店主酔言
書籍・映画・その他もろもろ日記


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11月2日(木) 晴
 深夜帰宅。理由は日銭稼ぎと義理しがらみその他モロモロ。大人って嫌な商売だなぁとか思いつつ郵便受けを探ると、昨日の夕刊(抜いてなかった)の下から標準サイズの茶封筒が出てくる。差出人は「小学館」。高鳴る胸を抑えて開けると・・・・おお!10月25日に落丁を報告したミニブックではありませんか!
 実はあの直後、ダメ元と思いつつ直接コンタクトを取ってみたのだった。んで状況を訴えたところ、快く対応してもらえ、こうして送っていただけたというワケ。書店まで出向くのが大儀とか時間がかかるとか品切れになったら入手できないとかイロイロおちこんだりもしたけれど、私は元気です<ヤメレ
 乱丁本を取り替えて貰うのは当然かもしれない。けど本来は、流通ルートに乗ったものは逆の道筋を通って原因に還るものだろうし、会社によっては担当部署が違えばソッチへ連絡してくれと対応される場合もある。きちんと返事をして、すぐに送ってくれたというのは「誠意」だよね、やっぱり。
 それが分かる程度に大人でいるのも悪いものじゃない、とか思いつつ、くたびれて服を着替えるのもそこそこに寝てしまう。どこが大人なんだろう。どなたか分かったら教えてください。

11月6日(月) 晴
 3連休が憂鬱に終わった。な〜にが悲しいって、僕はぶっ通しで寝てたのだ、風邪で。咳込み洟垂らし熱に唸りトイレに這い込みというライフサイクルの奇妙な生き物に変身していたのだ。猫どもにとっては歓迎すべきことだったらしいが、合計15kg超過のヤツらに関節を固められて寝るのは平常時でも拷問に近い。熱が上がってアチコチ痛いときは、もう許して女王様状態である。何が悲しゅうて猫相手にSMせんならんねん<するなよ
 身動きするのも大儀なので本を読もうとしたが、積読状態のものは出来ればこういうコンディションで読みたくない。きちんと頭に入る状態で読まねば、礼を欠くというものだ。てゆーかぁ(ヤメレ)費用対効果が減るみたいで悔しいし、そもそも目が回るんでヘビーなものは避けたいし。そこで穴蔵(別名:書斎または物置もしくは作業部屋)へ這い込んで、古いホラーアンソロジーを拾ってきた。時節柄ハロウィンものを選んだのだが、これは悪くないチョイスだった。大体1篇読み終えて熟睡というパターンが取れるのだ。同好の士にぜひお勧めしたい。
 (風邪で寝込んだときにホラーを読みたがる物好きが、そうそういるとも思えないが)

 さて、明けて出勤日の今日。帰途に思うところあって、まだ痛む頭を乗せたままヨドバシへ。そう、例のボトムズのフィギュアがコンプできておらんのだ。
 しかし、悪いときには悪いことが重なるのが世の習い(そうか?)件の商品は綺麗サッパリ姿を消していた。何ということ!あとはベルゼルガのみだっつーに!『ナイトメア・ビフォア・ザ・クリスマス』が増えているのは嬉しいが、しかし・・・・悔しい〜っ!無いと余計に欲しくなるものなんだぁ!ベルゼルガ〜っっっ!<馬鹿
 いくぶん熱の上がった身体で、ふらつきながら帰宅。ねこまにオムライスとコーンスープ作ってもらって『名探偵コナン』なぞ観ながら食す。うう、これでは丸っきりガキのような。いや、否定する気も根拠も無いんだけどね・・・・。

11月8日(水) 曇時々雪
 風邪が治らないまま、家と会社の間を往復する。正確には書店のパトロールが組み込まれているので3点移動だが、収穫が無いのが癪なので記録から削除。いや、削除したからってどうなるもんでもない。出歩くだけ風邪の治りが遅くなるぐらいなもんである。
 それでもだいぶ回復してきたと見え(て、他人事か?)文章書きだのお絵描きだの工作だのに少しずつ手が伸びるようになる。善哉善哉。とりあえず週末まで体力を温存して、一気に制作活動に戻るべ。って仕事はいつやるのかね僕。

