店主酔言
書籍・映画・その他もろもろ日記

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9月1日(土) 曇のち晴
 こまかな細工をして日を過ごし、猫の「構ってくれ」コールを無視していたら、殴り合いが始まった。後足で立ち上がり、鋭いパンチの応酬を……と言いたいところなんだが、所詮は家から出たことのない箱入り猫同士。ぺちぺち、と互いの顔に触りあうようなヌルい勝負である。ん〜、いかん。いかんぞコレは。八百長かコラ!金返せ!払ってませんけど!

 帰宅したねこまに付き合ってFFX。ラスト前で長い長い足踏み状態である。寄り道が楽しいのはいいんだけど、キャラの個性と言うか人格レベルで損なわれてるような気もする。ひところは「ぶんどる」「盗む」をつけまくってスピラ強盗団になってたし、今は「ものまね」が流行中で、召喚師様と愉快な旅芸人の様相を呈している。
 ようよう、ねこまよう。いい加減先に進まないと、話の本筋忘れちゃうよ?え?いいからモンスター捕獲しろ?雷200回避けろ?ブリッツボールで勝ち抜け?
 ……キミね、僕を何だと思ってますか。自動レベルアップ装置だとでも?そのとおり?さようで。僕の人格も100数十時間の間に損なわれたものとみえる。
 妙に納得して引き下がる自分が悲しい秋の夜。 <すんな!

 そういえば、この日記を書き始めて1年が経った。しょうことないモノだが、一応缶ビールでも空けて祝うとしようか。

9月2日(日) 晴
 朝食の買い物に赴いたスーパーで、「チョコエッグ」のペット第2弾が並んでいるのに気付く。数日前にゲットした「妖怪根付」がイマイチ(特にカラー版の塗りが酷かった)だったのと、前回の一部哺乳動物のアイタタぶりを思い出して逡巡するも、結局4つばかり掴んでレジへ。
 出来は、いい。造形はもちろんだが、塗りが殊のほか上出来。驚いたことに、ウサギ(垂れ耳のロップイヤー)なんかも毛並みの感じが綺麗に出ている。それに魚類がとにかく素晴らしい。ディスカスも鯉も、このまま水槽に入れてもいい感じだ。前者の分割に”愛が無い”のがちと残念だけど、まぁ仕方無いよなぁ。こんな形のもの、一体にしたらカプセルに入らないもの。
 大いに満足するが、朝飯前に割ってしまったので食が進まない。いや、ホラ、割ったからには食べなくちゃ。子供じゃないんだから、責任を持ってだな……って、食事前にチョコ食ってる時点でダメダメですな、はい。

 『奥津城(ローリー・キング/著、佐々田雅子/訳、集英社文庫)』読了。過去に負った痛手を動機にカルト教団(って言い方は本質的に間違いなんだけどね)への潜入捜査に挑む初老の大学教授。葛藤しつつも入り込んだ任地で彼女が目にしたのは若い日に失った愛児と瓜二つの少女だった……というところから、彼女が、自身も見失いそうになりながら、闇ざれた地へ踏み込む物語である。
 良い。秀作である。特に前半、彼女が過去に経てきた捜査活動とその発端、そして今回の捜査行の過程を、指示を下す捜査官との愛憎いずれともつかない感情を絡めて描いているのが「読ませる」。決して刺激的ではないのに、じりじりと読者の意識に食い入り引き込み、かつ行間を想像させるのだ。そして後半に至り、物語は陰惨な事態を思わせつつ、いやがおうにも危機感を匂わせて展開するのだが。
 ……残念ながら、僕としては後半がちと食い足りない。というか、終着地到着以降、ちょっと端折ってるようで、尺不足な印象がある。もっと描き込んで、1.5倍程度の厚みにしても良かったのじゃないだろうか。上下巻でも十分にイケたと思う。ラストの「彼」の行動が唐突に見えかねないのもいかがかと思うし。もちょっと前から月齢を書き込んでも良かったんじゃないかなぁ。建物の描写は十二分にショッキングというか、目の当たりにするように描かれていて迫力あったけど。いや、細かい文句を並べるのはやめておこう、要は「もっと読ませろ!」なんだから。
 ただ、この邦題(&例によって腰巻のアオリ文句)はどうかと思うけどね。「彼」の、そして「彼女」の望み、行き着くところは決して墓所では無かったんだから。

 夕方、ねこまがFFXをクリア。傍らで見物する。
 総体としては、システム面は普通のジャパニーズRPGだったと思う。ストーリーについて言うなら、過去のシリーズ総集編というところ。特にキャラクターの設定に、似通ったものが多々あった。特に誰とは言わないけどシーモア(言ってるって)なんか、セフィロスとジェダ(言うなって)を足して構成しなおした感じだ。話そのものは矛盾も穴も説明不足も山とあって、解消されないまま強引に幕となった気がする。
 が、しかし、ひさびさに「面白かった」と言えるゲームだったと思う。展開の先が気になりつつ、寄り道わき道が楽しい。「えっ?」と思わせる話も次々に出てきて飽きさせなかった。本筋から手を抜かずお遊び要素は満載、グラフィックの見せ方美しさは言うまでも無い。キャラが喋るのも「FFなのに」と違和感があったのだが、これが意外なほどハマって思い入れを増してくれた。また僕がつとにこだわってしまう台詞回しも、違和感を覚えさせないきちんとしたものだった。
 長いこと「お約束」におんぶした手抜きRPGが量産された後だけに、こういう作品の(あえてこう言うが)「復活」は嬉しい。次回作も楽しみにしたい……って、確かネットゲーなんだよね。そういやベータテスト要員の募集もしてたっけかなぁ。無料奉仕する気はさらさら無いけど、製品が出る前に周辺機器は確保しておこうっと。<やるんかい

