店主酔言

書籍・映画・その他もろもろ日記

2003.10

 

 

 

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[ 以前の日記 ]
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2002  1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 10 / 11 / 12
2003  1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9

[ 銀鰻亭店内へ ]



10月1日(水) 晴のち雨

 食玩の秋である。間違ってるという向きもあるだろうが気にするな。
 まず「なつかしのヒーロー&ヒロイン ヒット曲集 第1弾」。デビルマンとかキャシャーンとか仮面ライダーとかムテキングとかズバットとかのテーマ曲CDが、サントラ盤のミニチュアパッケージでラインナップされている。危険なまでにジェネレーション直撃。まぁ僕ぁ上に挙げたの程度が当たれば満足なんで、今のところボチボチってところ。
 お次は「タイムスリップグリコ 第4弾」。例によって精巧なミニジオラマ、それに懐かしいアイテムが揃っている。特にローライフレックス2.8Fは欲しい。とりあえずリカちゃん人形はゲットした。相方のドール棚に置くと可愛らしいに違いない。
 リーメントの「ぷちサンプルシリーズ第9弾 ふるさと産地直送便」は、これまた相変わらずクオリティが高い。やはり1/6スケールなんで相方が喜ぶよろこぶ。
 ……ええ、お察しのとおり、全部手をつけましたともさ! <手がつけられないとはこの事でござい

 9月11日に来札されたアリアドネさんの旅行記が正式公開。「世界征服若手の会」の「札幌小樽レポート」、もしくは「たれぱんだ通信」の「北のたれから」のいずれからでも読めるのでぜひどうぞ。楽しい旅行記&写真は、当地を知る人知らぬ人、いずれにもお楽しみいただけると思う。あ、たれ者には必須つーか義務ですんで、そこんとこよろしく。いずれ試験に出します。 <どんなよ
 ちなみに不肖、店主の写真も何点か採用していただいた。「視線こっちね〜」とか言いつつ撮影した当日を懐かしく思いつつ、改めてしみじみ拝見。

 短編集『あなたの人生の物語(テッド・チャン/著、浅倉久志/他訳、ハヤカワ文庫)』読了。ヒトと異なる思考形式をもつ異星人とのコンタクトを通じ母が娘に語りかける表題作は、涙こみあげるほどに美しい。そこに現れる文字の形を読み取ろうと、夢にかいなき努力をしそうだ。「理解」でしか知らなかった作者なのでガチガチの理論派というイメージがあったのだけど、聖書や神話をベースにした虚構世界はカッチリした描写に生身のヒトを感じさせる柔らかさが添っている。特に「七十二文字」はオカルト趣味にサスペンスを盛り込んでいて、かつ終わり方が非常に好み。久々に「SFを読んだ」満足感があった。

 夜に入って『インテリア模型製作(倉林進/著、グラフィック社)』を読む。というか拝む。ご本人のページを見たねこまの「家具作って作って〜」コールに対処すべく求めた本なのだが、これはもう、素晴らしいとしか。模型作りのTips、家具のそれを作る際のポイントといったことどもが、見易い写真で懇切に解説されている。斯道にあるもの必携の1冊と思うがいかがか。いや、まぁその、著者の意図とは違う道にいるような気はしますが。


10月3日(金) 雨

 「ああ…俺はナゼ、紙にコマ割って絵描いて文字打ってインクで刷って束ねて片側止めて表紙をつけただけの物にこんなに人生を奪われているのだろう」
 コマと絵の部分を除けば、なべての本読みに通じる思いであろう。本好きマニア書痴と号する人々が互いに肩を抱き合って滂沱と涙するに違いない、こんな言葉をさりげなく乗せ、漫画の古本にまつわる物語を紡いだ『金魚屋古書店出納帳(芳崎せいむ/著/少年画報社)』。1&2巻をまとめて読む。
 昨今、古本といえばブックオフ系の店が幅を利かせているけれど、バーコードが入った商品しか扱わないあの手の店では手に入らない「本」がある。そして、そういうものは、取り扱い外としていとも容易く失われるのだ、捜索者の手をすり抜けて。僕らが時に感じるその悔しさ切なさ、ある漫画にこそまつわる記憶、新たに始まる物語といったもろもろが、ときに優しく時に切なく、或いは(いや主として)コミカルに語られていてとても良い。面白いとかいうよりは「友よ〜」と号泣したくなるんだな。マンガキングのエピソードがそうあるように。む、描かれる風景が日常なだけで、『マンガ道』や『コミックマスターJ』と根を同じくするものなのかも知れないぞこの話?
 絵がこなれてなくてギクシャクすることが偶にあるけれど、それで物語の魅力を減じてはいない。あえて言うなら「地下ダンジョン」の設定はなくもがなだけど、漫画好きな人々が訪ねあぐねる本を求めて集う最後のよすがのような店には、やはり謎も伝説も欲しいものなのかも知れないやね。ええと、とりあえず住所教えてください。


