店主酔言
書籍・映画・その他もろもろ日記


[ 銀鰻亭店内へ ]
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9月1日(金) 雨
 唐突だが、日記を書くことにした。  ネタの無いページの三種の神器(変換するかよIME)である「掲示板・リンク・日記」に落ちたか!と思われるかもしれないが――いや「日記だけで成立できる」ほど実力が無いから、そのとおりな部分も無いではないのだが――実際のところ、最近とみに忘れっぽくなり、行動が散漫になり、かつ投げやりになっているのに危惧を覚えたからなのだ。昔から僕を知っている人間は「変わってねぇよ」と言うかも知れないが、本人が「ヤベェ」と思っているのだ、これに勝る証明は要るまい。
 漫然と日々生きて後に何も残らないのは構わないが、それが必要となった時に出てこないのは困る。それで始めるのだから、これは日記の体裁を借りた備忘録である。ゆえに必要の生じたときしか書かないし、内容は取り止めがない出任せである。わはははは、無敵だっ!って、開き直ってどうするかな僕は。
 ま、上に述べたような理由で始める日記なので、だんだん文章が怪しくなってきて、そのうち裏庭のアルジャーノンのお墓に花を手向けて欲しい意を仮名書きして終わっちゃうかもしれない。
 いや〜怖いぞ、これは。何が怖いって、アルジャーノンって鼠を飼った覚えが無いってことだ。究極のボケだな。

 こういう趣旨なんで、何の記念でもない平日に、唐突に始めるのが似合うよね<誰に言ってる?

9月2日(土) 曇時々雨
 頼んでおいた本が来たとの連絡が入っていたので、丸善へ行く。ものは原語のポーの詩集だ・・・・と言うと何やら偉そうだが、中学生の英語のサブテキストに使われそうな薄っぺらい冊子である。定価1ドル。丸善では300円払ったが、送料だの手数料だの考えると非常に安価だ。
 昔むかしのそのまた昔〜だけどお伽噺じゃない♪(歌うな!)中・高校生の頃、トレッキーと渾名されSFオタクを自任していた僕は、アルバイト料の全てを設定資料やグッズの類に注ぎ込んだものだが、当時はこんな風にスムーズには運ばなかった。
 円が弱かったから洋書は非常に高価だったし、そもそも入荷量が少ない。だから、しまいには「ぼくは にっぽんの がくせいです。すたー・とれっくが だいすきです。ほんが ほしいので りすとを おくってくださいポコペン」みたいな文章をひねり出しては向こうのショップへ直接コンタクトせにゃならなかった。インターネットなんて小説の中にも無い頃だから、手書きのエアメールである。で、数週間待ってカタログ代金を知らされ、それまで名前も知らなかった太陽神戸銀行(だっけ?)を訪ねて送金手続きをし、また数週間後に送られてきたカタログを辞書片手に判読してオーダーフォームを書き、また銀行へ出向いて・・・・はぁはぁはぁはぁ。思い出したら息切れがしてきたぞ。オタクな青少年のエネルギーって凄ぇよなぁ<他人事のように言うな。

 とまれ、いまやオタクは辞任しマニアをもって鳴る(出世魚か?)僕だが、語学力はさっぱり向上していないのを思うと、あの頃の努力って何だったのかなぁ・・・・と思わないでもない。
 本を読むのに辞書が要るというのは、辛い。「あなたの×××が◆◆なのよ。それは△△△で○○だわっ!」みたいな虫食い文じゃ、スケベな意味じゃなくてもそう取れるし、逆にスケベだったら盛り上がらないことこの上ない。いや、スケベ文が読みたいというんじゃなくて、どっちにしたって楽しめないと、そう言いたいのであって・・・・あー・・・・えー・・・・とにかく、本はすらすら読めないと、つまんないよねっ!<力押し
 何はともあれ、かくの如き繰言を、今回ポーを手にして再認識した僕である。詩文の美しさは、それを産んだ言語で一度は味わいたいと思う。ブラッドベリなんか名訳が多いけど、オリジナルを音読してみると衝撃的なまでの言葉のリズムに圧倒されてしまうもの。僕の大好きな「霧笛」なんか、だだ泣きしそうなほどに美しい。
 できれば声音優しく見目麗しい妙齢の女性に、膝枕で朗読してもらいたいものであるなぁ。

 丸善を出、大丸藤井で資料整理用の2穴ファイルを購入。画材やホビー素材をひやかし、帰ろうとすると、いつの間にか歩道の人口密度が上がっている。当社比2.5倍な印象だ。しかも東急ハンズの袋を持った人が目立つ。しまった、まだハンズメッセの期間中だ!
 人込みと高温が死ぬほど嫌いな僕には、今日の街中は危険度が高すぎる。速攻でバス停に向かい、家に逃げ帰った・・・・が、既に受けたダメージは大きく、僕は畳の上にばったり倒れ、夜ふけて家人が帰ってくるまで、意識不明に陥ったのだった。
 ・・・・いや、猫と一緒に爆睡してた、とも言いますけどね。

9月3日(日) 曇のち晴
 雑誌で見た本の整理法を試すべく、郵便局へ。「ゆうパック」の一番小さい箱を買い込んで帰る。これに文庫本を詰め込んで、スタック可能な本箱にするのだ。
 とりあえず通常の組み立て方法で底を閉める。耳の部分を5ミリ強切り取って、中へ折り込む。フタはいったん内側へ曲げてから、外へ折り返し、余った部分は箱の底に合わせる。これでいっちょ上がり。
 さっそく本を入れてみると、これがなかなかに按配が良い。13冊程度しか入らないが、4段重ねても撓んだりしない。1箱ずつが軽いから、前後2列に並べて入れ替えなども可能だ。箱の上なり側面なりに中身を書いておくなんてことも出来る。シリーズもののミステリ、時代小説、それに増えまくった漫画などを整理するには最適かもしれない。
 それにしても、この箱は廉い。プラスチック製の文庫収納ボックスを買えば、どうしたって数百円はするだろう。「ゆうパック」は100円である。丈夫な上に組み立て用のテープもついているし、不要になれば再生紙として処理できる。さらに、小包としても使えるのだ!・・・・って、見え見えのオチだったかな。

 午後になって、柚さん来臨。お土産に戴いたケーキの中で、もっとも無難に見えたオムレツケーキを口にしたら、つぶ餡と餅(ぎゅうひ?)が出てきた。これが流行りの異物混入ってヤツっすか?いや日本古来の味だから遺物なのか?恐るべし●のとや。科学する心に満ちている菓子屋だな。
 しばし歓談ののち、柚さんは資料を求めて我が家の魔窟・書斎へ挑まれる。勇気あるなぁ・・・・布団が敷けるほどのスペースは確保したとはいえ、地震が来たら圧死間違いなしの環境へ踏みこむとは。<片付けろよ
 その後PS2ソフト『メタルギアソリッド2』のトレイラー・ムービーと『三国無双』をお目にかけ、大いにウケる。前者は映像に嘆声あげつつメリケンおたくの生態観察、後者は敵を蹴散らすハチャハチャぶりと一部色物キャラのアクションがツボに入ったようだ。いや実際、張角のポーズとセリフはイッてる。このぶんだと孔明先生は、やはりビィム攻撃なのかなぁ・・・・。