9月3日(月) 晴
 帰宅したらチョコエッグが増殖していた。しかも10個。まったくもう、大人なんだから少しは我慢しろよ〜ねこま。ん?速攻チェック入れて「ブルテリアかわぇぇ〜」とか「インコはコンプかぁラッキー」とか言ってる自分はナニサマ?いやはははは、ほら「心の棚は広く持て」って島本和彦も言ってるし。つかコレはキミの座右の銘であったか。 <両者ともにダメダメ
 さてチョコエッグ。今回は中身の出来の良さもさることながら、チョコの味がまた少し良くなってる気がする。喉に突き刺さるような甘さは相変わらずで、チョコレートはブラックまたはミントってぇ僕には辛いものがあるのだが、少しずつならなんとか片付けられる味だ。やはりお菓子メーカーとして、オマケだけで商売しないってスタンスはあるのねフルタさん。しかしプロバイダ稼業にまで手を広げるあたり、なに考えてるのかな〜って気もしないではないが。
 ま、ブームがこのまま続き、かつフィギュアの出来もチョコの質もますます向上してくれれば嬉しいな。つわけで、明日は会社の近所で捜索してみよう!

9月5日(水) 晴
 チョコエッグを買い歩く途中『世界自然動物(バンダイ)』を見つけ、一緒にゲット。何の気なし、ついでのつもりだったのだが、これが存外に良い。野生動物の親子のフィギュアが入ってる玩具菓子だが、構成と塗りがよく出来てる。菓子はでっかいラムネがいっこ入ってるだけで、世のお母さん方には評判が悪そうだが僕には嬉しいし。正直言ってチョコの山を片付けるのはツライのよ。塩煎餅にしてくれんかフルタさん! <ヒロツさんちのチャットネタ
 閑話休題、自然動物シリーズには、我が家の一党こぞって熱愛する写真家・岩合光昭氏による動物写真カードが入ってるのもポイント高い。小さいものだけど、どれも「いい写真」なんだよな。ちなみに最初に引き当てたのはハイエナ。ちょっと見怖そうで、よく見るとコミカルな、そして敏捷で賢い行動が好ましい生き物である。なんかこう、カラスと通じるものがありますな。僕の好きな動物ってそんなんばっかかも知れぬ。
 チョコエッグは、やたらにブルテリアが出る。この犬は決して好みの種類じゃないけど、フィギュアの出来はすごくいい。『田宮模型の仕事(田宮俊作/著、文春文庫)』で、フィギュアは動作の一瞬前を捉えるということが書いてあった(正確には、大塚康生さんが「動きのあるものを作るには”二コマ前”を」と言ったという話だ)けど、まさにそういう感じがする。こう、ひょいっと首を動かしそうな形が見飽きない。
 ……でも欲しいのは、動きもなんも無くてオッケェなベルツノガエルだったりするんだよな。明日こそガンバだ負けないぞ! <そしてベルツノ体型に。

9月6日(木) 晴
 帰宅途上、ハンズへ寄って細かい道具やパーツを購入。平日の閉店間際、よく来る休日(土曜日な。日曜はガキ子供連れが多くてイヤっす)とは各売り場の雰囲気が微妙に違って面白い。が、ハンズの売りであるだろうDIY関連では、この店では珍しいちょっとムカつく出来事が。いわゆるちょムカ(違います)。相談カウンター奥の加工コーナーで談笑してる店員さんがちーとも出てこないのだな。客は数人カウンターに並んでるし、レジの方からは「お願いしま〜す」と助けを求める仲間の声がしてるというのに。しかもうら若いお嬢さんなので、こっちとしては助けてあげたい気分倍増。助けて貰っても困るだろうが。

 『パズルレディの名推理(パーネル・ホール/著、田中一江/訳、ハヤカワ・ミステリ文庫) 』読了。いわゆるコージーもの、小さな町の事件簿風なのだが、キャラクターが型にハマってなくて面白い。全国紙にパズルを連載する、一見ミス・マープル的なカワイイおばあちゃんとその姪と見せて実は……という設定はイケてると思うんだ。
 ただ、初手からネタ割れしてるような気がしないでもない。それに設定も情景も淡々と説明されてるふうで、「ええっ?」と言わされるコトが無いんだよな。前シリーズの苦労症中年エレジィ味(どんな味やねん)が、鍋の底に残ってる気がしないでも。またメインのネタであるクロスワード・パズルが今ひとつ印象が薄い。せっかくなんだから、ネタが出るごとに本文中に載せても良かったんじゃないかな。あと、苦労のほどはお察しするが、パズルまで日本語訳する必要があったかどうか。本文にルビ振って言語でパズル!で良かったと思うよ、どうせ海外ミステリ好きがメインターゲットなんだから。
 今回のミスディレクションに散りばめたネタを後から引き出してこなければ、続きを読んでもいいかな……というレベル。コーラおばさんは魅力的だけど、彼女だけでシリーズを引っ張るには他が重すぎるというところだろうなぁ。

9月7日(金) 曇のち雨
 出勤時、電車に乗り込もうとしたところで見知らぬお爺さんに呼び止められた。これは千歳行きか?と聞くのだが、「NO」と言っても首をかしげる。補聴器をつけているので、耳元で叫んでみた。
 「違いま〜す!小樽行きですよ〜!」
 「ホテルぅ?!」
 ジィさんは大声でそう言い、僕を熱く見つめたのであった。やめれジジィ。

 そういう経験で肌に粟を生じさせたせいか、風邪気味である。毎年楽しみにしている近在の神社の秋祭りも、豪雨にあえなくお流れとなった。枕もとでチョコエッグを開け「パグだ〜」と喜ぶねこまの声を聞きつつ就寝する。さみしぃのう。



