店主酔言
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12月1日(日) 晴
 今日は相方が仕事なので、朝から起きて『龍騎』を観る。全編暴れまくりの浅倉に「てれびくん」ビデオのイメージはサックリ払拭された。いや〜良かった良かった。北岡弁護士も皮肉だし蓮も無愛想で…うーん、この世界って真司には生き易くないね、ほんと。
 ストーリーは「何考えてるか分からない」キャラ2人、東條と佐野の邂逅を軸に展開。次回へのツナギって印象も無いではなかったが、何かがじわじわと進行しつつある印象は悪くなかった。また来週が楽しみである。どうかどうか去年のようにワケの分からん展開になりませんように!<ってそれは楽しみつーのか?

 各方面へ発送する荷物をまとめ、郵便局へ。帰宅して作業スペースを片付けつつ、頼まれものの細工でもと材料の下ごしらえにとりかかる。モノは松毬。自分で拾ってきたものなんで、まずは虫やゴミを取ろうと、熱湯に放り込んでみることに。で、数分間ことことやって覗いてみたら、こはいかに(古語)ぴっちり閉じてしまってるではないか。
 う〜ん、湿気があると閉じるのか。んで乾いてきたらプロペラみたいな種をこぼすと。すげえメカニズムだのう。
 小さい松ぽっくりに大自然の神秘を感じ、しばし茫洋とした午後だった。もちろん、それもまたロスタイムなんで、溜まってた撮影を片付けて今日は終了と相成った。明日から職場でこっそりページ作ろうっと<を

12月4日(水) 晴
 日中の最高気温が10℃を超えるという、この季節にあるまじき上天気。夜に入っても暖気は抜けず、ジャケットが暑苦しくてかなわないほどである。しかし明日から週末にかけては天候は急激に悪化とのこと、要は蝋燭が消える直前の明るさってヤツでしょうか。つーか休みの日に限って天気が悪いのはムカつくんですけど。晴れてても元気にお外で遊んだりはしませんけどさ。

 暖気に誘われ夜道をふらふら歩いて帰宅。途上、ふらふらなるままにゲーセンへ。クレーンゲームで『どこでもいっしょ』のトロのクリスマスリース(裏返すと正月リース(笑))を見つけ、なおもふらふらと挑戦する。相方が好きなんだよな、このキャラ。もっとも彼女が一番気に入ってるのは (゚□゚) この顔だから、なかなかツボにピッタリというものは無いんだが…。
 などと考えつつコインを放り込み続けていたが、惜しいところで取れないまま、このテのものに設定している上限金額を越えてしまった。うーむ、その昔は1個あたり300円かけることは無かったんだが。老いたかのう。
 なんか癪に障るので、出口の近くにあった縦型筐体で『龍騎』キーホルダーを狙い、王蛇(デフォルメされた造型はいいが、色がちょっとピンクがかってライアみたい)を一発ゲット。あれかな、ふらふらからイライラに宗旨替えせよとの物欲神のご託宣かな。つまり「戦え」と。

 それならと場所を移し…たワケじゃなく、友人知人の子供らへのクリスマスプレゼントを品定めすべく、足をヨドバシへ運ぶ。こないだからいろいろ考えてはいるんだが、どうもコレというものが無くて困っている。なんつーかなぁ、キャラものはどの番組も似たよーなモンしか出さんし、そのラインを外すといきなり難易度・グレード&価格ともに跳ね上がった代物になるし。家電系だから悪いのかなと思ってデパートへ行くと、昨今のデパートにゃ玩具売り場がほとんど無いときたよ。どうなってんのよ、おい。少子化の影響ですかい?
 それとも大きなオトモダチのほうが上客だから…と考えかけて、我が身を省みてそこまでとした。いやぁ、ま、何とかするさ!わっはっは!<汗混じり

12月5日(木) 曇
 クリスマスプレゼント探しの小人さん業務の一環として、昼休みに近在のショッピングモールへ。しかし、目ぼしいものを見つけられないまま、結局は隣り合ったゲームコーナーへ移動。『龍騎』キーホルダー、今日はゾルダをゲットである。あとはナイトが入れば「てれびくんビデオ」の再現ができるな。「俺たちは!」「人類の!」ぷぷぷぷぷ。アカン、こんなとこで思い出し笑いをしてどうする。2歳ぐらいの子供が怪訝そうに見ているではないか。ダッシュで逃走。
 それにしても、かなり凝ったキーホルダーである。王蛇の時はベノバイザーを掲げているだけだったが、北岡先生ときたひにゃギガランチャーを構え、さらに腰の後にマグナバイザー装備である。うーん細かい。ただキーホルダーとして使ってると、どっかでモゲて無くしそうなとこが恐いやな。<使えねーじゃん!
 ところで上の文章を書いていて、最初「ギガランチャーを腰だめに」と入力したら「腰ダメ」と変換された。確かに腰にキそうな代物ではあるが、何だかなぁ。その昔、ダートでコケて膝を削り椎間板ズラした僕への嫌味ですかIME?

 帰宅したら、コナミから荷物がきていた。以前に応募したキャンペーングッズのDVDケースである。ゲームディスクとメモカ、それにマニュアルが3作ぶん収納できるケースにサントラCD1枚がついてるというもの。外観は黒ずくめでなかなかカッコいい。ちょっとカバーから出し入れしにくいのと、しまう棚を選ぶ以外は実にナイスなブツである。
 ただ、これの配達が某川急便ってのは、ちょっと。毎回トンデモなことをしてくれる同社だが、今回もご多分に漏れず、玄関先へ放置というナイスな攻撃をかましてくれた。あのな、いくらダンボールで包装されてたって中身も紙素材、雪が降ったら一発でおシャカになりかねんのだけどね。まぁ今回は形が変わってなかっただけマシと…って、そんな低レベルな満足できるか!
 郵便の民営化を喧伝して久しい某国の首相様。どうかこの会社にだけは払い下げてくださいませんように。ここが参入しやがったら即、裏金が動いたと認定してやるからな。つか、するなよ民営化。今のままで十分だって、よしんば何回かブツを紛失されたことがあっても。それよか、とみに効率の下がってる国会そのものを民え(妄想領域に突入したので略)