9月4日(月) 晴
 終業と同時にダッシュで帰宅。
イストリア攻略本表紙  昨日に続いて柚さん来臨。プレイステーション用ソフト『ウェルトオブ・イストリア』の攻略本?を持ってきてくださった。
 なんでクエスチョンマークがついてるかと言うと、これは元スタッフの方々が自主制作したものなのだ。開発時の挿話とかボツシナリオとかHPに掲載されたマンガとか、そういう内輪ばなしが楽しく書かれている。特にプログラマ氏のエピソードが笑える。あと、マップと攻略フローチャートとキャラ設定も載っている。って 攻略本なら必須か、このへんは。
 柚さんからは他に、WOWWOWで放映された『怪〜七人みさき〜』のビデオをお借りする。借家住まいで勝手にアンテナを立てられない身のうえ、こっちでは劇場公開も無いとのことで諦めていたのだが、これで見ることができる!ありがとう柚さん!ご恩はしばらくの間忘れませんっ!
 ねこま謹製のハッシュドビーフを食べながら皆で『名探偵コナン』を楽しむ。原作の出来の良さを誉めながら、白鳥警部役の塩沢兼人氏の不在が寂しかったりする秋の宵であった。

9月5日(火) 晴
 昨日までの日記をアップ。店の改装もそろそろ方向性が見えてきたので、これから随時間口を広げていけるだろう・・・・と思ってたら、いきなりミスを発見。昨日と一昨日の日記がミックスされていたのだ。いやはや、日記開始の理由がもはや証明されるとは。小次郎、敗れたり。誰が小次郎か、とかのツッコミは却下。

 そういや史実における小次郎って、白皙の美青年なんかじゃ無いんだよね。武蔵は当時青年だけど、小次郎は40過ぎのおっさんだったらしい。それじゃ絵にならないからって講談や小説で脚色した姿が、今や一般的なイメージになってるけど・・・・沖田総司が実はヒラメ顔だったり吉良上野介が地元では慕われる名君だったりするのと同じで、現実のほうがよほど面白いと思うのだけどなぁ。

9月6日(水) 雨
 創元SF文庫『影が行く』読了。『物体X』の原作である表題作以下、ホラーSF13本を編んだ日本オリジナルのアンソロジーである。
 読後感としては、とにかく「懐かしい」テイストだったと思う。特にマシスンやライバーなど、青少年期に読み漁った図書館の空気がぷ〜んと薫ってくる印象。ディックやアシュトン・スミスも定番の風味だ。ちょっと黴臭いが、あとは好き嫌いの問題だろう。
 ゼラズニイの『吸血機伝説』が嬉しい。あっちこっちに収録されてるけど、何べん読んでも大好きなんだよな〜この話。座右の書、ブラッドベリの『火星年代記』の中の1編と好一対だし。ただ、新訳とのことだが、風見潤訳よりいささかドライになってるかな?程度の違和感しか感じなかった。主人公が主人公だから、このほうが原作のテイストに近いのかも知れないが。
 対して『影が行く』は、何故か妙に真新しく感じた。新訳の効果もさりながら、以前に読んでから映画『遊星よりの物体X』『遊星からの物体X』両作品にふれる機会があったからだろう。グログロ映画の”はしり”だった後者のほうが原作に近いコンセプトを持っていたのは、読み返して知った新鮮な驚きだ。
 トリを飾ったオールディスにも、ちょっと驚く。こういう作品もあったのか。ウェルズでドイルでラヴクラフトな世界は、『結晶世界』とはまるっきり違う顔を見せている。好みだな〜。こっち系統、他には無いのかな。
 しかしナンだな、この本、富士見だのスニーカーだのにハマってる子供たちにはどう読まれるのだろう?古色蒼然とした背景や設定は新味になるのだろうか?そもそも、表紙がマンガじゃないと手に取らなかったりして?
 あとがきで編・訳者、中村融氏が「ウルトラQ」に話を振られたのが喜ばしくも懐かしい。氏より数年後とはいえ、同じ番組におののいた記憶は僕の中にも残っている。欲を言えば、ついでのことに『怪奇大作戦』にも触れて欲しかったな。あれも人格形成期に壊滅的な打撃を与えて、僕をSF者の端くれにしてくれたんだから。って、縮めてみたら「人格破壊期」なのか?しょえー。

 『怪奇大作戦』といえば、漫画版の『モルダイバー』でネタになってたな。あれも面白かった。後で読み返してみるとしよう。発掘発掘<書斎の

 帰宅途中、紀伊国屋書店でCGB『メタルギア ゴーストバベル』の攻略本を発見。探しているときには見つからなくて、ある日突然出会うなんて・・・・幸せって、こういうもの?(大馬鹿)

 ところで、ここまで書いて、かなり驚いた。もう6日も日記を書いている!これじゃあ趣旨に反するじゃないか。ちゃんと三日坊主しなくちゃ、お天道様に顔向けできねぇぜ。でも今日はお天道様が出てないから、どのみち顔向けはできねか。いや、これは一本取られましたな、はっはっはっは。めでたし、めでたし。<ダメだって

9月7日(木) 曇のち晴
 こんな遊びを職場でやってみる。いや、別にコレが最終目標じゃ無いんだけど。
 帰宅後、家人とともに夜食を買いにコンビニへ。補給タイムの直前で、弁当はほとんど残っていない。おまけにレジには、いつもの可愛い女の子ではなく、お兄ちゃんが納まっている。良いこと少ない1日であった・・・・と、目を転じたら。
 お?おおおお?おおおおおお?チョコエッグではないですくわっ!!
 たしか今月25日からの発売と聞いていたのに、これは何としたことか。いや、情報なんかどうでもいい、とにかく買いだ!大人買いだ!
 「日本の動物」のほうのパッケージをポイポイとカゴに入れる。傍らでは我が相方が「ペット」相手に同じアクションをしている。・・・・まったくもぅ、コレだから歯止めが利かないんだよな。いや別に不満はないけれど。

 そこはかとなく「引いて」いるレジのお兄ちゃんを視界の端に、20個買い込んで帰宅する。
 片端からパコパコと割る。詳細はいずれ趣味部屋にでも上げるとして、相変わらずの出来栄えだ。造形・塗りはもちろんのこと、素材にも気を配ってる。オオダイガハラサンショウウオなんか、透明素材と塗料の相乗効果で「ぬめりん」な質感を出している。模型者の端くれとして、参りました!と言うのみだ。
 また、特筆すべきはチョコレートの旨さ。前回は粉ミルク臭さがあって、食べるのがちょっと辛かったのだが、今回は段違いに美味しくなっている。明治とは言わないが不二家には負けてない。僕の好みから言えば少々甘いが、この進歩は嬉しい限りだ。ありがとうフルタ!
 少なくとも、今日はこれでハッピーな終わりとなった。安直?いいじゃないか幸せならば!
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 ・・・・明日は、もっと買ってこようっと(爆)

9月8日(金) 曇時々晴
 予告どおりにチョコエッグを買い漁る。しかし案の定かなりダブってしまう。そこで整理がてらにページをこさえてみた。題して「へなちょこチョコエッガー」。おいおい妖怪やレッドデータも入れて整備するつもりだ。
 夜、TVで『ガメラ3』を観る。ぶっつんぶっつん、カットが多いのには今さら文句を言っても始まらないんだろうな〜。いいよDVD買うから(笑)
 で、映画自体は、劇場で観たときの興奮は無いものの、やはり上出来な怪獣映画だと思う。よしんばキャラが余分でもストーリーが盛り込み過ぎでも役者が●●●●でも(こらこらこらっ)お腹いっぱい楽しませてくれる。怪獣映画なのに綺麗だし。DVD出たら、絶対買うぞ!<それは分かったって

9月9日(土) 曇時々晴
 1000人斬り達成。

 ・・・・いや、異性人とのコンタクトに関する優れた能力を数値的に表現したわけではなくて、ゲーム『真・三国無双』の「虎牢関」面で、雑兵を1000人倒したのだ。これで最強キャラ「呂布」が使えるようになる。わーいばんざーいっ!<実は呂布贔屓
 ちなみに使用キャラは張飛・殺戮人数は正確には1258人+1(董卓)。僕が凶悪殺人事件でも起こしたら、この数字が大いに喧伝されるかもしれないなぁ。

 ゲームの合間に水槽の水替えをする。45cmは3週間、60cmは2週間替えていないので、さすがに危機感を感じていた・・・・のだが、コケも少なく、意外と汚れてない。室温が下がったのと窓からの反射光が減ったので安定してきたのだろう。これなら近々「お掃除戦隊スーパーチョキ(ヤマトヌマエビ)」を投入しても良いかもしれない。夏の間はパラパラと戦線離脱(昇天とも言う)してしまって、増援投入がためらわれていたのだ。今は生き残りがただ一人もとい一匹、横井さんか小野田さんかという風情で流木の陰をさまよっている。待っていろよ横井さん(確定かい)、もうじき仲間を連れてきてあげるからね!

