合えなかった恋しい相手、一気読みなんて勿体無いことできるか!文字ごと行ごとじっくりしんねり、味わい尽くすように読むに決まっておろう。うふふふふふふふふふふふふ。本読みの幸せここにあり。

 と我ながら不気味にほくそえみつつ、その場で読んだのは『愛がなくても喰ってゆけます。(よしながふみ/著、太田出版)』。どこかで見たような設定のマンガ家・YながFみとその周囲の人々が織り成すドラマを背景に、現実にある店のグルメガイドを展開するという珍しい構成だ。
 でもってこれが、読ませる。ストーリーは笑いどころたっぷりの日常ドラマとしてちゃんと流れているし、ガイドのほうも写真一枚どころか絵も最小限しか無いってぇのに生唾がこみあげてくる。こりゃあ、夜に読んではいけない本だなあ。胃袋が野生に還って暴れだしますぜ。
 ただ、紹介された店の価格帯を見て「?」と思わないでもない。東京価格ってのは分るけど、これだけ高けりゃ美味くて当然、いやさ、この値段でハズレでもしたら、札幌辺りじゃヒグマをけしかけられますぜ?

 とこう、暢気な日常を書き綴っていたいのだが、今日は衝撃的なニュースがあった。
 小型飛行機ピッツS-2C、曲技飛行訓練中に墜落。パイロット岩崎貴弘氏が全身打撲で死亡。
 またの名をロック岩崎氏といえば、航空ファンの末席のさらに畳のへりに居る僕ですら知っていた、F-104(スターファイター)を駆ってF-15(イーグル)を模擬戦闘で破ったという、生ける伝説の男だ。空自最初の超音速戦闘機で、旋回性でもスピードでも航続距離でも低空での性能でも最新鋭機に優る処の無い状況での勝利は「リアルで『ファントム無頼』かよ!」と思わされたもの、いつか当地の航空祭にゲスト出演してくれないかなあと思っていたのだが…。
 その名手をもってしても、やはり危険な世界なのだ、などと言うは賢しらであろう。仰ぐ空に決して現れない機影を偲ぶばかりである。合掌。


4月23日(土) 雪のち曇

 基本的に世情に疎い我が家の住人なのだが、休日の夕方に「笑点」眺めて育ったせいかお笑い芸人だけはせっせとチェックしている。で、家庭内ランキング1位をず〜っと保っているのが陣内智則。今さらながら買いました『NETA JIN』 。
 いや〜面白いわこの人。ネタの内容はごくありふれた日常から採ってるし、特に強烈にヒネったことを言ってるワケでもないのに、どうしてこんなにってぇぐらい笑えてしまう。いや、逆かな?卑近なネタ、誰もやりそうなことを徐々にエスカレートさせていく、いわばお約束なパターンだからこそ誰にも届き易いのかも。映像や音響効果を用いているけれど、これを仕草や声色に置き換えると落語に近いテイストだしなあ。それかあらぬか、このディスクの中では「物売り」が一番印象に残った気がする。
 ただ、コンテンツ内の「はじめての○○」は、正直いただけない。特に、テキーラとアツアツ味噌汁の2つは、ヘタをすると病院行きになりかねんだけに、見てて気分が悪い。こういうの入れるぐらいなら、いっそネタ供養を増やしてくれたほうがいいや。
 ちなみに我が家で他にランキング上位を占めているお笑い系は、アンジャッシュやラーメンズ。毒性の多少を除けば、芸風が似てるのかも知れないな。


4月25日(月) 曇

 代休を取ってダラダラ寝こけた朝、起きぬけのTVで脱線事故のニュースに驚く。関西方面の友人たちの安否が気になって、ネットと掛け持ちでチャンネルを渡り歩くも、事態の大きさに混乱する状況しか見えてこないままである。
 しかし、混乱は仕方無いとして、ニュースを配信する側の相変わらずのダメっぷりはど〜にかならんのだろうか。生存者の声を探しているであろう現場の上にヘリを飛ばすわ、傷ついて横たわる人傷が重いからこそ優先して救急車に運ばれてる人を無遠慮に撮影しまくるわ、事故の原因と推測される答の得られたインタビューばかり何度も繰り返し流すわ。
 なんで事故が起きたかは後から専門家が調べりゃいいこと、それよか無事な人から名前だけ聞いて流すとか、現場で足りないモノやサポートの要請をするとか、もっと役立てることがあるだろう。こんな報道しか出来ない連中なんぞまとめてホリエモンに買収されちまえと、無益に腹立たしくなるばかりであった。

 とはいえせっかくの休みをTVにかじりついて怒ってばかりもいられないので、用足しに街へ。役所とか銀行とか、平素は行けないところを流し歩き、ついでに最近オープンした大型書店、JR駅前の紀伊国屋へ足を運んでみた。
 広い店内に丈の低い棚が並び、見晴らしは非常に良く、目当てのセクションを見つけ易い。が、棚の間の通路が狭く、背中合わせに立ち読みしている人がいると、それだけで通れなくなってしまう。しかも棚の多くが面出しで本を並べているものだから、視界がゴチャついてしまって探しづらい部分も。鳴り物入りでオープンした割には練れてないな、と些か残念に思いつつ旭屋へ流れたものであったよ。<その割には一抱え買い込んでたが

 夜、関西組の無事が確認され、ひと安心。しかし相変わらずな報道のスタンスの中、増えつづける死傷者の数には憂鬱が募る。どうか一人でも多く、安心して夜を迎えられますように。


4月27日(水) 晴のち曇

 『さかしま砂絵(都筑道夫/著、光文社)』読了。遅れに後れて手にした「新作」は、期待に違わず江戸の匂い(いや待て、臭いのほうかも)のなかへ僕を連れ帰ってくれた。
 トリック自体はさのみ目新しくはないのだが、情味漂う語り口でさらりさらりと綴られる人間模様に酸鼻な事件が絡むさま、それを鮮やかに絵解いてみせるなめくじ連のチームプレイがいつに変わらず惹きつける。また、世間の最下層であるかれらの、アウトサイダーゆえ基本的にドライな処し方も、余韻を残しつつ後味しちくどくない匙加減であった。4月20日に書いたような「しんみり話」が際立つのもそのゆえんかもしれないな。
 ただ、初期の角川版に比べると、質量ともにアッサリ感が漂う気がしないでも。あの頃はしきりと書かれていた「非人」や「こじき」というNGワードとともにダークな印象が薄れたことも一因かな。100余年の昔はそういう差別があったこと、そうして発生した社会があったことは事実なんだから、みだりに言葉を摘むものではないと思うんだけど…日本人の知的レベルが下がってるという報道からみるに、誤用を避けるには仕方の無いことなのかねえ。



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