10月4日(土) 晴時々雨

 休日出勤の途上、山本淳一氏の「そっくり人形」作品展を見つけて立ち寄る。どうせだらだら仕事になるんじゃ、寄り道ぐらいさせろやゴルァ!という荒んだ気分で入ったのだが、眺めるほどに心愉しく、会場を離れる頃にはすっかり肩から力が抜けていた。いや、ラッキーだったなぁ。
 デフォルメ具合がとにかく上手い。高さ20〜25cm程度の人形なのに、どの角度から見てもご本人らしく形作られている。塗りはわりとフラットにしてあって、自然な陰影で表情が出してあるのだ。だからといってモールドを細かくはせず、上出来な似顔絵がそうあるように、必要な線だけがきっちり選び抜かれている印象。立体戯画とでもいうべきか。細部をどこまで作り込むか、自身にストップかけるタイミングが絶妙なんだろう。ううむ、すげぇや。
 作品自体も興味深かったが、サイトに載ってるのと同じ「作り方」の展示はお遊びモデラーにも非常に参考になるものだった。これほどの手際にはならないまでも、ぜひ見習いたいものであるよ、んむ。

 ちなみにこれで気分良くして出社後、スムーズに仕事ができたかっつーとさにあらず。自分の粘土細工がしたくなって気もそぞろ、全然手につかなかった。ま、どうせやる気が出ないなら、気分がいいほうがマシ…だよね?ね? <誰に


10月5日(日) 晴のち雨

 例によって定時に起床。寝ている連中を放置して書斎/物置/作業部屋へ。部屋の呼称が3つあっても置いてあるものに違和感が無いっつーのは何だかなぁ。
 まぁ置き方にも問題があるワケで、今日はそこらを改善しようとせっせと箱詰めし部屋の隅に用意したスノコの上へと積み上げる。とにかく、何をするにも作業スペースが無いことにはど〜にもならんので、必要な本もとりあえずとってある本も再読する本もしすぎてボロボロの本も読み捨てのつもりの本もでもやっぱり惜しい本も(って結局捨てられない本しか無いのか!)片端からスタック。小一時間程度で、かなりな高さの壁が出来上がった。ふ〜い。ますます地震が怖くなったぞ。
 しかし、床の上の本はあまり減ったように見えない。どころか、作業中に蹴倒した山が、さながら土石流の爪あとってな雰囲気で広がっていて、さらなる惨状を呈している。おまけに、ある程度奥にあるプラモ置き場がこの前の地震で崩壊しているのを発見してしまい、こちらは崖崩れのごとくしばし呆然と眺め入ってしまった。うむ、大自然との闘いはかくも厳しいのであるな。 <微妙に違う

 午後、相方と家電店へ赴き、何やかにやと購入。TVアンテナとストーブを中心に、冬支度をいろいろ。がしかし、物欲神の下僕が2人揃って、当然これで済むワケも無い。『ロード・オブ・ザ・リング〜二つの塔〜』『タイム・アフター・タイム』のDVDをはじめとし、小物端物をがしゃがしゃと買う。もちろん、ビデオデッキだのオーブントースターだの、ちょっと欲しいもののリサーチも忘れない。ちなみに後者は工作用のつもりだったんだけど、今主流のワイドサイズ見たら相方が欲しがったというもの。どうやら僕の粘土窯は、パンとかピザの匂いが染み付いたものになりそうだ。

 帰って特撮タイム。『アバレンジャー』はアスカ&まほろの悲運の愛がメイン、役者の熱演あいまって見せる展開である。その反面、アバレマックスが召喚した新しい爆竜はいまひとつだったけど。伏線が無かったってのもあるけど形がな〜。恐竜戦車だよねこれ?
 かたや『555』はオルフェノクとヒトの溝をめぐり、ようやく少しだけドラマが動いたところ。相変わらずご都合&偶然&説明不足のハンデを背負いつつ頑張る役者がいじらしい…って、そこは見所じゃないか。とまれ、オルフェノクである自分への嫌悪を見せる巧と、彼を受け入れようとして出来ない真理や啓太郎の描写は良かったと思う。しかしまぁ、野郎からしか電話はこないわ、その一人に弁当作ってもらうわ、不憫な主人公だのう。子供の頃からオルフェノクだったつーから積み重ねたトラウマも大きそうだし。とか言いつつ、ちびウルフェノクをょっと見たい気もするが。
 ちなみに今回一番の決め台詞はスマートブレイン社長・村上バラフェノクの「ようこそ、ラッキークローバーへ!」だな。揺れ動く若者中心のドラマの中、目的が全然見えないとはいえ確固とした「敵」である男の迫力があったと思う。もっと頑張って、上の上の悪役になってくださいッス。


