店主酔言

書籍・映画・その他もろもろ日記

2004.2

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2004  1

[ 銀鰻亭店内へ ]



2月1日(日) 晴

 日曜恒例TVタイム、昨日の『鋼の錬金術師』から鑑賞開始。修理のために帰郷する原作エピソードにちょっとした味付けを加えて、出来のいい小品になっている。故郷の人と会って会話の弾むエド、旧友を見て幼顔が思い出せず、己の記憶を危ぶむアル。この先で生じる哀しい疑いの伏線だけど、兄弟の間に微かな軋みが生まれた感じはよく出てたと思う。
 にしても、その気まずさをドアもろとも破壊しに来るアームストロング少佐、いいキャラだよな〜。やたらめったら脱ぎたがりの点を除けば人品ともに申し分なし。ベテラン内海賢二氏の名演あいまって、ナイス筋肉おやぢ〜としか言えませんです。
 ただ、一つ気になるんだけど…少佐、お年頃の妹さんがいらっしゃるんですよね?アンタいったい幾つッスか?

 続いて特撮『アバレンジャー』&『仮面ライダーブレイド』。前者はラスト前で盛り上がり…の筈が、いまひとつ気合が入らない。FFシリーズみたいにしつこく食い下がるラスボスとか、ソレが乗り移った要塞を抑えるための戦闘とか、ファクターが地味なうえに演出がちょっと間延びしてて、緊張感が乏しい。バックアップの「恐竜や」の面々の避難シーンにちょっとだけドキドキした程度っすか。ええ、赤ちゃんバスケット下げたヤツデンワニの愛らしさに萌え?ですけどね。<ヤメレ
 さて『ブレイド』、あっという間にライダーが3人になり、各人の個性が出てくるところ…なんだけど、イマイチ素顔の見分けがつかない。『龍騎』の時はこれでもかってぐらい個性的にして大人数をさばいていたのに、今回みんな神崎兄貴みたいな顔&髪型だから紛らわしいのなんのって。叫んだり怒鳴ったりの演技が多い割によくやってると思うんで、もちっとキャラを立てる演出をしてやって欲しいな。『アギト』とか『555』の出だしに比べれば、みんなさほど下手じゃないんだし。
 しかし「裏切り」にショックを受ける主人公君、シナリオからすると容易く人を信じすぎつーか、思慮ってモンが無さ過ぎ。仕事だった筈のライダーや敵と闘う理由は全く知らない、出遭ったばかりの他のライダーを速攻で仲間認定、それはお人好しじゃなくてお馬鹿さんだ!ついでに言うと1話目にして失業したんだから君のライダーは仕事じゃなくてボランティアだ!まぁ先輩にしてからが仕事の中身をほとんど知らなかったようだから、五十歩百歩なんだろうが…イマドキの若いモンの職業意識はこんななのかのぉばーさんや。

 水槽ケアのつれづれに、過日ねこまが買ってきた食玩『酒蔵紀行 銘酒造型乃世界』を眺める。カネボウ(残念ながらサイトは無い模様)製で一部のコンビニでしか扱っていない商品、しかもスケール1/5とあってあまり期待はしてなかったのだが、これが意外と出来がいい。ツマミもなかなかだし、メインの箱入り一升瓶は丸ごとムクの樹脂なんで重みもあって妙にリアル。思ったほど小さくもなく、12インチフィギュアに持たせると立派な酔っ払いオヤジの風景となった。あ、いや、立派じゃないですな、ハイ。
 とはいえ、コンプして酒屋の風景を作るのもどうかと思うので、こいつは4、5個もあればいいかな。いずれシオンが大あぐらで酒盛りしてる写真でも撮ってやろう。<自殺行為


2月2日(月) 曇

 週明けのハードワークに草臥れ果てて帰宅。転寝していて『乱歩R』を観のがす。キャラクターほぼイメージに合わず、かつエピソードごとのアレンジもゲストも違和感ありまくり(つーか毎回、地の芝居をする人しか出てないような)なんだが、今回だけは観たかったんだよな。なんせあの松坂慶子が『黒蜥蜴』を演るんだぜをい!予告編ではかなり妖艶であったし、なにせこのひとには巨大化の楽しみが!…ありませんかそうですかすいませんですハイ。

