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 日記的なものとか、書籍やビデオやゲーム等のちょっとした感想みたいなものとか。

2004.12.31 記
 2004年の趣味的総括 ...last update 2004.12.31

 各ジャンル毎に印象に残っているタイトルを挙げます。

現実
 天変地異。
 日本に台風が次々に襲来。
 新潟県中越地震。
 スマトラ沖地震と、それによる津波。
 翻って。
 地域紛争、テロリズム、国家エゴ。鎮静化も融和も対話も進まず、対立と激化と深刻化が増す印象で。

小説
 笹本祐一『ARIEL』(全20巻)朝日ソノラマ/ソノラマ文庫
 うえお久光『悪魔のミカタ』(既刊13巻)メディアワークス/電撃文庫
 原作・監修:馬頭ちーめい+STUDIOねむ 著:鍋本ちぇいある『BREAK−AGE EX.ロアゾオ・ブルー』(全7巻)エンターブレイン/ファミ通文庫
 神野オキナ『あそびにいくヨ!』(既刊5巻)メディアファクトリー/MF文庫J
 須賀しのぶ『流血女神伝』(既刊19冊)集英社/コバルト文庫
 井上敏樹『仮面ライダーファイズ 正伝 異形の花々』講談社/Magazine Novels Special
 飛浩隆『象られた力 Kaleidoscape』早川書房/ハヤカワ文庫JA
 伊都工平『天槍の下のバシレイス 1 まれびとの棺〈上〉』&『同 2 まれびとの棺〈下〉』メディアワークス/電撃文庫
 小林めぐみ『食卓にビールを』&『同 2』富士見書房/富士見ミステリー文庫
 陰山琢磨『星々のクーリエ』朝日ソノラマ/SONORAMA NOVELS

ノンフィクション
 『ライトノベル完全読本』日経BP社

ムック類
 士郎正宗『INTRON DEPOT 4 BULLETS』青心社

コミックス
 山下いくと『DARK WHISPER』(既刊3巻)メディアワークス/Dengeki Comics EX
 石田あきら『私立彩陵高校超能力部』(既刊3巻)ぺんぎん書房/Seed!comics
 水上悟志『散人左道』(全2巻)少年画報社/YKコミックス
 那州雪絵『魔法使いの娘』(既刊2巻)新書館/WINGS COMICS
 篠房六郎『ナツノクモ Spinning web』(既刊3巻)小学館
 的場健『まっすぐ天へ』講談社/モーニングKC
 志村貴子『放浪息子』(既刊3巻)エンターブレイン/BEAM COMIX

映像
 押井守『INNOCENCE』東宝
 紀里谷和明『CASSHERN』松竹
 荒牧伸志『APPLESEED』東宝

ゲーム
 PlayStation2『鉄人28号』バンダイ
 GAMEBOY ADVANCE『THE LEGEND OF ZELDA ゼルダの伝説 ふしぎのぼうし』任天堂
 PlayStation2『DRAGON QUEST VIII 空と海と大地と呪われし姫君』SQUARE ENIX

フィギュア等
 フィギュア&ブックレット『週刊わたしのおにいちゃん』K&M、メディアワークス(http://www.wata-oni.net/)
 食玩『王立科学博物館2』タカラ・海洋堂
 漫画 貞本 義行 原作 GAINAX『新世紀エヴァンゲリオン第9巻 綾波レイ スペシャルBOX』角川書店/Kadokawa Comics A
 食玩『連斬模型シリーズ 戦艦大和』タカラ、ピットロード

特別
 作家・翻訳家の矢野徹氏が10月13日に死去。

2004.12.29 記
 水上悟志『げこげこ 水上悟志短編集』少年画報社 購入&読了。
 ほぼカエル。描き下ろしもカエル。作者氏はカエル者と思われますが、如何。このカエルへの執着がどのような心理的要因に拠るものかは、私はカエル者ではないので判りません(^^;。
 描き下ろし以外は月刊誌『YOUNG KING OURS』少年画報社 の本誌や増刊号に掲載されたもの(目次の記述による)で、私は結構読んでたみたいです(たぶん立ち読みで…買ってなくてごめんなさい)。
 「デビュー前」の遺産…ネタのストックとかマインドセットとか、デビュー後に蓄えるのは結構難事で、それまでの積み重ねが大半なのではないか、と思いますです。

2004.12.27 記
 こうの史代『夕凪の街 桜の国』双葉社 購入&読了。
 白い闇のコマに覚える感情を、うまく言葉にできません。P33の最後のコマの言葉に、やるせなさを覚えます。

2004.12.25 記
 アニメ『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』TBS系 「Phase−11 選びし道」「Phase−12 血に染まる海」の感想。

 今作の開始早々に行われた「ザフトの新型MS奪取」の手際の良さが、その後の展開を見ると、地球連合とプラントの緊張状態を煽る、双方に影響力を持った第三勢力による謀略ではないのか、とすら思えてきたり。
 ザフト軍の情報漏洩が、ブルーコスモス/ロゴスが奪取した3機の新型MS「だけ」で、インパルスもセイバーも[ニュートロン・スタンピーダー]も、ブルーコスモス/ロゴスは全く知らなかった、としか思えません。そう考えると、新型MS3機の情報漏洩は、ブルーコスモス/ロゴスが実力で得たものではなく、前作の[ニュートロンジャマー・キャンセラー]の情報漏洩みたいな感じで、地球連合にもプラントにも与しない者(たち?)の策謀、と見なした方が納得できるように感じるので。

 悪の魅力…それは妙手と賞し得る奸計を巡らす頭脳であり、安寧を拒絶し擾乱を求める熱意であり、自らの欲望に忠実になり得る余裕である、とか言ってみたくなりました…11話のジブリールの愚昧っぷりを見て。よくもまあ、そんな体たらくで、今現在のその地位に就き、今この時まで維持できたものであるなぁ、と、ブルーコスモス/ロゴスという組織そのものの底の浅さを目にした感じです。

