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書籍・映画・その他もろもろ日記

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6月5日(火) 晴
 よんどころなく、ここ十数年来、決して足を踏み入れなかった場所へ赴く。嫌で嫌でどうしようも無いのだが、こう痛くては仕方が無い……そう、歯医者なのだ。
 ビアスを引用するほど若くないが、いまだにこの職業は悪魔のご近所さんのような気がしてならん。行けば必ず大惨事に見舞われる。親不知が4本とも歯茎の中を水平に成長してしまった、自業自得というか生まれの不幸のせいなんだが、人は己の業を受け入れられるほど強くは無いのだよ、うむ。
 んで、その親不知の1本が崩壊してるということで、来週にも抜歯ということになって帰宅。ううう、イヤだよう行きたくないよう。我慢するからご褒美に何か買ってくれようママン。<ってをい

 米国で、ミュージカル『プロデューサーズ』がトニー賞12部門で最優秀を獲得と聞く。嬉しい。何が嬉しいって、これ、あのメル・ブルックスの作品なんだぜ!『新・サイコ』『メル・ブルックスの大脱走』『ドラキュラ』『スペース・ボール』『メン・イン・タイツ』と、正統派パロディ&お馬鹿映画の巨匠だ。まぁ近年の(って一番新しくて何年前だ?)作品はいまいちテンポが悪いような気もしてたが、タブーに触れて悪趣味でなく、下品に落として下卑てない、一種筋の通った面白さがとにかく好きなんだよな。ひょっとしたら映画監督の中で一番好きかもしれん。
 問題の作品はストーリーをもれ聞くしかないのがちと悔しい。願わくば大好きな『珍説世界史』時期のノリとパワーで映画化してくれないもんだろうか。ほら「ヒットラー・オン・アイス」の予告も果たしてくれてないことだし。

6月6日(水) 晴のち曇
 6月6日に雨ざあざあ降ってきて……内地方面は入梅らしい。これが無いのがここ極北の美点である。湿っぽくて暑くてカビが生えてゴキブリざわざわなんて冗談では無いのだ。二度と東京なんかで仕事しねぇからな!うき〜〜〜ッ!!
 などと些細なトラウマを召還していたら、続いて今度の選挙用の各政党のCMが放映されていた。最近とみに言われることだが、どの政党のも、どんどん手がかかってショーアップされてきている。その功罪は僕ごときの語ることじゃないんで、とりあえず感想など。
 自由党、オモシロすぎ。行く手を阻むロボットに体当たりで道を開き、爆発を背に真っ黒な顔で見栄を切ってるあたり、オチも楽しい。このままプロのCM役者になってはどうだろう。
 対して公明党のダジャレは今ひとつ。共産党もなぁ……ベルトを絞ってみせて「引き締め」をアピールってのが、いまいちオヤジな語呂合わせじゃなかろうか。それに、どうせならもっとCG使って極端にギュギューっと絞めたほうが良かったのじゃなかろうか。「無理に見えても頑張ります!」ってイメージが出て。出したくないかもしらんけど。というか、そもそもこの人たちって、何をする/したがってる人だっけ?

6月7日(木) 晴
 ねこま推薦の『頭蓋骨のマントラ(エリオット・パティスン/著、三川基好/訳、ハヤカワ文庫)上・下』を読了。うむ、満足!書店で手にした時は「アメリカ人の書いた中国占領下チベット?どうせトンデモな風俗描写とか非民主主義批判とかダロ?」とか疑っていたのだが、どっこいそんな薄っぺらなものじゃ〜なかった。
 確かに、アジアならではチベットだからこそ……という要素はある(これが”らしく”描けてるんだ、また!)が、それを差っ引いても十二分に読ませるものがある。文化の衝突、主義の違い、それを乗り越えうる理と踏みにじっていく欲。人の歴史の中で連綿と繰り返されたであろうそれらが、殺人という一種象徴的な出来事を軸に緻密な筆致で描かれているのだ。他の場所に時間に置き換えて考えて、それが良くわかった。ナチの強制収容所、日本軍の強制労働鉱山、アフリカの同種の場所……きっと同じだ、そう思える。そして、国や主義の差を越えた人の業に慄然とする、そんな作品だ。
 そして何より、ラストの衝撃!いや、犯人探しではなく、そこに現れた人間像に愕然とさせられたのだ。ネタバレになりそうなんで伏せて書くけど、最初に描いたイメージそのものが、作者の側から返されてくる。どうせ外野のトンデモ視点……と思った自分自身が、そこに呆然と突っ立ってるような印象を受けるのだ。これは怖いよ。