 まぁ馬鹿はさておき、昨今ドラマに面白いのが無いなぁと思う。もとよりあまり好きな方じゃないけれど、1エピソードの途中までで寝てしまうようなものの多いのなんの。演技力だけなら特撮とあまり変わらん役者が多いから、派手な効果や演出が無い分とっとと飽きてしまうんだよな。
 などと思いつつヒロツさんちのチャットを覗いたら、奇妙愛博士が面白いネタを提供してくださっていた。石野真子が今年の戦隊モノ『デカレンジャー』にメカニック役で出演するそうな(博士の日記でもふれられてるので参照されたし)。『TRICK』でも捨て身のネタで愉しませてくれた人だから、期待大である。やはりアレか、仕事中に持ち歌を?いやいやいや、いっそ敵のスパイで、それが露見した時に怪しいカッコに変貌して去り際に歌っていただきたいなぁ。<勝手に作るな


2月3日(火) 晴

 出勤がてに寄ったコンビニで「チョコQ 日本の動物第8弾」を発見。パッケージにカエルがあるので問答無用で購入する。例によってサンショウウオやクワガタそれにザリガニなどリアリズムを楽しめそうなラインナップのほか、イリオモテヤマネコの仔やエナガという可愛い系がチョイスされていて期待大。チョコもストロベリー風味でさっぱりしており、これなら無理なく食べられそうだ。よくやってくれました!
 ちなみに最初に引いたのからはオオウナギが登場。やはりこれは看板にせよとの天命であるかねえ。え、ご神体?供養?ウチを何屋だと思ってやがんでぇべらぼうめ〜!>ねこま


2月5日(木) 晴のち雪

 『黒い仏(殊能将之/著、講談社文庫)』を読んで、小説のジャンルを明記することの意味についてちょいと考える。オビに麗々しく本格ミステリを謳いながら謎の欠片も無かったり、ネタの独創性を誇ってるくせに二番煎じ、とかってのはもちろん勘弁。けど、この作品はそれら失敗作とは違い「この作者だからこのジャンル!」という思い込みを利用しそれ自体をネタとして「引っ繰り返」すことで仕上げられているのだ。これは面白い試みであるよな。
 話が始まる前から、ソッチ系の好きな人間には気になる単語がチラチラする。そもそも献辞が何故この人に?という辺りから章のタイトル、そして登場するいかにもなタイトルモチーフときて、え?え?え?と言ってる間に、地味かつリアルに綴られていた現代日本が舞台の推理小説がずるずると崩壊する。そして済し崩しに、というかかの神話体系の常であるように成るべくして訪れる結論。いや、かなり本気で笑わせてもらいました。僕ぁ好きだな、こういうの。しかもダーレス式じゃない、全く不条理かつ理不尽な幕引きってのがいいやね。
 ただ、二度三度と使えるネタじゃあ無い。芸としては類型の『嗤う伊右衛門』とは違って、酒好き相手にシャンパンと思わせてシャンメリー飲ませるようなモノなので、読み手によっては本気で怒るかもしれないな。やはり通常はジャンル分類は明確であるべきだっつーことで宜しいかねご一同。<金色の蜂蜜酒を飲みながら


2月8日(日) 曇時々雪

 土曜の夜に実家へ赴き、PCのメンテ&サポートをして今夕帰宅。家の中はすっかり冷え切り、わずかに残した電気カーペットの上には目を怒らせた不平の塊が2匹、鎮座ましましていた。とにかくご機嫌を取り結ぶべくストーブに火を入れお気に入りのフードを出し要求されるまま膝に乗せひたすら撫でまくって、ようやく堪忍していただく。
 丸一日の暗黒に無言で耐えてくれる魚たちが、しみじみといじらしいよ、うん。

