店主酔言

書籍・映画・その他もろもろ日記

2005.10

 

 

 

 

 

 

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10月1日(土) 

 『ベルセルク 29』をゲット。話自体はゆるやかにゴールを目指す周回飛行中、つか現在目的地からどのへんまで来てるのか分かりませんが。パイロットさん、ちゃんとフライトプランはあるんですよね?
 とラブコメな話の流れと道のりの遠さに一抹の不安を覚えるものの、キャラのほうは満足度急上昇。なにってねえ、貴方、御母様ですよオカアサマ。自由奔放独立独歩、観察眼鋭く舌鋒また然り、そして何よりお美しい。『エマ』のドロテア奥様もそうだけど、このテの高雅なご婦人って大好きっす。後ろにゾロゾロ従えたおっさんどもの末尾でいいのでお加えくださいませ〜!


10月4日(火) 晴時々雨

 『仮面ライダー響鬼』を2週分チェック。布施明演じる小暮さんはやっぱり元・鬼だったそうで納得。しかし「疾風・鋼の鬼」ってことは、やっぱりアレですか「ハルカー!」「タクヤー!」とか野郎どもが二人の世界なバトルを繰り広げて、気が付いたらヒロインが死んでたっつーあの!
 …違うて。
 とか独りボケ&ツッコミで遊んでみるほど、話には入り込めない。青年少年だらけだからラブコメごっこはアリだろうけど、表現が、ねぇ。食い物を雑に扱うギャグは往年のドリフターズ全盛期で終わったネタだと思うんだよな。病んでる系のキャラはどんどん歪になってるし、主人公はいつの間にか「同性の友達がいない」ことにされてるし。中学時代のグループ交際は何処へいったんだか。鬼たちの武器と絡めるべく設定されたであろう部活動の話とか盛り込んでくれたほうが、また何処かへ転校していきそうなトンデモ君よりは筋も通るし現実的だと思うんだけどな。

 『CSI:科学捜査班』も撮ってあったので鑑賞。2クール目とあって、役者のノリもいいし、ヒット作になったおかげならん、撮影もセットも手が込んでる。今回はキャサリンの意外な過去?の話も絡んで、業ふかい本筋とは別の愉しみもあった。
 しかし、ずーっと観ていて気になるのだが、やはり映像重視のためか、室内の現場で靴カバーをかけてないのだよな。まあソレを言うなら、私服で検死官の傍をウロウロなんてありっこないワケだけれど。架空と事実のせめぎあいの中、よりリアリスティックなミステリ・シーンをお願いしたいものだ。


10月6日(木) 晴

 地下鉄内にたちこめる樟脳臭にも季節の訪れを感じる今日この頃に、季節外れの怪談本を1冊。
 『「超」怖い話 †〔クロス〕(安藤君平/著、竹書房)』
 発刊当初から偏愛していたシリーズの、スタートメンバーによる1冊。とはいうものの、内容は絶版になってしまった1巻目からの抜粋がほとんどで、新作にもいまひとつコレというインパクトは無い。旧シリーズを読み逃した人のためだけの本だねこりゃ。開かずの離れと人形にまつわる話がお勧めなので、未読の人はぜひどうぞ。

 めっきり冷え込むこと多くなった夜半の空に渡り鳥を見る。白い鳥が6〜7羽、斜め1列に並んでかなりの速度で内陸部をさして飛んでいた。おそらくは大陸からの白鳥だろう。もうすぐ冬だな、と思いつつ、昨今の灯油価格に背筋が凍る気分になった。やっぱ現実が一番テリブルっすよ、はい。