 出勤後に柚さん(休暇中)が見え、旅行先のお土産を置いていってくださった。モノは賄賂の定番であるところの山吹色の「かすてぃら」である。さすが柚さん、心にくいものがある。部屋を暖め、アイスクリームなぞ添えて美味しく戴こう・・・・と思ったら、バカ猫どもがストーブを壊した。予備を持ちこんで事無きを得たが、部屋が暖まった頃には疲れ果て、おやつの刻限も大幅に過ぎてしまった。
 この雪辱は明日。って、屈辱なのかねこういうのは。

11月09日(木) 曇時々雪
 歯ごたえのある食べ物が好きだ。いや、別に干物や燻製の類が好物だと言ってるワケじゃなく、同じ物を食べるなら弾力や抵抗力が感じられるものを選ぶという意味で。
 なんでこんな事を言うかってぇと、今日やっと口にした例のカステラである。
 んまいッ!
 そこらで売ってるのが「カステラ」なら、これはもう「おカステラさまさま」と言うしかねぇ!(『西洋骨董洋菓子店(よしながふみ/著、新書館)』好きなんだよなぁ)ってくらい、僕の好みに合っている。
 ずしっと重い。フォークを刺すと柔らかく、だがしっかりと受け止められる感触がある。ちぎっても、ぺそっと潰れたりボロボロ崩れたりしない。味は濃いがベタベタせず、ふかふか&しっとりで非常になめらかである。ケーキのスポンジと違って、単体で勝負しとるんや!という意地みたいなものを感じる。カステラに意地があるかっつー疑問はあるが、まぁそれはさて置いて。
 名物に旨いもの無しというけど、それは地元民が観光客に出し惜しみしてるだけじゃないのだろうか。そう、このカステラって当地では名前も聞かない長崎土産なのだ。考えてみれば自分だって、地元の旨いもの屋が観光客に踏み荒されて不味くなるのは嫌だもんね。
 つまり、そういう意味でこれは一種の「ご禁制品」かもしれない。う〜ん、昨日に引き続き「かすてぃら」の王道を行っておるな。むぐむぐ。あ、もう一切れ食べようっと。

11月10日(金) 晴のち曇
 帰途『あずまんが大王(あずまきよひこ/著、メディアワークス)』の2巻を探して書店を渡り歩く。数日前に畏友・ヒロツ氏のとこのチャットで紹介され、即刻1巻を求めてハマった4コママンガなのだが・・・・無い。どこに行っても2巻が無い。駅前近辺は探し尽くしたので、こうなれば休日に大通へ出るしかないのだろうか。それでも無ければアニ●イトか?う〜む、流石にこの年齢になると、入りにくい店なのだが・・・・仕方ないからク■ネコブックサービスにでも頼むか?って、そこまでして欲しいのか僕。
 いや実際、嫌味無く楽しくアッサリと読めるのがいいのだ。考えなくていい、肩の凝らなさが魅力である。考える4コマならいしいひさいちを読めばヨロシイ。
 ところでいしい御大って、ほんとに1人であれだけのネタをひねくり出しているんだろうか?政治・社会・スポーツ・映画・SF・ミステリその他もろもろ、何でも濃い、じゃなかった来いの内容は懐が深すぎる。ひょっとしたらネタ担当が1ダースに絵描き1人ってチームなんじゃないのか?さもなきゃクローン・マスターだとか。それも地底人顔の。あああああ、こわい考えになってしまった〜。
 とか考えつつ、晩飯を調達して帰宅。これから週末は更新作業だ!いや、ここじゃなくて別宅ですけどね<あっちが本宅かもしれず

11月13日(月) 晴時々雪
 寄る年波というほどでもないのに、体調を崩すと復旧が難しくなってきた。昨日の日曜も、先週来の風邪から来るらしい頭痛で終日寝て過ごすという不甲斐なさである。おかげで各種作業を先送りしたのみならず、秋前りょーこさんとの約束を反古にしてしまった。申し訳無い!>秋前さん
 こういう状態になると、身辺でごろごろ鳴りながら呪い(主に催眠効果あり)を仕掛けてくる猫どもが憎くなる。何が憎いって、まず、かれらには肩凝りが無いのだ!てゆーか凝るべき肩が無いっつー説もありますが、おかげで頭痛も無いらしい。羨ましい限りである。
 それに、ものの本によると、かれらは寿命が来る直前まで中年レベルの体調を維持できるのだそうだ。人間でいうと、大人になったらず〜っとそのままで、70代になったある日突然、足腰が不自由になって翌日お迎えが来るんである。これまた羨むしか無いではないか。特に飼い猫なんか、一生ぐーたら我侭邦題に暮らし飼い主にプレッシャー(文字通り!)かけたあげくに、そうやってアッサリと往生できるのだ。うう、憎いぞ猫ども。憎いんだってばよ。どけって!<ゴロ寝して日記書いてたら下敷きになっていた