 以前にこのページを置いてたso-netのサービスが、やっと止まる。5月頭に停止を申し入れて、ようやっと……だ。
 どうやらこっちでサーバの中味を空けたり転送他のサービスも逐一止めないといけなかったらしいが……それならそれで、どっかに明記しておけso-net。どうせ規約に細かい字で書いてあるとか言うんだろうけど、だったら「退会について」記したサイトのFAQは何の意味があるんだよ。たかだか数百円でも気分悪いぞぉ。ってもう縁が切れてるから意味無いんだがにゃ〜。

6月10日(日) 曇時々雨
 ねこまとふたり、映画を観に出る。モノは一昨日封切りたての『ハムナプトラ2』。普段なら家族連れの猛威を想定し日曜日の映画館は避けるし、封切直後は混雑するからと時期をハズすところだが、今日は「よさこいソーラン祭」で皆さんオモテで楽しんでるはずと狙ってみた。結果は快勝。うむ、これなら3月にいっぺんくらい「よさこい」やってくれてもいいぞ。<やらんて
 で、映画本編。
 面白い。つか、色んな意味でスゲェ。
 とにかく圧倒的な物量とジェットコースター展開と怒涛のイヴェントとご都合主義とで「今度は戦争だ!」と突っ走るんだけど、そのテンポの良さと目を逸らさせないカメラ運びがまずスゴイ。モンスター相手のアクション満載で迫力もたっぷり、だけど殊更にスプラッタ系のグログロ描写を退けて、気分良くドキドキさせる志や良し。荒唐無稽なオハナシも設定もメカ(!)も、当たり前のように世界に組み込まれ、おまけにちょっと感動させらりたりなんかして。
 素晴らしいバカ映画。エンタテインメントここにあり。ブラボー!
 観に行く気になった理由の1には、前作が気に入ってて「その後」を観たかったってのもあるんだけど、みんな相変わらずキャラが立ってる。ちゃんとそれぞれの見せ場があって、きっちり役割をこなしてくれるのは嬉しい限りだ。主人公夫婦の子供の言動なんかに前作のネタがちょいちょい顔を出すのが楽しいし、特に砂漠の民のリーダー、アーデス・ベイ(前作で名前出てたっけか?)、1作目でも黒い衣装を翻して闊歩してる姿がカッコ良かったのだが、今回はまた至るところでオイシイ場面をさらっている。主人公たちの危機を救いに突然現れるわ、銃と剣とで獅子奮迅の闘いを見せるわ、軍勢を率いてバケモノ軍団に立ち向かうわ、いちいち絵になるんだこれが。その癖ときどきポロッと間抜けな発言をしてくれるし。あと主人公もそうなんだが「打たれ強くないとヒーローになれない」の体現っぷりがスゴすぎる。イカスぜアーデス!でも族長なのに、なんで何もかも1人でやろうとするかねこの人は。せめて部下の数人も連れて歩けよ危なっかしい。それとも、1で手勢が全滅したんで方針変更したんだろーか。
 それはそうと、今回ハムナプトラは殆ど関係ないんだよな。てきとーな邦題つけてしまうと、続編が出たとき困りますな見本のようだ。インディ・ジョーンズまがいのタイトルロゴも逆効果。原題まんまのほうが、素直に受け入れられたと思うよ。

 帰宅したら、JDSLモデムが配達されていた。5月アタマに申し込んで、先ごろ「受け付けたから調査に入るね」メールが来ていたばかりなのだが……妙に順調だな。いや文句は無いけど。でも設定を送ってこないのに機械だけ来ても困るんですけどね。そこらへんどうなってるのよODN。待ってますんでよろしくね〜♪<ちょっと浮かれ気味

