所用あって、道庁へ。札幌観光の目玉である赤煉瓦庁舎前、池のほとりをのたのた歩いていたら、なにか妙なものが視界の端に入った気がした。何だろうなと再検索。
……亀だ。
甲長10数センチと思しきミシシッピアカミミガメ、いわゆるミドリガメが、水面に突き出した岩の上で、文字どおり甲羅干しをしている。うんうん、気持ちよさそうだねぇ、と微笑ましく見るには無理がある、なんたってここは冬には氷張りつめる極寒地域なのだ。なんでこんなトコでのんびり生きてますか?つか何故ここにいますか?
いや、答は分ってる。大きくなって飼い切れなくなったやつを過酷な環境に棄てたバカがいて、それにもめげず定着しちまった外来種がいると、それだけのことなんだ。けど「それだけ」と言ってしまっていいことじゃあ無いと思う。環境保全うんぬんは場所柄さておくとしても、ここにコイツが居ていいってことはない。のほほんと陽を浴びている小さな生き物を不憫さと腹立たしさ無しに見られなくした馬鹿野郎、いつかてめぇも何処かに棄てられてみやがれ。
胸中密かにひとしきり毒づきつつ、写真を撮ろうと近付いたら、気配を察した亀はどぼんと水音たててすいすい逃げていった。水面にひょっこり出した赤い頬っぺたが妙に愛らしい。居ちゃいけないイキモノに和む、少々複雑な日盛りであった。
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