 夜、近所の神社の秋祭りに出かける。この地に越してきてこのかた欠かさず通っているが、年々夜店の数が減っていくのがいささか寂しい。一時期行われた「暴力団系テキ屋締め出し」と積年の不景気のためだろう。イマドキのがきんちょどもが、こういう場を好まないのかもしれないが。
 店の内容もキワモノが乏しく、そういう意味でも食い足りない。せいぜい「ポストペット」のパチモンで構成された店があったくらいだ。看板がわりに幾つかはオフィシャルグッズを置いているが、店を埋めたピンクの縫いぐるみが全てパチモンという気合の入れ方だ。デジカメを持って出れば良かったと後で悔しがる。これが本当の後の祭り(言うと思った?)。
 近年の流行りは巨大だっこちゃん(ていうのか?)で、この日も『どこでもいっしょ』子トロをおぶって歩いてる子供がいた。ヘンな背後霊に取り憑かれているようで可愛らしい。そのまま立派なアヤシイ大人になってくれたまい。

9月10日(日) 曇のち雨
 TAKO'Sさんとオフ。郊外型大規模書店『コーチャンフォー』へ連れて行っていただく。
 うむ、でっかいなぁ。道内最大ってだけのことはある。ビルまるごと本屋な東京の某書店には及ばないけれど、体育館みたいに広大なワンフロアを埋め尽くす本棚の迫力は、こっちのほうが数段上だろう。
 適当な時間になったら携帯で連絡することを約して散開。かるく棚の間を流し、まずは文具コーナーへ。品揃えがとにかく豊富だが、あまり食指は動かない。ここしばらくハンズとか大丸藤井とかLoftだとかをほっつき回っていたせいだろう。

 余談:そういえば最近よく「触手が動く」という表現を見るのだが、これはどういうことだろう。僕の知らない間にタコ型火星人の侵略があったのか?それとも大いなるクトゥルフが海底から立ち上がって、その臣民を己の姿に似せたのか?
 手づかみでものを食う、その時使う指が引き寄せられるから「食指」なんだってばよ。耳が「触手」と聞いた時点で疑問に思わないのかなぁ。それとも、言ってる人は触手なの?<こわい考えになってしまった

 閑話休題。
 宮崎アニメのキャラグッズコーナーで、しばらく足が止まる。フィギュアの出来がスバラシすぎる。トトロとかコダマなら簡単だろーが、と思う向きもあろうが、それが2cm程度の携帯ストラップマスコでもそう言えるだろうか?ラムダ(ってのはルパンに出た時の名前だっけ?>ラピュタのロボット)まであるんですぜご同輩。ディテールしっかり、塗りも綺麗。ちくしょースゲェぜ!

 さて『コーチャンフォー』、かねて「と(トンデモ)本」の宝庫と聞いていただけのことはある。ジャンルが合っていれば何でもかんでも詰め込んである感じだ。TAKO'Sさんはパソ本コーナーでフォートランの本を発見したとか。しかも99年の刷りだという。いまどき何に使うのだフォートラン。どっかの秘密基地で、今なお巨大コンピュータが穴空きカードを吐き出したりしてるのか?と、一瞬白昼夢にふけってしまう。うむ、最大の敵は己、トンデモなのは僕だったか!
 書店に入ると必ず受ける名誉の負傷(財布に負う。傷跡は全て本の形)を語りつつ帰宅。僕も1冊トンデモなのを買ったのだが、これについては成果が出てから報告したい。そっちの趣味の人には全然トンデモじゃない本だし。
 家では途中で買ったケーキをぱくつきながらゲームなど鑑賞。いや〜、鑑賞するよりないモノばかりだった。『M神2』以下数点と言えば、分かる人には分かってもらえるだろう。いずれもゲームとして売ること自体に、凄い度胸を感じるラインナップであった。これを定価で買い集めるのだから、勇者だよな〜TAKO'Sさん。魔窟(書斎)へ踏み込んでも「この規模は3件目」とのことで動じないし<客を試すな
 夕食は3人で鍋を囲み、BGM代わりに『ウルトラセブン(平成版。今日TAKO'Sさんがゲットしたばかり)』を眺める。ヨモスエだったりチャチかったりする日本特撮のお約束を踏まえつつ、話は冗長な部分も多い・・・・が、けっこう面白かったと思う。「観察者によって現象が存在する」哲学ごっこはネタとしては悪くない。というか、想像させることで怖がらせることができるだろう。「さとるのばけもの」の怖さは、いつの時代にも健在だ。たぶん。
 食事のほうは、かねて噂のTAKO'Sさんの健啖ぶりを間近に見る。嬉しくなってつい対抗意識を燃やすも、当然ながら敗北。彼が去った後、腹ぱんぱんで身動きも億劫になり、そのまま就寝と相成った。実り多い一日だった。TAKO'Sさんありがとう!次は土鍋で勝負だ!<フードファイトかい

9月11日(月) 曇のち雨
 9・10日の日記を書く。夏休みのお約束だ。今年は夏風邪のせいで、夏休みは全てツブれたけれど(しくしく)。

9月13日(水) 曇のち雨
 帰宅後『ジャイアント・ロボ THE ANIMATION 〜地球が静止する日〜』を観る。発売当初に続けて観ていたのだが、当時仕事が忙しくなったため、最終回1歩前でそれっきりになっていたのだ。今回、同居人の知人からDVD全巻を借りられたのを幸い、毎夜楽しんできたのだ・・・・が・・・・。
 (しぼり出すように)く、暗ぇっ・・・・。
 感想としても稚拙なのだが、最初に思ったのはこの一言だった。暗いよ。暗すぎるよ。救いもカタルシスも無いぞ?
 作品自体の出来は大したものなのだ。手抜きのない作画も逸らさない展開も、ベテランで固めた声優陣も素晴らしい。だけど・・・・ハナシが・・・・オチがっっっ。結果としては「以降、続く!」だし、ヒロインのあの最期はなぁ・・・・イデオン並じゃないだろうか。さっぶぅ。
 暴れん坊夫婦も、敵のくせにひたすら場をさらう衝撃のオッサンも、リビングデッドな兄ちゃんも、それぞれの場で己の意思で殉じて行く。それは、よくある(僕の大っっっ嫌いな)ご都合主義な盛り上げ演出つきではない。どれも重くて、痛い。けど・・・・大作少年が父に返す答を、既に決め込んでいる印象があって、それが僕にはどうしても是とし難いのだ。
 横山光輝(一発変換かIMEッ)キャラのオンパレードで笑える部分も多々あるが、全体を通しては重苦しい未消化感が残る作品であった。絵柄はさておき、漫画版の方が好きかもしれない。
 ひょっとすると製作スタッフもそれが辛さに番外編を出しまくったのだろうか?銀鈴のシャワーシーンとかオッサンのシャワーシーンとか、お兄さまのTバックとかのアレは・・・・

 ところでBF団って、実写版だと宇宙人だったよね?あの突き抜けたセンスはソレで納得してたんだけど・・・・首領がバ●ル二世だとすると、実は単なる悪趣味なのか?