10月6日(月) 晴時々雨

 今年最初の雪虫を見る。日々寒さつのり、これが本物の雪片になる日も近い。早いものだ、今年もいろいろありました…ってのは早すぎるが。
 そんな日の夜、夜食を求めに出た道すがら、野良猫に出会った。黒トラのが2匹ばかり「餌くれ〜」と鳴きながら寄ってくる。不憫なこっちゃと常備のキャットフードを取り出したら、わらわらと寄ってきた。
 …わらわら?
 数が増えている。にゃーにゃー叫ぶ黒っぽい影が、5つ。さらに物陰から、小さな白っぽいのが4つ。うわあ仔猫だ!と餌でおびき寄せてみたが、これがなかなか可愛いとのみは言い切れないシロモノだった。餌を与えた手をそーっと伸ばしただけで、片手に収まるような小さい体を弓なりにシャーッ!と凄む。なかなかのつらだましい、野生の生き物の気迫である。もちろん大人たちがそれに劣るはずもなく、可愛く媚びる声をだしつつ、必殺パンチで餌を攫う力がどんどん強くなる。あげく、こっちの手元の袋に顔を突っ込み爪を立てるものまで現れた。
 『猫島』だっけ?孤島に移住した男が、連れてった猫の増殖に対処できず、ついに…って話があったよな?
 そんなことをふと思い出しつつ、手持ちの餌をそこらに置いて、僕らはすたこら逃げ帰った。気分は黄泉比良坂、たぶん桃を投げても喰うだろうな、あの勢いだと。


10月14日(火) 晴

 連休明け、朦朧とした頭で出社。久しぶりに土日祝がマトモに取れたので、気合を入れて休みまくったからなあ。え〜と、土曜は山道具屋と玩具屋と金物屋を自転車でハシゴつーかサイクリングして、乾燥食品とイミール(ハリーハウゼンの金星獣。大型ソフビがなんと1000円だった!)とアルミ棒をゲットしてきたんだった。どうやって持ち帰ったんだっけ?そいつでTVアンテナを按配したことは覚えてるんだが。んで日曜は水槽掃除してから相方と出かけ、郊外の大型金物店を数時間徘徊して植木の土とか魚関係の道具とかを買い込んだな。それで環境整備して月曜にハンズで生体を買って来て入れて…って。
 ちょっと待て。普段より働いてないか僕?これって休日だったのか?

 根源的な(どこが)疑念を抱きつつ、今日も今日とてハードワーク。帰りの車中で『カンビュセス王の秘宝(ポール・サスマン/著、篠原慎/訳、カドカワ文庫)』の上巻を読了。
 半分しか読んでいないがあえて感想を述べたい。これは、ひどいぞ。
 何がひどいって、まず訳。とにかく訳。未消化の単語を解説無しにそのまま出したり、こなれてない台詞回しに口語と文語と死語が織り交ぜられてたりってのは序の口。あげく発言者の性別が違っていたりするからものすげぇ。粗探しを楽しみたい向きには超がつくほどのお勧めだが、そのために上下巻合わせて代価を払おうって酔狂な人がいるかどうか。
 で、本編が面白いかというと…こっちは微妙。砂漠に呑まれた大軍勢を巡る陰謀、それに加わり或いは巻き込まれた人々の人間模様は、そもそも軍勢が発掘されるのか?という興味もあって結構な引きの強さだ。だが、どうにもキャラに魅力が無い。意地っ張りなヒロインはその意地だけが突出してるせいで関わりたくない女に見えるし、その元夫は没個性。なんつーか、「インディ・ジョーンズ」や「ロマンシング・ストーン」からキャラのシルエットだけ抜いてきたように見えるのだよ。悪党側の考古学者もまた然り、ステロタイプの悪党でしかない。
 もっとも、エジプト警察の刑事と、その怨敵であるテロリストのリーダーはこの鋳型を逃れており、かれらのシーンだけは生彩を保っている。エジプトという国が英国の支配を逃れてなお残された社会問題、貧しい者に手を差し伸べるの者が同時に恐怖をもたらすという皮肉、そして尽きせぬ古代の魅力を語りながらの対局がどこで決着をみるのか、それのみ楽しみに下巻へ突入するとしよう。


10月16日(木) 曇時々雨

 『カンビュセス王の秘宝(ポール・サスマン/著、篠原慎/訳、カドカワ文庫)』下巻、読了。総合45点。
 前半は一昨日の日記のような微妙な展開だったが、この巻に入って急に加速。ユスフ刑事の推理&アクションによって複数の事件が結び付けられ、決着めざして一気に突き進む。ここらへんは勢いもあり、なかなか面白い。身内の筈の敵に包囲され、妻子への愛情に躊躇いながら、それでも真実と人命と復讐のため赴く姿のカッコよさには素直に拍手したいところだ。
 …がしかし、その他のファクターがどうにもこうにも。
 ヒロインとその元夫は、サディストの淫魔みたいな敵の脅威にさらされては危機一髪、難を逃れているんだけど、前半からこっち、程度は違えど同じ事の繰り返しのような。つーか、この2人の顛末って、まるっきりパルプマガジン時代の三流スペースオペラみたいなんだよな。その薄っぺらぶりも相まって、結末のドンデンにも意外どころか、ああ、そう、やっぱり…みたいな脱力感しか感じない。遺物を何より尊重する筈の人々の対象への態度の酷さが加速するにつれ、幕切れを飾るはずのカタストロフも、因果応報系ご都合の度合いが過ぎて白々しくなってしまった感がある。え〜と、やっぱりマイナス5点しとけ!座布団没収!