 猫がどいてくれないので、下敷きになったまま『ゆず(須藤真澄/著、秋田文庫)』を読む。可愛い絵柄で語られてるので飼ったことのない人には微笑まれるだけだろうが、これは凄まじい漫画だ。実際に傷を腫らしたり吐いたり下したりした猫の臭いをちょっとでも知っていたら、この作者の溺愛モードを真似できる人は少ないと思う。いやはや、お見逸れである。今まで読まなかったのは不明かもしれん。解説が明和電気の副社長ってのも(文中、一部どうかな〜な点はあるが)面白いし、お買い得な一冊だった。

11月14日(火) 曇
 『イティハーサ(水樹和佳子/著、ハヤカワ文庫)7』読了。
 言葉にできない。無理に形にしたら逃げそうだ。否、何も言うべきではないかもしれない。ただ、読んで良かったと、それだけ思う。
 物語の構成、かけられた謎とその答はもちろん素晴らしい。しかし、そういう技の問題だけではない。輪廻など信じない、祈る言葉など持たない身でも、全き祈りの形を見たような気がする。これほど感じ入らせ共感させてくれる本は、実に久しぶりだ。
 比較する意図は無いのだが『百億の昼と千億の夜(光瀬龍・萩尾望都/著、ハヤカワ文庫)』を思う。中学生の時にあの作品に世界観をひっくり返されたものだが、対象こそ違え、同じように感動できる自分が居ることにも新鮮な驚きがある。それもまた嬉しい。読了できて、本当に良かった。
 ・・・・それにしても。
 凶児(字が無い)って、実はスゲェ奴だよなぁ。読んでる間中思ってたが、羨ましいぞ。浅知恵が先に立ちそうな僕としては、ああいう奴が理想だな。

11月18日(土) 雪
 目覚めて窓を開け、見たものはただ真っ白けな風景だった。漫画のキャラクターなら背景描きの手抜きを罵るところだが、現実にはどうしようもない。諦めてフテ寝するのが正しい人の道というものであろう。いや、猫の道か。
 実際、猫どもはひたすら寝ている。「寝子」が語源だという説は、やはり本当なんだろうか。餌と排泄以外はずーっと寝たきりである。これで体力が落ちないんだから、便利な構造だよなぁ。そういや熊も冬じゅう寝てて筋力ダウンしないそうだけど。羨ましいこっちゃ。
 とか考えてるうちに、ストーブの前の塊に仲間入りしている自分に気がつく。しかし悲しいかな人間の身体は板の間での熟睡には適していない。目覚めたときには節々が痛くて、かなり悲惨な午後を過ごす羽目になってしまった。

 夜半に入って猫が騒ぎ出す。冷え切った板の間を走っては「寒い〜!」とでも言いたげに絶叫するのである。バカかね君らは、布団に入ればよかろうと呼んでやると、ダッシュで飛び乗ってきやがった。米袋半分の体重を小さい4つ足に集中させて。ば、ばかもの〜。
 そのうち騒ぎ飽きたとみえ布団に入ってくるが、何故か必ず2匹が同じ場所に入ろうとして諍う。人間様の眠りかけの叡智で場所を割り振ってやっても得心しない。勝手にしろと思っていたら枕元でバトルが始まった。
 ・・・・アレだな。「猫は炬燵で云々」とかって童謡を書いた人は、猫を飼ったことがなかったんだろうな。