12月7日(土) 晴
 天気晴朗なれど風強くかつ極低温の真冬日。とりあえず休日ながらモニタ用の携帯を手放せぬまま、猫を担いで家を出る。どうも歯石が溜まってるようで口臭がするので取ってもらうことにしたのだ。もう1匹は気付くのが遅れて3本も歯を無くしているのだ、早めの予防を心がける飼主様の親心であるぞ…と言ったところで「わがまま」が凝縮された生物である猫に通じるわけも無い。鞄に入れる時点でひと暴れ、入れたら入れたで不平をたれ、病院に着いたら梃子でも出てこないという徹底抗戦ぶりを見せてくれた。
 とはいえ、そういう臆病なヤツだけに、いざ診察台に乗せてしまえば後は楽なものだった。ぺったんこになって固まってるのから、さっさと採血。体重4Kg、腎臓の数値が高めな以外はとりたてて異常も無いとのことで、目出度く火曜日に処置することと相成った。
 問題は、当日またカバンに詰め込むどったんばったんが危惧されるということだが…まぁいいか、連れてくのは相方の担当である。頑張ってくれたまい。

 帰宅後、風邪気味でひどくだるいので布団へ直行。ストレスを溜めまくったらしい猫がすり寄ってくるのを抱えてでろーんと伸びてみた。
 昨日、数回ぶりの『指輪物語』を読み了えたので、また新たな積読山の発掘生活に戻ることにする。選び出したのは『死の散歩道(キャロリン・G・ハート/著、対馬妙/訳、ハヤカワ文庫)』。
 元ジャーナリストにして大学の客員教授、ヘンリエッタ(ヘンリー)・O・コリンズのシリーズ4作目。今回は旧友の孫を探しにサンアントニオ(アラモ砦のあった街だ)へ赴いた彼女が、とある一族の運営する有名骨董品店での陰謀と殺人に関わることとなり…というもの。例によってヘンリー・Oの頭脳のはたらきと行動力、それに度胸は読んでいて爽快である。また、捜査を進めることで他人を傷つける可能性を思いつつ一本筋の通った正義感を貫く、人生経験豊かなればこその姿勢も好もしい。いや魅力的といっていい。世に探偵多しといえど、マジで助手を務めたくなるような人は滅多にいないやね。たぶん彼女にはやんわりかつキッパリと拒絶されるだろうけど。
 犯人当て自体はシンプルな考えで当たるような気もするが、家族の結びつきを軸にしたドラマの展開とその終幕は非常に読ませるものがある。既に次作が上梓されているとのこと、楽しみに待ちたいものである。
 ところでこのシリーズ、ほぼ毎回訳者が変わってるのは何故なんだろう。誰もヘタではないというか、文体がおおかた揃っていて不自由はないのだけれど、ちょっと疑問な昼下がりであった。

12月8日(日) 晴
 昨日に引き続き低温の休日。人も猫も布団恋しく別離が辛く…といって空腹には勝てず、昼近くなってごそごそと這い出した。ストーブに火を入れ、部屋を温めつつ『龍騎』チェック。
 今回は、インペラーこと佐野の脱落。「金持ちになりたい」という、極めて即物的な望みのためにライダーとなり、報酬次第で人殺しにさえ荷担しながら、スポンサーが死ぬと何食わぬ顔で反対サイドへ戻ろうとする厚顔無恥。だが真司の怒りに会えば「ごめんなさい」と叫びつつ逃げ出し、雇ってくれと押しかけた先の北岡には手もなくあしらわれ、挙句、指名手配犯の浅倉に紹介されてそれと気付かない愚かな面も見せる。そんな彼が、父の死によって大会社を相続し、ライダーとして戦う理由を失った。けれどバトルを降りることは許されない…。
 恐い、そして切ない話だった。おそらくは自分が傷つくことなど考えもせず戦いに参加してしまった佐野が、その現実を思い知らされる過程がとにかく痛々しい。晴れて企業のトップとして迎えられた彼を取り巻き持ち上げる人々、そして一代で成り上がった亡き父に勘当されていたという話から「強きにへつらい弱きに威張り散らす」スタイルを見覚えて、そこから抜け出せない馬鹿息子っぷりが見えてくるからだ。で、金を手にした途端にかつて自分がされたような尊大な態度をとり、同じように札束で仲間を買おうとしてしくじる。相手を推し量ろうともせず同じ態度を取るから当然なのに、また真司に怒鳴られ北岡にはナメられ、実は自分への周囲の評価は何にも変わっていないことを明確に悟ることもできないまま、「助けてやったのだから」と東條を信じ、そして理解不能なその信条によって抹殺される。自業自得とはいえ、不憫である。
 かくて生身でミラーワールドに取り残され「出してくれ!」と泣き叫びながら消えてゆく佐野。想像力の欠如した「イマドキの若者」の末路を演じて、役者氏は見事であった。迷わず成仏して…は佐野だが、まぁ南無南無〜。
 あと、金が絡んだ時の蓮と北岡の態度がなかなか面白かった。とかくあちこちで叩かれがちな脚本家の担当だそうだが、今日は良かったと思う。
 日曜の朝イチで観るには、すげぇヘヴィな話でしたけどね。いやはや。

 午後は室内の片付けにごそごそ動き回り、水槽のケアを行う。ん〜、そろそろ住人の数も減ってきたことだし、60cmのほう1本にまとめたいんだけど、クラウンローチが悪食でエビを食っちまうからそうもいかないんだよなぁ。まがいものの生態系とはいえ、弱肉強食の掟は厳しいのであった。

12月9日(月) 晴
 ふゆしょうぐん は いてつくはどう を はいた!
 とみん は こおって しまった!
 …いや、冗談ではないな。朝から東京方面は雪で交通が麻痺したとのニュースがかまびすしい。かの地ではわずか数センチでも大変なことなのだよな。
 数年前、短期間滞在した時に雪に遭ったことがあるが、周囲を行き交う人々が、何の前触れも無くばたばた倒れるのには一種異様な印象を受けた。なんかこう、スラップスティック映画のワンシーンにいきなり放り込まれたような。って、怪我人も出てるそうなのに結局冗談にしてしまってますな、すいません。
 どうもこの一週間は全国的に寒く、かつあちこちで大雪に見舞われるという予報は当たっているらしい。どこかで「でんせつのつるぎ」でも手に入れてバッサリやれると嬉しいんだけどね。はぁぁぁ。冬眠してえ。<怠けたいだけ