 …………………………パグ?
 うわ〜、カワエエ〜〜〜〜。 <起きたらしい

9月8日(土) 曇
 雨はあがったものの、いまひとつパッとしない天気である。昨日の後遺症で頭も重い。ここは「寝て曜日」にすべしと決め込んで、猫にまみれて布団にこもる。徒然に本を一冊、これは昨日買った『心の砕ける音(トマス・H・クック/著、村松潔/訳、文春文庫)』を手に取った。
 これは、ダメだ。寝てられない。
 就寝前のお供には絶対に向かない本である。眠るどころか中断もできない。おのれ自身の好奇心、いや「知りたい」欲求(前者とは違うのよコレ)に襟髪掴まれ、主人公とともにあてどない探索に引きずりだされてしまう。これはそういう、非常に危険な本のひとつだ。
 およそ性質は違いながらも、仲良く育った兄弟。だが誰からも愛された弟は非業の死を迎え、兄はその場から姿を消した女を追う。この過程の描き方がすばらしい。スーツケースひとつを手に、ただひとり町に着いた時からの彼女の姿を、その場に居合わせた人々を訪ね歩くことで鮮明に描き出すのだ。そして姿を活写されながらも、決して実態をとらえさせない彼女に、ややもすると苛立ちさえ覚えさせながら、ごく自然に物語りに絡め取る。
 そして進むうち、読み手に今度はざわざわと「疑い」が忍び寄る。本当に彼女が殺したのか?いや、語り手たる彼の挙動の端々に滲む、この言いようのない危うさは何だろう?文中、ある言葉を目にした瞬間から、疑いはさらに広がり深まる。本来は疑問形であったこの言葉を最初に口にした男と、その弟との間に起きた出来事を思えば。だがしかし、それは暗喩にも何にもならない。物語としてはあまりに底が浅くはないか?『夏草の記憶』で、僕の脳に鮮やかな背負い投げをくらわし、床に叩きつけてくれた作家のものとしては?
 期待は裏切られない。ラストに待ち受けていたのは、衝撃また衝撃だった。そしてその後に待つものは……一歩間違うと蛇足になりかねないものを、涙ぐませるような余韻とともに描ききっていて、素晴らしいとしか言いようが無い。
 表紙を飾る画も、物語を終えて見ると一層に趣がある。久々の大ヒットといえよう。

 午後、柳刻満氏の見舞いにと家を出る。病院は嫌いである。かつて遭難しそうな吹雪の中、車を飛ばして駆けつけた、ストロハイムの病床の記憶がいつまでも拭えない。
 柳氏は不在だったが、これは幸いにも一時帰宅なんだそうである。見舞いに所持した本(セシル・B・アダムズの『こんなこと、だれに聞いたらいいの?』2冊。質問者と回答者の鋭い舌鋒だけでもイケてるうえ、ネタは非常に興味深い)を枕辺に置いて帰る。Webともだちの伊藤計劃氏と併せて、一日も早く自分ペースの暮らしに戻られることを願ってやまぬ。神とてもたぬ身とあっては、空頼みしかできぬのだが。

9月10日(月) 雨
 遅い夏休みをとって、ねこまと二人で遠出する。車にあまり魅力を感じない人種で普段はバスかJR派なのだが、今回は頼まれ物を届けるつー目的もあり、ドライブとなった。さすがにダンボール3つ分の本は担いで歩けないッス。
 さっそくレンタカーを借りる。毎度のコトながらアッサリした手続きだ。いいのかほんとに?こちとら免許こそゴールドだが、ここ2年近く運転してないんだぞ?ホリデードライバーどころか年次休暇ドライバーだぞ?て、交通法規とレンタカー会社の営業方針に異を唱えても得るところは無いけどな。
 接近しつつある台風の影響で空模様がヨロシクないため、とりあえず一路室蘭方面へ。途中ではニドムにちょっとだけ立ち寄った。「ありもの」の原生林を活かしつつ、それにきちんと調和する人間用スペースを作り出してるのが好きで時たま訪れるのだけど、いつもながらにしっとりと落ち着いた風情が好ましい。モノホンの夏休みに長期滞在とかしてみたいなぁ。
 構内を散策していたら、草の間にハート型を発見。可愛いじゃねぇかと写真を撮ったら、近くにはこんなのも首を伸ばしていた。どう見ても人食い植物、静寂閑雅な森の中が、いっぺんに『キングスフィールド』になったような。

 届けものを済ませた後は、のんびり寄り道しながら帰宅……と思っていたのだが、雨脚はいよよ激しさを増すばかり。そちこちに立っている秋祭りの幟も、雨にうたれて寂しく垂れ下がるばかり。大型書店に寄ってコミック数冊を買い、六花亭で茶菓子を整えて帰宅した。さて、夏休みはあと2日、まともにお日様を拝む日があるのやら。

9月11日(火) 雨
 大雨。といっても、さのみ風を伴わないので、室内でぼへ〜としてるぶんには危機感が乏しい。しかし窓から見える小川がじわじわと増水し、しまいに轟音を立て渦巻くようになったのを見て、さすがにヤバいかなと思い始めた。消防署の車も巡回してたりする。うむ、いよいよ台風が来るのだろうか。とは言うものの、特に対処も考えておらんなぁ。場当たり的に人生渡ってくると、こういうノホホン野郎になっちゃうつーわけか。いかんいかん……と思いつつページの更新なんか始めてみたりする。ダメだなこれは。途中、うっかり上書きして1時間分の作業が台無しになったりもする。さらにダメである。イヤになったので昨日買って来たコミックなんか手に取ってダメ度を上げ、さらに途中で居眠りなんかもしてみた。極めた気がするが、どうだろう。 <ダメだってばよ

 夜に入って大事件が起きた。ニューヨークの国際貿易センタービルにハイジャック機が2機、カミカゼアタックを食らわしたという。さらに国防総省に1機、他にも乗っ取られたままのが飛んでいるとか。未曾有のテロの勃発に、報道関係は大騒ぎになった。次々に入ってくる情報は悲惨なものばかりである。せめて1人でも多く、無事に逃げ延びて欲しいものだと、ヒロツさんとこに集まって、皆で取りとめもなく語り合う。
 最悪なのは、指示を下したヤツがのほほんと生き延びてるだろうということだよな。そいつの信じる宗教なんてモノがあるなら、地獄の一番底に席を予約してやりたいわい。