 この「底の浅さ」…「閑居して不善をなす」程度の「小人」としか思えない登場人物が多すぎです。
 そして、そうではない感じの少数の者の存在…未だに謎なマルキオ導師やデュランダル議長、バルドフェルド&マリュー・ラミアス…が、ナチュラルとコーディネーターを巡る、レンズマン的な[高次の闘争]の先鋒の様にも思えてきたりしたり。……そういう[想像/妄想]でもしないと面白く視聴できない、のが私の本音かもしれませんが。

 カガリ・ユラ・アスハも、お飾りの首長とは言え、その孤立無援っぷりは、異様というか情けないというか。前作のラクス・クラインとは言いませんが、夢想としか思えない感情的な理想ではなく、深謀遠慮をもった言動をして欲しい、と。
 逆に、デュランダル議長の言動は、その全てが怪しすぎてステキです(核爆)。ぜひともこの怪しさ/胡散臭さを維持し続けて欲しいものです。

 MAザムザザー…オマエなんか[円盤獣ザブザブ]で必要十分だい、と(苦笑)。と言うか、その圧倒的なパワーは、実は禁断の核動力(NJC付)、としか思えないんですけど〜。

2004.12.23 記
 森岡浩之『星界の戦旗 IV 軋む時空』ハヤカワ文庫JA 購入&読了。
 帝国は、帝都は、いったいどうなってしまうのでしょう。…と、煽情的な言い方をすれば、こんな感じで[以下次巻]ヽ(`Д´)ノ。
 でもまあ、その成り行きも想定範囲内ではあり。そしてたぶん、個々人にとっては驚天動地な事物が起きる場面もあるのでしょうけど、大局は、それを斟酌する者たちが観照する範囲から、そんなに逸れることなく進行するのではないか、と想像しますが…はたして。

 表紙は、ウェムダイス子爵とパリューニュ子爵とハイド伯、だと思います。パリューニュ子爵におかれましては御髪をまとめられて耳元や首筋がすっきりとして、心なしか落ち着きが増した感じで、新鮮でございます(^^;)。[アブリアルの耳]が本の背にかかって切れているのが慙愧に耐えません(;´Д`)。

 こがわみさき『陽だまりのピニュ 1』SQUARE ENIX ガンガンコミックス 購入&読了。
 本屋さんで表紙買い(;´Д`)。ほのぼのと良い話、すっきりと愛い絵柄、の明朗学生ものでした。

2004.12.01 記
 太田垣康男『MOONLIGHT MILE 09 A SPY CAME FROM FARAWAY COUNTRY』小学館 購入・読了。
 この、武力で世界を牛耳ろうと画策する「国家」たちの視線が向いているのは「他の国家」たちで、宇宙ではないのだろうな、と。

2004.11.14 記
 アニメ『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』TBS系 「Phase−01 怒れる瞳」「Phase−02 戦いを呼ぶもの」「Phase−03 予兆の砲火」「Phase−04 星屑の戦場」「Phase−05 癒えぬ傷痕」までの感想。

 ナチュラルとコーディネイターの対立。嫌悪・怨嗟・陰謀・不信。優越感・劣等感。
 世界の情勢は変わらず? 戦う者たちは眼前の戦いにひたむき、立ち止まり見回す余裕は無く。

 ガンダム強奪…その理由、あるいは目的は? ザフトの軍備拡張路線への牽制? 対する地球連合は? オーブの立ち位置は?

 主人公は、誰?(;´Д`)。池田秀一氏・声のキャラは、どうにも「面従腹背」と言うか「何か企んでる」と思えてしかたありません罠。

 ユニウスセブン落下…実行者の、あまりに感情的なその言動は、コーディネイターではなく宇宙に生きようとするザフトのナチュラル過激派? 落下しなくても「デブリがデブリを生む」ケスラー・シンドロームで地球は封鎖されてしまう気が…コロニー構造材の性質設定で回避可能?

2004.10.24 記
 原作/夢枕貘 漫画/伊藤勢『荒野に獣 慟哭す 1』講談社 購入&読了。
 私の持っていた、原作の御門周平のイメージは、少林寺拳法の修行僧的な「剃髪or坊主頭・面長・ややマッチョ」な青年、だったんですけど。伊藤勢・画の御門周平は、はやりのイケメン風で、ちょっとショックというか違和感と言うか…う〜ん、なんとなくですが、アダルト・ウルフガイとヤング・ウルフガイの違い、みたいな?
 内容については、まだまだ序盤ですが、原作のオチを匂わせる台詞もあったりで、漫画版がどう落とすのか、期待と不安が8割2割くらいです。
 この作品の題名を目にした時、『荒野にケダモノ 度を越す』とか脳内変換してました。是非に、ハデハデしく「度を越して」いただくよう、願ってたりします(貘/爆)。

2004.10.20 記
 中平正彦『破壊魔定光 10』集英社 購入&読了。
 表紙絵を眺めて……善玉対悪玉の対峙する構図は、なんとなく剣士と鬼と言うか鞍馬天狗(?)と言うか、講談の一場面を象徴的に描いたもの、みたいな雰囲気を、ちょっとだけ感じたり。
 ノウムとエリーの和合(?)とコオネの新生(転生?)を地球世界での最終(?)エピソードとして、椿定光と神代やよいは平行宇宙の旅へ。
 「敵」への対策は二の次で、先ずは互いの「変質」の緩和・解消が第一、みたいな。
 とりあえずポンコツの母星に向かったものの、二人と2体は引き離され、なし崩しにグレイヴィ(炭素系生命体?)とディジット(機械生命体?)の抗争=宇宙戦争に巻き込まれることに?
 この展開が迷走なのか予定通りなのか、それが知りたくて追っかけてる割合は三割くらい?