11月20日(月) 曇
 取り損ねていた夏休みの残りを貰い、3連休。しかし11月、雪も積もってから夏休みってのもなぁ。ま、外国へ行ったと思えば・・・・思えば・・・・思えれば良かったねぇ、はぁ〜あ<情けない
 かねての予定どおり、街へ出て買い物。ねこまがハマっている石鹸がメインだ。それにしてもあるある、環境問題が取り沙汰される昨今、無添加モノが流行りなのは知っているが、これでもかこれでもかえいえいっ!といわんばかりにずらっと並んでいる。日干しレンガみたいなギリシャの石鹸やでっかいアクリル棒みたいな国内製なんてのを見ると、これをネタにミステリ小説が書けそうな気がしてきた。
 僕「この石鹸で、刑事の妻が家庭内殺人をやるわけだ」
 ねこま「ふんふん?」
 僕「で、捜査に訪れた夫の同僚をねぎらうフリして風呂に入れる」
 ねこま「・・・・で?」
 僕「その時に凶器の石鹸を使わせて、証拠隠滅してしまうのだ!どうだ、すごいトリックだろうっ!」
 ねこま「・・・・司・葉・ク〜ン?
 僕「ひっ!な、なんで怒ってるのかなぁ?」
 ねこま「じゃっかぁしぃわ!R・ダール様に死んで詫びろ〜!」
 僕「わぁぁぁぁ!売り物で人を殴っちゃいかん!やめれ〜!」
 などというやり取りがあったかどうかはさておき(少なくとも撲殺はされていません)●善へ。前もってWebで調べてねこまが探してる雑誌があるのを確かめてのことだったのだが、売り場に見当たらない。仕方なく店員嬢をつかまえて訊くと「担当が不在で分かりません」と言われてしまった。
 ・・・・ってをい、検索システム組んで端末置いて、おまけに雑誌関係なら定期刊行物の台帳があるよね?僕が学生時代にバイトした時だって、マイナー雑誌のひとつや同人誌のふたつぐらい探せたぞ?今時は出版物が増えているのは分かるが、担当がいないだけで何も分からないんじゃ、その人が事故にでもあったら●善は雑誌関係がダメダメになるのかね?檸檬を持った愉快犯が本を積み上げていったら、分類もできなくなるのか?って純文学を茶化してはいけませんでしょうか?<なぜか弱気
 文句タレは不快なことと承知しているが、僕が別フロアで探した本も、端末では「アリ」なのに棚に見当たらなかったのだ。老舗中の老舗、天下の●善がこの体たらくというのは本好きには寂しい。Webで探したほうがマシってんじゃ、本屋へ赴く楽しみが半減してしまう。オールドファンのため頑張ってくれ●善!とか心に叫びつつ、その足でN書房へ行って『コミックマスターJ』『天上天下5』『あずまんが大王2』をゲット。探してない本に限って向こうからやって来るのは何故だろう?いや、文句タレる気はありませんが。実は『あずまんが2』探してたし。うむ、心配しなくてもOKな出来ですなヒロツさん。女子高みたいになってるのが気になるけれど、榊ちゃんさえ元気なら気にしませんぜ僕。って日記で会話(しかも既に流れ去ったチャット)の続きはヤメレ僕。

 帰宅後、●井で買ってきた榮太楼の豆大福食べつつニュースを見る。失言宰相を辞めさせるのさせないのとモメているが、本邦の政治は概ね出来レースなんで、どうも膝乗り出して見る気がしない。といってこのままというのもゾッとしない。そこで、以下のような代案を考えてみた。
 ・森続投でいいから、いっこく堂を特別秘書にする。以後、森は口パクだけ。
 ・アメリカ大統領選で負けた方を誘致<北海道知事(10月18日参照)じゃなかったのか?
 ・大統領任期を終えたクリントンをスカウトする。森はヒラリー夫人へ亭主代理として貸与。だって「Me too」だそうだしぃ。
 ・自己管理能力無しの「政治的破産国家」としてアメリカに引き取ってもらい、52個目の星になる。
 ・おばかな失言よりは確信犯の暴言の方がマシなんで、石原慎太郎を昇格させる(って昇格か?)
 ・・・・うーん、どれもイマイチ切れが無いなぁ。しかも外頼みが多いし。って切れてたからって実現するわけもありませんけどね。