12月11日(水) 曇
 寒い。冗談じゃなく寒い。最低気温がマイナス10℃、最高でもマイナス5℃から上へ出ない。1月2月の厳冬期でもあるまいに、何を血迷ってこんなに寒いのやら。誰が血迷ってるのかは知りませんけどもさ。
 それでも暦に従って行動する人間様の端くれとして、クリスマスプレゼントの調達に街中へ。途上、ちょいと某アニメショップを覗き「1/1スケールちよ父」ぬいぐるみを見つける。作中の雰囲気そのまま、よく出来ている…というか、よく出来すぎてて恐い。今にも「トマトを食べるんだ」とか言われそうで。トマトは大好きですけどね、ええ。かくて『フィギュア王』と『世界自然動物・海洋編』を買って、そのまま玩具コーナーへ逃走。
 今日のターゲットは知人の息子さんへのプレゼントである。齢3歳、まだ片言世界の住人と思っていたのだが、敵もさる者というかこの場合はご両親がさる者すぎてキングコングっつーか、先ごろから『仮面ライダーV3』のDVDを観ていてすっかりハマってるというのだ。V3ですぜV3。父よ母よ妹よですぜ。ライダーマンで「先生!」ですぜ。いまどき3歳でこれは英才教育でしょう。方向性がかなり限られてますが。
 で、探し回ってみたものの、当然ながらV3グッズは無い。バイクとのセットはご両親が既に決定されているという。かといって放映中の『龍騎』関連は3歳児にはちと敷居が高めである。仕方なく『栄光の仮面ライダー10人セット』なるソフビ詰め合わせを買うことにした。サイズが違うのがやや難だが、これなら1号2号にアマゾンも入ってるし、楽しんでもらえるだろう。G3とかアギトまで入ってますけど、まぁそれはそれってことで。つか悪役やってくれればいいや。<酷

 帰宅して『世界自然動物・海洋編』を開封。
 う〜〜〜〜〜んと。
 買ったのが1個で良かったなというところですかね。アフリカやアジア・オセアニアの時の生彩が微塵も無いってのは何だかな〜。つか、そもそも北アメリカ編が予定されてたんじゃないんでしたっけ。いきなり路線変更&質の低下ってなぁ納得いきませんな!岩合氏の写真に悪いと思いませんか!バンダイさん、仕切りが酷でモデラーに逃げられたんですかヨ!
 ひとしきり毒づいてみても、何か状況が変わるわけでもない。しょうことなく、先ごろ買っておいた『チョコQ百科(小学館)』を手にとる。海洋堂・ビーパルのタッグによる食玩百科にして動物図鑑&データ。前にチョコエッグでも同パターンのが出ていたので、まぁ安心の内容である。とはいえ、紙質があまり良くないのと、オマケのフィギュアが2つともクワガタなのはツマラナイ。以前のものは紙質も良く、かつ多くのフィギュアがついていたが、やはり価格面で問題があったのかな。あと、これは僕の印象なのだが、本シリーズで一世を風靡した観の造型師・松村しのぶ氏が微妙にダレてきてる気がする。ネタ切れってのもあるかもしれないが、いい加減くたびれたんじゃないかなぁと。いや、別に作品にそれが現れてるワケじゃないんだけど、どうもコメントに勢いが感じられなくてね。
 食玩自体、もういい加減飽和状態で、些細なことでバブル崩壊するかもしれないシェアだと思うんだよな。「お菓子のオマケ」再生の先鞭をつけ、かつそのトップを走ってきた海洋堂のいわば看板に、そこらのユウウツを見たような気がしたのかもしれん。うう、さぶっ!

12月13日(金) 雪のち晴
 朝から昼まで雪、その後快晴という気持ちの良い天気。気温もマイナス3℃と非常に暖かい。いや、あったかいんですってば、ここ数日に比べると!

 帰宅途上、またクリスマスプレゼント調達に歩く。今日のターゲットは小学校低学年の女の子なので、予めねこまに授けられた策に従いファンシーショップで実用系のアイテムを購入。モチーフになってる動物がアザラシなのは、やっぱ今年の夏を彩った「タマちゃん」からなのかなぁなどと思いつつ、小さなバッグと財布、それにレターセット等を選んで詰めてもらう。しかし、このテのショップに足を踏み入れたのはざっと20年ぶりだ(その時は同級生へのプレゼントを選んだのだった)が、商品のラインナップはあまり変わってないものなんだな。あと妙に落ち着かないというか居心地が悪いんだが、しかも20年前よりその印象が強まってるんですがそれは当然ですかそうですか。

 かくて書店へ遁走し『週刊日本の天然記念物』を買って帰宅。今回はタンチョウヅル。一度、視界数メートルという濃霧の中で苫小牧近辺を走っていて、当日迷ってそこらをうろついていたこの鳥とニアミスしたことがある。正直、むちゃくちゃ驚いた。翼開長が2mを優に越える巨大な鳥が、しかも霧の中にぶわっとシルエットで浮かぶのを見たら誰でも我が目を疑うと思うが。以来、この鳥は僕の中では「怪獣」である。ちなみに白鳥は「大アヒル」。あの食欲と攻撃性を見たら、絶対にオデット姫のイメージは浮かばないって。
 そういうワケで今回、コントラスト美しい写真はあまり楽しめなかったのだが、中に書かれていたコラムのひとつが非常に興味深かった。徳川将軍・家綱の代にあった密猟者への仕置き話なのだが、それが実は(おそらく)将軍その人への陰湿な嫌がらせだったのでは?とする見方がなかなか面白い。というか、僕もこれが真相のような気がする。
 そういえば毎年恒例のことながら、この時期話題となる四十七士の討ち入りも、将軍さまへ不平を申し立てられないゆえの、いわばテロの一種だったらしい。確かに吉良その人を狙うにしては、あまりにも芝居気が多すぎるやり方だし。いや、人口に膾炙してるのは、まさに芝居のほうなんだけど。
 今朝のTVでもコメンテーターが史実ではなく芝居を論って事件を語り、かつは現政府へ「見習え」的な発言をしていたな。いいんですかホントに?つか頭の悪い政治屋が浮かれて妙なスローガンにしかねねぇから止めておくれな蔵様ェ。