2004.10.19 記
 高里椎奈『孤狼と月 フェンネル大陸 偽王伝』講談社(2004.05.12 購入)を読了。
 本屋さんの棚で表紙の雰囲気に惹かれての購入でした。
 魔法の(少なくともこの巻では)ないファンタジー。
 個々の要素には独自の深みを感じられず。でも、その筆致は生真面目で、主人公の少女はまっすぐで。一度は折れた心が、かつてのまっすぐさ故に報われるところに好感を覚えました。
 続巻が出れば買うと思います。

2004.10.16 記
 NHK「みんなのうた」(http://www.nhk.or.jp/minna/)の10月・11月の曲の一つ「月のワルツ」を、偶然に視聴して気に入りました。アニメーションと曲との合わせ技で一本、な感じで。

 小林めぐみ『食卓にビールを2』富士見ミステリー文庫 Amazonで購入… 同じ角川系なのにレーベルによって本屋さんへの入荷時期に早い遅いの差があるのは納得できません〜(愚痴)…(2004年10月13日着)&読了。
 文庫の腰巻き/腰帯を剥がして裏返し。
 うむ、緑の縞。腰巻き/腰帯が必須の、ある意味ナイスな装丁でわないか、と言いつつ、私は外したままだったりしますが。
 深読みするほどにアブナイ想像が加速させられる点は変わらずで、思わずいやらしい笑い方(@セイラ・マス)をしたくなったりならなかったり。
 「黒い箱」が素で判りません〜。「手作り銀河の置物」って、欲しい過ぎです。そしてペールくんの良い子ぶりは異常。偕老同穴は姫とナオイのネタもとバラシ? 旦那さんのトラウマは軽くなったのか重くなったのか、果たして。
 伝説のスネークマスターの謎は以下続巻を待て?

2004.10.01 記
 浦沢直樹/手塚治虫/長崎尚志『PLUTO 豪華版 1』小学館 を購入&読了。
 ロボットと人が分け隔てなく暮らす世界。人と見分けが付かない程のロボットから、いかにもロボット然とした外観のロボットまでが、人と混在する社会。
 それは、私たちの今現在から、どのような要請で推移で必然で、成り立って行った末の時代なのか。私はそこが知りたい、と、読みながら思いました。

2004.09.28 記
 新城カズマ『星のバベル 上』ハルキ文庫(2002.01.17 購入)、新城カズマ『星のバベル 下』ハルキ文庫(2002.02.24 購入)を読了。
 南海秘境冒険伝奇SF→山田正紀『神狩り』ハヤカワ文庫JA→マイクル・クライトン『アンドロメダ病原体』ハヤカワ文庫SF→グレッグ・ベア『ブラッド・ミュージック』ハヤカワ文庫SF/E・E・スミス『レンズマン・シリーズ7 渦動破壊者』創元SF文庫→小松左京?、と強引に考えてみたり。
 物語を反芻してみると、[入れ墨の少女]ヴィナは外見と初出のインパクトだけ、[日本人ジャーナリスト]萬田沙登美は二、三の重要な行動を主人公に代わって行う担当というだけ、主人公である[ひとりNGO]高遠健生は事件に翻弄される狂言回し(回され/立会人)で。それでも主人公は「謎解き役」を受け持っているので見せ場がありますが、他の二人は「彩り」でしかなかった印象が残っているのが、読後に感じた不満点でしょうか。

2004.09.27 記
 榊一郎『イコノクラスト! 1 EPISODE 01 FIRST CHANPAIGN【初陣】』MF文庫J(2004.08.25 購入)を読了。
 まず表紙。配色や描線で把握し難い感じになってますが、茫洋とした表情の少女の身体は歪み、内側から弾ける寸前みたいな、異様な絵に思えます。この巻では、そんな状況は出てきませんでしたが、今後に起こることを示す絵、だったりするのかな、とか思ったり。
 神を誅殺し世界の支配者たらんとした人間たちは、滅ぼされる間際に神が残した呪詛によって破滅の縁に立たされます。神の被造物である人間では、神の力=奇蹟を操る術は得られても、神の呪詛の体現=神罰代行者に対抗することは不可能だったので。
 そこで人間たちは、神の支配が及ばない存在・異世界=現代の地球/日本の人間を召喚し、その者に、代行者を滅ぼし得る力=異形の巨人・擬神杖<イコノクラスト>を託す計画を立案・実行します。
 錯綜する、理念・理想・絶望・待望・希望・欲望・羨望・策謀・陰謀・打算・妥協・恣意・神威・真意・心理・真理・真実・現実、みたいな(;´Д`)。
 お気楽極楽ではない、いわゆるリアルロボット物な感じで物語は進みそうです。ぶっちゃけ、某エヴァ+某サンライズを[榊<捨てプリ・ストジャケ・まかでみ>一郎]が料理したもの、かと。
 彼は最初の彼ならず。而して最後の彼ならん?
 最後の敵を、彼にしない方策は?
 5人+一人の美少女は、どうするどうなる? 美女(お姉さま系)は出ないのか?ヽ(`Д´)ノ
といった辺りが、現時点での興味でしょうか(笑)。