10月18日(土) 雨

 『魔法使いになる14の方法(ダイアナ・ウィン・ジョーンズ他/著、ピーター・ヘイニング/編、大友香奈子/訳、創元文庫)』を読む。古今の名手による「魔法&学校」もしくは「魔法使いと子供」をテーマにした短編を集めたもの、少々期待して取り掛かった。
 う〜ん。期待しなければ良かったかな?
 選択眼は良い。既読のものを含めて、粒よりの作品が集まっていると思う。ただ、そこまでで止めておいて欲しかった。各作品の冒頭に添えられた解説が、なくもがなを通り過ぎ、はっきり言って邪魔。やたらに『ハリー・ポッター』を引いてくるのも鬱陶しい。編者の仕業か訳者の所業か、いずれにしても蛇足ってヤツである。しかも数が多いから百足になりそうな勢い。
 訳のほうはというと、悪くはないが今ひとつ。まだ逐語訳の生硬さがあちこちに残っていて、読んで心地よい日本語になっていない。まぁ、ブラッドベリなんかは先達の名訳があるから比較されて辛いところだろうけど、頑張っていただきたいところである。
 とはいえ、上でも書いたようにアンソロジーとしては佳品である。かねてジャンルのファンである人にも「ハリ・ポタ」ブームでファンタジーに踏み込んだ向きにも楽しめるものと思う。秋の夜長、前置きをぶっ飛ばしてぜひどうぞ。


10月19日(日) 曇時々雨

 珍しく相方が早起き。寝床でそのまま特撮タイム。
 『アバレンジャー』は、ミコさまことキラーのあまりの暴言に、凌駕の堪忍袋がぷっつり。アスカもそうだが、ふだん温厚な人間はキレると怖いぞってぇのをパワーで表現、殺る気まんまんで大爆発。いいのか殺っちゃうのか後で悩まないのかと心配にさえなるものの、無意識に抑制したとみえてミコさまは逃走。来週はヤツデンワニ(長持ちトリノイド)に手厚い看護を受け…るのかどうかは分からんが、まぁそのうち再挑戦してくるんだろう。大ボス・デズモゾーリャとさえ小競り合いをしては「ときめく」らしい彼のこと、また自己中ウォーモンガーっぷりを見せてくれると思う。
 他は記憶喪失のジャンヌ/マホロが「恐竜や」に仲間入りの顛末。素直に喜ぶ凌駕、アスカの不在を嘆くらんる、疑いの目を向ける幸人と三様の反応がキャラを立てる。あ、もちろん、皆を労わるえみポンも、若者たちに目をやって調整役を買ってくれるスケさんも、天真爛漫に「だいじょーぶぃ」ポーズを教え込む舞ちゃんもいい味だ。つーかキミ、本当に幼稚園児か?あとボケっぷりそのものさえボケて可愛いマホロさん、それって竜人族の特性ですか?
 ってとこで『555』。今日はなかなか面白い。例によって偶然が多いんだが、展開がテンポ良く、それを気にさせない。バトルシーンも多発かつ華があるし、日常生活もささやかに描かれているし、ちょっとしたコメディもあるし、人間とオルフェノクのきわどい壁に踏み込みつつある刑事の動き(アギトの研究所みたいに忘れられなかったらしい)もあるしといった盛りだくさんぶりなのにすっきりした流れになっていたし。ああ、毎回こうだったらなぁ。
 ところで今回は本筋もさりながら、やられ役のザコフェノクの正体が気になった。なんだろうコイツは。ブツブツボコボコしていて、手投げ弾を放ってくる。もしや、パイナップルって駄洒落なのか?確かにこれまでもサボテンとかツクシとかいたけどさぁ、もし自分が死から目覚めて「キミはパイナップルだ」って言われたらヤダよなぁ…などと埒もないことを思わされる。どうです貴方、それで「上の上のオルフェノク」になれたとしてもイヤでしょう!
 (実際はフジツボだった。まぁ、パイナップルよりゃマシか)
 あと予告を観ると、里奈がデルタギアを、真理がファイズギアを、それぞれ装着しようとしてるのだが…これ、出来てしまってから「前は出来なかったのに?」という疑問提起をしようってことなんだろうか。オバケ屋敷に素直に驚く好感度高めの木場くんがオルフェノクということに気付くのか、いやそれよりも自分が既に(もしかしたら複数回)死んでいることを悟るのか、いずれにしても真理の前途は暗そうであるな。

 続いてアニメタイム。『ポポロクロイス物語』と『鉄腕アトム』。どちらも、テーマも演出も展開もきちんとしてる上作。特にアトムは(手塚御大の元ネタとはいえ)「生命とは?知性とは?」を真剣に考えさせる深いもの。子供がいたら是非観せたい。いないから自分で観ますけど。

 で、起床はしたものの、天気がぱっとしないので自ずと「お家で遊びましょ」モード。買い置きの本を眺め、植木鉢の面倒をみ、魚の水を替えてやりと、いつに変わらぬ老人のような一日となった。まぁそれでも少しずつ身辺が落ち着きを取り戻し、工作もしやすい環境になってきているのだけど。次のビジーの波が来る前に、せめて砂の城なりと作りたいもんだよなぁ。