12月14日(土) 晴のち曇
 迫る…というか、既にがぶり寄り土俵中央両差しの構えに入った観のある冬支度の買い物に出る。猫のトイレ砂と餌、それに冬休みに企画している書籍の整理用に大量のダンボール箱を買い込んで配達を依頼、足取り軽くゲーセンへ。ええ、お約束ですから。物欲神の信徒としての義務っつーか。
 プライズキャッチャーに新しい『龍騎』のキーホルダーが並んでいるのをみて、ちょいと挑戦。バイクに乗っているちびライダーは、形も塗装もなかなかの上作である。まずは1つ、ドラグレッダー&龍騎を手にしたところで、傍らに小学校低学年ぐらいの女の子が寄ってきた。プレイしたいのかと思ったが、どうやら僕が取るのを見たいらしい。続いてゾルダ@ライドシューターを取ったので「ひとつあげようか」と言ってみたが要らないとのこと。何だろう?と思ったが、視線を追ってみて合点がいった。『おジャ魔女どれみ』のキーチェーンも同じ筐体に入ってたんである。にわかギャラリーのために数回トライしてみたが、さすがに自身で萌え、いや燃えるものがなかったせいか、あえなく敗退してしまった。それならと挑んだ『ちょびっツ』にも破れ、お嬢ちゃんのヒーローにはなりそこねる。つーか僕の物欲の神は特撮系にしか加護を垂れたまわぬのですよリトル・ガールん〜けい?<ひさびさのフレーズだがいささか問題あり

 帰宅し片付け物と家庭内のプチ工事に追われていたら、宅急便が届いた。先ごろ予約しておいたアルフレックス製の『怪奇大作戦 岸田森・牧史郎』フィギュアである。さっそく開封してみる。
 発売決定当初からサイトで見ていたとおり、なかなかの出来。衣装(スーツ・白衣・コートそれにSRIジャンパー)や小物のラインナップ(煙草やコーヒーといった牧自身の周辺の品のほか腕の動かせる殺人人形や人喰い蛾まで入っている!)が凝っているのは嬉しい限り。ただ、ちょいと気になることが2、3あるかな。
 まず、顔。造形はいいんだが塗りがイマイチ。強めの照明を斜め上から当てつつその方向から見ると似てくるところからして、問題は眉が細すぎることと目の下側の輪郭であろう。あと顔全体に塗ってある紫っぽい陰影色がちょっとイヤ。もっと白っぽい顔でも良いと思うのだ、ことこの人は。
 衣装はまずまず。ただ、このサイズで作るのだからかなり制約があるとは思うんだが、全体にシルエットがしっかりしなくて、特にコートがペナペナでソレっぽくない。まぁそれもキャラの雰囲気かな?
 最後に素体。可動範囲やポーズの固定性をみるに、まずは文句無し。しかし欲を言うのなら、もうちょっと足が長くてもいいんじゃないかな?ってそれははるか昔、この人の吸血鬼に憧れたガキんちょが持ったイメージのなせる望みでしょうかね。<ってゆーか憧れるなよ

12月15日(日) 曇時々雪
 猫の「鼻スタンプ」攻撃によって早朝に目覚めてしまい、相方が起きるまでしょうことなく読書。『化石の殺人(サラ・アンドリューズ/著、高橋恭美子/訳、ハヤカワ文庫)』を了える。
 全体をみれば、なかなかに面白かった。著名な考古学者が殺され、彼の属していた集団での不審な行動が浮かび上がる。また独特な宗教観をもつ土地柄(ってやっぱしソルトレイクなんだけどな)とさらにその分派らしい謎の家族が絡み、彼の過去を巡る因縁も浮き上がってくる。登場人物もなかなか魅力的で、ことに自称イラストレーターは確固とした信念を見せてカッコイイ。あと途中で登場する少女も、話の中で成長する姿が心に残る。その他にも、個性の光るキャラクターが随所にいて、それぞれの場を印象付けてくれる。
 がしかし、主人公がなっちゃいないんだなコレが。ヒロイン、エム・ハンセンは前作『沈黙の日記』でも出逢っている筈なのに、特にこれという印象が残って無い。なんというか、特徴が描かれてないのだ。容姿については謙遜まじりのコンプレックスといった範囲でしか説明されない。専門である地質学についてある程度の知識は披露してくれるものの、それを捜査に活かすわけでもない。家庭事情から少々複雑になった性格は語られるが、それも言い訳めいている。そんな彼女が出会ったばかりの美青年(警官)を眺め回している前段あたりで、かなりウンザリさせられるのだ。あまり親しくない相手の惚気混じりの自分語りを電話で延々と聴かされてる気分というか。地質学者という設定のヒロインが飛んだり跳ねたりするだけのサスペンス番組でも観てるほうが、ひょっとしたら楽しいかもしれないな。

 起床後、昨日に引き続き牧フィギュアをチェック。ついでに写真など撮ってみた。
殺人ドール

 牧「で、これがいわゆる殺人人形だ」
 スネーク「取っておくな!こっち向けるな!」
 ベン「ノォォォ!冬ニ怪談、似合イマセーン!」
 いや、だってさぁ、全身ソフビ製の殺人人形、ちゃんと腕が動くんだもんよ。ナイスじゃないか和製チャイルド・プレイ(こっちのほうが早いけど)。妙に可愛くなって、つい相方のシオン集団と一緒に並べてみたりした。もちろん強制退去くらったが。

 ところでこのフィギュアの付録についてきたSRIの身分証明書に拵えた小冊子、巻末の作品リストからあの24話はきれいに抹消されていた。痕跡といえば「欠番です」の一言。版権元たる円谷プロの姿勢に倣っただけなんだろうけど、そもそも作品自体が読み違えられてこの顛末になったことを思うと、なんかこう拭いきれない不快感が残るな。せめても僕は忘れず、かつ聞かれたら元気良く宣伝するとしよう。
 『狂鬼人間』。法で裁かれなかった事件の被害者の心を描いて、名作です。

12月17日(火) 雪のち曇
 目覚めると、妙に暗かった。時計を確かめて寝床から這い出し、カーテンを開ける。やっぱりというべきか、世界はひたすらに白く、ただ空のみ灰色で、そこから更に白いものが降り続けていた。うーむ、冬景色かくあるべしって風情だな。明るくなるまでもう少し寝よう。
 ねこま「何のために時計を見てますかキミは」
 …ごもっとも。もぞもぞと身支度をしスコップ片手に外へ出て、まずは出勤のための道を開くところから一日が始まった。というよりは、長い長い冬の始まりであるな。