9月12日(水) 曇時々雨
 この日記で時事ネタはやらない方針なのだが、雨に降り込められ徒然にテレビをつけたりすると、どうしても例の事件に目が行ってしまう。どこのどいつが、こんな酷いことを思いついて、そしてやるんだか。クランシーの小説との類似が上げられたりしてるけど、作家の想像力と同じ事を考えたって、妄想レベルで終わらせとけよなぁ。何を主張したいどんな奴であるにせよ、その主張が二度とまともに取り上げられることは無いとか、信念でも信仰でもそいつと共通点を1つでも持っている無辜の人々が、これからどんな思いで生きなくてはならないかとか、そこまでの想像力が無いんだから。
 ふと、古い唄を思い出す。ボブ・ディランのMasters Of Warを、岡林信康が日本語で歌ってたヤツだ。
   爆弾を作る おまえさんたち
   壁の陰に隠れても 机の下に隠れても
   あんたの顔は丸見えだ
   オイラの世界を オモチャのように
   ひねくりまわし ただ壊すだけ
   いつも隠れて 弾が飛んでくりゃ
   雲を霞と逃げるだけ

   (中略)
   そんな恐怖を まきちらす
   お前にゃ血など流れちゃいない

 軍需産業、いわゆる死の商人を詠ったものなんだけど、今回の事件の黒幕にゃ似つかわしい。とっ捕まえてヘッドセットかぶせて最大ボリュームで24時間聞かせてやりたいぞ。 <そら拷問だってばよ
 なに?ディランを歌うには世代が違うだろう?越権行為で処罰ッスか?

9月13日(木) 曇のち晴
 予定していた作業を投げ出しテロ事件の報道にばか〜〜っと口を開けっ放しだった休暇を終え、久しぶりに出社。土日を含めて5日も席を外していると、さすがにメールが溜まりまくっている。午前中はその処理で終わってしまった。やっぱ自宅で取っておくべきだったかなぁ。でも家に仕事を持ち込むのはヤだし。つか持ち込んでも何もしない可能性が高いし。 <ダメじゃん
 で、職場でも、話題はやはり今回のテロの事だ。流通関係が混乱するので、対岸の火事と眺めているワケにも行かない。もとより無関係だって、見物するには悲惨すぎるんだけどね。犯人を捕まえるのも首謀者を突き止めるのももちろん必要なことだけど、とにかく1人でも多く助かって欲しい、傷が軽くあって欲しいとしか思えない。
 しかし、人間の残虐さには限りが無いんだなとつくづく思う。おそらく自分の手を汚すことなく、(公式には)戦争してるワケでも無い国の、何も知らない一般市民に不意打ち食らわして数千人単位で殺戮するなんざぁ、どういう生きもののする事なんだ。いわゆる殺人鬼と呼ばれる人間のほうが、よっぽど理解できる気がするぞ。
 いや、自分の手を汚さないからやれる事かも知らん。宇宙コロニーが出来るような時代になったら、アレを落とそうとする奴が本当に出てくるのに違いない……なぁんて考え、ガンダム世代の妄想で済みますように!

 3日間にわたってシリアスな思考を強いられたのでストレスが溜まり、帰途ウロウロと寄り道をしまくる。て別にストレス溜まらんでもやってますか。
 まずは当然(なのか?)書店へ飛び込み、『メタルギアソリッド2』のムービー目当てにGameWaveを、京極夏彦の新作目当てに新装なった『怪』をそれぞれゲット。後者はざっと見たところ、同人誌の雰囲気がますます濃厚だ。中心人物の名前がやたら沢山出ている目次ってのが、良かれ悪しかれ雰囲気である。他に河出文庫の『20世紀SF』の6と4をゲット。残るは3だけ、これはAmazonででも手に入れようとフロアを替え、食品売り場で夕食代わりのスナックを少々。しかしイマイチ満たされないものがある。かくて閉店間際のデパート内を、さらにウロついていて、素晴らしいものを見つけた。
 『サウスパーク 無修正映画版』DVD。2,500円也。
 敬意擱くあたわざる奇妙愛博士も先ごろ励ましてくださったことだし、これであんな歌やこんな歌をしっかり暗記しテロリストどもに向けて熱唱……すると多分テロ行為で逮捕されますな。ダメじゃんワシ。

9月15日(土) 曇
 昨日から肩が痛くてならない。特定の方向に腕を上げるか首を曲げるかすると激烈に痛い。しかも指先まで痺れがくる。さらに始末の悪いことに右腕なもんだから、飯を食うのにもエラい苦労である。てゆっかエネルギー補給するのに消耗するってサイアクなんだけどー。 <既に死語では
 四捨五入すると不惑に達する身としては「四十肩」ではないかとも思ったのだが、今朝になってみたら関節痛とハナミズがすさまじい。風邪だったらしい。ひねもすゴロゴロ寝て暮らすことにした。
 まずは『怪』読了。面白いポイントを微妙にハズシてる気がする。妙に学究ぶった言葉遣いが鼻につくというか。研究として発表するのでも、読み易くして損は無いと思うのだけどね。目当てだった京極夏彦の小説は、面白くないとはいわないが、わざわざシチュエーションをいじったほどの楽しみが無い。続きを読めばまた印象も変わるのかもしれないけど、青年たち個々人のイメージが薄いんだよな。岡本綺堂ごっこするにはいま少し、というところか。あと、まさかこの人が「耳触りが良い」とか書くとは思わなかったな。読んだ瞬間に吹いちまったぜてやんでぇい(似非江戸言葉)。言葉は移ろい行くもの、正しい日本語を!とか叫ぶ気はさらさらないけれど、まだその用途が世間でも話題になるレベルのものは書かないほうがいいと思うんだ。ン百万部の売れっ子作家としてはさ。
 寝返りをうつのも大儀なまま、あとはDVDを眺める。『怪/七人みさき』と『サウスパーク/無修正劇場版』。なんかチョイスに問題があるような気もするけど、まぁいいや。
 午後になって少し体調が回復したので、寝床の傍らに作業場所をこさえて盛り削り。パテの臭気に猫が逃げるかと思ったが、さすがに慣れたのか平然と寝ている。よいよし、それでこそウチの猫僕の猫。硬化時間を待っている間に僕に向かってオネム波を発射してくるあたりも見事なもの……ぐぅ。とかやってるうちに日が暮れた。明日はもちっと天気が良くなるといいな。