10月10日(月) 曇時々晴

 『ローマ人の物語 21〜23(塩野七生/著、新潮文庫)』読了。サブタイトルは「危機と克服」。「悪名高き皇帝たち」カリグラやネロが財政を破綻させた後を襲い、わずか1年の間に入れ替わり消えた3皇帝の混乱期と、それに続いたヴェスパシアヌス親子3人による秩序の回復が記されている。
 本シリーズにおいて多々あることだが、五賢帝時代との間にあり世界史の授業ではすっ飛ばされるあたりの話、でありつつ現代人がローマを知る最大のよすがたるポンペイ噴火前後なので、もの珍しくかつ興味ぶかい。とはいえポンペイに関しては一事件としてさらりと流してあり、考えてみれば「江戸時代」全般を語るに際し「天明の大噴火」みたいなもんなんだなぁと妙に納得したり。
 行き交い入れ替わる人々の個性、集団心理のはたらく様、現代に続く民族間の対立など、幅広くまた起伏に富んだエピソードが多かった。よく出来たシステムは中の人がちょっとゴタついたぐらいでは壊れないものだという実証も面白い。まあ、実際はシステムを完成させるのが至難で、なかなか実現されないのだが。
 前巻に続き掛け合いのようにタキトゥスを引いて語る調子もアップテンポで読み易く、表舞台に登場した人物が残した台詞にも印象的なもの多数。特に「そしてこのゲルマン人の、ガリア人を自分たちの側に引きつけようとするときの常套句は、いつも決まって自由と独立の二語である。だが、忘れないでもらいたい。他者を支配下におくことを考えた民族で、この二語を旗印にかかげなかった民族は皆無であるという人間世界の現実は、忘れないでもらいたい」ってのは、昨今の世界を同じ言葉で騒がせてる国の元首と重なって苦笑しきりだった。
 そういえば、ローマ帝国衰亡の原因となった、と僕らが教えられていた宗教の創始者さんも似たようなこと言ってますな、羊の皮を着た預言者について。某国大統領がその宗教の原理主義者だっつーのも、また皮肉なオハナシではあり、後世にどう語られるのかと思わされるものがあるな。
 …待てよ…このまま行って…あるんだろうか?>後世

 相方とふたり、カーテンその他を買いに出る。近付く冬に備え防寒対策を始めたのだが、うろうろ歩いてる間に体力を消耗してしまい、実作業は来週以降に持ち越し。おやき食べつつ茶を飲んで、体内から保温する方向でしのぐとしよう。1週間続ければ皮下脂肪もたっぷり、冬将軍に立ち向かう肉鎧が完成!うわーん!


10月11日(火) 晴

 天いよよ高く風冷たく陽光まばゆく、今年初の雪虫を目にした日。奇妙愛博士の日記で『大奥 1(よしながふみ/著、白泉社)』の感想を拝見。うわあ、しまった、発売は知ってたんだが近在の本屋に無くなってたんでズルズルと日を過ごしちまってたよ。遅れをとってはなるまいぞ…ってもう遅れてるワケですが、仕事が終わるなりダッシュで街中の書店へ閉店直前に駆けつけてゲット。やぁやぁ遠からん者は音にも聞け、ダメな大人ここにあり!
 …てぇバカはさておいて。
 突如発生した奇病により、男性の人口比が1/4に低下した江戸時代の日本という仮想史SF。舞台を「男の園」大奥に置き、性別が逆転しているものの史実に絡めたエピソードを綴るストーリーの流れがまず読ませる。で、いつもながらの妙味ゆたかな台詞を乗せるキャラクター群がこれまたいい。凛々しく主役を張るは将軍吉宗(女性)、緊縮財政を布き大奥改革を行いつつ、どうやら西洋では発生していないこの現象の調査に乗り出す。脇を固める人々もいい味出してる、特に「加納遠江守おみつ」様のぽよ〜んとした外面と肝の据わり具合ったら好もしいなんてモンじゃありませんよ、付け文なんかしちゃいたいですね、う・ふ。
 特殊な環境で暮らす人々に仮託して、男らしいとか女々しいとかって言葉の在り様を考えさせる深みもある。久しぶりに先が楽しみでならない作品に出会えたなぁ。