 ↑なぁんて考えてたが、夕方になったらオチがついたみたい。
  やっぱ出来レースだったとか。あーつまらん。

 夜、TVで『月曜ドラマスペシャル』を観る。TV大嫌いの僕だが、これを見過ごすわけには行かない。なんたって『宗像教授伝奇考(星野之宣/著)』のドラマ化なんだぜぇおいっ!
 まさかのドラマ化、しかも新聞のアオり文句では殺人がらみのミステリ仕立てに作り変えるつもりらしい。どうする気なんだ?と期待ゼロ好奇心オンリーで観ていたが、これがなかなか悪くなかった。主演の高橋英樹は妙にハマってるし、脚本もそれなりに上手くまとまっている。説明的な部分を消化する方法も悪くない。そのために増やしたオリジナルキャラは聊か多すぎて鼻についたし、結末もちょっと強引つーかやり過ぎな感じではあったが。
 ついでのことに、別なエピソードも映像化してくれんかね。僕はぜひアレが見たいのだ。そうっ!鉄巨人の話ッ!って、単なる特撮物になっちゃうのがオチなんだろうなぁ。1時間連作で真面目に原作に従ってやったら、かなり面白いものになると思うんだけどね。

11月21日(火) 大荒れ
 天気の欄が妙な表現になってるが、実際、ちょっと他に記述が思いつかない日だった。朝のうち晴、ただし強風→雨が追加→みるみる曇→雨やむ→風やむ→急速に気温低下しつつ晴・・・・な〜んて天気、気象庁用語では表現しきれないものなぁ。
 しかも朝のうちの風ときたら妙に生暖かくて、もしかして春一番?と、あらぬ期待をさせるようなモノだった(するなよ)。それなのに夜は氷点下だものなぁ。ウソツキ。金返せ。<誰に払ったのだ

 仕事でやってるAccessの勉強が暗礁に乗り上げ、ちょっとブルー。たかがデータベース、やることは分かるのだが用語が頭に入っていかない。日々こうして老人力はついて行くのかと実感する。
 しかし、趣味のモデリング用語とか好きな漫画のキャラとかは、何の困難も無く頭に入るんだよな。やはりこれはアレか、仕事など辞めてしまえという主のお導きか?うちは代々禅宗で僕自身は拝火教志向の無神論者だが。<って何者

11月23日(木) 晴のち曇
 誰も感謝してくれないので自分ですることにして、昼まで寝こける勤労感謝の日。といって身に染み付いた貧乏性で眠りもならず、布団の中で『けだもの(J・スキップ&C・スペクター/著、加藤洋子/訳、文春文庫)』を読み了える。
 ん〜、ナンだな〜。何が書きたいのかねこの作者は。恋愛モノにもエロにもスプラッタにもホラーにも成り切ってないぞ。おまけに書き方が妙に間延びしてる。ご都合な展開は笑えるレベルだし。濃い目のネタをぎゅうっと詰め込んで中篇にしたほうが良かったんじゃないかねコレ。古本屋箱へ直行決定。
 口直しに昨日買っておいた漫画を読む。
 『じゃじゃ馬グルーミンUP(ゆうきまさみ/著、小学館)26』
 何も言うまい。実に素敵な終わり方だった。物語の終わりにして始まりっていう形を、ほんとに素直に見せてもらった気がする。競馬嫌いにも楽しく読める馬本でしたなぁ。
 『からくりサーカス(藤田和日郎/著、小学館)15』
 背景が見えてきて、いよいよ佳境に入ったか?冒頭を読めば成り行きが想像できちゃう話なのに、しっかり読まされてしまう筆力はさすが。この先、気になるのは日本の人形使いとの関わりかな。白銀は一度は日本に来たようだから雑賀&黒賀とはそこで絡むんだろうね。それと「しろがね」はルシールの孫なのか?フランシーヌにそっくりなのは、なんか理由があるのか?あと白金は何処へ行ったのかな?死んだっていう記述がどこにも無いんだよね。気になることだ。
 『週末に会いましょう(篠原烏童/著、朝日ソノラマ)4』
 大好きな作者の作品だが、今回ちょっと乗り切れない。やっぱ最終回前の問題提起部分だからだろうねぇ。そう、『スター・ウォーズ2』みたいなモンでさ。とにかくラストが待たれることだ。頑張れ灰灰(笑)

