特撮・仮面ライダー剣[ブレイド]・劇場版 [上]へ
特撮・監督:石田英範、脚本:井上敏樹 劇場版『仮面ライダー剣[ブレイド] MISSING ACE[ミッシングエース]』東映
公開 2004.09.11〜 

 ☆ この感想文は完全ネタバレです。ネタバレ不可な方は見ないでください。 ☆
更新 2004.09.12 :最近の更新個所をこの色で区別します(適宜改訂)

 53体のアンデッドを封印し、終息したかに見えたアンデッドとの戦いは、実は結着してはいなかった。
 封印されたはずのアンデッドが解放されて暴れ出し、新世代の仮面ライダーたちが戦い封印してゆく。
 橘朔也は行方不明。
 仮面ライダーの力を手放した剣崎一真と上城睦月は。白井虎太郎は。広瀬栞は。
 そして、姿を消した相川始を未だに慕う栗原天音を、知られざるジョーカーの真実が脅かす。

 ダブル・ジョーカー。封印と解放。秘匿されていた最後のカード。54体目。
 物語としては、TV版の「謎/設定」を使った別の解釈、だと感じます(『機甲界ガリアン 鉄の紋章』みたいな/あるいは二次創作、と)。

 次々と繰り出されるネタ/発想/展開は、え? あ! ひゃ〜、と驚かされたり感心したり呆れたり、と良い感じなのですが、繋がりとか関連性とか整合性とかを改めて考えると、どうにも乱暴というか粗っぽいというか勢いだけじゃないかと言うか。

 以下、思い付くままに…。

 4年後…半年後でも問題ないような。と言うか、この劇場版では、アンデッド封印完了の直後から、戦いは新たな段階に入っていた訳ですが。
 [敵]は、なぜ4年という雌伏の時間を持ったのでしょう。なぜ4年後に動き始めたのでしょう。

 [敵]が、烏丸所長からカードを奪った直後に4枚のKを栗原天音に使わなかった理由は? …全てのカードを烏丸所長が持っていた訳ではなかった(橘朔也も分担していた)から?

 [敵]がカードの封印を解いた意味/目的は? …橘朔也が新世代の仮面ライダーを作り上げたから?

 [敵]が最後に得た[力]…パンフレットでは[14(フォーティーン)]…は、いったい何のための[力]なのでしょう。 …アンデッドであること自体、すでに[圧倒的な力]な訳で、アンデッド同士の死闘の果てに得られる[力]にしては、単なる[より大規模な破壊力]では陳腐に思えてなりません。

 アルビローチ…[敵]が繰り出す、いわゆる戦闘員な感じの雑兵。アンデッドではない、とパンフレットにはあります。
 倒されて消滅する時に一瞬、人骨のような影が浮かんでいたような…[敵]が、不死狼みたいに人間を兵隊に変容させたり、だったら凄惨、と思いましたが、幸い(?)なことに、特に説明/言及はありませんでした。
 でも、剣[ブレイド]の設定でワラワラと雑兵な怪物を出すのであれば、出せる理由を明示して欲しかったです。
 ところで[敵]の手下がローチということは、[敵]は不死ゴキbうわなにwsr。

 新ライダー3体…パンフレットによると…
 −−引用(一部編集)−−
 ケルベロスのA(エース)カードをバックルにセットすることで変身。橘朔也がレンゲルのシステムをもとに再設計した新世代のシステムが採用されている。これは旧世代ライダーのように、アンデッドの力を利用するのではなく、アンデッドの力をデータ解析して得られた力によって、そのパワーが生み出されるものである。
 −−引用(一部編集)−−
…だそうです。
 ブレイドとギャレンのライダーシステムは…
 −−引用(一部編集)−−
 (ジョーカーは)ラウズカードによってアンデッドの力をラウズするだけでなく、変身する能力を持っている。なおBOARDはこれを参考にライダーシステムを作り上げた。
 −−引用(一部編集)−−
…と、パンフレットにありました。
 新世代の仮面ライダーは、Aカードを[人の手で不完全ながら模倣・再現した]ということでしょうか(スチールセイントやソルテッカマンな感じの)。

 栗原晋…[開封]のシーンとか、画があって欲しかった、と。

 新ライダー2号、3号…三輪夏美、禍木慎。救いのない退場劇は悲惨でした。与えられた力を過信し、あるいは更なる力を求め。でもそれは、旧ライダーの最初の頃と重なる感じも。

 新ライダー1号…志村純一。橘朔也との出会いがどんな感じだったのか、知りたいと思ったり。

 栗原天音…TV版の上城睦月みたく、秘匿されていた最後のカードと引き合う、みたいな演出があっても良かった気が。

 烏丸所長…え〜〜〜? 勿体ないと言うか、出た意味が薄すぎと言うか。

 橘朔也…『逆襲のシャア』のシャア、みたいな?。
 てっきり[敵]かジョーカーが化けている? と途中から思ってました(「彼」とどちらかだろうな、と)。
 天音ちゃんと二人きりになってジョーカーの秘密を語り始めた時には、場面設定や演技や演出から「とうとう正体を見せる時が?」と思ってしまいました。が、なんと言うかあのシーンから正体バレのシーンまで、構成が誤読を必要以上に助長する感じで変でした。
 そして、そこが最後の見せ場だったのが哀愁〜。最終決戦でのギャレンとレンゲルはブレイドの補佐/助演になってしまって。

 上城睦月…山中望美は? レンゲルの見せ場は…
「睦月、始を解放しろ!」…なんで彼が持ってますか〜? と言うか、前振り…たとえば剣崎一真が「見せろ」と言い、悲痛な表情で見入るシーンとか…が欲しかったです。

 広瀬栞…結局、結婚相手って出てました? 私、見落としました?

 白井虎太郎…次回作は今回のことを? と言うか、出世作『仮面ライダーという名の仮面』って、4年後の剣崎一真や上城睦月の状況を見ると、いったいどんな内容だったのか、と思ったり。
 広瀬栞ともども、最終決戦を、どこか安全そうな所から観察していたのでしょうか。と言うか、していて欲しいです。
 あと[都市伝説としての仮面ライダー]が、白井虎太郎の著作によって、どう変わったのか/変わってないのか、とかも知りたかったり。

 友情出演…馬のヒトと薔薇のヒトのシーンは爆笑。蛇のヒトは、後でパンフレットを見て気付く体たらく…予め知ってないとアレは判りませんです、多分。

 上級アンデッドたち…TV版で見せた自意識は消え果ててしまっていたのでしょうか。[敵]に使嗾される怪物としか描写されなかったのは哀しかったです。

 剣崎一真.vs.相川始…個人的に、今回の劇場版の最大の見どころだった、みたいな。

 最強形態…ゴージャスというか満艦飾というか。[敵]へのトドメは切れ目ではなくズンバラリンと真っ二つにして欲しかった、みたいな。

 相川始…悲劇のヒーロー。物語の主役。

 剣崎一真…劇場版でも色のない主人公。や、いろいろ動いてるんですけど、立ち位置は相川始の相方だった、みたいな。

 エンディング…帰らぬ人は何人かいますが、主人公以下がわいわいと楽しげな終幕だったのは、考えてみるとアギト以来でしょうか。TV版でもハッピーエンドだと良いのですけど。

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