 船戸明里『アンダー ザ ローズ 1 冬の物語』幻冬社(2003.10.27 購入)、『アンダー ザ ローズ 2 春の賛歌』幻冬社(2004.09.25 購入)。
 「冬の物語」…緊張感と言うか切迫感というか、絵柄が好みでなければ私は途中で投げ出したかもしれない感じの、痛さに満ちた話。三原順《はみだしっ子》シリーズ 白泉社 とか、萩尾望都『トーマの心臓』小学館 とかを、ちょっとだけ思い出したり。
 「春の賛歌」…「冬の〜」よりは穏やかな。主人公が、なんとなく 森薫『エマ』エンターブレイン のエマ似かな、とか。生真面目/控えめなひっつめ眼鏡美女で使用人で赤くなる人で〜(メイドさんではなく家庭教師(ガヴァナス)ですけど)。

2004.09.25 記
 奈須きのこ『空の境界(からのきょうかい) the Garden of sinneres 上、下』講談社(2004.06.13 購入)を読了。
 ゲーム『月姫』はやってません。『電撃大王』は買ってますので、コミック版『真月譚 月姫』は連載で読んでますが。その他は、インターネット上の情報をちらほらと、くらいで…この作品が出版されたこととか、それにまつわる話題とかとか。ですので、この作者氏のことは、ほとんど知らずに買いました。
 二重螺旋を内包するマンションが、物語半ばの舞台として登場します。読み終えてふり返ると、この作品の結構は私には、そのマンションでの事件を物語の頂点とした、なだらかに上りそこに到りゆるやかに下る山、の様に見えました。上り下る道も作者氏にとっては螺旋かも、とか、その高度は架空の度合いかな、とか。
 両儀式(りょうぎしき)。黒桐幹也(こくとうみきや)。黒桐鮮花(こくとうあざか)。蒼崎橙子(あおざきとうこ)。荒耶宗蓮(あらやそうれん)。
 登場人物の名前は、一見してあからさまな作為/含意/暗喩/韜晦が感じられ、それが引き起こす違和感は特に、日常/平穏を体現する描写を身に纏う黒桐幹也に対して、私には顕著でした。甘そうな名前なら平凡なんだし佐藤でいいじゃないか、とか思ったり。
 なので、私は蒼崎橙子が好きです。陸の、海を見晴らす端に立ち、海を行く船に位置を知らせる燈火を注ぐ、そんなイメージで。

2004.09.15 記
 北条匠『THE LAST DAY ON THE EARTH CASSHERN』集英社(2004.08.15 購入)を読了。
 映画『CASSHERN』の副読本、と言えばよいでしょうか。映画を観た者でなければ、内容が薄いのではないか、と思えます…映画を観た者にとっても内容は淡々としている、気はしますが。
 アクボーンの顛末が無い点が、私としては一番残念でした。
 人類が滅亡の淵で踏み止まったことが明記されている点と、ブライたち新造人間の復活は、ちょっとした偶然であり、超自然的な何かに因るものではない、とも解釈できる記述になっている点が、読み終えて反芻して、映画とは違う「救い」になっているかもしれない、と感じてます。

2004.09.11 記
 劇場版『特捜戦隊デカレンジャー THE MOVIE フルブラスト・アクション』&『仮面ライダー剣[ブレイド]MISSING ACE[ミッシングエース]』東映 を鑑賞。
 『剣[ブレイド]』の感想はこちら→特撮・仮面ライダー剣[ブレイド]・劇場版
 『デカレンジャー』は、悪くはないものの、新味がなかった、と。
 贅沢な注文なのでしょうけど、劇場版ならではの要素が新メカしかなかったような。敵にはヘルズ三兄弟が重なり、味方側ゲストには烏丸ちとせ(ギャラクシー・エンジェル)を連想させられ(←アニメは未放映地域なので見てないんですけど〜(;´Д`) 核爆)。
 展開の、TV版との変わらなさが個人的な期待感と違っていたみたいで、その意味では自業自得でしょうか(苦笑)。

2004.09.05 記
 ゆうきまさみ『鉄腕バーディー 6』小学館 の各話タイトルが「牙の時代」で、これは小松左京の作品の一つの題名と同じで。
 ふと、既刊分の各話タイトルが気になったので見てみました。
 ・2 HEARTS IN 1 BODY (1巻)
 ・DOUBLE TROUBLE (2巻)
 ・THE THIRD POWER (2〜3巻)
 ・THE CHILD OF QUARTER (3〜4巻)
 ・VISITORS FROM PENTAGON (4〜5巻)
 ・SIX DAYS (5巻)
 これで第一部・完、と。そして今回の6巻から第二部で、趣向が変わって
 ・牙の時代 (6巻)
となる訳です。
 第一部は、最初のタイトル以外は韻を踏んでいるというか「数」に拘ったというか。最初のタイトルも「1」は入ってますし、「2」を入れたのは「語り直し/ふたたび/再開」の意味を込めたのかも、と勘繰ってみたり。
 第二部の、次の各話タイトルが何なのか、第一部が凝っていたので、ちょっと気になります。はたして小松左京なのか、全然違う方向性のものなのか。
 小松左京ならアレかな? いやコレかも、それともソレ? あるいは、筒井康隆、光瀬龍、星新一、豊田有恒、眉村卓、平井和正、今日泊亜蘭、とか? いやいや、E・E・スミス、R・A・ハインライン、E・R・バロウズだったり? 等々、妄想は果てなく(;´Д`)。

2004.08.23 記
 (承前:『てくてくとぼく』)
 読後感は、でも「なんとなく空疎」な印象で。
 主人公たち以外の在りようが、ちょっと筋立て優先の張りぼてに思えるところ、でしょうか。それこそ、実はこの世界は主人公たちの動向を観察するために造られた仮想世界なのかも、と疑えそうなくらいで。
 後半は、けっこう絶体絶命っぽい状況のはずなのに、最後の旅立ちでは何事もなかったかのように主人公が動くことができた点が、思い返すとかなり納得できなくなりましたのでした。