9月16日(日) 曇時々晴
 ミキさんがお子供を連れてやって来た。つかタカオと愛奈ちゃんの襲撃の輸送役を努めたというべきか。どっちもわりに大人しい子だが、迎撃システムの無い我が家は素早く退避した猫1匹を除いて蹂躙される。これは一種の攻撃であろう。違う意味で人間爆弾つ〜か……って、このネタがアニメじゃなくなってから久しいのう。嫌な時代だ。
 さて、3歳&9ヶ月の子供にゃ分からんべと『サウスパーク』上映。確かに分からんかったようで●●●●とか●●●とか●●●●●とかブライアン・ボイターノとかは言い出さなかったが、絵が趣味に合わなかったのかタカオが退屈し始めた。公園に行こうとグズるのをなだめつつ、意地で最後まで観るミキさん。どっちが子供なんだか。てねこまも僕も観たかったので、一緒になって懐柔しましたけど、ええ。
 映画を終え、さて公園へ赴いたが、タカオは「コワイヨー」とメインイベントに予定していたボートに乗りたがらず、複数台ある滑り台の制覇に駆け回る。赤子を抱いたミキさんにはフォローしようがないので、僕がくっついて走る。走り滑りドングリを拾い、くたくたになった頃にはタカオも目がグルグルになって座り込んでいた。ふ、ふふふ、勝った! <勝ってない
 家に戻り、ホットケーキを食べて母子は帰宅。僕は予定の一切を放り出して昼寝を決め込み、結局日暮れまで寝てしまった。くそう、今日書く予定のメールも手紙も、作業のいっこも進んでないぞ!明日会社でやるしか!
 ……こんな大人になっちゃダメだぞ、タカオ。

9月17日(月) 曇のち雨
 通勤途上『20世紀SF 6:1990年代 遺伝子戦争(イーガン/シモンズ他/著、中村融/山岸真/訳、河出文庫)』を紐解き、巻頭の『軍用機(スティーヴン・バクスター)』を読んでヘコむ。冷戦時代の底でアポロ計画が失敗していたら…?というifもの(とは言わないのかね今は)なんだが、勢いを増して破滅の淵に堕ちていく世界に昨今のあのテロ事件が妙にカブって見えるのだ。やんぬるかな闇塗るかな。小説とは違うんだ、きっと誰かがどこかでストップをかけることが出来るさ!なぁんて信じられるほど若くないんだなぁ……て、何に憂愁を覚えてますかねワシ。マジメにやれ。
 実際のところ、僕はテロ行為は撲滅さるべきと思う人間だ。から手の他人に武器を向けたら、それは自身の死刑執行令状へのサインだとも考えている。しかし、報復のつもりで撃ち返して、また無辜の人を殺すことになったら、報復の報復の報復の報復の報復……つー連鎖に陥るしか無い。アレだよね、心霊現象を信じてる人は、どうにかして人殺しの体重に被害者の体重が、せめて霊の重みが上乗せされる仕組みをつくってくれんかな。そしたら今度の一件の首謀者なんかは、ずずーっと核の方へ降りてってくれて、幸せなミミズの一群を作ってくれるんじゃないかと思うんだが。
 まぁ、マジメに重苦しくなったって何の救いも無い以上、テロリストを茶化し、戯画化し鴻毛のごとく軽んじるつー主義を貫くのみ。逃避かもしらんけど、当人を前にしてもそれが出来るよう、力いっぱい逃避していきたいもんである。

9月18日(火) 晴
 帰宅途上、デパートの地下でチョコエッグを発見。当地では一般売りされていない「日本の動物 第5弾」である。ほとんど反射的に数個をレジへ持って行った。え?大人のクセに?ええい、うるちゃいうるちゃ〜い!大人だから好きなだけ衝動買い出来るんだもんね!や〜いや〜い!ざま〜みろ〜! <をい
 さて中身。待望のカエルこそ出なかったものの、上作と噂の高かったルリボシカミキリを引き当てることができた。いやホント、これは凄いわ。ボディの色形、繊細な脚、そして長く長く細い触角まで、キッチリ作りこんである。そこらに置いておいたら本物と間違えそうだ。実に素晴らしい。
 他にイシダイやグリーンアノールなども良い出来で、非常に嬉しい。今回はペットともども上出来なのだなぁ。やはり一度は箱買いにチャレンジするべきだろうか。って義務みたいに言ってますが、まぁそういう大人だってことでひとつ。

9月19日(水) 晴
 昨日に引き続いてデパート地下へ赴き、驚愕する。チョコエッグの山が半分の高さになっているではないか!なんてこったいジーザス!おのれオタクども恐るべし!
 こうなったからには、こっちも対抗せねばと大箱ごとひっつかんでレジへ。どうせ月に買う量を考えたらこんなもん……て、何ですか?僕の顔に何かついてます?