10月13日(木) 晴

 『蜘蛛の巣のなかへ(トマス・H・クック/著、村松潔/訳、文春文庫)』読了。
 作者お得意の、語り手をも含めて誰もが疑わしい状況下の陰鬱な物語。疎遠だった父の最期を看取るため田舎に戻った主人公が、20年前の殺人事件を辿るうちさらに遠い昔に生じた禍根に出会う…という筋立てはシリアルキラーものなどに比べるとさのみ刺激的ではない。しかし、それゆえ我が身になぞらえ得る卑近さがあり、かつは導き方の妙味あって読み進めずにはいられない。
 核になっている事件そのものの点景を綴り合わせて小出しに語る手法がああでもないこうでもないと読み手の迷い心をかきたて、中盤に差し掛かる頃にはもう「うっきゃー!え〜い面倒な、お前らちょっと表へ出ろ!一切合財吐かせてやる!」とか叫びたくなるのだが、同時に「このまま行けばきっとヤバいものが来る」という不安まみれな期待を長〜くもたせてくれる。「オバケが出るぞ!もうすぐ出るぞ!」ってこの「怖いもの見たさ」感、映画ではありがちな手法だけれど、小説でこれを感じさせるのは至難ではなかろうか。そこへ、キャラクターの身近さゆえの窃視症めいた興味が涌くものだから、もう逃れようがない。タイトルどおりのシロモノに絡め取られるように、ミスディレクションまみれの闇へ引き込まれてゆくワケだ。
 そして真相とともに提示される、田舎町に君臨するあさましくも賎しい敵の存在は、暑さと不毛さ際立つ風景描写と相まって不快さをかきたてる。解決に至っても、なお爽快さを感じるのは難しい。
 けれど終幕、主人公が口にする台詞は「事実」を語らぬゆえに限りない優しさと靭さにあふれて胸を打つものがある。不覚にも鼻の奥をツーンとさせつつ、書架へ収めて幕。


10月16日(日) 晴

 ねこまと二人、地下鉄からバスを乗り継いで市の南端の山の中、美術館(野外含む)と工房からなる『芸術の森』へ。前者で開催中の「造形集団 海洋堂の軌跡」展の最終日に滑り込んだのだが、いや、なんともはや、凄いボリュームでした。
 まず、倉庫の壁をざくっと切り抜いて運んできたような、入り口を飾るパッケージの山。これはアレかな、海洋堂が模型屋であったころのデッドストックなんだろうか。SF3Dとかユニバーサル映画のモンスターとか、惹きつけられるアイテムも詰まっていて、ついつい手が伸びそうに…で、抜いた後に大崩落が起きるとこまで想像しちまうのは『栞と紙魚子』の1エピソードとの類似によるものだろう、うん。決して「こんな部屋に住みたいなあ」と思った故ではない。と信じたい。
 展示物は創業以来の海洋堂製品を時期とラインナップ種別、それに造形師別に並べてあり、これがまた質量ともに濃厚。夏にパルコでやってたのは食玩に特化してたけど、今度は本来の仕事である模型まで網羅してるのだから、すごいのなんの。キャストやソフビのキット物、それにワンオフものなど、どれもきっちり作られ極上の塗りがほどこしてあり、単体ごとにじっくり見て飽きる事がない。特に松村しのぶ氏の動物模型は生けるが如き姿で、いっそ感動的ですらある。それを前から後から上から下から、作り込みの妙を堪能できる機会など滅多にないので、ここを先途と眺めまわすヨロコビったら、もうもうもう!ああ、この才能の10分の1でもあったらなあ!いや、あったら素直に嫉妬の塊になってるかも知れませんが。
 一生分の模型を見た気分でなにか土産をと思ったが、あいにく欲しいようなものは全て売り切れ。さればと常設のショップへ入ると、海外のミュージアムグッズが並んでいて、中にボッシュやダリやエッシャーの絵を立体化したオブジェがあって驚かされる。いずれの画家も好きなんだけど、全部買って帰ったら、机の上が悪夢の世界になりそうだ。ということで、ダ・ヴィンチのパズルボックスとブリューゲルの「バベルの塔」立体視キットを求めて帰宅。えーと、これもキャラクターグッズなんでしょうか?