 井上敏樹『仮面ライダーファイズ 正伝 異形の花々』講談社 購入&読了。
 2003年から2004年にかけてテレビ朝日系列で放送された特撮番組『仮面ライダー555(ファイズ)』の脚本家の書き下ろし。
 作者氏が、TV版を書き進めながら溜め込んだ「オレの555」を吐露したもの、という印象です。
 スマートブレイン社関係はばっさりと切り捨てられ、物語は主人公たちの等身大の(個人的な)視点に終始します。
 園田真理。木場勇治。草加雅人。菊地啓太郎。長田結花。海堂直也。木村沙耶。乾巧。
 この8人の、異形異能の超人/怪物が跳梁跋扈する世界での生きざまの切片、みたいな。
 勧善懲悪な熱血ヒーロー物ではなく。「仮面ライダー」という要素も、あまり重要な要素ではなくなっていて。世界の謎とか混乱とか変容とか未来とかは、作者氏はあまり関心がないのか殆ど語られず、そういう視点が好みである私にとっては残念でした。
 未来とか運命とかは、作者氏としては映画版で「完結」なのかも、とか思ったり。
 TV版を視聴していなければ把握し難い・説明不足な点が多いように思えます。TV版を知っていれば、色々と衝撃的だったり納得できたりするのではないか、と感じました。

2004.08.22 記
 高千穂遙『ダーティペアの大復活』早川書房…カバーの著者近影を見て「ひゃ〜(驚)」。

 吉崎観音『Mine bluE 吉崎観音イラスト集 1994−2004』enterbrain 購入&鑑賞。
 店頭で目にして、なんとなく(^^;購入。この作者氏の本は初めて、のはず。
 判型が文庫本を横に二つ並べた大きさで、画集というには物足りない気分です。あと、個々の絵には初出等の情報が無く巻末に一括掲載されているのが、個人的には違和感を覚えました。

 榊一郎『君の居た昨日、僕の見る明日 1 −STARTING BELL−』富士見ファンタジア文庫 購入&読了。
 TAGRO『宇宙賃貸サルガッ荘』SQUARE ENIX(現在4巻まで刊行) を想起したり。
 あと、主人公が切れてしまってエログロスプラッタ、な二次創作(爆)を妄想したり。

 枯野瑛『てくてくとぼく 旅立ちの歌』富士見ファンタジア文庫 購入&読了。
 上記タイトルを打ってみて、今更「歌?」とか疑問符が。
 砂海(ポントゥス)、塔/塔街(テュリス)、発条(ゼンマイ)、自動人形/罪人(カリヨン)。
 石組みの街、明るい日常。旅人/隊商/よそ者(ウィアトル)の少年と上流階級の少女。
 ちょっと考えて、萩尾望都『精霊狩り』『ドアの中のわたしのむすこ』『みんなでお茶を』小学館 を記憶の底から引っ張り出したり。状況設定としては、木城ゆきと『銃夢』集英社 に近いかも…あ、たくま朋正『鉄(くろがね)コミュニケーション 1〜3』メディアワークス/主婦の友社 でしょうか。
 続編があるのなら、個人的にはリーゼの再登場があるか否か、に興味がありますが果たして。

2004.08.13 記
 小林めぐみ『食卓にビールを』富士見ミステリー文庫 購入&読了。
 16歳女子高生でおさな妻で物理同好会の幽霊部員で新進気鋭の作家で(だいたい本編内での描写順)。
 SF風味なスラップスティックの主人公としては…盛り沢山に過ぎる感じですけど、本編の内容が極彩色な感じなので負けない存在感を持っている意味では相応、なのかもかもeverydaytoday。
 で、タイトルのビールは主人公の好物の一つで。
 食卓にビールが並ぶ日。それは特別な日。(P31)
と、本文で本人さんも地の文で言ってます。
 でもってそのビールですが、今日は♥ね、の夫婦間暗号? とか思ってしまったのは、我ながら下種張るダイクン(;´Д`)だと思いますた。でもでも、銘柄(?)が生だと安全日とk y=-( ゚д゚)∵・ターン
 個人的には2002年4月7日購入の『道楽貴族オアジズの冒険 2 聖なる十二夜の仮面』富士見ファンタジア文庫 以来の作品だったりします。読み始めて、行き当たりばたり意味なしネタだったらヤだな〜、と思ってましたが、それなりにオチたので大丈夫です(誰にともなく)。
 でもなんでミステリー文庫なんでしょ〜。印象としての富士見ファンタジア文庫は、短編集を単発で出せるレーベルではないかも、とかの雰囲気はあるかもしれない、と考えたりもしますが(苦笑)。担当さんが担当権(?)を握らされたまま異動、とか?

 笹本祐一『ARIEL読本』朝日ソノラマ 購入&読了。
 本屋さんに 士郎正宗『INTRON DEPOT 4 BULLETS』青心社 といっしょに取り寄せ注文して二週間余。やっと入手できて読めて満足、できたようなもっともっとなような(苦笑)。
 Dr.モローと西野司の描き下ろしコミックが良かったです。

2004.07.30 記
 ジェイムズ・P・ホーガン『揺籃の星 上,下』創元SF文庫 読了。
 とても久しぶりに訳書を読み通せました(爆…完全積ん読や読み始めたのに止まってる本、多数 --;)。
 不満点は…
 アテナの生成原理の説明がないこと。
 誠実な主人公が悪役に足元をすくわれる展開の印象の変わらなさ。
 下巻の脱出行の、ハリウッドな感じの都合よすぎる危機一髪な展開。
…くらいでしょうか。
 主人公と悪役の成り行きはホーガン作品の色ではありますし、脱出行自体は、圧倒的な光景に魅了されましたので、アテナの生成原理を除けば、あばたもえくぼ(笑)と言えるかもしれません。
 読了後、第二部は今作の終わりから千年後の話だったりして、とか思ったりしたくらい、今作の終わり方は主人公の「大敗」だと思えます。これまで読んだホーガン作品の中では、一番悲壮な終わり方、だと。まぁ三部作の第一作、とのことなので、続巻で何らかの「救い」があることを期待しますが…。