 『蠶叢[さんそう]の仮面(諏訪緑/著、小学館)』『西王母(同前)』を読む。シノワズリ・アドベンチャーと銘打たれておりナンノコッチャと思っていたのだが、これが中国趣味といってもよく知られた三国あたりの時代じゃなかった。古代も古代、青銅器が伝播する前の話なんである。そこに超能力や特殊文明や滅びた種族なんかを絡めつつ、文明論を背景に主人公たちの成長を描く……なんて説明じゃ面白みが伝わらない。ほんと、よく出来たファンタジーなのだ。舞台設定もキャラも魅力的で、一気に読める。こういう作品、もっと売れていいと思うんだが……作者さんが最近書いているのが諸葛孔明の話であったりするところを見ると、やっぱ大多数の関心はあの辺にあるんだろうな。ちょっと勿体無いような気もするぞ。

9月20日(木) 晴
 昨日の箱買いの成果を枕もとに目覚め、にんまり。いやぁ、30個買って『日本の動物 第5弾』がほとんどコンプできたのは嬉しいやね。おまけにシークレットのイリオモテオオヤマネコが2個もゲットできたとあっては、もう言うことなし。シアワセ〜。
 とか浸ってたら、エレファントマンよろしく座ったまま眠ってしまっていた。出勤10分前に覚醒。慌てて飛び出す。

 で、たどり着いた職場では、ここ数日来のウイルス騒動が続いていた。Sircam、CodeRedに続くNimda(Adminの逆スペルつーネーミングがダセェ)てヤツである。いったん駆除してあっても、ネットワーク内に駆除してない人間がいる限り、そこからまた発信されてくるというムカツク代物だ。社内あげて探し回りつぶしまくりワクチン投与する様子は、なんか終戦直後のDDT撒布を彷彿とさせる。いや実際に見たことありませんけどもさ。
 さて、スキャンツールでウイルスを探し駆除するのももちろん大事だが、入り込みにくい環境を用意することも必要だ。シラミ退治に喩えるなら、風呂に入って清潔な服を着るってことか。そこでウインドウズとIEに最新サービスパックを当てる必要があるのだが、これがなかなかうまく行かないらしい。全世界で大騒ぎして、みんなダウンロードに殺到してるせいなんだろうね。どれどれ、僕もやってみるか……ん?素直に行くじゃん?
 ウイルスバスターのパターンファイルに至るまで、さっくり手に入れた僕に、周りの連中が「何故だ」「どうやった」と聞いてくる。変だなと彼らの端末で同じ方法を繰り返すと、不思議にこれが上手く行く。しまいに他セクションの人間が「自分のトコでもやってみて」とか言いに来た。わーははははは!勝利!僕は電脳の神に愛されている!つか幸運の極み!こりゃあ帰りに宝くじを買って帰るしか!
 と思ったのだが、昼飯に買ってきたコンビニ弁当の真中があったまってなかったトコを見ると、曇りなき幸運とは言えないようだ。少なくとも電子レンジの神には憎まれているらしい。つかデジタル文明の先端で、アナログな極みのジンクスなんか信じてられっか。ふん。 <ってをい
 まぁ冗談はさておき、どちらさんもウィルス対策は万全にして戴きたい。サイトを覗いただけで感染するものもあるんだし、その件に関しちゃ天下のMSNが汚染された事実もある。風邪をひかない&他人に伝染さないってぇのと同じこと、トレンドマイクロ株式会社とかシマンテック株式会社でソフト買って、早めに被害を低くできるようにしとかにゃね。
 ……今日の幸運ついでに、どっちかの会社から僕に宣伝費くれないかな。 <あほぅ

9月21日(金) 曇のち雨
 朝方、気温が急激に下がる……といっても自分では全く意識しなかったんだが、猫の「布団に入れてくれ」パンチ攻撃に否応無く起こされてしまった。実際、寒い。13度じゃ昨日から5度以上下がってる。ひょっとして地軸がズレたか?トーキョーNOVAの世界か?ニューロ/タタラ/カゼですか?つか風邪ひきそうなんですけど!
 天に向かってゴネつつ出社。到着後間もなく、雨が降り出した。
 帰宅途上、例によって書店パトロール。しかし、ここしばらくのパトロールは、それまでとは違うのだ。漫然と収穫を当てこんでいるワケじゃなく、明確な目的があるんだもんね <ヤメレ
 『二剣士』が戻ってくる。
 と言うより、やって来るというべきなのか。20数年の長きに渡って中断していた邦訳が、ようやく再開されるのだ。わがサイトの名もそれに由来しているだけに、どれほどこの知らせを心待ちにしたか!高校生の時に創元社にリクエストしたことさえあるんだよなぁ。返事に「刊行予定です」とあってぬか喜びした日は遠いぜ。ふっ。つか、20数年後まで予定組んでたんですか創元社さん
 まぁ過去はとりあえず水に沈めて(流さない)書店へ日参しているのだが、なかなか目当てのものは現れてくれない。今日のところは、とりあえず昨日ゲットしたコミックの感想など……でも『からくりサーカス』『名探偵コナン』『KUNIE』は、どれも中途半端な段階だよな。なんでパス。
 『週末に会いましょう 伍(篠原烏童/著、朝日ソノラマ)』。
 ……まさか「しゅうまつ」違いだったとは!
 いや、すんません。でも、そういうコトかも知れないワケだよね。
 無窮の世界の中の小さな人間を描く視点が、常に変わらず愛に満ちている。「万人向けのハッピーエンドなど無い」それを承知で、でも、もしかしたら、たとえ束の間でも、危うい均衡の上にでも……と想いをこめて放たれるメッセージ。先日見事に完結した『残酷な神が支配する(萩尾望都/著、小学館)』が個人の心に向けてのそれなら、これは大勢の、あえて言うなら世界の心への願いだ。破天荒なファンタジーコミック、ありえないことと片付けるのは容易い、でも望むことがすべての始まりなのだから、同じ願いを持ってみたいと思うのは悪いことじゃないよな。
 同時収録の1作も、懐かしい顔に再会できて嬉しい。ただ、ここしばらくで絵が変わってきてるのがちょっとアレかな。端的なところで、ファサードなんかはどんどん女性化しない?ゴツい野郎を綺麗に描くという至芸の主なんだから、そのステータスを維持してほしいもんである。て要りませんかそんなステータス?