 晩飯どき、留守中に録っておいたTV番組を消化。
 『鋼の錬金術師』は図書館焼失ネタ。冒頭、スカーとホムンクルスの息詰まる対決から始まっておいて、いざ本編。レベルの高い作画で、次々と珍妙な顔を見せつつのハイテンポな展開が良い。うるうる目の少佐が可愛く見えてしまった僕はどうしたらいいでしょうっつー疑問が残るがな。いやはや。
 予め登場していたシェスカを引っ張ってきてのマルコー・ノート解読話はほぼ原作どおり。中にアニメオリジナルで追加されたヒューズ中佐とロス少尉の会話が渋い。「軍務としての是非」じゃなく、子供である2人が危険を冒すことを案じ反対する少尉、それに対して「どうしても彼らに必要なことだから守ってやる」と応じる中佐。く〜〜〜ッ、こういう大人になりたいもんだよなぁ…いや、年齢だけは重ねてますがね、いっこう成れてないもんで。
 それにしてもドクター・マルコー、凄惨きわまるであろう現場で研究を重ね、かつは成果のもたらしたものを目の当たりにし、その内容を「塩小匙1杯を加えて5時間煮込み…」とか書き留めたことになるワケだな。何と言うかその、やっぱ難しい商売だねぇ錬金術師。<商売ちゃう

 続いて特撮タイム。『アバレンジャー』はめでたく最終回。搭乗者がテキトーでも動くメカとか、敵が機械的繰り返し(怨霊だからって理屈らしいが)になってダラダラ感のある戦闘とか、あげく戦いよりも少女のお遊戯のほうがウェイト高めなカメラワーク…とか不満はいろいろあるものの、一応の大団円。皆が幸せに新たな人生に乗り出して行き、めでたしめでたしってぇのはハッピーエンド大好きな僕としては嬉しかった。死んだり別世界へ去ったりした人々の代わりに「そっくりさん(とエンディングでクレジットされてる)」が恐竜やを訪れるのも悪くない。ミコ様とリジュエルは、DQNカップルがバカップルに劣化してたのさえ微笑ましかったし。1年間、お疲れ様でした!
 『仮面ライダーブレイド』は、とりあえず謎の端緒をチラリと見せてさらなる謎の領域へ…の筈なんだが、どーもキャラクターが全員ヒステリーを起こしていて、好奇心より緊張感よりイライラが一気に高まる感じ。犯罪者ライダー・浅倉に鉄パイプ装備させて放り込みたくなる。で、いいだけブン殴ってから「お前らちったぁ落ち着け」と。<死ぬって
 あと気になるのが、キャラの設定がどれも妙にデ〜ジャビュ♪な寄せ集めに思えるところ。右も左も分からないまま他人に当たってぎゃーぎゃー騒ぐ主人公は空回り型の典型だから良いとして(いや良くねー)不完全な先輩ライダー・橘君はギルスやG4を思わせるし、どうも人間ではないらしい上にアンデッド達に呼ばれている?カリスは黒衣の青年ことダミアン風。いや待てよ、敵勢力に属しながら人間との暮らしに馴染んでいるつーともっと手近に例がありそうな。えーとえーと…ヤツデンワニ?<おいっ


2月13日(金) 晴

 むやみと忙しい一週間。本すら碌に読めないという、僕レベルでは極限状況である。で、こういう状況で作られた危険ってのは後を引くんだよな〜。そう、積みあがった本の山は余暇が出来てふと手を伸ばした時に崩落し、書籍流と化して襲い来るのだ。あな恐ろし。今のうちに堤防でも作っておくべきなんだろうな、ええと材料は…フィギュアと食玩?<無理だ

 そんな中で、なんとか目を通した本2冊。

 『社長をだせ!―実録クレームとの死闘(川田茂雄/著、宝島社)』
 クレーマーとの戦いを記したベストセラーってことで、相方が買ってきたもの。仕事をしてれば多かれ少なかれ出遭う問題と思い、借り受けてみたが…結論から言うとツマランです。類型の話なら友人知人に多い同業者からは幾らでも耳にするしサポセン系の掲示板にも山ほどある。だいたい、最終的に金だのモノだの出して片をつけるなんてぇオチは普通の会社じゃ許されませんぜ。大企業だから出来るこったなぁスゲーなぁと、自慢話を素直に聞ける人向きっすね。
 ただ、こういう話が珍しくなく感じられる現代社会ってのを思うと、かな〜り暗澹たる気持ちになる。はした金でも払えば神様をもって自ら任じ、ゴネ得を正当な手段として食い下がるなんざぁ強請りタカリの所業だろう、乞食より賎しいと思うのだが。このうえはエスカレートして訴訟バカが蔓延らないよう切に祈るばかりである。この国は某国ほど広かぁないんでね。