10月20日(月) 晴

 口寂しくなってアリスのティーパーティEXを購入。クッキーだけ売ってくれよ北陸製菓さん…とゆくりなく呟いていたのだが、出たのが「白の騎士」と「ジャバーウォック」の、それぞれ未入手カラーだったので不満を引っ込める。いや、引っ込めるべきじゃないのかも。luckポイントの無駄遣いだし。<どこにポイントが

 さて終業後。速攻で会社を駆け出し、相方と待ち合わせて『リーグ・オブ・レジェンド』を観に行く。
 これぞエンターテインメント。これでもかってぐらいに描き込まれ作り込まれた情景、知る者をニヤリとさせる細かなネタの含み、巧みな役者に派手なエフェクトといったガジェットを息もつかせぬドラマ展開にぎゅぎゅっと詰めたサービス満点なシロモノである。
 相方はかねて贔屓のショーン・コネリー翁(なんて呼ぶと鉄拳くらいそうだが)演じるアラン・クォーターメインを観に行ったのだが、僕としては早々にネモ船長に引っ張られてしまった。も、とにかくカッコ良いのだ。寡黙で強い(特に剣戟!)漢、主役を食わんばかりの脇ってぇのがイイんだよなぁ。例を挙げると『アラビアのロレンス』のアリとか、『ハムナプトラ』のアーデス・ベイとか…って、どいつもターバン&ヒゲ面ですな。ひょっとして、フェチ?<嫌なフェチだねおい
 ま、冗談はさておき、他のキャラも伍して劣らぬ魅力たっぷり。素で魅了されそうな吸血鬼ミナ・ハーカーは別格として、単なるコソドロと嘯きながらオイシイ場面をさらう(でも見えない)透明人間とか、原作そのままに背徳の匂い芬々たる洒落者ドリアン・グレイとか。飛び入り参加のトム・ソーヤーはあまり面白みが無いけれど、普通人代表、いわば観客の代理人みたいなところとしては申し分なかった。原案通りだとジェイムズ・ボンドだった筈なんだけど、あの趣味を開陳されるのは願い下げだから、結果オーライってところだろう。
 この面々を上回って面白かったのがジキル博士とハイド氏の扱い。善悪を分けるつもりで開発した薬によって発生した2つの人格が、結句いずれも完全ではない(ジキルは知性的だが小心で怯懦な部分があり、ハイドは凶暴ながら信義をもっている)ことが描かれてて、原作を越えたキャラ立てになっている。かれらが相克しつつ互いに協調するすべを見出す過程イコール、リーグそのものの戦いが佳境に入るあたりなもんだから、ほとんど独壇場の景色もあるな。
 あと、上でも書いたけれど、とにかく小ネタがぎゅうぎゅうに詰められてて、どれも目に記憶に楽しいのなんの。例えばクォーターメインの本拠地・アフリカの風景や彼の周囲の人々はハガードの描いた風物そのままだ。また彼がそう書いたように、クォーターメインはこの時代にあって人種差別意識をもたないことが言葉の端々に現れてもいる。もちろん吸血鬼の描写は原典どおり。かと思うとネモ船長率いるノーチラス号のデザインは、原作を思いっきり無視しつつも彼の出自を思わせる意匠に満ち充ちて迫力満点かつ優美。ロンドンにせよヴェネツィアにせよ、情景も人々も19世紀末のイメージにしっかり染まっている。おまけに依頼人はあの「M」だし、敵は銀の仮面のファントムだし、あげくラスボスは●●だしと、泣けてくるほど嬉しいっす。あ、ファントムは歌わないけど、まぁこれは伏線ですねやっぱ。
 文句があるとすれば、ただ1点。劇場に飾られていたポスターが売店では扱われてなかったことだ。生頼範義氏の手になる素晴らしいイメージを手にしたくて数十年ぶりに求めようとしたというのに、これは無いじゃありませんか。せめてパンフに掲載して欲しかったっすよ。つか単品売りすれ。


10月21日(火) 晴

 ねこまが買ってきた『鋼の錬金術師(荒川弘/著、エニックス)』を1巻から5巻まで一気読み。いや面白いわコレ。今までチェックしなかったのは不明としか言いようがないのぉ。
 絵柄はドラクエ4コマ系っつーかガンガン流というか、さっぱりしたもの。とはいえ故意以外の崩し、つまり手抜きが見えない。キャラ同士に違和感が無いし動きもあるし、とにかく見やすいんだな。
 また、物語世界の描き方が上手い。文明のレベルも、この世界独自の「錬金術」の解釈も法則性も、絵と台詞だけできっちり把握できるようになっている。説明的な会話やナレーション、果ては欄外への書き込みで読者を「学習」気分にさせずスムーズに作品世界へ引き込む手腕はお見事。あ、もちろん世界の構築自体も良く出来ているんだが。
 しかし僕が何より感心したのは、ネームに妙なところが無い点だ。言葉遣いもキャラごとにきっちり書き分けられてて、かつその個性にそぐわない発言が無い。テンポも良い。今のトコ減点なしの上作である。あ、もちろん外伝も4コマも込みで。つーかそれだけで1冊出されても買いますよわし。
 ところでアレですかね、中佐が気付いてしまった状況って、もしかして地図に巨大な魔方陣とかじゃないですよね?暗躍する綺麗な人外おねーさんの黒幕を含めて、陳腐なオチにならないよう期待してますぜ。