2004.07.23 記
 荒川弘『鋼の錬金術師 8』SQUARE ENIX 購入&読了。
 角があるのにパンダ。そして7:3。さらに若衆髷(?)。…モヒィはパス。
「………「憤怒」のラース」
 姿を見せた、親父殿(と書いてラスボスと呼ぶ?)。
 そのパイプだかチューブだかには[赤い水]が循環していて、アメストリスの国中に張り巡らされていたりしますカ〜?
 …アメストリスをGoogleすると紀元前のペルシアが出てきますが、どんな含意が?(←思わせぶりな事物には、何か隠された意図が込められている、と勘繰ってしまうのは読者の特権ですよね ^^;;;)
 血涙の「出番少ない」…出番スクエニ、と読んでsうわなnws

2004.07.20 記
 (承前)
 [スチームボール]は、圧力の形で動力を蓄え、蓄えた動力を制御可能な形で放出する、架空の装置でした。つまり、現実の蓄電池と同等の機能を持つものです…と言うか、[スチームボール]を[超伝導バッテリー]とかに置き換えても、物語には何の齟齬もないのではないか、と思えます。絵や演出の面では、19世紀イギリスの産業革命の時代の雰囲気を維持できなくなる可能性が大きい、あるいは、時代・舞台設定を変える必要すらあるかもしれない、と思いますが。

 [スチームボール]はバッテリーでしかありません。それだけでは、いずれ動力は尽きて停止してしまいます。動力を補充する仕組みなり施設なりが、[スチームボール]とは別に必要でしょう。
 その意味では、スチーム城はネーミングとは裏腹に、城砦ではなく空母か強襲揚陸船か輸送船として運用せざるを得ないと思われます…エディの説明を信じるならば、スチーム城の中には[スチームボール]以外の動力源は無い様ですから。

2004.07.19 記
 大友克洋・監督『STEAMBOY』東宝 を観ました。
 科学/技術の功罪、人間の限界、親子の絆、等々、どうしても私は、今川泰宏・監督『ジャイアント ロボ THE ANIMATION -地球が静止する日-』(DVD:アミューズソフトエンタテインメント)を思い出して…とても、よく似ているように思えます。
 どうにも似過ぎるくらいで、先に『ジャイアント ロボ〜』があり、どちらも日本のアニメーション作品であることで、私は、最新の作品である『STEAMBOY』はもっと「『ジャイアント ロボ〜』とは違った/『ジャイアント ロボ〜』を踏まえた」ものが欲しかった、とすら思ってしまいました。
 と言いつつ、激しく似ている、と感じられるのは物語の影/底に窺える「観念的なもの」であり、登場人物たちのレベルでの物語は、全然違ってたりしますね。
 画期的な発明に対峙した科学者が、周囲の近視眼を逆手に取って、自分の理念を貫いた話、と言ってしまいましょうか。父親ジェームス・ロイド・スチムの発明がもたらす「圧倒的な力」に魅了され、清廉さを失ってゆく男の、理想と現実の差の「圧力」に抗する足掻き、だったと。
 これでは、ジェームス・エドワード・スチムを理想化し過ぎかもしれませんが、それでも私には、これはエドワード・スチムの物語だった、と思えます。
 それを目にした息子ジェームス・レイ・スチム。次回作があるのなら、私はその「思い/解釈/対応」を見たいと思います。

 で、この見方をした理由に、私の年齢がエディに近い事があるのかもしれない、と気付いて愕然としてます(--;;;。

2004.07.06 記
 水上悟志『散人左道 2』少年画報社 購入&読了。
 カバー下の「さーびす」画は、時期的には何時なのだろ〜、などと。なるようになった直後くらい? とかなんとか(艶笑)。
 大山玲『真夏の夜のユキオンナ(全4巻)』講談社 を、なんとなく連想しましたり。
 無限とえんらの「なれそめ」が読みたい、かも。

2004.06.18 記
 DVD『プラネテス 2』バンダイビジュアル を視聴。
 5月末に購入したまま未見だったのを、ようやく観たのですが。
 「Phase3 帰還軌道」
 タナベの感情に任せた行動には、原作を読んだ時と同様に反発しか覚えないだろう、と思っていたのですが。タナベの見識/志向は、ハチマキのそれと対立はしているものの、どちらが正しい、とは言えない、ような気がしてしまいました。

 宇宙葬にされた遺体が地球軌道に帰還。ハチマキやフィーは、遺族の意志に従って再度の宇宙葬を行う方向で動こうとして。ところがタナベは、帰還は奇跡であり、それは遺体本人の意志/遺志の表出である、との見解の下に暴走し。結末は、タナベの言葉に動かされた遺族が遺体を地球に下ろすことを求め、タナベは複雑な手続きに奔走するオチで。

 タナベの行動自体は完全な暴走でしかなく、始末書どころか懲戒免職ものではないかと思います。タナベは、あんな暴力行為ではなく、遺族を自分の言葉で説得することを選ぶべきだったろう、とも思います。

 故人の遺志/意志。死亡当時は宇宙葬を望み、その遺志が尊重されて送出されました。ところが、その遺志とは裏腹に、遺体は地球に戻ってきました。
 それを、ハチマキは何らかのミスと見て、タナベは奇跡であると見て。
 この二つの見解は、お互いに論駁不可能な意見ではないか、と思えます。
 物理的な現実。それ以外の何か。
 どちらを選ぶかは、生きている人、それぞれの見識次第、でしかないのではないか、と。