6月11日(月) 雨
 終業と同時に東急ハンズへダッシュ。ねこまと、例によって2Fのカフェで待ち合わせる。ハーブティとケーキ(パイナップルの乗ったヤツ)を掻っ込んで、いざ出撃!いや、そんな食い方するモノじゃないとは思うんだけど、空きっ腹に美味い物つー最強タッグの前にマナーとかツツシミとかが勝てたためしは無いのだよ、うむ。
 で、買い物。ポリパテを補給したかったのだが、ホビー関係のコーナーにはタミヤのチューブ入りのヤツしか無い。うううう、ワシはでっかい缶入りの「モリモリ」が欲しいんじゃあ!仕方なく代替品を求めて階下のホームメンテナンス絡みの棚を探すが、ここには好ましい物が見当たらない。せっかく駆けつけたのに、ここで引くわけにはいかん。折から戸外は篠つく雨、しかし負けてたまるか〜〜〜!と駆け出して別な模型店へ駆け込んだ。を?どうしたねこま
 ねこま「明日また来ようとか思えないワケ?」
 思えません。僕は衝動のヒトなので。
 しかし天は僕に味方してくれる気は無かったようだ。辿り付いた先のショップにはチューブ入りの「モリモリ」だけが、ちんまりと待っていたのだった。
 しょーがない。週末にでも他を探すか。
 ねこま「司・葉・ク・ン・?」
 いや、だからさ、衝動のヒトってのは、その場限りのヒトでもあるワケで。こらこら、その手は何かな?なんでゴッツイ石鹸(オリーブ油100%、外見は日干レンガそっくり)握ってるんだよう?

 さて、今日はちょっと真面目な話も書き留めておきたい。
 6月8日に大阪で、小学校に包丁を持ったピちがいが暴れ込む事件があった。死傷者の数も多く、マスコミ各社はこぞって報道した。そして僕は野次馬根性からそれに見入り、状況の変化を追ってTVやWebをチェックした(おそらく多くの人の)1人である。もとより自分の子は持たないし、子供全般を対象に見た場合はっきり「嫌い」という人間なので、しょせん興味本位、対岸の火事としか見ていなかったとも思う。
 だが、その事件の報道で、事件に遭った子供を取り囲みマイクを突きつける報道陣の姿を見た時、本当に、文字通りに気分が悪くなった。
 たった今、同じ年頃の子供(もしかしたら友達)が目の前で刺され、血を流すのを目にした子。刃物を持った大人の姿に、怯えて逃げるしか出来なかっただろう。それを大勢で取り囲み、先を争って声高に、頭の上から質問を浴びせるリポーター。病院へ押しかけ、緊急搬入口に入り込むカメラ。
 マスコミのやる事なんざぁ所詮作り事、適当な編集とテロップと音楽で盛り上げるショーまがいと考えていたが、今回だけは本物の「暴力」を目の当たりにした思いがする。包丁を振り回した犯人と同じぐらいに、いや、確信犯である以上、犯人よりも唾棄すべきじゃないかと。
 そして、さらに悪質なのは、今日に至るまで誰ひとり反省らしい姿勢を見せてないのだ!
 彼らにはマトモな神経は無いのか?
 見たがり探りたがりのマスコミに自身の姿も反映されているという戒め(柄じゃないと笑われるかも知れないが)をこめて、僕は自分に、そしてここを読んでくれる友人知人の皆さんに誓いたい。
 僕は、こんなモノは報道の自由だとは思わない。こういう報道をした番組を観ないことで、それを示して行きたいと思う。
 そして、できれば皆さんにも、検討してみていただきたい。とても大事なことだと思うので。

 蛇足ながら、僕んちでは朝日新聞と生まれてこのかた30数年の付き合いだが、今回の報道でトップに掲げた子供の写真には非常にムナクソ悪い思いをした。悲惨な風景に身をおいて、いっぱし戦場カメラマンみたいなノリで撮ってるようにしか見えん。自分は安全な場所にいて、他人の不幸を晒し者にするんじゃねぇや。今期分は契約しちまったから諦めるが、次回の更新前にこんなことがあったら、実家と親戚友人一同を説き伏せて他紙に乗り換えてやるからな。
 ……って他の新聞も似たよーなモンなんだろうなぁ。やれやれ。