 『猫はコインを貯める(リリアン・J・ブラウン/著、羽田詩津子/訳、ハヤカワ・ミステリ文庫)』を読む。今回、上作である。
 まず導入部、地方都市ピカックスとその周辺の秋模様、主人公クィラランを取り巻く人々の近況、変遷する地域と人…といったものが語られるのだが、これが非常に流れよくかつ楽しく作中へいざなってくれる。そして事件とともに例のごとく展開されるココの「ご託宣」も、ほどよく謎めいており、猫らしい態度とあいまって興趣深い。そしてシリーズ読者にはいささかショッキングな「真相」を見せつつ、新たな波乱を思わせての幕。実に読みやすく、かつ退屈させられなかった。
 謎解き要素を求める人にはあまり向かない(僕はもう一ひねりあるんじゃないかと思ってたんだよね。たとえば従犯の彼を誘導し得る唯一の人物が真犯人とか)かもしれないが、小さな町の大事件を居住者気分でハラハラと楽しむには良いと思う。随所に散りばめられた小ネタも楽しく、特に一連の出版計画については日本版でのお遊びも可能。ん〜と例えば「正しい出産・育児計画(イザナミノミコト/著)」「乗り物酔いの対策100(十津川省三/著)」「信頼がつくる組織(松永久秀/著)」「土壇場での健康管理(石田三成/著)」とか。
 ところでマーク・トウェインの浅薄なるファンとしてちょいと気になったんですが、嘘と猫の違いって、「猫には九つの命がある」ではないでしょポリーおばさん。「猫には九つしか命がない」んですよ。そこんとこ、お間違えなく…って、意外とワザとだったりしてな。女性は嘘の現身という説もあるから。え?いいえ、僕が言い出したことじゃないっすよ。そんなこと思ったこともありません。出典は…えーとえーと…ぇ--<フェイドアウトしつつ逃走

12月19日(木) 晴時々雪
 『クリスマスに少女は還る(キャロル・オコンネル/著、務台夏子/訳)』を読む。
 久々の大当たり。しかも特級。とにかく面白い。読んで損は無い。読まなきゃ損だ。ぜひ読めさぁ読め今すぐ読め。って、出版からかな〜〜〜り経ってこんなこと言っても説得力ないですが。
 二人の少女が姿を消し、誘拐事件として捜査を開始する警察。片方の子供が大物政治家の娘ということで他の狙いもあって介入するFBI。これが特定の連続殺人犯によると主張し自らも捜査に赴く心理学者。悲嘆にくれながら我が子を取り戻そうと奔走する両親達。そして、かつて双子の妹を誘拐され殺された警官・ルージュと、もちろんタイトル・ロール?たる少女達自身、さらにさまざまな思惑や巡りあわせから事件に関わり、ちらりと登場するだけの端役も入り乱れ、物語は緊張を緩めずに展開する。
 そういう話でしかも長いにかからわず、これらキャラクターの描写がとにかく見事。ここに書かれてないのも含めてかなりの数の人物が出てくるけれど、その個性がせめぎ合うことなく、きちんと書き分けられ、みな生きて動いている。洋モノはキャラが覚えにくい…なんて向きも見失わずに読めるのではなかろうか。
 特に警官達がいい。卑しい街を行く高潔な騎士を気取るでない地道な集団での場面さえ、彼らの人間味あふれる行動に惹きつけられる。人間味ありすぎの大ポカ野郎もいるんだが、それもまた事件の一部として、欠くべからざる要素になっている。もちろん、主人公の一人たるルージュを含む、捜査の核をなす人々においておやだ。
 また、事件が進み状況が変化するにつれ、それら人々がみせる変化や葛藤も目が離せない。少女たちの脱出のための苦闘、過去の事件に生活を破壊されたふたりの女性の復活(特に年長の人のそれは目覚ましい)、罪に問われ獄中で10余年を過ごし変貌した男、事件の真相を知る人物の倫理と良心のせめぎあい。まぁ最後のそれは、僕にはマゾヒスティックな独善と自己保身の結果にしか思えなかったが。あとは、一見ステロな狂言回しにしか見えないFBIの兄ちゃんが…って、語りたいことをそのまま並べると際限なくかつネタバレになっちまうじゃないか!ああもう!
 犯人当ては計算ずくではなく「心理を読む」ものなので、トリック愛好家には不向きかなとは思う。また、何でもかんでも現時点で人知の及ぶ限りの方法で分析したくなる頭デッカチにも。だがあえて、そういう人にも薦めたい。きっと面白いと思うよ、なんせ僕がそうなんだから。
 あと、とりわけ好きになったキャラクター2人がともに、話の途中で…な時には非常に切ない思いをさせられた。この世界の神は旧約の神、無慈悲に奪ってゆくんだなぁ。けれどそれゆえにこそ、ひたぶるな命に個性に魅せられるのであるんだよな。
 最後になったが、訳者氏の仕事は実に素晴らしかった。本文はもちろん、このタイトルは原作者のそれより遥かに優れていると思う。『出版翻訳データベース』の紹介ページによると、ご本人のお薦めの一冊でもあるとのこと、げにむべなるかな、うむ。

12月23日(月) 晴
 金土日曜と所用に追われて過ごし、気がつけば週明け。主にクリスマスの小人さん業務なんだが、今回段取りが悪く、ブツが直前まで揃わないわ包装紙を忘れるわ良いカードが無くて探し回るわと、やたら時間を空費し無駄に動く羽目になった。ああ、今週も疲れが取れないまま仕事に突入か…と思ったが、今日は祝日。やーいやーい!ざまーみろ!<誰に

 で、何をするかというと、給料日前なんで家でのたのた。とりあえず本の山を少し片付けようと『メディチ家の短剣(キャメロン・ウエスト/著、酒井武志/訳、ハヤカワ文庫NV』を読み終える。
 うーむ。訳が難まみれ。でなければ、もっと勢い良く読めて楽しかったろう。ロマンチックな謎をまぶしたアクション&冒険小説だっつーのに、なんかそこここで言葉につまづくんだよな。さすがに一人称が多様化してたりってぇのは無いが、登場人物の口調が妙に古めかしかったり、あと名詞が無理やり他の言葉に置き換えられたりとか。例えば「回転する雑草」…タンブルウィードのことなら「転がる枯草」だの「根無し草」だの、もちょっとマシな表現が幾らもありそうな。銃のセミオートやフルオートも、いまどき半自動の全自動のと言うと却って雰囲気を壊すと思う。違うか?
 ところでこれ映画化作品なんだそうだが、主演がトム・クルーズってのはなんか違うような気がする。なんかこう、お面が爽やかすぎるというかもうちょっとワイルドさが欲しいというか。もっとも、亜米利加好青年が持ちキャラかと思ってたら、いきなりヴァンパイアでハマってみせたりするような役者だから分からないけどね。