 で、次回はタミヤ模型とかに同種のイベントをやって欲しいなと思ったりするのだが、いかがざんしょ?『田宮模型の仕事』展とか銘打って、あの本の内容をそのまま物でなぞるだけでも、見ごたえ充分だと思うのだが。いや、僕が見たいだけなんですけどね。


10月22日(土) 雨

 『シン・シティ』を観る。ノワール系のアメコミを実写で動かしちゃいましたという試みは、ものすごいメークでアレンジされた役者の顔(ミッキー・ロークなんか主人公なのに素顔が分らない)やコマ割に似せた画面構成あいまって面白いし、「姿麗しく心うつくしい娼婦たちに総身のまことを捧げる男たちが汚濁にまみれた街で闘う」というテーマで繋がれた物語群はかなり好みの題材。
 …なんだけど、諸手を挙げて「好きやぁっ!」と叫べないものが。画面が暗すぎて、ナニが何だか分らないことしばしばってこともあるけれど、話がサクサク説明的に流れていって、どこにもウェイトが置かれてないように感じるのだな。
 話が薄く思えてると、どうしても目が行くのが濃い目に造形された悪党。しかも好きな役者が多いんだなコレが。特にルトガー・ハウアー、相変わらず「静かに狂ってる」キャラが似合うこと。イライジャ・ウッド演じる殺人鬼の生首にいとおしげに微笑みかけるあたり、往年の『ヒッチャー』を思い出してゾクゾク。あとマイケル・クラーク・ダンカンが怪しいメイクで頑張っていて、妙にほほえましい。日本じゃ予告でもサイトでも全然とりあげてくれないけど、好き者(モノじゃなくシャと読んでくれぃ)には見どころではと。


10月23日(日) 曇

 休日出社で草臥れ果てて帰宅。ここ数週の『仮面ライダー響鬼』を観てさらに疲労度倍増。なんかもう、グダグダですなあ。
 斬鬼の師匠のキャラ設定はアリガチだがよかろう。某変身忍者によく似た「鬼の鎧」とやらもファンサービスとしては悪くない。己に課された義務の中で迷いを棄てられない大人たち、経験すらもたぬゆえに迷って当たり前の少年少女ってキャラクター群と、その間で展開する物語も分る。でも、それはあくまで、ちゃんと描けていてのことでしょう。何なのこの脚本。説明的な会話と強引な展開、説得力の無いキャラの言動、どれもアクションシーンの導入部としてすら成り立ってない。
 そもそも「日常」が破綻した状況に常に身を置く旧来のヒーローと一線を画すべく、日常の中で暮らしている化け物退治の鬼さんいやお兄さんと、たまさか彼らに出会った少年の交流をメインに描いてた話じゃなかったのか。鬼さんたちのキャラを崩壊させ、少年の側に本物のおサイコさんつーかぴチガイ系ワガママ小僧を出してどうする?いやさ、そんなモノを出すなら出すで、そのキャラをしっかり立てないと不愉快な書割にしかならんだろうに。
 どうせテコ入れするんだったら『龍騎』の脚本家さんに入ってもらえばよかったね。サトちゃんこと仮面ライダータイガの「あの」調子なら、無いモノねだりの挙句ストーカーめいた挙動をする少年にも、それなりの存在感が出たかもしれぬ。

 それと今日の放送分なのだけど、山の中に園芸植物が群れ咲いてるっつーのはどうかと。リンドウはありとしても、スターチスだのアルストロメリアだの白ユリだの、ましてバラだのっつー「お花屋さんの花」を真顔で摘んで、しかも馬鹿正直に顔のみ覆うのはギャグにしか思えないんだけど。演出の方、ひょっとして高度なサボタージュですか?