 『アレクサンドロス〜世界帝国への夢〜(安彦良和/著、NHK出版)』
 「NHKスペシャル文明の道」シリーズ、星野之宣氏の『クビライ』に先立つ1巻目。ネタは世界に覇を唱えたアレクサンダー大王。語り手は幼友達にして数多の戦場をともに駆けたリュシマコス、ともに登場するのも国々に一朝を打ち立てた友人たち…なのではあるが、単なる英雄譚ではないところが上出来。栄光に包まれた戦いの日々とその後の変容変節、やがて訪れた死までが、孤独な老人の哀しみとともに静かに語られゆく、実に切ない読み物になっている。ことに幕切れの無常感はたまらなく泣けるっす。戦記もの時代物好きにぜひお勧めしたい。
 著者・安彦氏ってぇと言わずと知れたガンダム描き、アニメーターとしての技量にはそのかみ魅了されたものだが、コミックの著者としては失礼ながらイマイチと思ってた。いやだってほら、『アリオン』も『クルドの星』も尻切れトンボな話で、もしかしたらこの人って膝小僧(特にオトコノコの)が描ければそれでいいんじゃないかな〜とか疑ってしまうような部分が無きにしもあらずというか力いっぱい疑ってたっつーか。が、本作においても膝小僧は大量に描かれてますけど、そういう雑念の入る余地は全く無し。欲をいえばもっとボリュームアップしてほしいかなって気もするが、このサイズにまとめたことでのキリのよさはあると思う。こういう調子で、日本史上の人物、たとえば上杉謙信なんか描いてみてほしいな。


2月22日(日) 雪

 ほぼ2週間ぶりの休日。ここまで毎日午前様だったのだ、ゆっくり寝過ごしてやるぞ!と意気込んで寝た(この時点で既にナンダカ)のだが、目覚めれば勤務日の起床時間。サラリーマン体質ってヤツっすか?と思いつつ特撮タイムへ突入。『デカレンジャー』はキャラの個性をきちんと見せ、かつは警察が犯人撃破するシステムの説明まできっちりつけてて上首尾。木野さん(違)の正体がダセェとか2話で消えるなんて惜しいなぁとか、石野真子があの年で可愛いのは何故かなぁとか、いろいろ思うところはありますが。特に後者、ヤバいです。あ、ピンクの娘さんも一人だけチョビでキュートですけどね。
 『ブレイド』は主人公とカリスの接近、ギャレンとの衝突、組織とアンデッドの謎…を織り込みつつ進展。それにしてもこの話、ここまでは平成ライダーシリーズの総集編みたいだな。まず『クウガ』からはモンスター同士のゲーム感覚バトル、『アギト』に似たキャラの振り分け、そして『龍騎』と共通のカードバトル。残るはファイズだが…もしかして説明不足気味な脚本が?うひぃ。

 起きだした後は相方と買い物に。友人の子供らの入学祝など用意しつつも、最大の買い物はボークスってあたり業というも愚かしい。物欲神の導くままにハンズへ流れ着き、あちこちの売り場で奉納舞(買うたやめた音頭)を踊り狂う。もちろんほとんどの託宣は是と下り、おかげで荷物はエラい量になり、帰り着いて荷物をバラした頃には茶を飲むさえ面倒になるほど疲れきっていた。ああ、休日っていいなぁ!<なんか違う


2月23日(月) 猛吹雪

 終日、吹雪。テレビのニュースは電車の停止や飛行機の欠航、果ては国道の通行止めを告げ「爆弾低気圧」などと呼ぶが、轟々と唸りを上げ窓を叩きつける真っ白な風の凄まじさを伝える言葉ではないな。こんな日に外出せにゃならん人は気の毒なこった…と、相方とふたり幸せをかみしめる。今日も代休なんだよ〜い!
 がしかし「他人の不幸は密の味」を濃厚に実感するには、雑用が溜まってたり備蓄食料が足りなかったりと、ちょいと情けない。とりあえず吹雪の山荘ネタをやるほどでもないのが、まだしもってトコでしょうか。あ、猫を入れて部屋の四つ角を歩く例の怪談やってもいいんだが?<するな