 午後は「作業台」のフィギュアと取り組む。一気に肉付けできないので薄く粘土を伸ばしてはストーブの噴出し口付近に置いて乾かす。猫が不満顔だが、無視。毛皮を着てるくせに、贅沢だぞ!>猫
 しかし、12月に間に合わせたいとはいえ、このテの作業は「ながら」が効かないのが辛い。他にしたいことすべきことが山ほどあるのに片付かず、今日もなんとなく未消化な気分で暮れた。明後日にまた頑張ろう。<どれを

11月25日(土) 晴のち曇
 ふと探し物があって書斎に入ったら、床に置いた本が湿気ているのを発見。これは一大事と整頓を始める・・・・が、いつまでやっても片付かない。そもそも絶対量が多すぎるのだ。もう読み返さないと断言できる本以外はすべて取り置いてあるのでこういうことになる。それも、1人ならまだ良かろうが、2人がかりとなると暴力的だ。この場合1+1は2にならないのが不思議なところで、競うように買い漁るから加速度的に本の山が成長する。カメラを据えて撮影したら、面白い映像になるのじゃなかろうか。
 本格的に寒くなる前に目鼻をつけようと頑張ったのだが、午後になって呼び出しが入り、不承不承に外出。そのまま瑣末仕事に拉致されてしまい、帰宅はずいぶんと遅くなってしまった。
 途中で食事も出来ず、出掛けに口にした林檎(みちのくの猿山から戴いたもの。よく熟していてたいへん旨い)が唯一のエネルギー源となった。ううう、これが林檎ダイエットつーヤツでしょうか。<違うと思うぞ

11月26日(日) 雨
 ねこまと街へ。入手すべき小物が溜まったので、一気に片付けるべくメモ片手の「お使い」である。しかし、幼稚園時代から「寄り道大王」の名を欲しいままにしたこの僕が、すみやかに用事を片付けて速攻帰宅なんて器用な真似が出来るワケが無い。いや別に自慢じゃないけれど。ヨドバシで電池やMD買った後でガシャポンとDVDをひやかすのを皮切りに、ふらふらと蛇行ツアーに入る。あ、言い忘れてたがねこまは寄り道名人で方向音痴で地図音痴である。もはや無敵と言えよう。敵が相手にしてくれない。
 で、寄り道ついで、半分かた買い物が終わったところで、このクリスマスに閉店の某百貨店など覗く。目当てにしていた玩具売り場の模型コーナーが、一足早く本日閉店とのことでセールをやってるのに出くわした。少々ショック。鉄道模型が半分方を占め、タミヤの戦車兵なんかも置いてる、小さいながらも本当に模型屋らしい店だったのに。今日はガンプラを表に並べ、片付けに余念が無い。
 折々に塗料や小物を買わせてもらったよしみ、せめての餞と思い、買うものを探す・・・・が、僕が使いそうなものはほとんど無い(ガンプラ?好きまっせん)。仕方が無いのでタミヤの工具とコンパウンドを求めた。いつか使う日もあるだろう。去年の気鬱の日々にほったらかしてパテ固めたりした僕だけど、とりあえず今は何かを作る気持ちはあるから。

 続いて東急内の「クロワッサンの店」へ。以前に葡萄ジュース作った時に勝手に使った保存瓶の代わりを買うのだそうだ。なんだよう、自分だって美味いウマいって飲んだじゃーん。
 ねこま「何か言った?」
 いえ、何でもありません。
 使い勝手の良さそうな台所道具に引き寄せられていくねこまを尻目に、渋い食器とか木製の玩具とか、意外なものが並んでいて楽しいなぁ〜と店内をフラついていたら、もっと意外なものを見つけた。手術用のゴム手袋である。パラフィン紙の袋に入っていて、1回使いきりの。
 これって、実は模型やるのに便利なんだよね。パテとか樹脂系の粘土とかいじるときには、必需品といってもいい。在庫が少ないのを思い出してサクッと購入・・・・したのだが、後になって疑問が湧いてきた。
 なんでこんなモノ置いてるんだ、「クロワッサンの店」?小洒落たファッション感覚の、ちょっと生活感の薄いアイテムが売りの店だと思ってたのだけど?ただのゴム手袋なら分かるけど、手術用のソレって、一体・・・・。今日びの主婦は台所で何をするのだろうか?実験?ヤバい薬品処理?解体作業?指紋が残らなくて便利でっせーって、何言ってますかな僕は。