 就寝前に『町でいちばん賢い猫(リタ・メイ・ブラウン&スニーキー・パイ・ブラウン/著、茅律子/訳 、ハヤカワ文庫)』を読み了える。実は書斎での探索に失敗し、続きの『雪のなかを走る猫』『かくれんぼが好きな猫』を既に読んでしまっている状態だったのだが、問題なく楽しめた。
 ミステリとしては、軽い。物足りないまでに謎解き要素が無い。けれど、人々の心の動きや日常を活写しながら、動物たちから見た人間のおかしさ(ちょっとナチュラル志向が鼻につくけれど)を軽快に描くペン、いや前足の運びは実に愉しい。ぜひ早いうちに続きを出して欲しいものだ。
 そういえば、最近、僕が好んでいるミステリにはこういう「アメリカの小さな町の事件簿」が幾つもある。『シャンディ教授』『セーラ・ケリング』『○○の殺人』『猫は○○する』『図書館』は・・・・ちょっとダークでウェットかな?とまれ、それぞれシリーズで読みふけっているが、どんな陰惨な事件があっても妙に和んでしまえるという、すぐれた(?)特性がある。アイディアと展開で脳に背負い投げを食らわせてくれる本格派も大好きだが、迫る冬が見え隠れする今日この頃、これら「ストーブ前文庫」が嬉しく思いますがいかがでしょうか。<誰に言ってる?

9月14日(木) 雨
 チョコエッグは順調に集まりつつある。善哉善哉。これというのも、外側を食べてくれる会社の同僚たちのおかげであろう。女性連など声高に「肥るじゃないの」と文句を言いながら、さっさと冷蔵庫から持って行ってバリバリと消費し、残った中身を持って来ては「早く次を買って来い」と催促してくれる。女性というものはかくも優しく犠牲的なものなのだ・・・・って、笑う哲学者・土谷賢二氏の真似をしちゃあイカン。実際ありがたく思っているのだし。
 問題は、3番目に期待していたキレンジャクが全く手に入らないことだ。渡り時期の群れの忘れがたい姿を声を懐かしむよすがに、できるだけ沢山欲しいと思っていたのに・・・・クジ運の悪さはいかんともし難いのだろうなぁ。サマージャンボも3億当たらなかったし<当たるかッ!

 ところで明日は敬老の日だが、誰か敬ってくれないかのぅ。妙齢の麗しいご婦人が希望なのじゃが、いかがなものか。

9月15日(金) 雨のち曇
 せっかくの祝日、寝て過ごすつもりでいたのだが枕辺の本を手にとってしまった。時間にあかせて2冊読み終える。

 1冊目は『女彫刻家(ミネット・ウォルターズ/著、成川裕子/訳、創元推理文庫)』。同文庫の前作『氷の家』で”脳髄背負い投げ(司葉用語・思いがけぬ仕掛けやオチに驚き愉しまされること)”を食らっていたので、期待と不安こもごもに手をつけたのだが、なかなかの満足が得られた。この先をまた楽しみにできるのは幸せである。
 一歩間違うと散漫になりかねないほどパラパラと風景を拾い上げて綴られる物語は、煎じ詰めれば疑いの物語だと思う。信じられるのか?信じていいのか?それは人と人の間だけでなく、ストーリーの核を成す謎そのものにも当てはまる。誰が、そして本当に?・・・・と、疑いながら引き寄せられ、そして至る結末。だがそれさえも疑わしい。解説子はこれを聊か蛇足ととったようだが、僕はそうは感じなかった。ただ、恐れながら慄きながら、これも間違いでは?と・・・・疑い続けたくなる、そういう物語ではないかと思う。作者の狙いが奈辺にあるにせよ。
 前作のように不安感が足音を荒げて押し迫ってくる感じは無く、僕としてはちょっぴり物足りなかった感もある。だがスタートからの掴みも上々で、いずれまた読み返したくなりそうだ。書斎の床への重圧が、また一冊分増えることになった。

 さて2冊目だが、これは大失敗だった。『襲撃待機(クリス・ライアン/著、伏見威蕃/訳、ハヤカワ文庫NV)』。
 何が酷いって、まずストーリーがすごい。ネタバレ予防して書きとめるとしよう。
 主人公は湾岸帰りのSASだが、戦争後遺症で妻との関係に不安がきざす。一時的に別居し妻をアイルランドの実家に帰すが、基地の医局受付の女性に気を引かれたりしている間に、妻はテロで爆死。復讐を誓った彼は任務で赴いたかの地で犯人を発見、任務の傍ら単独で殺害を試みるが地元警察に誤認逮捕されて失敗。だが転属させられた南米の任務中に偶然にも仇とめぐり会う。そこで上官に報告したところ、親善パーティに出席していた上官は現地の国防担当官と通信士の女性を連れてテロリスト見物に行き、誘拐されてしまう。奪回に赴く主人公・・・・と、まぁこんな話だ。
 すごいよコレは。何がすごいって、まずネタと話の構成。そもそも主人公の行動も、上官の行動も、素人の僕ですら「これでプロかよ?」というレベルだ。ハンドガンいっちょで大物を仕留めに行くか?しかも任務とカケモチで?酔っ払いが女連れでテロリスト見物?正気か!元SASの書いたものだというから、なおすさまじい。これでリアリズムのつもりなら、SASは壊滅してなきゃ変だろう。
 おまけに、こうまで盛り上げるべき要素を用意しといて、さっぱり気合が入らないのだ。復讐を決めるほどの妻への愛も、新しい女へののぼせっぷりさえも全然見えない。肝心なドンパチ部分も、細かいことをこちゃこちゃ書いてて興が乗らない。仮にもエンタテインメントで食ってくつもりなら、大藪晴彦とクランシーとクィネルと浦沢直樹の著作全部を煎じて飲めっ!と言うのが正直なところだ。
 また、この本は訳者が手を抜いたのか校正にかけなかったのか、とにかく読みにくい点が多い。地の文での主人公の一人称が「おれ」「わたし」または「おれたち」「われわれ」と入り乱れるだけで気分が悪いのだが。というか、これって日本語の基礎じゃないのか?
 午前中のいい気分を台無しにしてくれる、実に影響力の大きな本だった。

 口直し(?)がてに自転車で散策。ついでに遅い昼食を摂り、東急アルテをひやかす。机の横の資料置き場にうってつけのワゴンを見つけ、衝動買い。財布が痛いが利便性に替えられようか!後でするから後悔なのだ!わははのは〜。<給料日まで幾らで過ごすか考えて、ちょっとナチュラルハイ

9月16日(土) 雨のち曇
 故あって沈みがちな気分に、追い討ちをかけるような天気が続く。体調も良くないので昼過ぎに起き身の回りを片付けて過ごしたが、湿っぽい上に妙に暑く、ますます憂鬱になっただけだった。唯一笑えたネタが、昨日買ったワゴンの商品名。MINI METALというのはちょっとイイよな、アレなゲームを思い出して。
 しかし、この商品、アイリスオ●ヤマ製なんだけど、アメリカ製のス●パ●エレクタ●にクリソツなんだよね。デザインから組み立て方法まで全部同じ。これって技術協力とかなんだろうか?でなければパソコンメーカー某テックと同じだよなぁ・・・・いかがなんでしょ、そのへん。

9月17日(日) 雨時々曇
 気が塞いだまま、相方に引き摺られて本屋へ。フォトショップの解説誌とコミック『ファサード 8』『名探偵コナン 29』を買う。ふと目に付いたこんな標識も合わせて購入。身体を動かしちょっと笑って、幾分マシな気分になる。基本的に単純に出来てるんだな>僕
 勢いづいて、かねて計画していた作業にとりかかる。骨組みを作って基本の肉付けだけで終わるが、出だしとしては悪くない。このまま進めていって、あっちのHPに掲載できるレベルにしたいものだ。んでもって完成の暁には、あの女性(ひと)に差し上げ・・・・られるデキバエになりますように。なむ〜。