6月14日(木) 晴
 ここ数日、寒い日が続いている。日中で10度そこそこ、まるで4月初めの気候だった。夜ともなれば毛布を取り出さねばならぬ有様、さすがにストーブはすんでのところで思いとどまったが。
 そんなこんなで冷たい飲み物を控えているまに「しみじみ緑茶」の桃太郎猫キャンペーンは終わってしまったらしい。とりあえずフルセット揃えたからよしとするが……それにしても、次のオマケはどうするんだろう。今回「にっぽん昔話」と銘打っていたんだから、やはりシリーズで来ると考えるべきか。とすると金太郎?いや、しかし「熊の猫」「金太郎猫」「山姥猫」の先が無い。つか山姥をどう表現するんだ僕。ガングロ娘じゃシャレにならんぞ。んじゃ浦島太郎はどうか。太郎、乙姫、鯛、鮃……ヒラメの猫?数も少ないし、これもダメだろう。
 数が多いとなると、さるかに合戦ぐらいなもんだが、猿の猫・蟹の猫・臼の猫……とか始めたらもう何が何だか。しまいに馬糞の猫なんてのも出さなきゃいけないワケで、それはやっぱりまずいだろう食物に。
 いや、別にこれが実現するとは思ってませんが。

6月15日(金) 晴
 仕事を終え、足取り重く歯医者へ。かねての予告どおり「抜く」話になってマナイタ、じゃなかった診療台に上る。さっそく麻酔を……おや、意外と痛くないな。
 医者「じゃあ、抜きますね」
 ぎりぎりぎり。頭蓋の中で音がするのは、ちょっとイヤかも。
 医者「お?う〜ん、これは〜」
 せ、先生、何ですかいったい。
 医者「つかみ所が無くなってますね。う〜ん。ちょっと切開しますね」
 はぁ。
 医者「え〜と、ここんとこ邪魔なんで砕きますね」
 ここって何処でしょ先生。
 医者「なかなか掴めないですね。もうちょっとなんだけど」
 ごりごりごりごりぎゅいいいいいいーん。
 医者「ああ、掴める掴める。引っ張りますよ〜」
 ……って先生、実況してくれなくていいですってばよ。どうせ見えないんだし。
 術後は抜いた歯(血まみれ)を傍らに、施術の説明をしてもらう。うむ、サービス精神の旺盛な先生であるな。もちょっと過剰なら「お持ち帰りですか〜」とか言ってくれそうな。言ってほしくありませんけど。

 帰りの電車の中で『トード島の騒動(カール・ハイアセン/著、佐々田雅子/訳、扶桑社文庫)』読了。
 ごく単純な判断力の有無を軸に敵対する人々の、誰もがビョーキ(この書き込みが上手いんだまた)というシチュエーション。そして展開する残酷なスラップスティック、というべきか。小林信彦の「オヨヨ・シリーズ(ジュブナイルじゃないほう)」に親しんで育った身としては、なかなか懐かしいテイストで嬉しい。どういう育ち方をしたかと言われても困るが、まぁそれは置いといて。
 これ、あながち絵空事でなくなってる気がするなぁ。日本の場合はマナーの悪いほうが幅を利かせてて、おまけに獰猛だったりするけれど、作中の言葉に拠るなら、いずれ反対側もエスカレートしちまうんじゃないかと思わせられることしばし。現に僕も帰途、目の前で吸殻投げ捨てたおやじの襟首にその吸殻を……入れたくなっただけですけどね、はい。
 奇妙奇怪な人間模様、勧善懲悪に見えて爽快感の無い展開、残るは疲労と脱力感。それでもニヤリと笑わされる、この味は結構クセになりそうだ。とりあえず「スキンク」の登場する既刊でも漁ってみるとしよう。