12月24日(火) 晴時々雪
 イブとはいえど勤め人、しかも既にプレゼントのデェトのという娑婆っ気を無くして久しいので、黙々と残業。ケーキは先週末にいいだけ食った(ワンホール求めて2日がかりで片付けた)し、今更フライドチキンとワインを用意する無邪気中年ぶりは却って気色悪かろう。
 かくて遅くなりついでに相方の勤務先へ赴き、コンビニで飲み物を求めて帰宅。昨日から煮込んだおでんを温め、ほくほくと食う。う〜ん、欲を言えばビールよか日本酒が欲しかったな〜。

 こういうおうちには、サンタさんきてくれないよね。くすん。 <だから止めろと言うに

 と、クリスマスもへったくれも(ところで「へったくれ」って何)無い夜を過ごしつつ、最近出回ってきた食玩「学校のおもいで」を開ける。小学校生活の情景を彩るミニチュアがミルメーク(!)についていて、おまけにパッケージがジ○ポニカノートみたいなデザインという凝りっぷりは実に見事。さらに、机に食べかけのパンが付属してたり、すっかり灰色になってあの独特な生臭さを思わせる雑巾が椅子とセットになってたりと、制作サイドのこだわりというか濃度というかを感じさせられていたのだが、今日はさらにその奥を見てしまった。
 このシリーズには給食セットがあって、食器一揃いとおかず、ビニール入りのソフト麺、それにバナナと牛乳とミルメーク(もちろん!)がついてるんだが。
 その牛乳が、こぼれてるんだなコレが。
 瓶を倒して机の上にだ〜〜〜っと流れてしまった、まさにその瞬間を捉えている。所定の位置に牛乳瓶をセットすると、瓶底にわずかに残ってる雰囲気まで出せるからすごい。これをあの雑巾で拭くと、さらに物凄い臭気が…と、既に数十年の彼方に遠ざかった記憶を掘り起こしてしまった。いやお見事。天晴れなまでの作り込み馬鹿っぷり、しかと拝見。久々に理屈なしに食玩を楽しませてもらった。既にシリーズはコンプしてしまったのだが、また徒然に求めたい商品である。なにせ我が家の大人子供たちは、いずれもミルメークが好きだしね。食い意地だけ童心を残してるのも、いかがなものかとは思うけれど。

12月25日(水) 曇のち雪
 昼過ぎから猛然と降りだした雪の中、帰宅がてにヨドバシへ。めでたく(一時的に)復刊相成った『MSXマガジン』を購入する。エミュレータとゲームがついて懐かしく遊べる代物、福笑いや双六の代わりに正月の楽しみとしようか。って、我が家にはまだMSX本体とかファミコンとかPCエンジンとかソフトもろともに転がってますけどね、ええ。
 続いてDVD&ゲームソフトコーナーへ行き、『ロード・オブ・ザ・リング/スペシャル・エクステンデッド・エディション』とディズニー版の『三銃士』、それに『METAL GEAR SOLID 2 SUBSTANCE』を求める。最初のは共用、次はねこまの、最後のが僕のクリスマスプレゼントってことで。何か自分用のが高価だったりするが、どうせ後で埋め合わせをすることになるんだし…って、何故埋め合わせの必要があるのかはサッパリですが。

 ヨドバではまたガシャポンを眺め歩き、『原色爬虫類トカゲ図鑑』を見つけて7、8個引く。ソフビ系素材でエッジが甘いが、なかなかの造型。また塗りもソコソコ。特に目はトカゲらしい可愛らしさ(なんてものぁ無い!とか言わないように)で、好感がもてる。また100円玉がポケットでジャラつきだしたら探してみるとしよう。

 その後ねこまと待ち合わせ、ちょいと飲んで帰宅。いい気分で積もった雪を踏み分けて歩いたが、まだまだ降ってくるようなので、明日も仕事に出ることを思っていささか憂鬱になる。
 まぁいい、あと2日で休みだ!9日間、一歩も外へは出ないぞ!<やめれ

12月26日(木) 晴時々雪
 『鉄の枷(ミネット・ウォルターズ/著、成川裕子/訳、創元推理文庫)』を読了。大いに満足する。
 手首の切り傷から血を流し尽くして浴槽に横たわる老女の屍体。その頭には、原題であるところのスコウルズ・ブライドルが被せられ、その合間に野の草が飾り付けられていた…というのが話の端緒。自身がシェイクスピアを愛好していた彼女による、おぞましいオフィーリアの見立てか?それともこれは殺人で、犯人によるメッセージなのか?とスタートした事件は、老女自身を軸に、遺産相続人と捜査陣、彼女を知り深く関わった人々を読み解きながら進んでいく。
 この登場人物の描写が、何をおいても見事。時間と経験が作り出す人の性格、その心の複雑精妙さ、それが外へ出てきた有りようが、まるでそこに居る(または居た)ように描かれている。ちょっとデキすぎな観のあるキャラクターもいるが、それを意識に留めてさえ、彼らの織り成す物語にぐいぐい引きずられていってしまう。一筋縄では片付かない。
 特に、死してなお話の中心に立つ老女が、狷介で口が悪く実の娘とさえ憎しみで結びつく人物であり、己の階級以下の人を悉く見下していた筈が、たまさか知り合った医師には情を寄せるような謎めいた存在なのだ。その情の表れたるや、また奇妙奇天烈。物語の随所に挟まる彼女の日記の断片が、さらにその存在感を強め、かつ知りたい欲求をかきたてる。
 その医師、話の語り手的な女性もまた面白い人物だ。夫の不貞に苦しみ、既に彼への愛は醒め、日々の仕事に追われ、降って湧いたトラブルに悩まされ…と読み手が枠を固めかけていると、これがどうして、そう簡単には片付かない。もちろん他の人々も然り。実生活でも「あんな人だと思わなかった」とか「意外な面が」とか言うけれど、極端な面でないと気が付かないもんだ。そして生半可では読み解けないそういう面こそが、ある日思わぬ邂逅や別離を生み出す。この作品はまさに、そういう小さな面を綴れ合わせて意外な真相を織り出して見せるもの、実に実に面白い。
 そもそも中世に女性の無駄口を禁じるべく封するための道具だったというスコウルズ・ブライドル(これを「鉄の枷」と訳したのはストレートながら良い判断だよなあ)という陰惨な道具を持ち込み、かつ根底のテーマも生臭くおぞましいのに、『銀河ヒッチハイクガイド』なんかを盛り込む構成自体がそういう多様性の結晶なんだけどね。「あわてるな(Don't Panic)」のタオルを持って乗り込むべき世界であること、これから読む人には警告しておきたい。