 夕刻、ようやく少し時間が出来たので『ネビュラ 〜エコーナイト〜(フロムソフトウェア)』をプレイ。旧来の『エコーナイト』シリーズ同様、閉鎖空間で亡霊に追われ半泣きで逃げ回るアドベンチャーだ。しかも舞台は無人の月面基地、無機的な風景が寂寥感をいや増す中、捜し求めるのは己の花嫁。うむ、この設定は好みだなぁ。恐怖と愛と哀しみのブレンドは、おしなべて良作の条件だと思うので。怪奇小説の多くもしかり、ゲームでも『サイレントヒル』シリーズなんかがこの条件に合ってる。さて本作はいかがか。
 …と電源入れて、数分。
 こえぇよ。
 ひたすら森閑と静まり返ったシャトルの内部。乱れた座席には人の姿は無く、しかし片隅に、あからさまに女性の形をしたものが転がっている。こんな所に?と近付くと、スッチー型アンドロイドのなれの果て。ぶつぶつと決り文句を呟くそれは玩具めいていて、けれど妙な生々しさを感じさせる。唯一開くドアから、さて一歩通路へ出る…と、
 低い笑い声が。
 いや、まぁ、お約束な演出だとは思いますよ?でも、空気さえ無く凍りつくような寒さが視覚的に感じられる空間でこれは怖いっす。序盤としては上々の滑り出しですな。
 しかし『キングスフィールド』以来なじんだ操作系に油断していたら、歩行効果の上下揺れで少しく酔った。また、肩がじわじわと固まってきて痛い。宇宙服着て緊張して歩いてるっつー臨場感ですかねえ。ってそんな臨場感はイヤだな、花嫁の前に出た時に吐き気全開だったりするのもアレだし。
 ということで本日は早々に撤収。また時間が出来た時に、半泣き探索行を再開するとしよう。


2月27日(金) 雪

 幾つになったら大人になれるだろう、と僕の好きな歌姫はかつて明るく問いかけた。幾つになったら人になれるだろう、と。でもって、人の多くは答えを見出さないまま年を重ねているのじゃないかと思い始めた今日この頃。
 『プラネテス 4(幸村誠/著、講談社)』読了。よしんばこの世界を離れても、きっとヒトは変わらない成長しない、これまで数千年をそうしてきたように憎み妬み恨み利を求めて諍い、そして無辜の血を流す。小さな星にへばりついたちっぽけな生き物のその姿に、こころ有る者がそれに迷い苛立ち憤懣を滾らせることもまた変わりはせず、この物語中ではフィーの姿をとるそれに「幾つになったら」と呟きながら共感させられるばかり。けれど宇宙の彼方でハチマキが投げてくる、迷った果てに辿り着いた言葉は、そんな現実を知り尽くしてなお胸を暖める。フィーが帰り着いた家がそうあったように。
 第一部、甘くはあるけれど重く厳しく、けれど限りなく優しく締めくくられたと思う。久しぶりにギターを出してきて、星を眺めつつ一曲行きたいですな、この空気は。かの歌姫の雰囲気じゃないから、えーと、小室等の『クリフトンNJ』でも。
 え?言ってる事とその歌は逆?そういうキャラじゃない?つか外でギターが弾ける気候かどうか考えろ?ふ、僕の感傷浸り癖をナメてはいかんな。弾いてやろうじゃん氷点下の世界で!<馬鹿


2月28日(土) 晴

 久しぶりのマトモな休日。しかも持ち帰り仕事なし。荒れ果てた生活環境を整えた後は、かねてねこまに依頼されていた人形の改造。といっても、今日は髪の修正、いわゆる「お湯パーマ」だけですけどね。
 しかしアレだな、いわゆる「お人形さん」を裸に引ん剥いて熱湯をぶっ掛けたりラップで簀巻きにしたり、果ては逆さに味噌漉しに括りつけ鍋に入れてぐつぐつ…なんてやってる中年の姿、ちょいと他人様には見せられませんなあ。見せられた人も困るだろうが。