6月16日(土) 晴
 柚さんとデート。正確には、それぞれの趣味のエリアへの買い出しにご一緒したんだが、まぁ気にしないように。よしんばデートだとしても、たぶん同じコトをするだろうし。彼女のダンナも、そのへんは重々承知、つーかイヤってほど経験してるんじゃないかと思われるが。
 で、僕の買い物はというと、パテ。模型者なら知らぬは無い(のかな)ワークの「モリモリ」である。が、これが無い。つかチューブ入りばっかで1Kg缶入りがどこにも売ってないのだ。やっぱアレか。あったかくなって窓が開けられるシーズン到来ってことで、いち早く買い占めた奴らがいるんだろうか。う〜む、なんか虫みたいですな北国の模型者。その点、暴走族と似たり寄ったりかも。しかし夜中に「ぶぶぶぶぶぶ」とかいって眠りを妨げるあたり、あっちのほうが迷惑だな。こっちは単に臭いだけだ!<ってをい
 しかたがないので、とりあえずチューブ入りを2本、ついでに姉妹品の「スベスベ」を1本、買ってみる。これで歯をこさえて入れてみよう!てぇのは嘘だけど、歯医者の道具って模型者の工具箱とそっくりなんだよな。Webで関連品の検索かけると必ず歯医者関係が引っかかるし。とか言ってるあたり、なにげに昨日の後遺症から逃れられない僕だった。痛いんだよな〜。まだ出血してるし。
 つーわけで、三越地下で、それぞれの家人へ土産など買って柚さんと別れ帰宅。3時くらいに家に着き、そのまま布団を引きずり出して8時まで熟睡してしまった。人妻との逢瀬に始まった割には盛り上がりに乏しい、つか盛り下がりっぱなしの一日であることよ。あいたたたた。

6月17日(日) 晴
 久しぶりに予定の無い日曜日。おまけに『アギト』も無い。う〜む、つまらん。このまま昼まで寝るか……と思ったが、雑用がねこまの声で召還かまして来た。しかたなく起きて、人と魚のエリアをそれぞれ掃除する。
 で、歯痛も小康状態なので、そのまま書斎/物置へ。しばらく前から懸案だった換気口の改造を始める。と言っても、壁の換気口にダンボール製のダクトを取り付け、スプレーブースと接続するだけなんだが。ちなみにブースは未完成である。主要パーツの換気扇が、なかなか「コレ!」ってのが無いんだよな。
 午後からは昨日の戦果を試して過ごすが、これがどっちかっつーと戦禍で終わってしまった。「スベスベ」噂には聞いていたが、硬化剤が透明で、色合いで混合を確かめるすべが無い。それに、きめが細かいせいなのか、固まり具合がキツいのなんの……愛用の切り出しで全く削れない。いや僕がてきと〜〜〜な混合比でやったせいかもしれないけど。<ばか者
 まだ歯が(というか歯のあった辺りが)痛むので、夕食は冷たい蕎麦。山菜と大根おろしと味付け揚げ(お稲荷さんの皮にするヤツね)を乗っけた「キタキツネ蕎麦」である。腹の皮が張ったとたん瞼が緩み、そのまま2時間ほどうたた寝。こんなことしてるから虫歯になったりするんだよなぁ。とりあえず反省だけはしておこう。

6月19日(火) 雲時々雨
 相変わらず歯、じゃなくてその痕跡が痛い。もともと傷の治りの悪いほうなので致し方ないところ、一昨日あたりと比べて、のべつ血の味がしないだけマシというものだろう。あの調子で続いてたら、しまいに中毒してヴァンパイアのおっさんに「我が子よ」とか言われていたかもしれぬ。いや、言われたからどうということは無いですが。<あるよ
 ねこま謹製のハーブソルトでうがいをし、とりあえず小康状態を保つ。生のタイム(S&Gの「スカボロー・フェア」でパセリ・セージ・ローズマリーと並べて歌われてるアレね)を漬け込んだ塩だが、殺菌効果があるそうで、これがなかなかに効く。後味もさっぱりして、大変よろしい。
 最近、彼女がハマってるこのテの知識を聞きかじるにつけ、しみじみと思う。こういう女が魔女と呼ばれたんだなぁと。いや、だから、ウイッカとかウィッチってのは、本来オニババの意味じゃなくてだな。怒るなって〜〜〜!>ねこま
 まぁヨタはさて置いて、そのへんの推測はあながち間違ってないと思う。漢方薬なんざ中国四千年の人体実験の産物なんだし、世代を経て蓄積された自然療法って侮れないよな。近代医学の発達も大いに結構なんだけど、ここらの知識との併用ができるといいね。