 個人的には、タナベが柩を差し上げて自分の思いを語った時、低軌道の画ではなく、暗黒の虚空に在る地球の全景が欲しかったかも、と感じました。

2004.06.05 記
 ゆうきまさみ『鉄腕バーディー 5』小学館 購入&読了。
 オンディーヌちゃんが出てこない〜(爆)。
 表紙は「爬虫人類的宇宙人」かと思いますた…や、ご尊顔以外は既出でしたけど、こんなに乱暴者(と言うか自覚的に敵性存在の滅殺を指向しているような感じ)とは。
 バチルス編での陰険刑事の扱いが、私の好みからすると酷薄に過ぎた印象だったので、超大国軍属サイボーグ氏とか主人公の級友くんとか、救いのある結末に持って行って欲しいのですが。
 ラスボスであるクリステラ・レビの志向がどこに向かっているのか、で、登場人物たちの成り行きも変わる気はします。どこまで、この物語の風呂敷が広いのか見えてくれば、と。

 水上悟志『散人左道 1』少年画報社 購入&読了。
 7月に第2巻が出る、と知って、「第1巻出てたんでぃすか〜」と、慌てて買いに(^^;。
 宇河弘樹(『朝霧の巫女』ほか)の初期に、人物の目とかが似てる感じ、とか思ったり。
 人外存在ドタバタ/シリアス、な話として、アレとかナニとか、どうしても連想(対比)したくなってしまいますが、それは私では役不足なので、言及はこの程度で(爆)。
 登場人物の誰が主人公なのか、話ごとに描写の具合が揺れている気がします。一応、銀髪兄ちゃん(おっさん?)が[主]役ではあるのでしょうけど、てっきり第一話のセーラー服少女がヒロインかと思ったら一話限りのゲストだった感じで、第二話で表紙の眼鏡っ娘が出てきても、第一印象が前記だったので、私の中で切り換えに失敗して違和感が残ってしまった様です。

2004.05.22 記
 今田隆文『フィリシエラと、わたしと、終わりゆく世界に 1 ゆき、ふりつむ』富士見ファンタジア文庫 読了。
 人類が消えた世界に残された人造人間たちの物語。
 滅亡こそしていないものの、活動している人間は一人だけ。人造人間は十一体。そして世界は、空から降り来る、全てを消滅させる白い球状の物体に浸食されていて。
 そんな状況で、一人の人造人間の少女が目覚めるところから物語は始まり、少女の視点で展開してゆきます。
 どうやら、結末は決まっている感じです。それが希望に満ちた再生/再開とかなのか、それとも、永井豪『デビルマン』講談社 的な終焉なのか、どちらにも出来る感じなので、そういう意味で(悪趣味ですが)、今後の展開が楽しみだったりします。
 散りばめられた造語(?)が、ちょっと読み進め易さ(リーダビリティ)を疎外してるかも、と、思いました。私の知識では出自不明なものが多かったから、ですが。

2004.05.13 記
 榊一郎『世界で一番優しい機械 〜SOFT MACHINE〜』スクウェア・エニックス 読了。
 最後の「仕掛け」にホロリと来ました。個人的に、ライトノベルではなくジュヴナイルと呼びたい作品です…終わり方の「私的」さに、懐かしい感じを呼び覚まされたので。それは同時に「物足りなさ」を覚えた、と言うことでもあるのですけど。

2004.04.30 記
 『APPLESEED』
 原作のブリアレオスとデュナンの[ドライな立場]が変更された点が、私としては不満です。
 この映画版では、デュナンとオリュンポス/バイオロイドの間に因縁じみた過去が存在し、それが物語の要になっています。それを巡って物語が展開され結末を迎える訳ですが、それは映画の物語の「終わり」であると同時に[デュナンの物語]にとっても「終わり/一つの区切り」だと思えます。
 過去の因縁によってデュナンはオリュンポスと深く結びつき、映画版の物語の最重要人物となり、それ故に、この映画版のデュナンは、原作とは違った形で[偶像化/英雄化]してしまった、ように私には思えます。それは、原作のデュナンとブリアレオスの[自由度/しがらみの少なさ]が無くなってしまうことであり、それが私には残念な点として映ってます。
 映画版のブリアレオスの性格/マインド・セットがデュナンにべったりな感じに視野が狭くて/描写が一面的で、ヘカトンケイレスになる/である意味がないような。同様に七賢老がバイオロイドではなく人間で、人間故の迷妄を見せる「役」を背負わされてしまった点も、う〜ん、でした。そして[APPLESEED]なる小道具は…私には慨嘆系の「なんだそれ〜」でしかなくて、これも興醒めで…こんな感じに、原作コミック版を読んでいるものにとっては、色々と気になる(気に入らない ^^;)変更点/改造点が目についてしまいました。
 それでも、原作コミック版を事前に読んでないと、伝わり難い/楽しめない/印象が違う、要素が多かった様に思えます。その意味で『CASSHERN』とは逆に説明不足が多かったと感じてます。

2004.04.15 記
 漫画 貞本 義行 原作 GAINAX『新世紀エヴァンゲリオン第9巻 綾波レイ スペシャルBOX』角川書店(http://www.kadokawa.co.jp/game/bk_search.php?pcd=200309000204)を購入しました(昨年の内に予約 ^^;)。
 REIキャシール(爆)のフィギュア(原型制作者HP:http://www3.osk.3web.ne.jp/~kaiten/)は、思っていたよりも小さかったですが、造形や構造、アクションの具合は良い感じです(いじっていると取れてしまったりしますが、それが却って破損防止になってる気もします)。
 ポーズを付けて飾って、しばらくしたら別のポーズにして、を三度程くり返してたり(^_^;)。