 今日は他にも数冊コミックを読んだ。がしかし、どれも満足度はイマイチ。
 『黒鷺死体宅配便(山崎峰水・大塚英志/著、角川書店)』
 死体の声を聞く男を中心に、特異な能力をもつメンバーが妙な商売を…という設定は面白いが、目を瞠るほどのオリジナル性・意外性が無い。ストーリーがそれをカバーしてるかというと、そうでも無い。絵柄も「誰かに似ている」レベルで安定しておらず、いずれにしても惜しいところ。
 『天上天下 10(大暮維人/著、集英社)』
 例によって少年ジャンプ式バトルのヒートアップとエロの混合体。しかし、延々と回想シーンだったワケでもなく、人外の戦いとして吹っ切れた感があるのでさっくり読めた。まぁ、何が残るでもないが、そういう種類の作品じゃないしな。
 『名探偵コナン 43(青山剛昌/著、小学館)』
 一読、びっくり。相変わらず進展が無いとかコナンの腹話術ごっこが雑になってるとか、それでもトリックをひねるのは辛いだろうなぁとか、そういうことじゃなくて。
 …1巻、飛ばしてました(笑)
 明日、買って読むとしよう。とりあえず進展の無さについては少しだけあるようだし、もう少し付き合ってもいいやね。


10月22日(水) 雨

 スーパーで『MY HAPPY AIBO』を発見。350円と高価いものの、相方の趣味にはうってつけであろうと購入。ライオン型ERS-210A(ゴールド)とクマイヌ型ERS-311Bをゲット。ん〜、初期型ERS-110が欲しかったんだけどなぁ。
 とはいうものの、出来はなかなか。関節可動の本体もさりながら、充電器なんかも入っているのが嬉しい作り込みなのであった。明日また買おうかな〜。 <既に罠に嵌っており


10月23日(木) 雨

 昨日に続き『MY HAPPY AIBO』に挑戦。これと定めた1個だけ買って、首尾よく目的の初期型ゲット。ひとえに物欲神の嘉し賜うところであろう。ありがたや有難や。

 帰宅後、書斎の片付け。本をひとまず箱詰めにして退避、しかる後に1箱ずつ整頓していこうという計画なのだが、初動段階でコケる。
 箱が足りない!つーか本が多すぎるのだよな。即座に不要と断じたものを脇へ除けておいてこの有り様だから恐ろしい。たぶん、ここで火災が起きても、燃え移る前に崩れた本で鎮火するんじゃあるめーか。
 いや、もちろんその前に、踏み込んだ人間が下敷きになる可能性のほうが高いワケだが。せめてそのまま化石化しないよう祈りたいもんである。 <ええんかソレで


10月24日(金) 曇のち晴

 急激に寒くなった朝、出勤の道すがら、路地を行く2匹の猫を目にする。濡れた道を散り敷く落ち葉が彩る上を黒とベージュのが連れ立って、つかず離れず悠然とゆく姿は一幅の絵の如きものだった。カメラを持ち合わせなかったことが悔しい瞬間は幾度もあったが、今日のコレもまた然り。つーか、常に撮影できるスタンスでいて、かつ最高の構図で切り取れる人はプロのカメラマンなんだろうとは思うのだけどさ。

 帰宅したら小学館からビデオが届いていた。「てれびくん」の『仮面ライダー555 ハイパーバトルビデオ』である。ええ、申し込みましたともさ。まさきくん、もうおおきいから、じぶんでたのみました。えへん。<やめれ
 内容は、昨年の『龍騎』同様のギャグ。夢オチってとこまで一緒だが、まぁそれは殺伐ネタであるべき本編を思えばいたし方あるまい。でもって、日常生活を突然襲う歌と踊り=ミュージカルという、好まない人には違和感の塊みたいな構造。つか、それこそがスマートブレインの陰謀であるのだからして、本当に襲われてるワケだけど。
 さて違和感をそのままネタにした導入部のギャグはちょっと上滑りしているものの、それなりに微笑ましい。選曲が「もりのくまさん」「メリーさんのひつじ」なのも、子供向けなのだからもっともであろう。しかし、その後のバトルシーンに重なるオリジナル曲が、いかにも子供向け絵本の詞書調なのでまず笑える。「ベルト〜をつけると灰になり〜♪」じゃねえだろがッ!そして着ぐるみダンスバトルに効果音が文字で飛び交うに至り、バカバカしさはクライマックスに突入。いや〜、製作の人たちコワレてますなあ。ただ、そこまでやってもイマイチ突き抜けきれた印象が無いのも本編同様で、それがちょっぴり寂しい気もするが。やるとなったら役者総動員で、もっとバカげた立ち回りを見せてくれなくちゃ。オルフェノクの後ろであの青い人影も踊るとか。海老姉さん限定でお願いします是非。
 それにしてもフィナーレを観て思うのだが、巧って本当に不遇なんだよなぁ。猫舌をあげつらわれトラブルあらば当り散らされ、まともに笑えるときも無ければ感謝の言葉をかけられたことも無いのじゃなかろうか。そういう意味では、実にまったくそれらしい話ではあった。
 ところでこのビデオ、役10分と短いので、以前アリアドネさんに教わった踏み台昇降ダイエットのタイマー代わりに使えそうだ。全編音楽が流れてるから、エアロビ気分でいけるかも。さぁスマートブレインの陰謀にのって、レッツダンス!