 夜に入って柚さんが見える。お裾分けとて、でっかいトウキビを持ってきてくださった。1本で腹いっぱいになりそうな(除、TAKO'Sさん)サイズで、しかも今朝もいできた瑞々しい物だ。畝の間を歩くものに感謝の祈りを・・・・捧げないで(当たり前だ)さっそく皮を剥きまくる。あとで相方に茹でてもらおう。
 畑から直送だけあって、歓迎されないお客さんも大勢入っている。しかし、コイツらに負けていては旨いものは食べられない。住居兼食料から、強引かつ速やかに退去していただいた。
 それにしても、スーパーで売ってるものには、ほんの小さなアブラムシ1匹いないのだが、アレはどうやってるんだろう?やはり薬をどっさり吹きつけて、塹壕堀りの時点で阻止してるんだろうなぁ。虫なんかいない方が気分がイイのは認めるけど、やっぱりちょっと怖い考えになった秋の夜だった。

9月20日(水) 晴
 憂鬱の原因が「とりあえず」一応の落着をみたので、またチョコエッグを買い漁る。いや、鬱ってた間も買ってたけどさぁ(笑)
 で、(トレードもお願いしつつ)コレクションの空白を埋めているのだが、これがナカナカ思うに任せない。重複してるものに限ってガンガン出てくる。バッタとメガマウスが特に多い。しょうがないからジオラマでも作ってしまおうか。前者は「イナゴの日」後者は「イルカの日」ということで<サメだってばよ
 某Be-Pal誌の表現による「胸に穴の空いたダメな大人たち」の一人として、日夜頑張ってはいるが、やはり穴を埋めてくれる人がいればありがたいものだ。笑うせェるすまん喪黒氏でも来てくれないだろうか。なんか違うもので埋められそうな気もするが。

 帰宅がてら書店を徘徊する。京極夏彦の(と断るも愚かな)『狂骨の夢』の文庫版が出ていた。腰巻(オビと言え)を見ると、なんと約400枚も追稿しているという。
 これは・・・・読みたい。
 読みたいぞ。
 背筋を這い登りさわさわと耳許で囁く音無き声の群。
 買え。
 買え。
 すぐ買えさぁ買え今すぐ買えと、身命を捧げたものの名において命じるものどもの、かそけくはあるが抗い難い、
 聲。
 とかなんとか、似てもいない物真似をしながら立ち尽くしてみる。実際のとこ、ちょっと迷うのだ。そう、あの『どすこい』を迷わず引っ掴んでレジへ走った僕だというのに。
 読みたいという欲求はむろん、ある。それが読み返しであっても、この作品はそれに値するほど「好き」だし。なんつってもラストシーンがなぁ・・・・いやいや、だがしかし、ここで出版社の思惑に乗っていいのか?こーんな素晴らしい造形物を表紙に使っただけでは飽き足らず、「追加」を見せびらかしながら売ろうとする手段は狡知貪婪悪逆非道天網恢恢疎にして漏らさずまさにツボ突かれまくりで悔しいっつーか我が身が不甲斐ないっつーか、しかしこれほどの作家にして、やはり書き直したい部分というのはあったんだろうなと感慨を深くするというか。
 ・・・・まぁそういうことで、結局欲しいんだな、これが。だったら素直に買えばいいのに、それが出来ないから困っている。
 なぜって、先にコミックの棚を回ってしまったからだ。んでもって3冊、手にしてしまったからだ。オマケにこの後、食料品売り場へ行って、相方と自分の夕食を買っておかなくてはならないからだ。これ以上の重荷は、ちと辛い。書籍ならば幾らでも持ち歩けた、あの頃は既に遠いのだ。そう、6時間前の昼食直後なら何とかなったろうが。
 うーん。
 迷った挙句、僕は欲望を断ち切ってその場を後にした。偉いぞ僕!次の機会に買おうな僕!<断ち切れてないやん

9月21日(木) 晴
 昨日買った本の感想など、少し。
 『イティハーサ 5(水樹和佳子/著、ハヤカワ文庫)』
 独特な世界観で描く、神代のファンタジー。連載中は飛び飛びにしか読めなかったので、こうして文庫で手に出来るのはとても嬉しい(実は単行本もあるのだが、相方の都合で途中で止まってしまったのだよね)。
 絵柄と語り口は、あくまでも静かだ。淡い、水彩画でさえない、草木染めの色が似合いそうな風景。しかしその中に流れる人の神の、心の動きのなんという激しさか。切なさか。選び抜かれた言葉で綴られる物語は、読み込むほどに深く、哀しい。僕なんぞがここで褒め上げるも愚かというものだろうけれど・・・・。版を変えるごとに描き換えられている表紙も、作者の心づかいや思いの深さが、そのまま圧縮されたように感じられて嬉しく好ましい。
 ただ、この本には大きな不満がある。巻末の解説だ。特に4巻と5巻。某伝奇作家と某SF作家なのだが、あろうことかネタバレをしている。
 どんな物語においても、登場人物の生死や言動は、なにひとつ途中で明かすべきではないと思う。それが個人的に望まれたものなら別だが、不特定多数の本の読者に行って良い事ではない。世の中、攻略本片手に初見のゲームをする人間ばかりじゃないのだ。
 自分たちが読み終えているから、別サイズでの出版で既に読んだ人間も多いだろうから、そんなことを考えていたのだろうか。いやしくも物書きであるなら、こんな真似を不用意にしてほしくはなかった。特に某閨秀作家にはガッカリさせられた、というのが偽らざる思いである。精緻な作品を書くからといって、人物もそうだとは限らない、それは分かっているけれど。
 ・・・・らしくなく、真剣になりすぎたかも知れない。次。
 『じゃじゃ馬グルーミンUP(ゆうきまさみ/著、小学館)』
 掲載誌では連載が終了したと聞いているが、コミックのほうはまだ「嗚呼、感動のラスト・前」である。
 上手い。個でありつつ群像をなす「人間」の描き方が、とにかく上手い。『あ〜る』で驚き『パトレイバー』で納得したけど、もう既に円熟の境地に入ってるんじゃないだろうかこの使徒(笑)主人公たち(と、あえて言おう)の成長ぶりも、それを見守る「大人たち」の行動も、ゆるやかにだが確実に流れる時を追って描き込まれている。某TVドラマなんか鼻で笑える、リアルな北国の「物語」に拍手を送りたい。
 アニパロで「灰皿編集長T」を描いて右に出なかった彼が、ここまで凄い作家になろうとはなぁ・・・・同じ年を重ねてちーとも変わらない我が身が切ないわ。とほほ。
 ・・・・悲しくなってはいけない。次。
 『コドク・エクスペリメント(星野之宣/著、ソニー・マガジンズ)』
 僕の好きな漫画家ベスト3であるのに、この本が出ていたのを気付かなかった。というか、雑誌連載を知らなかった。どころか掲載誌の存在さえ目に留めてなかった。一生の不覚を使い切った感じである。後で補充しておこう<どこから
 系統としては『2001夜物語』に連なる宇宙ものSFである。絵の構図にちょっと「慣れ」を感じてしまうが、ストーリーのツカミは十分だ。この先どうなるか?という気を起こさせる展開は流石としか言えない。『宗像教授伝奇行』『ブルー・ホール』の後に宇宙モノで来てくれるという辺りも、非常に嬉しかったりする。
 そういえば、作者はたしか北海道の出身と聞いているが、まだこちらにお住いなのだろうか。機会があれば、ぜひお会いして「手」を拝見してみたいものだ。クリエイターの「使用頻度の高い部分」を見るのは好きだ。いわく言い難い雰囲気があると思う。少なくとも、これまでに出会った人達はみんなそうだった。
 ああっ、でもでも、もし会えたらそんなこと出来ないんだろうなぁ。某監督にお会いした時なんか、何を言ったらいいか分からなくてほとんど呆然としてたものなぁ。新種の内弁慶として「ネット弁慶」とでも登録しようかな<どこへ