2004.03.25 記
 原作/横山光輝 漫画/長谷川裕一『鉄人28号 皇帝の紋章 1』講談社
 燃え燃え。題材がオリジナルではなく「鉄人28号」であること自体には、気持ち的には微妙なものもあるのですが、流石に上手い方です。

 芦奈野ひとし『ヨコハマ買い出し紀行 11』講談社
 この世界に散在する、アルファさんたちも含めた「不思議なもの」たち。
 もしかして、世界に対して決定的な変化を「いつか来る明日」にもたらすのではないか、あるいは、この世界は、そういった「昨日とは違う世界」になりつつあるのではないか、と。
 ターポンで世界を眺めるアルファ室長の、その視線の先にある世界が、全く描写されないのは、その眺めには「それ」が顕れているからではないのだろうか、と、ふと思ったり。

 熊倉隆敏『もっけ 3』講談社
 三毛さん…あぁ、本当にそうだったらいいなぁ、と。昔ウチに居た猫のことを思い出したり。

2004.02.29 記
 神野オキナ『あそびにいくヨ!2 作戦名『うにゃーくん』』メディアファクトリー 2003.02.23 購入&読了。
「うにゃー」
と、猫好き(犬苦手)属性の者として、かなり楽しんで読み終えた、のですが。サブタイトルの「作戦」の発案者にして表紙に登場している今回(?)のゲスト・キャラクター(の一人)であるアントニア・(33字省略)・モルフェノス嬢について、モヤモヤとしたものが残って、うにゃうにゃ考えていて。
 気付いたのは[直接的な内面描写が一切ない]ということでした。
 発声や行動の描写はあり、他の人物による推測という形での間接的な内面描写はありますが、地の文での「〜と思った/感じた/考えた」の類が全くありません。
 これは多分、作者氏が意図的に行った書き方だろうと思います。そして私は、アントニア嬢に関しては、この書き方で必要十分だった、と、読み返して感じました。ただ、こういう描写が必要な人物だと、次回以降の物語への再登場は、主要人物としては難しいだろうな、とも思えました。
 あと、クライマックスのドンパチに、いま一つ爽快感を感じなかったこと。アントニア嬢一味が「作戦」のツケを払った形での因果応報、という収め方ですが、物理的な破壊だけでなく、襲撃側の二人との精神的な対決…対面しての意志の疎通、みたいなものが欲しかった、ような気分です。
 また「あろはおえー」は、もっと控えめで良かったのに、と。

2004.02.24 記
 幸村誠『プラネテス 4』講談社 読了。
 ロックスミスの顔を木星に描くことを夢想。
 木星大気に、直径10kmくらいの気球を数百万、数万km四方の領域に浮かべて、気球から音波(波長数km〜辺りを漠然と想定してるので、大気の振動と言うべき?)を発して重ね合わせた干渉縞でドット絵/アスキーアート的に画像を浮き上がらせる、とか…そんなことが物理的に可能か否か、皆目見当つきませんけど(苦笑)。
 タナベの娘とフィーの息子の[次の世代の物語]を、とかも空想したり。
 やっぱり全4巻では、どうにも物足りないですので。

2004.01.27 記
 笹本祐一『ARIEL[20]』ソノラマ文庫 読了。
 完結編、最終巻です。
 あれこれと空想できる曖昧な終わり方で、不満な感じも無きにしも非ずですが、エピローグで地球人類の見始めた「宇宙」は、やはりというかまだまだというか、これまでの巻で描写された銀河帝国の「宇宙」とは違っている気がする言及があったりして、そんなものなのかな、と考えたりしてます。
 クライマックス(?)をARIEL(AA)で〆たのは、当初からの予定なのでしょう、とは思いますが、エピローグでも、もう少し顔出しさせてほしかったです…次世代機(LOLIAL(爆))とか〜。
 で、本編は大団円(?)で終わったものの、ARIEL世界の物語は、まだ幾つか綴られるらしいことが、あとがきに書かれてます。

2004.01.18 記
 TVアニメ『明日のナージャ』ABC、東映・第49話…ローズマリー嬢退場の回。
 一見、激しくデンパ系思い込み妄想少女でありながら、自分自身の普段の振舞いにすら非情とも言えるクールな分析をしていた希代の悪女最有力候補(核爆)として、個人的に一番注目(笑)していた彼女でしたが、遂に身分詐称が露顕してしまいました。
 しかし、立て板に水の弁舌で、対立者であるナージャを言いくるめ、自らの退場シーンを美しく演出して去って行きました。
 ただ、ナージャのような天然魅了フェロモン保有者(憶測)と違う、何の裏付けも後ろ楯も無い孤独な少女が、自身が宣言したような「新世紀の立身出世」を今後成し遂げられるかは、非常に難しいと思わざるを得ません。それが叶うようなツテなり当てなりがあるのなら、身分詐称に走る前のメイド時代に、自らの野望に向かって疾駆していたのではないか、と思うのです。
 個人的には、ローズマリーがアントニオと意気投合していれば、あるいは、というシナリオが、成り上がる唯一のシナリオのような気がしているのですが、フレミンジャー公爵家を離れてしまっては接点がなく難しいとも思えます。
 また、そのような出会いも、ローズマリー自身の狷介な性格からすれば、ほとんど有り得ないことのような気がします。他人に対して心を開かない頑な一面は、ただ一人「優しい人」と認めたナージャの母親に対してすら、自分が身分を詐称していることについて、悩むことも、打ち明けようという素振りを見せることも、かけらすらなかったほどですから。
 どこか、都会の片隅の安宿か食堂か酒場かで、「私は高貴なんだ、私は成り上がるんだ」と嘯きながら歳をとって行く孤独な女の行く末が、どうしても頭から離れません。