 夜、帰宅した相方とともに、ビジーのさなかに買い貯めたチョコQ(第8弾)をばりばり開封。サイトにラインナップが乗ってない!遅いよ!何やってんの!とかガンダム風味に文句たれつつ、例によって出来栄えの素晴らしさに感動。以前「技芸神に入る」とか言ったけど、海洋堂のモデラーさんたち、本当に何か執り憑いてませんかね。ポーズといい造形といい、適当な背景つけて写真撮ると本物に見えそうなんですけど。
 今回引いた中の出色はアメリカザリガニ。帰化動物をラインナップに入れるのはどうかねぇ、な〜んて文句たれる前に目を奪われる迫真のディテール。ファイティングポーズもまた、昔の記憶を甦らせて生き生きと目に映る。ハコネサンショウウオやマダラトカゲモドキ、イシカワガエルといった両生類爬虫類、それにトカラノコギリクワガタも上々。あと、イリオモテヤマネコの仔が、とにかくいい。ハコガメにじゃれついて蓋を閉じられ「きょとん」とした一瞬を捉えて可愛いのなんの。もう、これは萌えっすね。ケモノ萌え。
 しかし組み立てつつ思ったのだが、どんどん難易度上がってませんかこのシリーズ。細かかったり類似パーツがあったり入り組んでたりして、立体系の苦手なヒトなら挫折しかねんモノもありますぜ。そういう構成で隙間無くぴたっと合うのも凄いんだけど、ますますコア向け商品として濃くなっていくんでしょうか?


2月29日(日) 曇時々晴

 日ごろの…つーか、雑事を一気に片付けようとした昨日の疲れで起きる気力なし。布団の中で、録画しといた番組をせっせと消化。

 『鋼の錬金術師』微妙に原作と違えてきた展開を踏み台に、ここで力いっぱい方向転換。第五研究所の謎に挑んだところで、4人目のホムンクルス(単行本では未登場の)グリード、国家錬金術師にして爆殺魔のキンブリーという凶悪路線がいきなり登場。原作どおりに現れたラスト&グラトニーに立ち向かうは、アルとスカーの変則コンビ。おまけに綴命の錬金術師タッカーが再登場(しかも本人が見るもおぞましいキメラ化)とあって、物語がかなりダークな方向へ一気に滑り落ちていく予感がする。いや、まぁ、この話って根っこが真っ暗けなワケで、それ自体は意外でも何でもないんだけど、ここまでミッチリ陣容を整えられると、期待は否応無しに高まるじゃあないですか。酸鼻きわまりない、陰惨なカタストロフへの期待が…って、ヤな期待だねおい。
 ところでアニメ版、動きや声がついたことでも原作とは微妙に異なるキャラクターを見せているワケなのだけど、今回のグラトニーの「がんばる〜」を聞いて一瞬カワエエと思ってしまった。う〜ん、なんだかなぁ。可愛い言動とやる事のギャップが不気味な筈のキャラなのに、これはマズいんでないかい。いやマズいのはアレが可愛く見えてしまった僕なのかも知れませんが。

 『仮面ライダーブレイド』は、ますます平成ライダー集大成化。今度は自分が作る最強のライダーのみ在ればいいとのたまいつ、怪しい超能力攻撃をするという、アギトの木野さん(どうしてもさん付けになるな〜)と555の薔薇フェノク社長のミックスみたいな奴が登場。ううむ、こうなると何処までネタが被るかを楽しむしかないでしょうか。
 本筋のほうも、話はそれなりに興のある展開をしているのに、どうも表現がうまくない。とにかく台詞が妙なんだよな。過干渉だったり身勝手だったりの間をふらふらしてた主人公がいきなり説教がましいことを言い出すあたり、説得力ゼロ。演じる役者さんだってキャラが掴めなくて困るでしょう、ただでもポッと出で演技力が乏しいのに。
 設定やシチュエーションは面白いのに、勿体無いことである。とりあえず、日曜朝の目覚ましとして期待せずに見つづけますけどね。



翌月へ






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