11月27日(月) 雪
 新聞を読んでたら「ポケモンまねて?子供飛び降り続々」という見出しに目が行く。所はトルコだそうな。うーむ、ポケモンブームもここまで来たか・・・・と感心すべきなんだろうけど、僕は別のことで妙に感慨深くなってしまった。
 というのは、数日前に友人Kと話したのが、まさにこの事だったのだ。隣の韓国でも、同じ事があったのだと言う。それも『600万ドルの男』を真似てだという。いやはや。我が国では『仮面ライダー』ですぜオイ。もう30年も昔のこと。
 今どきの日本のガキはポケモンごっこで飛び降りたりはしねぇよなぁ・・・・いや別に、素直なバカガキが少なくなったとか、そういう事を言うつもりは無いけどね。考えてはいるけど。

 夕食後、ヒロツさんが送ってくれた林檎を食う。熟しきってるけど歯応えしっかり、蜜が入ってるのにちゃんと酸味があって、むっちゃ美味だ。こういう味も、最近はとんと出会えない。果物はみんなべたーっと甘くて、なんか没個性なんだよな。
 とか思いつつまぐまぐ食べてたら、我が家の食い意地猫、チーズが寄って来た。人間が何か食ってると分け前をせびる奴だから不思議にも思わなかったが、ずんずん距離を詰めてくるじゃあないか。面白半分にフォークを差しつけてやったら、ほとんど鼻をくっつけんばかりに嗅いでいる。そういえば昔飼っていた犬が、雪山から林檎を探し出して広い食いした事があったっけ。してみると猫も果物好きに仕立てられるのかもしれん。
 とは思ったが、そんなモンにしてしまっては肉食獣の風下配置決定である。みっともない。早々に追っ払い、僕らはまた新しいのを剥いてまぐまぐ食べたのであった。

11月30日(木) 雪のち曇
 午前中は猛然と吹き荒れる風雪を眺めて過ごす。職場でぼけ〜っと窓外を見ているのはマズいという説もあるが、まぁそれはさて置いて。<置くな
 夕方、ようやく晴れた家路を辿りしな、書店パトロール。特にめぼしいものも無いのでコミックコーナーで目に付いた『女優霊(高橋洋/原作、高港基資/著、角川書店)』を購入。映画版が夢に見そうなほどオソロシイ代物だったので、どんな絵柄でコミック化したのかと興味本位である。
 う〜ん、恐くないぞ。まぁ仕方ないか、映画で表現されていた「得体の知れなさ」はコミック表現には向かないだろうし。理屈付けをして、怪異の由緒で「得体の知れない」恐さを説明してしまうというこの本の方法は上手な逃げ道かもしれない。けど、それでもねぇ、あまり霊らしく見えない絵のせいもあって、単に変なキャラがいるようにしか見えんのだよね。後半で出てくるバーサンのほうがよほど恐いってのは失敗だと思う。
 ただ、ラストシーンはコミックに軍配を上げたい。映画を観た人なら分かってもらえると思うが、あのラストでこれまで漠然としていたものいきなり実体化するというのはどうにも興醒めというかアンチクライマックスというかだと思うのだ。小学校の時のダイコン抜きって遊びを思い出しちゃったぞ。ああいう幕切れなら、もっと気合の入った表現をして貰わないと、そこまでの恐怖感が台無しになってしまうんじゃなかろうか。予算不足なのかもしれんけど、だったら異音とドアの向こうの闇だけで終わらせるって方法もあったような気がするなぁ。

 ちなみに僕がこれまで読んだ中で一番恐かったコミックは、ささやななえこの短編。マンションの押入れにナニかがいる、ってシチュエーションなんだけど、それが出てきた瞬間の恐さったらなかった。絵1枚のインパクトがものすごくて、いまだに忘れられない。ああ、誰かあれを越える恐い漫画描いてくれんかなぁ。夜半に読み始めたら、翌朝白髪化してショック死してるのが見つかるような。って、そんなクトゥルフ神話みたいなモン商業ベースに乗るかって。>僕


翌月へ





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