 『新耳袋 第六夜(木原浩勝・中山市朗/著、メディアファクトリー)』を読む。
 僕の考えるところの「正しい鬼談の語り方」、つまり起きたこと見聞き感じたことを、そのまんま、なんの説明も脚色も無く記す……という点では、たいへん好ましいシリーズである。
 ただ、どうも怖くない。文体がドライに過ぎているのか、なんかこう、読みながら背後を気にするような感覚が沸いてこない。『耳嚢』を名乗ってるだけならそれでOKなんだけど、百物語の体裁を取ってるんだからいま少し怖がらせてほしいな。
 出来事をまんま書くのと語り口を工夫するのは別物だと思う。もっとも、過剰に演出して「●●霊の仕業!」とか言われると、別の意味で興醒めするんだけどね。
 あと、取材や編集の方針上、仕方ないのかもしれないが、著者の過去だの周辺の出来事だのが多いように感じるのも「怖くない」点じゃなかろうか。今回のイベント周辺話なんか、出来事自体は不気味なんだが、どうも身内ってことで割り引いてしまう。以前の巻にあった建築物の話なんかも「それで?」って感想しか持てなかったものな。変な建築物なんか世の中にいくらもあるもの。現に今僕が住んでるアパートなんか、かなりムチャクチャな作りだし。<大家さんごめん
 個人的には「もののけ」めいた話が好きなんで、続巻に期待するとしよう。「いぬ」みたいな味のある話がいいな。んで、できればウチの猫にも……って、3匹で一斉にやられたら怖いだろうなぁ。

6月21日(木) 雨のち曇
 『ルー=ガルー(京極夏彦/著、徳間書店)』を捜索。2軒目で手に入る。予想はしていたが、やはり分厚い。重い。サイズも手ごろで撲殺向き……いやいや、そういうこっちゃなくて、週末にじわじわと楽しむとしよう。そう、圧殺を。<違うて
 一緒に『墜落現場 遺された人たち(飯塚 訓/著、講談社)』も求める。これは冗談口を叩くべきものでは無いな。野次馬視点で読むことも厳に戒めて、いずまい正して棚に収めておこう。まとまった時間をとって、じっくり向き合わねば。

 今週はコミックも色々と買ったのだが、ひたすらむさぼり読んだだけだった。まぁいずれ劣らぬ気に入りばかり、「好きや〜〜〜!」以外に何か書けたか怪しいものなのだが。
 『ブルー・ワールド(星野之宣/著、講談社漫画文庫)』
 『千の王国百の城(清原なつの/著、ハヤカワ文庫)』
 『百鬼夜行抄(今市子/著、朝日ソノラマ)』
 『観用少女(川原由美子/著、朝日ソノラマ)』
 『たたらの辻に…(ささやななえこ/著、角川ホラー文庫)』
 『ミノタウルス(同上)』
 うむ、満足じゃ。来週以降もこれぐらいの収穫があるといいな。財布へのダメージがデカいのが、気になるといえばなるけれど……気にしても始まらないよな、生まれつきの業病みたいなモンだから。つける薬があったってお目にかかりたくないし。
 あと今日『あずまんがリサイクル(あずまきよひこ/著、メディアワークス)』を買ったが、これは大失敗だった。何がって『天地無用!』ネタがさっぱり分からんのよ、観てないから。う〜む、なんか面白い気がするんだがなぁ。しょうがないから、これからビデオで観るしか。<こいつは「本末転倒!」

6月23日(土) 晴
 真夜中のこちら側でJDSLに乗り換え。すっばらしい速さに、家人ともども驚く。いつも延々待って開くWebページが一瞬で表示されるのが、あまりに快適でキモチ悪い。<おいおい
 ま、早晩慣れるだろうけれど。そしたらまた何か不平のネタを見つけるだろうけども。とりあえず今日のところは驚いておいてやるか(笑)

 『クリスタル(アンドリュー・ヴァクス/著、菊地よしみ/訳、ハヤカワ文庫 )』読了。クリスタルの言動や(遺体の描写を含めて)死のシーンを描かず、ただ彼女のために行動するバークの姿は切なく胸をうつ。また同時に展開するもうひとつの物語も、痛々しく苦しいながら奇妙に美しい。ハッピーエンド大好き、暗い話はまたいで通る僕がシリーズを読み続けているのも、この残酷な世界での哀感に満ちた情愛から離れ難いからだろう。
 ただ、ラストはちょっとご都合な気がせんでもない。つか、そこへ結びつく必然が見えない。結局、彼女が連中をも操って彼を……ということなんだけど、その影響力が見えないんだよね。ストレーガに勝てないまでも伍せる程度でないとな。
 あと、これは日本の版元の問題だが、またいい加減なアオリ文句が書いてある。ウェズリィはいつからバークの「宿敵」になったんだよう。まさかコレで「とも」と読めとかってんじゃねぇだろうな。カンベンしろい。