 日が落ちてから、ちょいと買い物がてらにゲーセンへ立ち寄る。最近とみにハマりがちなコンビニキャッチャーで『龍騎』のライダー&バイクのキーホルダーをゲット。モノはナイト。あと龍騎を獲ればコンプなんだが、ここには無いのでしょうことなく『ちょびっツ』なんか狙ってみた。どうもデフォルメ具合が気に入らない「ちぃ」とか「すもも」は無視して「アタシ」を2つ手にしたところで帰宅。だいたい2/3ぐらいの確率でいけるようになったな。次は大物もイケるよう、精進したいもんである。来年の目標にでもすべぇかな?<よしなさい

12月27日(金) 雪のち晴
 朝から雪。激しく雪。猛然と雪。轟然と雪。ずんずんずんずん降りつのり、電車やバスはおろか、自家用車での移動も困難となった。遅刻者続出の納日である。ま、初日じゃないからいいやね。<そうなのか?
 仕事もあらかた片付いているので、社内の植木の面倒など見つつ時を過ごし、納会とて同僚たちが飲み始めた隙にダッシュで会社を後にした。うほほ〜!冬休みじゃあ〜!
 と思ったのだが、電車はなおも遅れつづけており、ダイヤは無茶苦茶。1時間前の列車がまだ来てないホームを定刻5分遅れが走り抜けたりしていた。うう、しょ、初日じゃないからいいやい!

 負け惜しみを呟きつつ、帰宅して『METAL GEAR SOLID 2 SUBSTANCE』を起動。英語版の本編と、アナザーストーリー&訓練モードからなるゲームなんだが…こっちは言い訳する間もなく挫折。肩凝りに悩む中年の遊ぶものではありませんて。
 とはいえ面白くないかというとそうでないから困る。ズキズキしだした頭を抱えつつ、明日以降、ゆっくり体をほぐしてから再挑戦しようと心に決めたのであった。

12月28日(土) 
 休日初日。買い込んできたコミックスを読みまくる。
 『スカルマン 5(石ノ森正太郎/原作、島本和彦/作画、メディアファクトリー)』
 完結編…とは残念ながら言えない、おそらく打ち切りの結果であろう端折った結末。石ノ森ワールドのごった煮みたいな展開が見えかけていただけに残念である。いや、実のとこ石ノ森にはあまり思い入れは無いんだけど、島本節全開でのあのキャラクター群ってのに期待してたんだよね。特に説教しつつ大暴れの「1号ライダー」にはもっと活躍して欲しかったなあ。
 『鬼(山岸涼子/著、潮出版社)』
 怪異を描いて一流の著者が、その現象を通じて語る親子の関係が表題作。無残に親に殺されようとした子供が、それでも親に向ける思いは切なく苦い。げに戯れに親になどなるまいぞ…って僕ぁはなっからなれるたぁ思ってませんがね。
 そういうわけで表題作はあまり怖くない。怖さで言うなら3本目の「着道楽」が一番だろう。女性の情熱が募り積もって執念と凝るさま、実にリアルなんじゃないかと思うがいかがだろう。いや、確認したかぁありませんが。
 『ブラックジャックによろしく 1〜3(佐藤秀峰/著、講談社)』
 近頃評判の医療漫画、ひとつ読んでみようと手にした。現場のこぼれ話的なコミックは数多いく見たが、コメディのオブラートにくるんであるか、或いはひたすら感動路線を展開するものがその大半だ。で、これはというと、個人ではなくシステムを描いて、実にヘビーな代物。生々しくドギツく、かつ組織の底の澱を不快なまでに拡大してみせてインパクトが強い。従来作品との対比を抜きに考えても新鮮だが、断じて楽しい話ではない。ただ、日本の医療が抱える問題をクローズアップしているという点において、読んで損は無い作品だとは思う。そう、誰だって病気にはなるし、なったが最後、医者に身を預けるしかないのだから、どんなデータでもあるにしくはない。
 『20世紀少年 11(浦沢直樹/著、小学館)』
 ようやく謎の答が見えかけてきたかな?というところ。が、10余もの巻を重ねてやっとこさ展開ってのは、正直ヒキすぎな気がしないでも。『MONSTER』のように途中に小ネタが入るわけでもないんで、今のところ退屈寸前の低空飛行。見事着陸に成功しますようにと思いつつ、推測を楽しむ努力をしている。それだけの価値はある…よね?信じていいよね?<誰に
 『ヘウレーカ(岩明均/著、白泉社)』
 ローマ対カルタゴ戦の序盤において戦地となったシチリアでの、無名の一青年を通じて語る局面と、表題の言葉を発した天才の生涯の終わり。非常に簡易に、かつ現代日本に引き寄せてるけれど、戦争のもつ不毛さ加減は見事に描かれていると思う。この作者の持ち味である、淡々とした語り口と静かな哀しみを随所に活かしながら。
 ただ、難を言うならちょっと尺が合ってない印象がある。端折っているというのじゃないが、心ここにあらずというか。妙に距離感を感じるんだよね、物語との間に。読み手を引き込むことをあえて避けてるような、極論すると「とりあえずこれを聞かせよう」とツナギに語っているような気がしないでもない。ま、それでも好きなので、また次回作を楽しみにしているけれど。

 ということで、今日はおしまい。明日は書庫の大掃除だ!