10月25日(火) 曇

 最近ハマりまくりのマイクル・コナリーを2作続けて読み了える。モノは言わずと知れたボッシュ・シリーズ『夜より暗き闇(古沢嘉通/訳、講談社文庫)』と『暗く聖なる夜(同上)』。
 読んで良かった。
 特に後者はしみじみとそう思える、まことにもって得難い良作だった。もちろんその評価は、『ナイトホークス』を皮切りとするシリーズの流れを辿り脇役に至るまで馴染みとなってきてのものだけれど、長く重苦しい旅路の果て、到達すべくして着いた場所という気がする。
 もちろん前者の陰鬱な空気も読ませる、ことに題材が他ならぬ画家・ボッシュの代表作に絡んでいるとあっては、進行中の事件と重なる悪夢めいた混沌に引き込まれずにいられない。ハリーの名の由来たるこの画家の、狂気に満ちた世界観がどんな時代に編まれたのかもまた興味深かったし、ちゃんとカバーをそれで飾ってくれた出版社に感謝。
 それぞれのメインストーリーや謎の組み立て、欺瞞と疑いとに彩られた「敵」の存在はもちろん、この2作がこれまでのシリーズにおける三人称とは視点を変えて片や他者からの視点、いまひとつはボッシュ自身のモノローグで綴られているのも非常に面白い。物語の導き手たる元FBI捜査官が、些か安直に結論に飛びついた気もしないではないが、なるほど傍から見るとこういう男なんだ、この狷介ぶり、そして確固としてもつ峻烈なまでの「正義」への拘泥…うーん、こりゃ誤解されるしお役人には嫌われるわと、シリーズを通しての世渡り下手に改めて納得。
 で、そんな青臭ささえ微妙に残した反骨精神に対し、後者ではそこらのオッサンみたいにちょっぴり抜けた面も出てきてほほえましい。なぁハリー、言わせてもらうけど携帯電話は持ち歩かないと意味が無いぞ?あとな、コンピュータ音痴は分らないじゃないが、検索ぐらいは覚えろよ。

 などと主人公と己の距離感を愉しみ、それゆえ最後のシーンに怒涛の涙を流しつつ、これでお別れなのかな…と思ったのだが、しかし刑事を離れ過去のしがらみを棄ててなお、ボッシュの探究心はやむことが無いらしい。これに続く続編がどうか青空のもとの物語であるよう祈りつつ、じっくり待たせていただくとしよう。


10月26日(水) 晴

 昼休みに赴いたコンビニで、新発売の食玩を大量発見。うむ、物欲の秋だのう。とりあえず相方のために『おみやげ物語(メガハウス)』、自分には『チョコQ(タカラ)』を4個ずつ購入。
 まず前者で、相方が欲しがっていた「かえる饅頭」をゲット。うむ、日頃の鍛錬の賜物であるな。運の無駄遣いともいうけれど。あと他の3個中2個が「八橋」だったのは…ええと、ご愛嬌ということで。
 で、後者からは、なんと1個目でシークレット出現!モノは「カラーひよこ」。
 ……微妙だ。
 造形は例によっての神業、ちゃんと頭でっかちな可愛らしさと、これから鳥に育っていく羽根や脚のリアルさを両立させている。いるんだが、夜店で儚く鳴きながら売られてて数日の命だったソレを覚えてる世代としては、なんとも言葉に詰まるものが。いや、その後を生き延びてふてぶてしい雄鶏になっちゃったヤツも山ほど見ましたけどね。
 実のところ、自分で飼ったただ一羽、すぐに懐いて僕の後を必死で駆けて来たちびすけ、小屋の跳ね上げ戸に挟まって死んでしまったヤツのことを思い出してしまうってのが最大の理由なんだよな。ペット動物シリーズにいろいろ想わされること多い、そういう機会を得られたことを感謝すべきか恨むべきか。


10月28日(金) 晴

 『METAL GEAR SOLID 4 〜Guns Of Patriot〜』の予告ムービー(何故かQuickTimeコーナーに置かれてる)を観る。クオリティいよよ高く実写と見まごうばかりな映像は最近のゲームでは珍しくないが、演出効果の見事さゆえ、やはり一頭地を抜いているなあ…と感心するうち、展開するドラマに引き込まれる。
 TVのニュース、あるいは『ブラックホーク・ダウン』で目にするような廃墟化した市街地。埃っぽくしらじらと死んだ町を駆けてゆく一群の兵士。何処からともなく現れ、かれらを襲撃する影ひとつ。

 よう、スネーク。
 老けたなぁ(笑)