 ねこまが体調を崩しているので、しかたなくパソと模型部屋を往復して過ごす。ダウンロードして〜型組んで〜解凍して〜パテ練って〜インストールして〜流し込んで〜再起動して〜削って〜というパターンの繰り返しなんだが、こうして見るとエレぇ「ながら」状態であるな。どっちも待ち時間の発生するものだから仕方ないが、途中で手順をごたまぜにしたら大事である。ふと気付いたら、ぱちょこんが妙な形になってるかもしれん。せいぜい気をつけるとしよう。
 午後遅く、ねこまが起きるのを待ってバナナチョコパフェを製作。冷蔵庫で冷やしたバナナのスライスとアイス(チョコ&バニラ)を交互にグラスに入れ、てっぺんからチョコシロップ(牛乳に溶かして飲むやつでOK)を垂らして出来上がりなんだが、これがなかなかウマイ。次は生クリームを入れてみようかな。つーとアレか、バナナ切って〜ダウンロードして〜型組んで〜アイス盛って〜解凍して〜パテ練って〜……うううううう、何がなんだか分からんがなぁ。<泣くなよ

6月24日(日) 
 いろいろ作業をしようと早めに起きたので、ついでに準備運動をと大家さん方の犬を散歩に連れ出す。半年足らずの子犬とはいえ生粋のアイヌ犬、なかなか力強い。だが、よしよしと走らせていたら、15分ほどでバテたらしく、ぺたんと道端に座ってしまった。世が世なら熊狩りに使われる犬だというのに、あまりにも軟弱である。これは、ご近所の橇犬コンビに預けて鍛えてもらうべきではなかろうか。て、犬に預けてどうなるってハナシもありますが。それに僕の犬じゃないし。

 午後は近在のホームセンターへ買い物に。手ごろな換気扇があったので、さっそくゲット。これでようやくスプレーブースを作れそうだ。
 しかしまぁ、相変わらず放置された子供の多いことよ。そこらをウロつき駆け回り、通路に座り込んでいる。邪魔だというのもあるが、古来「ひとさらい」という由緒正しい(違)種族が存在することを、陰惨な事件は山ほどあるに、いまどきの親は理解せんのだろうか。僕だって「向こうでお母さんが呼んでるよ」とでも言えば、子供のひと山くらいは集められる自信があるぞ。そういうモノの収集癖は無いから、しないけど。つか集めたら、もれなく三食奉仕活動つきの別荘にご招待になりますが。
 ……とか憂いつつ眺めていたら、ねこまがガシャポンで「ちよちゃん&忠吉さん」を一発ゲットしてきてくれた。わ〜い、おばちゃんありがと〜。
 ねこま「司葉クン……知らないヒトには貰っちゃダメよ」
 な、なにを言いますかこの人は。そんなハズないでしょういい年して。いやコレが第二弾の榊さん&ねここねこなら考えないでもないでもないような(体罰のため以下略)

6月25日(月) 
 28度という猛暑……なんて言うと本州勢に叱られそうだが、極北の冬生まれ人間には辛い日になった。会社の玄関が「夏への扉」になっている。もちろん寄り道なんぞする気にもなれず、冷房の効いた場所を伝うようにして帰宅した。受難の季節の始まりだ。
 ほとんどTVを観ない我が家だが、月曜日は珍しくつけっぱなしとなる。その前でヒト1匹猫3匹が、敷かれた竹ゴザの冷たさを求めてゴロゴロしているのは、なかなか壮観と言うか見ものと言うか、どっちかというと見て欲しくない有様かもしれん。で、暑さのあまり作業ひとつする気になれず、メシ食ってそのまま寝てしまった。
 明日は30度を越えるという。外へ向かうのは「地獄の扉」になるのだろうな。ってネタひとつ無いのも暑さゆえってことで、ひとつ。<何がひとつだ