12月29日(日) 曇
 いつもの時間に起き出し、まずは『ハリケンジャー』と『龍騎』を観る。前者は今年のおさらいというか、メカシーンを盛りだくさんにお年玉商戦へのアピール怠りなしというか。ただ、謎の坊さん(って例によってシュリケンジャーなんだけど)を演じていたのが、往年の『宇宙刑事ギャバン』だったのにはかなり驚いた。予告で観て「あれ?」と思っていたのだが…流石というべきか、どのシーンも決まってる。いや〜お若い!アクションばりばり気迫満点!かっこいいなあ、憧れちゃうなあ!とかインペラーこと故・佐野の真似をしてしまったぜ全く。
 んで『龍騎』。こっちは終幕を前にストーリーがさらに重く、主人公には苦しいものになってきている。役者諸氏の演技が達者なものだから、観ている側もいい年をしていささか辛いほどに。なんとかより善い結末へ辿り付いて欲しいと、ドラマの良し悪しの前に願わされてしまうものなあ。
 番組全体に置かれている構図もまた面白い。スタート直後辺りでの「蓮が仕掛け真司は防戦一方、それを鏡の外で優衣が止めようとする」シチュエーションが、今回は鏡像としてあらわれている。ただ違うのは、かつてそうする蓮の背景を真司は理解していなかったが、今は双方ともにそれを承知の上でということ。重みが層倍する中あえてそのことを語らない彼らの、姿は同じでも内面はかつてとは違うのだ。また、虚勢を張って痛々しくはしゃいで見せる若者たちの傍で「けったいな日常」を展開していたおばさんが、根底にある大きな秘密を押し隠していたことも興味深い。これまで織り成されたドラマが、既に破綻していた世界の上で紡がれた脆いものにすりかわってゆく瞬間とも思える。他にも多々あるけれど、映画のシチュエーションと微妙に被りながら、けれど少しずつブレた様相を見せてくるこの物語、ぜひにも全き結末を見せて欲しいもんである。

 午後、のんべんだらりんと大掃除の真似ごとなんぞしていたら、階下の大家さんから電話が入った。うちの風呂場の下で水漏れがあるという。行ってみると、確かにさっきまで風呂を洗っていた洗剤のようなんだが…しかし大家さん、ご承知のとおり我が家はユニットバス、どこへもこぼれようは無いですぜ?
 総がかりで調べてみて、どうやら床の中のパイプが外れたかヒビが入ったものと結論がついた。それはいいが、修理しないことには風呂にも入れない。とりあえず流しとトイレが使えてよかったねと今日は寝ることに。
 …ってわしらポリアンナですかい?来年こそは引越しを考えんとあかんかなあ。

12月30日(月) 曇
 水漏れの修繕に付き合って、終日荷物を持って行ったり来たり。その大半が本なものだから、日が暮れる頃には筋肉痛でふらふらになっていた。スチール本棚から飽和して天井までうずたかく積もった数百冊の本の山、己の蒔いた種とはいえ、ここまで育つといっそ壮観であるなあ。これを無制限に育てられる環境が欲しいものだ…と、謎の細胞を培養中のマッドサイエンティストみたいに呟いてみるが、とりあえず今は好機に恵まれる当てがあるでなし、できる限り片付けるしか手はない。つーか片付けないと作業机に辿り着けない。この休み中に、片端からデータベースに打ち込んで、モノは箱詰めしてみることにした。まぁ、それでふいと読みたくなってしまったら、その時はさらなる筋肉痛との戦いが待っていそうな気もするけれど。

 夜、データベースをこさえつついつものメンバーとチャットしつつ、昨夜と一昨日にTVで放映していた『IT』を観る。言わずと知れたスティーブン・キング原作のホラームービー、出来はなかなかのもんである。日常生活に不意に侵入してくる非現実的なモノ、理由無く向けられる悪意、子供時代の友情だけを頼りにそれに立ち向かう平凡な人々。キャラクターの置き方もいいし、何より血腥い状況を即物的に描かず、ある程度以上は観るものの想像力に委ねる傾向が好ましい。また結末についても、正直原作よりも好感がもてた。言っちゃナンだが、この作品はとにかく救いもカタルシスも乏しいし、主人公の人格を疑いたくなる部分もままあったからなぁ。
 しかし、敵との対決シーンにだけは、ついていけないモノがあった。なんでいきなり怪獣映画にするかな〜。『レリック』なんかもそうだったけど、唐突にこういうシロモノに登場されると恐怖の微妙な味わいが一気に失せるんだよな。まぁそれはソレなりに面白いもんではあるけれど、せっかくティム・カリー(僕の大好きなディズニー『三銃士』の枢機卿)演じるペニーワイズの顔が脳裏に焼き付いてきたところで「しゃげーっ!」ってコレは、ねぇ。
 ところでキング作品を読んでいると、怖さとは別なところで「アメリカの片田舎に生まれなくて良かったなぁ」と思うのだが、これは僕だけだろうか?なんつっても、柄の無い肥柄杓みたいに手のつけられない文字通りのクソガキが必ずのさばっていて、そいつに目をつけられたが最後、死ぬか殺すかの二者択一しかないってのが決まりごとみたいなんだもの。箸より重いものを持ちたくない平和主義者としては生きにくい世界だと思うのだよ、うむ。

12月31日(火) 晴
 年越し用品を求めに、相方と街へ。買い物はさのみ多くないのだが、餅だの蒲鉾だの羊羹だのという高密度食品ばかりなので、小ぶりな荷物も結構重い。かくて今日も筋肉痛の予感をつのらせつつ、それでも本屋へ立ち寄ってしまう。本馬鹿よ書痴よと呼ばば呼べ。知ってますしょぼ〜ん。<落とすな
 とはいうものの、めぼしいところは既に求めてしまっているので、さしたる獲物に出くわさない。『花のレクイエム(辻邦生/著、山本容子/画、新潮文庫)』のみ手にしてレジへ。絵画を見て物語を構築した『十二の風景画への十二の旅』が好きだったので、著者晩年のこの企画も読んでみたかったのだ。というか、作者を問わずそういう「題ばなし」に惹かれる傾向があるな。読み解き方に目から鱗な気分を味わうのももちろん、著者の頭のひねりネタ具合引出しの奥行き深さがある程度読み取れるのもまた楽しいからだろう。

 帰宅後、水槽の大掃除(60cmのフィルタも洗った)をしてから『ロード・オブ・ザ・リング/スペシャル・エクステンデッド・エディション』を起動。まずは映像特典から観はじめた。さぁ、これで明日の夕方までは指輪漬けだ!年賀状も書いてないけど、良い年明けになるぞ!



翌月へ




[ 銀鰻亭店内へ ]