10月25日(土) 曇時々雨

 最近、初版限定で付録をつけるコミックが増えている。あまり興味をもてないものがほとんどなんで選択可能であれば通常版を買うのだが、『鋼の錬金術師 6(荒川弘/著、エニックス)』は迷わず特典つきをゲット。別冊「焔の錬金術師」だぜイエーイ。<やめれ
 いや、小説版に興味は無いんだが、東方司令部はマスタング大佐麾下の面々はひそかに贔屓キャラなもので、これは逃せないなと。まぁお約束に流れかつお約束に終わっているけれど、コミックの世界観から逸脱せずなかなかに楽しく読ませてくれたと思う。
 で、本編たるコミックはというと、幼い兄弟の旅と人々との交わりの発端を描いて強烈なまでに印象的。一途に想い願うゆえに乗り越えた修行と犯した罪、打ちのめされそれでも択び取った道を余すところ無く描いている。その過程で見える兄弟本来の子供らしさがもう切ないのなんの。んで、それを見守りかつは導き、或いは一個の人間として相対する大人たちもすっげ〜イカス。厳しさも優しさも無限大の師匠(と、彼女にとって無二の支えであるダンナ)を筆頭に、誰もかれもが魅力的だ。
 全編気に入らざるは無いほど思い入れできた中、特に好きなのはホークアイ少尉とウィンリィの会話。マスタングがエドに「可能性」として過酷な道を示すシーンと重なり響きあうこの言葉は、実にじつに胸に応えるものがある。ところで少尉、貴方のその「人」は…彼ですか、それとも?あぁ、いや、こういう疑りぶかい伏線大好き中年には感動する資格はないかもですが。

 夕刻、同じ作品のアニメ版を観る。友人諸兄の感想や奇妙愛博士の日記で好評を目にし、初めてチャンネルを合わせてみたのだが、これも全体にクオリティが高い。
 まず画が綺麗。まぁ、元の絵がきちんと出来上がっていて動かし易いものだというメリットはあるけれど、それにしても手抜き無くしっかり描かれて動いてると思う。
 あと、声もいい。はじめ、アルの声がエドに比して少し幼すぎるんじゃないかと思ったのだけど、考えてみりゃ〜この子は「あの時」から肉体上の成長は無いんだもの、当然なのだ。これは映像化することで別の切なさ怖さが加えられた気がするな。
 ストーリーはオリジナルで、分かり易い謎解き。死んだ女の面影だけにとらわれ追い続けた男が、最期に至ってなお現実を見ることができない業のような迷妄は、この作品らしくて悪くない。ただなぁ、エド、ご婦人本人を前にして老醜を突きつけるなよ。まぁソレに気を使えるような状況でもなきゃ、気を回せるような小器用な大人でもないのは出ているけどね。
 ちょっと気になるのは、エドの錬成のアクションが陣形によって成されているところ。あの「手のひらパン」アクションは物語のキモのひとつなんだから、グッズ出すとかのオトナの都合があったとしても削らないで欲しいもんであるな。


10月26日(日) 曇

 相方と買い物に。店内をウロついていて、いままさに日本シリーズを戦っている阪神タイガースのベビー服を着た赤子(父親であろう男性に抱かれていた)に出会った。トラキチ歴20ン年の相方の喜ぶまいことか。
 ねこま「うわ〜可愛い〜!そのまま立派な阪神ファンに育つんだぞ〜!」
 おいおい。もしかしたら、彼の人生で一度も優勝しないかも知れん球団に…それって『眠り姫』クラスの魔女の呪いじゃないか?
 ねこま「何を言うか!今年の調子で来年も勝ち抜いて、連続優勝するんじゃ!」
 おい。どの口でそういう大言壮語をするかね。僕の目を見て言ってみろ、ええっ?奇跡はバーゲンセールされねぇんだぞ。まして禍福は糾える縄の如し、良いことがありゃあ同じ比率で悪いことも起きる。小惑星が地球に激突してもいいってのか?アナタハ神ヲ信ジマスカー?
 …あ、いや、なんでもありません冗談です。ゲンコを引っ込めてくださいプリーズ。