9月22日(土) 晴
 少々風邪気味である。妙にダルい、というより眠い。多少の不具合は寝て治す習慣がそのまま体質化したものと思われるが、このまま寝たきり中年化するのも不本意である。新聞チラシを見たねこまが欲しがっていたトレーナーを買いに、街中のユニクロへ出撃。
 開店時間早々で、ふーん空いてる……とウロついていたら、角を曲がるごとに遭遇する人数が増えていって、あっという間に通行もままならなくなった。さっそく迷子になった子供が泣く声がする。大人でも見通しの聞かないところで、どうして手を放すかな。きちんと身近について歩かせられないなら連れて歩くなよ。可愛い子ならお持ち帰りしちゃうぞ?可愛くない場合は、目の前でブギーマンにお持ち帰りされても放っておきますが。て、こんなトコでほっぽり出されている子供が可愛かったためしは無いんだけどな。
 などと体調不良の八つ当たり的な思考をしつつ、買い物を済ませ帰途に着く。ついでに郵便局に立ち寄り、不在配達で回収されていたものを数点引き取り。中に森永製菓からの書留があって、何かと思ったらコンビニ用のプリペイドカード(キョロちゃん柄)だった。以前に出した抽選に当たったらしい。ラッキー。

 増すばかりの眠気に耐えかねて、夕方から床をのべる。しかし横になると意外と眠れないもので、そこらから、昨日ねこまが調達してきた本を拾い集める。ん、創元文庫があるじゃないか。新刊案内は……と。
 『二剣士』無いんですけど。
 ひでえや創元!たばかったな裏切ったな創元!何度ぬか喜びさせたら気が済みますか!覚えてろ創元!今にみてやがれ創元!つかもう他の出版社で版権買ってくれよ頼むから!
 今日の収支:心の傷は3000円のプリカでは埋まらぬ。よってアンラッキー。ぐっすん。

9月23日(日) 晴
 気温が戻り、体調も少しく回復。近在のホームセンターへ猫の砂など買いに出る。
 途上、神社の境内で骨董市が開かれているのに出くわした。実際のところはせいぜい大正から昭和初期のものが多そうだし、どれも骨董というレベルじゃないと思うんだが。骨董っていうのは、出来上がったその瞬間から骨董になるよう運命付けられてるモノのこっちゃなかろうか。名人達人の手になって生まれ、これは末代まで伝えるべき宝……として人の手から手へ、損なわれないよう細心の注意を払って伝わったもの、それが「骨董」じゃないかと。当時としてはありふれたモノが、大事に使われたり死蔵されたりして、たまたま現代まで形を永らえた場合は単なる「古道具」じゃないのかなぁ。違いますか専門家の方。って実は見て楽しければ素人には骨董でも古道具でもどーでもいいんであるけど。
 古布数枚と蜻蛉玉なんぞの小物を漁る。根付の中に素晴らしい細工のカエルがあったんだが、持ち合わせが足りなくてしぶしぶ断念。さすがに露天市でカード切ることはできんわな。早くもっとサイバーな世が訪れて、ハンディタイプのカード端末が出来てくれんかなぁ。ってそんな時代に根付が残ってるかどうか疑問だが。それこそ骨董、手の届かない価格になってそうな。

 刺激的なものにしか食欲がわかず、昼飯にカレー(スープタイプ、ただし辛さは最低レベルだが)夕食に焼肉とビールを摂取。これは新たな治療法だな。効果のほどは明日の朝!

9月24日(月) 晴のち曇
 迫る冬将軍の手勢に抗すべく、陣備えを求めて街へ……要はストーブの品定めである。残念ながらコレというのが無く、電器店のハシゴとなった。で、決め手を欠くままに歩きつづけ、気がついたら『三国無双2』を手にしているではないか!ふ、不覚!いつの間に!いや、ねこまに「武器を変えられるんだぜ2プレイも出来るんだぜ見たいだろ遊びたいだろなぁなぁなぁ」って言ってレジへ押しやった記憶はありますが、それで何故!
 とか空しい独りボケは大概にして。
 前作に引き続き面白い!何も考えずに山のような雑兵をぶっ飛ばしてもいいし、よりドラマチックなシチュエーションを求めて戦況を操作してもいい、懐の広さは相変わらずだ。また武器だのアイテムだのが出てきて、パワーアップがより簡単で僕のようなアクション音痴にも親切設計となっているし。どうせなら、どんな武器でも使えるようになると面白い……いや、関羽に女性キャラの「新体操武器」使われてもヤだから、これは却下ね。>ワシ
 さっそく虎牢関で1,000人ぶった斬り、呂布をプレイヤーキャラに加える。好きなんだよな、この延髄オンリー男。さぁて、斬って斬って斬りまくるぞ〜! <精神的同類か?

9月25日(火) 曇のち晴
 連休明け、溜まった仕事に疲れ果てて帰宅。でもひと眠りした後は、昨日に引き続き『三国無双2』で遊びほうける。ババラさんが入れやすいコマンドを教えてくれたので、かなり……つーよか途轍もなく楽だ。デフォで使っている趙雲は鬼神のように強くなり、ほとんど駆け回るだけで雑兵を薙ぎ倒している。こうなると怪獣もしくは人型決戦兵器だね。それにしても、な〜んか妙なデジャヴュを感じる。なんだろう?と思ったのも束の間、すぐに正体は判明。FFだ。こないだまでねこまが遊んでいたFFXで、限界突破したキャラがこんな感じだったのだ。誰とは言わないけどアーロン。 <言ってる
 つことは、やっぱ99999ダメージでラスボスを一撃瞬殺が目標だろうか。おかげで敵の攻撃を拝むことすら無かった、あの妙に空しい勝利をもう一度! <できませんて

