今年はインフルエンザが大流行とのことだが、僕の周囲では風邪が蔓延している。
ねこまはもとより、勤務先でもだれかれと無くゲホゲホゼロゼロ言っている。なんかこう、『復活の日』か『宇宙戦争』かって雰囲気ですな。病人の容姿によって地球人か火星人かに振り分けということで。ちなみに相方は火星の合成人間てこt
(殴打)
ま、それはさておき症状のほうは、なかなかに辛いものがあるようだ。相方によると
「熱がドーッと上がって鼻水がダーッと出てガーッとお腹にきたなと思ったらゾーッと寒気がしてグワーッと眩暈が」とのことである。なんか風邪の症状オンパレードって感じですな。しかしまぁ、この表現力の乏しさは何だろうか。擬音効果の風邪の声ってやつですかね。<ダジャレにするのもどうか
とか悪態ついていたら、自分も何となく不調。昨日の夕方あたりから微妙に寒気がする。とはいえ昨日は早暁とはいえ最低気温がマイナス15℃に迫るような日だったから、寒くないほうがどうかしてるってモンなんだが。
続く今日は寒さはさのみでもないが、空は一面鉛色で、そこから白いものがちらほらと、あまり元気の出るような天候でもない。
こういう時は勝負事だ!とゲーセンに赴くも、いまひとつ調子が出ない。食指の動くような獲物が無いってのが最大の要因だが、なんかこう、
ドーッと疲れるばっかりで…って。
風邪だな、うん。
早く帰って寝るべと思ったが、『氷の天使(キャロル・オコンネル/著、務台夏子/訳、創元推理文庫)』が終盤の佳境に入っている。とても寝ていられるもんじゃない。枕と猫の間で圧殺されつつ、読み了えた。
『
クリスマスに少女は還る』で惚れこんだ作家のデビュー作だが、生硬さや青臭さは無い。主人公のように、生まれたときからこの技量だったのか?いやマジで。
さて本作、人種の階級の貧富のといった多くの面で「坩堝」の名が相応しいニューヨークを舞台に、連続殺人を追うのが縦糸。これに絡む横糸、つまり登場人物はとにかく色とりどりである。しかし、その色のどれひとつとして互いに染まらず混じり合わず、織り成される物語の中で確固とした個性を主張しているのがまず見事。
わけても主人公が「かつてはストリートチルドレン、刑事夫妻に養育され現在は自分も警察に身を置き、天才的なコンピュータのスキルで犯罪を追う。だが特異なモラルの持ち主で、捜査のためならハッキングも辞さない。その容姿は、際立つあまり尾行に不向きなほどの美しさ」なんて、まるでコミックにでもありそうなカラーなのに、描き手の腕、話を壊さないどころか素直に魅了されてしまうのだ。挙動からは感情が欠落したように見える彼女、キャシー…(おっと)マロリーの、けれど亡き養父母によせる思慕の烈しさ、思い出さずにいる過去の重さ、そして周囲を取り巻く人々との様々な遣り取りなどなどがキャラの立体感を出しているからだろう。
脇を固める人々も、特異な能力をもちながら半ば隠棲しているような頭脳派、足で捜査するタイプのたたき上げの刑事、謎めいた降霊術師にシニカルな老婦人集団と、こう書くとステロになりかねないのに誰もが書き込みの妙で決して平板にならず、いよよ際立ち、かつ思い入れを呼ぶ。いっそ陳腐に思えた邦題(いや実はこれが気になって、発売当初は避けていたのだ)が、これをも見越してつけられたものなら凄い話である。
捜査の推移、導き出される結論、そして下る裁き。原題「Mallory's Oracle 」の皮肉に思いを馳せつつ、いさんで次の『アマンダの影』へと飛び込んだ僕であった。
…あう。具合悪いのに眠れないよう。<バカ