 待てよ、笑いごっちゃない、たぶん彼の遺伝子レベルの戦いが続いているってことなのだ。そしてたぶん、戦闘車両とともに地響き立ててやって来るあれのため、ふたたび戦場に立たねばならない状況で。
 あれ。メタルギア。量産タイプなのか複数「居る」。いささか小型、細身のシルエットながら巨獣の如き足取り。コクピットらしきものが判然とせず人が御すると思えないが、サイズをみるに機械制御とも考えられぬ、なにやらおぞましい予感を覚えさせられる面構え。
 その向こうにいる者は、なんだ。

 と、驚きと期待と不安と感慨をつき混ぜた想いで画面に没入しきったところで、スネークやオタコンよりずっと懐かしい存在が現れようとは思わなかった。

 おかえり、メタル。ずっと君に会いたかった。

 もちろん自律思考してる『スナッチャー』のあのキャラクターじゃないけれど、その姿がリアルなCGで動いてるのを観るだけで、ほっと暖かい気分にさせられる。不思議だな、相手は外を歩いてるデカブツ同様のメカだというのに。
 もしかしたら、この戦いの向こうには本物と会える未来が広がるかもしれない。いや、それがコンマ以下の可能性ってのは分っている、たぶん地に絶えること無い戦の苦さを味わう物語なんだろうけど、それでもちょいと明るい夢をもって主人公の背中を追うことができそうだ。

 待ってるぜ、スネーク。
 次の戦場にも付き合わせて貰うぜ。  …また新しい装備(ゲーム機)を買い込んで家人にぼてくられ、かつ財布にダメージを受けているとは思うけど。


10月30日(日) 曇時々雨

 『骨の島(アーロン・エルキンズ/著、青木久惠/訳)』読了。
 「スケルトン探偵」ギデオン・オリヴァー教授シリーズの最新作ということで楽しみにしていたのだが、残念、これはいまひとつだった。
 まず、序盤でネタが透けてみえる。続くドラマのサスペンス部分で盛り上がってくれればいいのだけど、生憎それもなし。で、何よりも、なかなか骨が出てこない!もちろん主人公の出番も無い。で、やっと出てきたと思ったら彼をその二つ名たらしめている鑑定シーンや骨の描写がほとんど無い。なんとも物足りないとしか。
 解説子はデビュー作へのセルフオマージュめいたものを感じているようだが、残念ながら僕はその境地に達することはできなかった。ネタ不足を異国情緒で埋めようとしてスベった印象のみ抱えて、淋しく次作へ望みをかけるのみである。


10月31日(月) 晴

 PS2ソフト『ワンダと巨像』をプレイ。序盤も序盤、ちょっとウロついただけだが、今のところ大いに満足だ。
 空あくまで高く広く、連なる地形も雄大にして果ての見えぬ、そんな空間の広がりがしっかり形作られており、その中を自由に動き回れる。フィールドが細かく区切られていない(区切られてたとしても感じられない)から、ひたすら馬を駆って地平を目指したり、己の手足で行ける限りあちこちよじ登ったりと、虚構世界を彷徨できるのだ。多くのゲームがそうあるフラグ立てにあっちへこっちへ行くのも好きなほうだけど、この開放感はまるっきり違う愉しみを予感させる。
 で、うろつき回った果てにでくわす、巨像。
 CMやプレ映像でそのデカさは知っていたけれど、実際に対峙してみると桁違いの迫力だ。巻き起こる土煙の中を足元に寄ると、相手がちょっと動いただけで地響きにふらつき、蹴立てられた土塊にすくわれて引っくり返ってしまう。あ、と思った時には踏み潰されていて、どうにもこうにも情けない。
 だが、そんな一種理不尽な状況なのに、コントローラを投げる気にならない。あまりにデカすぎる敵に「倒せなくて当たり前、でも倒してみたい」という肩から力の抜けたチャレンジ魂をもつゆえだろうな。あと、もちろん少女が本当に目覚めるのか、その時何が起きるのか、いやそれ以前に彼女と主人公が何者なのか、知りたいというのもあるけれど。

 惜しむらくはカメラの位置がいまひとつで、おまけに操作もちょいと面倒。普通のアングルでは見つからないものを探してぐりぐりせにゃならんので、三半器官の弱い人にはお勧めできない。いや、本当はお勧めしたいのだけどね、何なら洗面器を用意して。<嫌がらせか


翌月へ





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