6月26日(火) 快晴
 予告いや予報どおり気温は30度、無慈悲なまでの上天気である。どこらへんが無慈悲かっつーと、海からの呼び声が聞こえる幻聴に悩まされるということだな。いや、別にインスマウスじゃありませんて。ほ〜れ♪ぺったぺったぺった♪
 とか脳の干上がったような言動が増えるといろいろマズいので、極力戸外へ出ずに日中を過ごす。生まれついてのお天気屋、太陽電池で動いてる身とはいえ、過負荷はマズイ。熱暴走したら怪しい言動ぐらいでは済まんかも知れぬしなぁ。日が暮れるまで外へは出ないぞ。ああ出ないともさ!
 しかしヴァンパイアみたいな決意を固めたのも束の間、こないだから懸案の買い物に行くには好都合な天気であることに気付く。モノが木材なので、湿気のある日には運びたくない。定時に会社を飛び出し、街中へ赴いた。
 ハンズで手ごろな角材を選び、切ってもらう。これをダンボールと組み合わせ、スプレーブースを作るのだ。換気扇も先の日曜日に購入済みだし、この週末あたりに作業をしたいものだな。完成の暁にはリュータもスプレーも使い放題だ。よし、ついでにリュータのビットも買って行こう。<ひとこれをという
 買い物を終えて1階に下りたところのガシャポンコーナーですいんぐあずまんが2を発見。平日の夜、しかも閉店間際とあってライバルもおらず、ここぞとばかりに買いまくる。全種コンプを期してなので当然100円玉は足りず、レジのお嬢さんに2000円ばかり崩してもらった。いや、その、怪訝な顔をしないでね娘さん?僕の友人には銀行でわざわざ棒金に両替してガン消しを打ち止めにしたヤツがいるんですから。僕なんかまだまだヤツの衣鉢を継ぐには……って継ごうとしてる時点でマズいですな。はっはっは。<乾燥気味
 そんなこんなで結構遅くなってしまったので、ねこまと待ち合わせて帰るべく、まだ蒸し暑い大通公園でカプセル開けつつ時間をつぶしていたら、虫に食われてしまった。今年最初の虫刺されだ。初物を食うと長生きすると言うが、初物に食われた場合はどうなのだろう。誰か教えてください。

6月28日(木) 晴
 『猫はブラームスを演奏する(リリアン・J・ブラウン/著、羽田 詩津子/訳、ハヤカワミステリ文庫)』読了。
 読み始めた途端に違和感が生じる。喩えて言うなら「冷えた麦茶のボトルと思い直に一気飲みしたら麺ツユだった」感じである。キャラがおかしい。とうに姿を消した筈の人物がいるし、何より、主人公たるシャム猫ココの飼い主クィララン(この部分をどう区切るかで読者としてのスタンスが決まる)が変な立場になっている。何じゃこら〜〜〜!!
 と慌てふためき、普段は絶対に中身より先に目を通さない「訳者あとがき」へ。何のこたぁ無い、シリーズ前半の未訳本がこのほど出版の運びとなった、というものだった。やれやれ、それなら最初からそう言っといてくれよ。びっくりするじゃないか〜もぉ♪<やめれ僕
 さて本編。クィル・ペンが初めてムースヴィルに足を踏み入れる物語であるため、既に馴染んだはずの風景がきわめて異質なものとして眺められる。また事件も人も、かなり「角が取れた」観のある近年の作品に比べ、アクが強く生臭ささえある。シリーズを再認識する意味でも面白いだろう。
 謎解きそのものはあまり難しくは無いが、読み物としては非常に楽しかった。この直後の話も刊行が予定されてるそうなので、楽しみにしたいと思う。もちろん、ポリーおばさん(失敬!)がマトモになってきた最新刊もね。

 虫刺され痕が痒くてたまらずにいたら、ねこまが「塩もみ」を薦めてくれた。歯磨きに使ってるハーブソルト(例のタイムを漬けたヤツ)を一つまみ患部に載せ、ぎゅうぎゅうと揉む。半信半疑だったが、これが不思議なほどよく効いた。すごいぞねこま!今後キミを魔女改め「知恵袋つきおばーちゃん」と呼んでや(殴打)……いや、まぁその何だ。先人の知恵ってぇのは侮りがたいよね、ホントに。しくしく。


翌月へ




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