 夜、先週の『TRICK』を観る。このドラマには2ndシーズン1話でハマったのだが、今シーズンの皮切りはさのみ強烈な印象が無い。バカネタは山ほどまぶされていて、それなりに笑えるものではあったけれど。なんかこう、本筋のトリックそのものに「うわ!そんなアホな!」と思えるような突飛なものが無かったせいかなあ。次回以降に期待しよう。
 続いて特撮&アニメタイム。『アバレンジャー』は、アスカの形見?の腕輪を追って、らんるが独り戦う話。アスカとマホロに感情移入しまくりな彼女が失意に沈みそうな展開を予想させて幕。あと、彼女に恋する?トリノイド、ヤツデンワニが消されなくて良かったなぁってとこか。
 続いて『555』。ようやく誤解だの行き違いだのが収束方向へ向かい、スマートブレインと全面抗争の兆しが。戦えない男たちに代わってベルトを装備した真理たちお嬢さんが凛々しい。まぁ、相変わらず言動に問題がありまくるのが辛いけど。
 鑑賞後、デルタギアの所持者が受ける影響について相方と馬鹿話。流星塾生の手から手へ渡り、その度に各人の力への欲望、また猜疑心と闘争心をも強化してきたベルトなわけだが、その所持者であった沙耶が影響を受けなかったのは、本来が「もの静かな優等生」だったんじゃないかなというお馬鹿な前提を立ててみたのだ。で、戦闘拒否の三原くんは、それがさらに助長されて仮病を使うまでになってしまったと。ゆえに、草加が装備すると、あの持ってまわった皮肉とむきつけの敵意が強化されるので、さらにイヤなヤツになるのではと。
 ねこま「お手々ふきふきも強化されて」
 一日じゅう、手を拭いてるわけだな。変身しない限りずっと。
 ねこま「ウェットティッシュもポケットタイプじゃダメだね。箱のを買って、抱えて歩かないと」
 もちろん真理への想いというか思い込みも強化されるんだな。強引に迫り、後をつけて他の男との接触をチェック、謀略によって邪魔者を排除すると。
 ねこま「本物のストーカーに…」
 ということは、巧が装備すると、どんどん無口になっていく?
 ねこま「人付合いも悪くなって、部屋に篭りっぱなしに」
 ヒッキーのヒーローは史上初かもしれないな。ところでオルフェノクの北崎はどうなるんだろう?今日も模型飛行機を追いかけてミッション放棄していたが、あの人物描写からすると…既に退行してるのか?


10月27日(月) 晴

 帰宅すると、柚さんが見えていた。この冬、相方とフィギュア観戦をご一緒してくださるので、その打ち合わせだそうな。寒い思いをして寒い格好の舞い手を見物しに一泊旅行とは、酔狂なことであるよ。僕ぁテレビのほうがいいな、アップで拝めるし。
 日本シリーズを眺めつつ夕食。とはいえ柚さんも僕も、ほぼパーフェクトに近い野球オンチなので、気合を入れて観ているのは相方ばかり。残念ながら負け試合になって落胆していたが、まぁ仕方あんめぇ、勝負は時の運だからな。つーか、監督退陣よりも球団消滅のほうが、背水の陣としては強力だったんじゃ〜ないかと。
 とまれ、相方がTVに釘付けになっている間、僕は柚さんに『鋼の錬金術師』を布教し、しっかりハマっていただいたのだった。勢いに乗って全巻読破、さらにカバー裏で大笑いして帰られたので戦果は上々といえよう。うむ、勝った! <何に?


10月28日(火) 曇のち雨

 『暗黒大陸の悪霊(マイケル・スレイド/著、夏来健次/訳、文藝春秋)』読了。
 『髑髏島の惨劇』に続く、カナダ騎馬警察隊と殺人鬼の対決。今回も初手から死体がゴロゴロし、移民大国カナダらしい事件が起き、ために警察内部がゴタつき、人種問題が絡み、挙句メンバーの1人に嫌疑がかかり、特殊部隊の突入はあるわカーチェイスはあるわサイコな逃走劇はあるわ法廷の厭らしいパワーゲームはあるわ野生の王国はあるわと盛りだくさんである。つーか、ほとんどデタラメなまでに詰め込まれてるんだけど、「おいおい」とツッコミつつ引きずり込まれてしまうんだよなあ。相変わらず気合入ってますです、はい。
 導入部がゴチャゴチャしてて読みにくいのが難だけれど、そこを乗り切るともう一気呵成というか、先が気になって読まずにいられん状態になる。特に後半、法廷劇が佳境に入るあたりからは目が離せない。残念ながら本ネタのフーダニットは分り易すぎるが、真犯人が見えてしまえば「次はどう出る?」という興味の持ち方もできるように書かれているので心配無用。
 あと、以前と違ってシリーズものとして読めるようになったためか、キャラへの思い入れをつのらせる描写が多かった。特に、このシリーズの主役にして警察官の鑑のようなディクラーク警視正とキャット(前作で登場した少女)の交流は、互いに失うもの多い人生なだけにいっそう微笑ましい。もちろん他の面々も事件を経て関わった人々や自身の変化を語ってくれて好もしいのだけれど。ああ、やっぱ『グール』『カットスロート』『ヘッドハンター』の3前作を読みたいなあ。文庫化してくださいよ創元さん。でなきゃ買い取ってくださいよ文春さん。
 ちなみに僕の気に入りキャラは「狂犬」ラビドゥスキーっす。人間爆弾になったとはいえ同僚を、一瞬にしてぶん殴って海へ叩き込む判断をし、躊躇わず実行するのがスゲェなぁと。間違っても敵にしたくないつーか、友人にするのも考えさせられますけど。




翌月へ






[ 銀鰻亭店内へ ]