9月23日(土) 晴のち曇
 早朝からパソが機嫌を悪くする。ウインドウズのロゴが出た後、うんともすんとも言わない。仕方が無いのでコネクタを全部外し、置き場所である本棚の下段から引き出してケースを開けブロワーと掃除機をかける。ついでにコネクタを2、3回挿しなおす。
 で、元へ戻そうという段になって、ついでに配置換えをしようという気になった。時々こういう気まぐれを起こしては徒に物陰から埃を掻き出しているのだが、我ながら懲りないもので、機会があるとすぐに飛びついてしまう。いや、別ページの更新が遅れてるためでも、書きかけのパロディ小説が行き詰まってるためでも無い。ええ、断じてありませんとも!
 マシンを机の上に移動し、周辺機器を配置しなおし、散乱した本や書類や雑貨をかき集めそれぞれ新しい場所に収める。もちろん机や棚は埃を払い雑巾をかけた。素晴らしく気分が良くなる・・・・が、アレだな、もう陽が傾いてるぢゃありませんか。
 マシンが元気に起動してきたのが唯一の救いである。結局、原因は不明のまま。新マシン購入の必要性だけが、強烈に身に迫ってくる結果になった。
 (実は再起動時にパラレルケーブルをSCSIポートに突っ込むという大間抜けをしたのだが、朝はそんなことしてなかった。本当に、何だったのだろう?)

 午後に入って、トレード相手からチョコエッグ(の中身)が届く。先日来、何人かの方に声をかけていただいているのだが、どの方もマナー良く、また物の送付も丁寧にして下さる。カプセルの中身をいったん取り出し、小さく切ったティッシュでくるんできちんと収め直すなんて、恥ずかしながら考えてもみなかった。これは見習わなくてはなるまい。
 第3弾以前との交換を希望してくださる方が多く、今まで入れていた箱が手狭になってきたため、素麺の空箱に入れ替える。外見に少々難があるが、大きさ深さとも手頃で、さらに柔らかいバルサ材でできているので中身への当たりも柔らかくてナイスだ。
 そのままだと蓋が固定できず運搬に向かないので、ちょっと加工もしてみた。蓋と本体を細いネジ釘でつないだだけなのだが、これがなかなか按配がいい。いずれきちんとしたコレクションボックスを作るまで、これでしのいで行くとしよう・・・・オーバーフローしなければ。

9月24日(日) 曇のち雨
 パソの機嫌は完全に回復。何だったんだ昨日のアレは。以前から不安定なヤツだったが、こうなってくるともう気まぐれとか気分屋のレベルである。寄せ集めパーツのジャンクなマシンだが、実はファジーでニューロでスゲェ代物なのかもしれん<そんな筈あるかい

 昼から、大学時代の仲間とカラオケに行く。先輩の奥さんであるミキさんは、大きいお腹を抱えての参戦だ。胎教に悪そうなメンツが揃ってるのを案じたが、考えてみたらいつもその顔ぶれでサイコロ振っているのだ。今更である。
 (サイコロ云々はTRPGである。誤解なきよう)
 歌っているうちに「その日の法則」が出来るのが我々のパターンで、今回は「ナツメロ&うろ覚え」だった。当然、ところどころ抜けたり飛んだり音が外れたりする。EP盤みたいで臨場感・・・・ないわなぁ。
 7人で4時間ばかり歌い続ける。相方ねこまがミュージカルナンバー『踊り明かそう(マイ・フェア・レディ)』を見つけて驚く。最近は何でも入ってるなぁ・・・・と思ったが、僕の歌いたいのはほとんど無い。布袋寅泰の『SAVE ME』とか宇都宮隆の『KISS WILL KILL ME』とかスティングの『ALL FOR ONE』とかデーモン小暮の『地上絵』とか谷山浩子の『歪んだ王国』とか。って、どれも1枚売りしてねーじゃん。しかも何だこの脈絡の無さは。大丈夫か僕?

9月25日(月) 曇時々雨
 昼休みにねこまとデート(違)。食後に書店へ立ち寄る。失策だった。
 なにが失策って、僕らふたりが揃って本屋へ行くぐらいの失策は無い。しかも給料日で懐が温かく、腹がくちくて気が大きくなっているときは。
 『天才柳沢教授の生活16(山下和美/著、講談社)』
 『犬神10(外薗昌也/著、講談社)』
 『さまよえる未亡人たち(エリザベス・フェラーズ/著、中村有希/訳、創元推理文庫)』
 『ななつのこ(加納朋子/著、創元推理文庫)』
 『アマンダ(アンドリュー・クラヴァン/著、羽田詩津子/訳、角川文庫)』
 『80年代SF傑作選 上・下(小川隆・山下真/編、ハヤカワ文庫)』
 『監禁(ジェフリー・ディーヴァー/著、大倉貴子/訳、ハヤカワ文庫)』
 『へびつかい座ホットライン(ジョン・ヴァーリイ/著、浅倉久志/訳、ハヤカワ文庫)』
 『サン・カルロの対決(A・J・クィネル/著、大熊榮/訳、集英社文庫)』
 ふと気付くと、これだけレジへ運んでいる。・・・・いつ読むのだ。寝間に積み上がっている未読の山をどうするのだ。ていうか、そういうコトはその場で言わなきゃ駄目だよな。って誰に言うんだよ、誰が>わし

 とりあえず、以前からの積読の中から『屍体配達人(ブライアン・フリーマントル/著、真野明裕/訳、新潮文庫)』を読了した。比較するのはナンだが、身内ネタになってずんずん暗くなっていく『検死官』シリーズにいささか辟易していたところなので、元気に腹の探り合いをしながら知恵を振り絞って犯人逮捕を目指す人々の物語は気分良くのめり込ませてくれた。同じキャラクターでの短編もあるとかで、ぜひ探してみようと思・・・・うわぁ!また本が増えるのかっ!

9月26日(火) 雨
 仕事を休んで病院へ。すでに他院で悪性のものではないと証明されているのだが、そこでの対処方法に納得がいかなかったので市立病院への紹介状をもらったのだ。
 S市立病院は数年前に都心部から移転し、同時に巨大化した経緯がある。いや、別に、夢幻獣とかナントカみたいに古い病院がそのままの形で大きくなったわけじゃない(当り前だ)。ベッド数や設備・人員を増やして、どこへ出しても恥ずかしくない総合病院になったということだ。移転前が恥ずかしかったかどうかは別として。病室が狭くて暗くて古ぼけててムショみたいだった記憶はあるが。ていうかムショ見たことないけど僕。
 9:20、ホテルのロビーか飛行場の搭乗待ちみたいな受付で、保険証と申込書を提出。10分ほどでクリアファイルに入った会員証・・・・じゃなかった診療券ほかの書類一式を受け取り、目的の科へ。
 そして、ここからが長かった。
 待てど暮らせど呼ばれない。仕事を休んでつきあってくれたねこまと、しばらくは小声でギャグを飛ばしつドつかれつというパターンを繰り返していたのだが、それさえネタ切れになってしまった。持参した本を読むことにしたが、これを読み終わっても呼ばれない。上巻だけしか持ってこなかったことを悔やみつつ、ただただただただただただただただただただただただただただただただただただただただただただただただただただただただただただただだただただただただただただただただ(この中に三面妖怪が混じっています)・・・・待ってみたのだが、それでも呼ばれない。
 正確無比な腹時計が昼を告げる頃、ようやく看護婦さんが僕の名を読み上げた。
 僕「は〜い♪」
 看護婦さん「すみません、まだ1時間ほどかかるので、お昼をすませてきてください」
 僕「ぎゃふん←死語、埋葬済
 予約者(再来のみ)をこなしながら新患を入れていくというシステムのため、初診時は待たされるとは知っていたが、まさかこれほどとは思わなかった。僕みたいに自覚症状の無い者はいいが、これが深刻に具合の悪い人だったら、待合室でミイラ化して発見されるんじゃないだろうか。いや、もちろんそういう患者の場合は(たぶん)それなりの措置がされるんだろうし、ひきもきらない患者の列をこなさなくてはならない医師や看護婦さんのことを思うと文句を言うことも出来ない。とりあえず、こういう場合の矛先は国だろうから、そっちへ叫んでみよう。どうにかしろ、日本政府!北●鮮やロ●アに無駄金バラまく余裕があるなら、自国民の健康を守れ!
 さて、14:30から行われた診察の結果だが、医師の結論は前の病院と同じく「斬る」「切る」だった。だが僕がゴネたのと、切るとしても術式を考えねばならないのとでMRIを指示される。そう、あのジャンパー裏返しに来て出動する・・・・それはSRI。007も所属してる・・・・MI6。くそ、不調だ<何が
 貰った用紙をMRI受付に出し、予約する。とはいえ、予定がギッシリでこっちの都合では決められず、一番早い空いた日にしてもらった。10月半ば。その数日後に、また医師と相談することになった。癌でなくて良かったと、しみじみ胸を撫で下ろす。もし癌だったら、その1月弱の間に進行しちまうだろう。
 いや、もちろん、癌とかだったら相応の対応はされると思う。思うけど・・・・茶化さずにいられない性なのだ、ご勘弁願いたい。なんとかしろ日本政府<まだ言うかい