9月29日(土) 曇のち晴
 天候もひとまず安定し、体調もなんとか安定。放りっぱなしで過ごしたことどもを片付けるべく、午前中は掃除と洗濯と身辺整理(って書くとナンダカだな)にいそしむ。思ったより時間がかかり、日も傾く頃に作業終了。続いて街へ、ストックブックを買いに出る。そう、穴を掘る…それはスコップ。宇宙大作戦…それはスポック。いや、そういう独りボケツッコミはしなかったが、たまにのんびりバスに揺られて空き時間を持つのも悪くない。
 で、目当てのブツを購入後は、ついでのことに、あまり行き着けない雑居ビルに入る。古くからある切手商が目当てなのだが、行ってみたらテレカとかコレカとかが並んでいて驚く。まぁ趣味としての切手蒐集って、最近流行らないからねぇ。この業種自体も最近めっきり少なくなったし。そういう意味では扱い易いもので幅を広げてるというトコなんだろうな。などと考えをめぐらせつつ、あれこれ買い込んでしまった。かつての切手小僧(違)の血が騒いだっつーことで、ひとつ。 <誰に
 ついでに他のフロアもうろつきまわり、何やかやと買い物。今風な室内用グリーンを扱ってる店で、長さ10cmほどの木の棒をみつけた。幸福の木とかユウナ(たんハァハァ、じゃねぇってばよ)とかハイビスカスといった、南洋方面の丈夫な木で、こいつを水につけておくと芽が出るそうだ。んじゃあ水槽に立てておいたら、いずれは室内に巨木が!そこだけ南の島に!とか妄想が頭を走ったが、危ういところで思いとどまった。なんせねぇ、この計画を実行するには水槽のフタを開けとくことが必須になる。が、ウチの水槽には空中飛び出し自殺&干物で発見が得意技のハチェットがいるのだ。水替えすら大慌てでやらねばならんのに、開けっ放しになんてできないよなあ。
 とりあえず、ハチェットがいなくなる日が来たら試みてもいいな。つか45cmのほうなら……。<未練タラタラ

 夜はチョコエッグその他のフィギュアの整頓をして過ごす。う〜む、なんでこんなにあるかなあ。テメェで買っといて言うのもナンだけど、ものすごい量だ。これの中身を全部確認して、ラベリングするかと思うとめまいがする。だけど放っておけばどんどん増えるばかりなんだよな。うう、なんか会社の仕事より辛いような。趣味って、実はマゾヒスティックな楽しみなんじゃあなかろうか?

9月30日(日) 晴
 起床と同時にTVを点け『パワーパフガールズ』『ガオレンジャー』『アギト』の連チャンで眠気を飛ばす。今日は最後のが結構オドロキの展開(なにせ積極的に情報収集しないから)だったので、かなりパッチリ目が開いた。目覚ましいとはこのことよのう。 <ダレだオマエ
 カーテンを開き休日の陽光を浴び、気分がいいところで「おめざ」と称して朝食代わりにケーキ(昨日買っておいた)をかっ食らいつつ、『ヘルシング(平野耕太/著、少年画報社)4』を読了。んむ、本番前の下準備というところか。断片的に綴った状況設定が、果たしてこの後どう爆発するのか、先のお楽しみである。過去のほうも面白そうだよなぁ。ワイヤー使い美少年が老練な執事役になった経緯なんか、かなり興味あり。
 続いて、ねこまの休み待ちだった『サイレントヒル』を開始。なんですな、爽快な安息日の朝にちーとも相応しくないラインナップですけども。
 まず、手ごたえをチェックしようとデフォで立ち上げ、数分で挫折。な〜にがダメってラジコン操作である。苦手なんだよなぁ。何っべんやっても馴染みにくい。自分視点なら平気なんだが、キャラを見下ろす形だとやり難くて仕方ない。そこで一度リセットして(この変更はリセットせんでも可能)「2D操作」を選択した。やっぱねぇ、昨日まで『三国無双2』やってた人間としてはコッチだよ、うん。ゆくぞ怪生物(?)ども!って、まだバトルフリーク気分が残ってるな。
 ちなみにわざわざリセットしたのは、難易度を最低に下げるため。雰囲気とシナリオを楽しみに買ったんだから、ゲーム性はひとまずソッチのけにすることにした。つかアクション駄目系人類としては、モンスターにかまけてるとアイテム探しも満足に出来ないのだよ。とほほ。
 さて本編。初手から雰囲気は極上である。死んだ妻からの手紙に導かれ、見棄てられ封鎖された小さな町を訪う主人公、ジェイムス。彼のモノローグと周囲の陰鬱な風景、そして沈みがちかつ不協和音で背中をザワつかせる効果音。実に好ましいホラー世界である。
 霧に沈む湖畔の道を、奇妙な物音に慄きながら進む。そして辿り着いた薄明の町角で、さっそく奇妙な影と遭遇。うむ、これは早速、あとを追わねば!ホラー映画のお約束だB級行動だ正気度チェックだ!そして、ソイツと面と向かって立つ。なんだこりゃあ!ひぃぃぃぃ!怖えぇぇ!いや、まだ何にもされてませんけど、肝心なパーツの欠けた人型、しかもてらてら光ってるようヌメヌメだよう、と来ては怖くないワケがない。ば、ばけもの!わが愛刀「釘つき角材(まんまだよコレ)」の錆にしてくれるわ! <まだ三国武将
 とか言ってブチ殺したんだが、話が進むにつれ、本当に怖いのは柵の向こうだの不審な穴だの排水口だのに臆せず手を突っ込む主人公のような気がしてきた。あのなジェイムス、手にした釘つき角材は何のためよ?せっかくの道具、有効に活用しろよな。つか、その程度使えないとサルにも劣りませんか。
 かくて、何とはなしに間抜けな主人公と我々は町をほっついてはモンスターを撲殺し、一路思い出の遊園地を目指している。いや、ギャグにでもせんと怖いんですよマジに。なんかこう、じっとり湿った生ぐさい臭いが漂ってきそうな画面に魅入られそうで。


翌月へ




[ 銀鰻亭店内へ ]