 帰途、東急ハンズへ。フィギュア用の粘土が欲しかったのだが、例によって色々なものに引っかかる。最上階から順に降りてくるというコース選定が、そもそも物欲コンビにとっては間違いの元だとは思うが。
 それでも、病院疲れ(笑)のために積極的に荷物を増やす気にはなれず、観葉植物の土とかねこまのエプロンとか、細かい日用品だけを買い整えながら降りて来た。2Fのカフェ(ここのリンデンバウムの茶は効く!)で一服する。しかし、一拍置いたのは拙かった。落ち着いてものが見られるようになり、1Fで、とんでもないものを発見してしまったのだ。尾の先まで3メートルはあろうかという、巨大トカゲの縫いぐるみである。
 指先などの形が適当にリアルで、そのくせ目はキョロっとして愛嬌がある。冷たくサラサラした布地の感触もいい。旧友・柳刻満氏の誕生日(もう過ぎたけど)に、これほど相応しいものがあろうか!いや無い!柳さんてば、以前にA山動物園に行った時に、ヘビの縫いぐるみ買ったりしてたし!ていうか僕らが欲しいんだけど、家に置いたら3日でボロクズにされるだろうし!<こらこら
 普通に持つと引きずってしまうので、サバ折りの要領で担いでレジへ。いつのまにか手のひらサイズの小型版が添えられていて、ねこまが「こっちは自宅用です」と言っていた。うぬぅ、侮れん奴。侮ってませんけど。

 日中の膨大な時間のおかげで、『最後の人質(ジョン・J・ナンス/著、飯島宏/訳、新潮文庫)』の上巻を片付け、帰宅後ついつい下巻に手を伸ばして深夜まで読みふけってしまう。いや〜、面白かった!出だしにギクシャクした感じがあって「ダメかな?」と思わせられたりもしたのだが、読み進むにつれぐんぐんと引き込まれた。展開もスピード感があるし、広大なアメリカの空を右往左往するスケールも感じられるし、個々のキャラも立っている。単純化されすぎているという謗りはあるかもしれないが、エアパニックもののエンタテインメントとしては、このぐらいザックリ描いてくれたほうが楽しめる。それに、その印象が後半で二転三転するんだから、これはもう立派な「仕掛け」と言えるだろう。オチもちょっと甘いけどいい。ホラーじゃないが、ディーン・クーンツの好きな人にぜひ読んでもらいたい。
 ちょっと気になるといえば、この本も含めて最近やたらと児童虐待ネタの小説やノンフィクションが目立つことだ。もちろん大きな問題だし、それに起因する現実世界の歪みから目を逸らすことは出来ない、が・・・・どんな話でも原因がそこに持っていかれると、受け手のほうが鈍磨しそうな気がするのだよね。現実の世の中にも子供を食い物にするクソ虫どもは山ほどいるのだろうに、それさえも作り事のように感じられてしまいはせぬかと。
 とりあえず願わくば、ヤツらが地獄に落ちる日にはツェペシ公が担当になりますように。おおゴルゴー、モルモーよ、千の貌持てる常娥よ、聞き届け給え。って誰に祈ってますかな僕は。

9月27日(水) 雨ときどき曇または晴
 今日の天気の欄は、ふざけて書いたわけではない。本当に、こんな感じでゴロゴロと天気が変わったのだ。それも豪雨と快晴の間で、数十分刻みに目まぐるしく。
 女ごころと秋の空、などと喩えるが、ここまで変化の激しい心をもった女性がいたら、それはビョーキである。ちょっとお付き合いしたくない。してくれるという話があれば、だけど。事と次第によっては考え直してもいいけど<ってオイ

 昼食後、コンビニで『オフィシャルブック チョコエッガー』を発見。東北地方特徴色のムササビがついて、ブリスターパック(アクションフィギュアが入ってるようなヤツ)になっている。980円也。
 第4弾までのシリーズが一覧になっている。小さいリストは全て(でもないか、時々ヌケがあるから)のカプセルに入っているが、こうして本になり大きな写真で見るとなかなか壮観だ。レアものや色違いなども解説されていて、コレクターには嬉しい1冊だろう。僕としてはデザイナー氏のデッサンが少しでも見られたのが幸せである。あと『クッキングパパ』のチョコ調理法が載っているのがご愛嬌だ。いくら美味しくなったとはいえ、大量のチョコをそのまま食べつづけるのはキツイものなぁ。今度ムースを試してみよう。頼むぞねこま<自分でやれ
 ただ、こうして本(とか3,800円もする専用アルバムとか)が出て、メジャー化することには些か引っかかるものがある。大量に売れる→粗製濫造になる→あっという間に廃れ売れ残る→さらに粗雑化し商品そのものが消える、というお定まりのパターンを通るのじゃないかと心配なのだ。パックの中のムササビがあまり可愛くないのも、付録のパラパラマンガ(何故)が大して面白くないのも、そんな思いを煽ってくれる。まぁ元々、哺乳類よりは両生類・爬虫類系の出来のいいシリーズではあるけれど。毛のあるものって、塗りがマズいと微妙なモールドを殺しちゃうんだよね。
 ま、僕の不安は、ただの杞憂になるだろう。どうせ少々の不平から発しているものでもあるし。ほれ、お気に入りのオモチャと同じ物を他所の子が持っていたようなものだ。僕だけのものだったのに・・・・と、妙なジェラシーをかき立てられている。ふん、いいもんね。どうせこっちの方が先に発売されるんだもんね。ザマ見ろ●●米英。『メタルギア』は日本のもんだ!<途中で対象を変えないように

 『Papa Told Me 23(秦野なな恵/著、集英社)』を読む。ちなみに作者名は「木偏に秦」なんだが、標準辞書ではカバーされていないらしく表示できなかった。申し訳ないことである。
 んで感想。相変わらず、いい。千世ちゃんの明瞭な視線と言葉と行動は、絵の形をした詩のようだ。常にリズミカルだから歌かも知れない。旋律が聞こえないのがとても残念である。時に寂しい物語でさえひとひらの希望を潜めて描かれ、それぞれの調べを奏でているのだから。
 以前、友人MIUがこの作品を読み「こんな子供いね〜よ」と片付けたことがあった。当り前だろう、漫画の世界が現実とイコールだと思ってるのかMIU。だったら僕は月夜に紅茶を入れて窓辺で立ちん坊するぞ<ネタが苦しいって
 確かに彼女は象徴であり、あったかも知れない形であり、現実にあったものの先にいる理想だろう。だがそれ以上に、多くの現実の子供たちの中に、彼女と同じようにものを見、考え、行動している部分がある。子供は「シッタカ」してるだけじゃない。実際に「知って」もいる。それがどんな部類かはさておき、大人の目を瞠らせるだけの考えや言葉は、彼らの中に数多く存在している。自分にもそれがあったと言えないとしたら、或いは思い出せないとしたら、確かに千世ちゃんはこの作品は「存在し得ない」だけに見えるだろう。けれど・・・・それはえらく寂しいことだと思う。それも、希望の無い寂しさだと。

9月29日(金) 晴時々曇
 一昨日の日記に間違い発見。チョコエッグの「専用アルバム」だが、正確には「チョコエッグ オフィシャル・ファイル」で価格も3,900円だった。あの説明書サイズのビニールポケットを作るのに経費がかさむのだろうけど、やっぱ高価いよなぁ。それに、この先のシリーズが出た時の拡張性はどうなんだろう?Web上で見る限りではルーズリーフみたいだが、だとするとリーフの価格やいかに?まぁ「大人こども」のためのモノだから、と割り切れば良いのだろうが、ファイル自体のサイズも規格外みたいだ。本棚に入れるのが難しいケースもあるかもしれない。
 ちなみに僕はA4/30穴ファイル用の名刺リフィルを使っている。サイドスロータイプの右側に、裏表で入れるのだ。端が”びらびら”するのがちょっとナンだが、どこが欠けているか一目瞭然で便利である。しかし、世の中にはさらに便利な物があった!<『世界まる見え』のアレ
 最近は流行らないようだが、切手蒐集に使う「ストックブック」である。ちょうど良いサイズのパラフィン紙のポケットがずらーっと並んでいて、実にきれいに納まってくれる。価格もサイズもピンキリに揃っているから、自分好みのライブラリ化ができると思う。その動物の切手と一緒に集める、なーんてワザもあるな。ゲンゴロウやナナフシの切手が出てるかどうかは知らないけど。

 帰宅途中、ねこま(本日はお休み)と落ち合ってデパートへ。本店が「有楽町の陥落」しちゃったんで有名なトコだ。S支店は何の変化もなく営業を続けているが、どういう事になってるのか、よそごとながら気になったりもする。いや、いやいやいや、閉店セールをアテにしてるワケじゃありませんよ。ただでさえ北海道経済は疲弊してるんだから。ええもう、滅相もございません。
 という訳で(何が)京都老舗市たらいうイベントへ行ってみたのだが、平日の閉店近くと言うこともあって、どうもパッとしなかった。そもそも京都という街に、最近は魅力を覚えないということもあるだろうが。衣食住、どれをとっても全国的に均質化されているせいかもしれないな。
 それかあらぬか、買ったのはちょっとした菓子(明日は秋前りょーこさんが見えるのだ)と、ねこまの大好きな猫舎グッズだった。いや、だから、何処でも買えそうなモノを買ってしまった言い訳じゃありませんてばよ。

 で、お約束に本屋へも寄る。
 『冷え切った週末(ヒラリー・ウォー/著、法村里恵/訳、創元推理文庫)』
 『リスボンの小さな死 上・下(ロバート・ウィルスン/著、田村義進/訳、ハヤカワ文庫)』
 『EQMM90年代ベスト・ミステリー 双生児(J・ハッチングズ/編、中村保男・他/訳、扶桑社ミステリー)』
 『EQMM90年代ベスト・ミステリー 夜汽車はバビロンへ(J・ハッチングズ/編、深町眞理子・他/訳、扶桑社ミステリー)』←ヴァクスが!G・ハートが!ブラッドベリが!
 『狂骨の夢(京極夏彦/著、講談社文庫)』←やっぱり。
 『バスタイム(吉沢深雪/著、王様文庫)』←ねこまの。
 ついでにCDショップへ飛びこんで『スリーピー・ホロウ』も買ってしまった・・・・とまあ、そういうことで。<おい

9月30日(日) 曇
 秋前りょーこさん来宅。基本的にゲームや漫画の話でお付き合い戴き、半日を楽しく過ごさせていただいた。僕の日頃の善行に報い、敬老の日にぶーたら言ったのを天が聞き届けてくれたのだということにしておこう(不遜)。
 おもてなしとて大した事もできないが、『ナイトメア・ビフォア・ザ・クリスマス』『ホット・ショット』おまけに『METAL GEAR SOLID2 THE TRAILER』などお観せし、楽しんでいただく・・・・いただけたのだと良いのだが、僕の趣味ばっかりで。
 最近フィギュアに興味をお持ちとのことなので、作りかけのヤツをお見せしながら素人解説を行う。まだほとんど骨組みだけのを「●●●くんか●●●●じゃないですか?どっちにしても塩●キャラでしょう」と看破する秋前さん。うははは、読まれてますなスッキリと。どっちかは出来あがってのお楽しみね。

 『犬神10(外薗昌也/著、講談社)』を読む。話は佳境に入り、キャラクターたちの立場や状況が見えてきて、今後の展開にいやましに心引かれる。『ワイズマン』もそうだけど、アフタヌーンで描き始めてからのこの人は話が面白い!いや、以前も面白かったのだけど、たいがいアイディア先行で引くだけ引いて、描き切れずに終わってしまってたんだよね。ウイングスでやってた『エンヴリオン』なんか典型だと思う。アレ、傑作の予感があったのだけどなぁ。
 あと、絵が綺麗になってきているが、反面ちょっと少女漫画タッチになりかけてるとこがあるのじゃなかろうか。妙に丸くなってきた顔の線なんか。でもヘタになったとか手抜きを感じるものじゃないから、まぁ良し!<何様だ
 ついで『隣の町で死んだひと(なるしまゆり/著、角川書店)』。
 可愛らしい絵なのに結構迫力があって、ドロドロしたものも違和感無く描く人だと思う。これって凄いことだよな。ただ長い話は苦手だ。『少年魔法士(だっけ?)』なんか、展開が遅くて途中から面倒になってしまった。相方が飛び飛びに買ってきた雑誌を拾い読みしているせいもあるだろうけど。
 んで短編3本の本書だが、これは面白かった。特に表題作がいい。そうなんだよ、噂ってこんなもんなんだよな。小学校のときに井上ひさしの『偽原始人』読んで「噂の速度実験」の真似なんかしちゃったコニクラガキだった僕にはよく分かる。人の不幸は蜜の味、無責任にどんどん拡大し捻じ曲げるのが世間というものだ。しかし、この話はそれを糾弾するでも嘆くでもない。事実として受けとめ、ぽーんっと軽く突き放す。事件そのものや周囲を取り巻く制度の醜く愚かな現実もろともに。読後感がスッキリして気持いい。これはほか2作にも共通だ。
 ただ唯一、難癖めいたことを言うなら、表題作は高校生の話にすべきだったと思う。中学生、それも1年生の男の子というのは、ここまで賢くない。状況認識や言葉遣い、思考の持っていき方が、まだまだ小学生と変らないのだ。
 ここを熟読するような奇特な人がいたら『Papa Told Me』の時と逆じゃん、と反論されるかもしれないが、感性ではなく知性の問題だし、また性別に由来するものが大きいと考えてほしい。女の子と男の子は成長速度が違う。概してものの見方も違う。たとえばこの話の骨子のひとつになっているミステリだが、男の子は基本的にHOW DONE ITを考えるようだ。女の子はWHO DONE IT、またはWHY DONE ITが興味の中心になる。まぁ、公式な統計ではなく、小学生の時から延々と図書委員を務めた僕の経験則でしかないのだが。
 ま、そんなこと考えなければ、素直に読んで楽しめる、こころ優しい作品だ。続刊を楽しみにしたい。さすがにアスカは買えないもんなぁ、この年齢じゃ。


翌月へ





[ 銀鰻亭店内へ ]