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 日記的なものとか、書籍やビデオやゲーム等のちょっとした感想みたいなものとか。

2006.12.31 記

 2006年の趣味的総括 ...last update 2007.02.02

 各ジャンル毎に印象に残っているタイトルを挙げます。

小説
 別格
 小松左京+谷甲州『日本沈没 第二部』小学館
 単発
 多崎礼『煌夜祭 【こうやさい】』中央公論新社/C・NOVELS FANTASIA
 小川一水『天涯の砦』早川書房/J−COLLECTION
 伊都工平『モノケロスの魔杖は穿つ』メディアファクトリー/MF文庫J
 秋津透『バトルジャッジ』リーフ、星雲社/ZIGZAG NOVELS
 完結
 月見草平『魔法鍵師(ロックスミス)カルナの冒険 4 《世界で一番好きなあなたへ》』メディアファクトリー/MF文庫J
 原作:BONES 著:杉原智則『交響詩篇エウレカセブン 2 UNKNOWN PREASURE アンノウン・プレジャー』,『同 3 NEW WORLD ORDER ニュー・ワールド・オーダー』,『同 4 HERE TO STAY ヒア・トゥ・ステイ』角川書店/角川スニーカー文庫
 渡瀬草一郎『空ノ鐘の響く惑星で 10』,『同 11』,『同 12』メディアワークス/電撃文庫
 三雲岳斗『ランブルフィッシュ 10 学園炎上終幕編』角川書店/角川スニーカー文庫
 吉岡平『シャルロット・リーグ 3 ワルプルギスの森で』エンターブレイン/ファミ通文庫
 大楽絢太『七人の武器屋 結婚式をプロデュース!』,『同 天下一武器屋祭からの招待状!』,『同 激突!武器屋VS武器屋!!』,『同 戸惑いのリニューアル・デイズ!』富士見書房/富士見ファンタジア文庫
 ダグラス・アダムス/安原和見『さようなら、いままで魚をありがとう』,『ほとんど無害』河出書房新社/河出文庫
 開始
 支倉凍砂『狼と香辛料』,『同 II』,『同 III』メディアワークス/電撃文庫
 雨木シュウスケ『鋼殻のレギオス』,『同 II サイレント・トーク』,『同 III センチメンタル・ヴォイス』,『同 IV コンフィデンシャル・コール』富士見書房/富士見ファンタジア文庫
 米澤穂信『夏期限定トロピカルパフェ事件』東京創元社/創元推理文庫
 三浦良『抗いし者たちの系譜 逆襲の魔王』,『同 虚構の勇者』,『同 覇者の魔剣』富士見書房/富士見ファンタジア文庫
 瀬尾つかさ『クジラのソラ 01』富士見書房/富士見ファンタジア文庫
 神野オキナ『うらにわのかみさま 1』,『同 夜空の海と炭酸と』HOBBY JAPAN/HJ文庫
 継続
 飛浩隆『ラギッド・ガール 廃園の天使 II』早川書房/J−COLLECTION
 高野和『七姫物語 4 夏草話』メディアワークス/電撃文庫
 高里椎奈『フェンネル大陸 偽王伝 風牙天明』,『同 雲の花嫁』講談社/講談社NOVELS
 須賀しのぶ『流血女神伝 喪の女王 3』,『同 4』集英社/コバルト文庫
 神野オキナ『あそびにいくヨ! 9 ねことみんなのいろいろと』メディアファクトリー/MF文庫J
 長谷敏司『円環少女(サークリットガール) 2 煉獄の巨神 (上)』,『同 3 煉獄の巨神 (下)』,『同 4 よるべなき鉄槌』角川書店/角川スニーカー文庫
 高殿円『銃姫 6 〜The Lady Canary〜』,『同 7 〜No more Rain〜』,『同 8 〜No Other Way to Live〜』メディアファクトリー/MF文庫J
 笹本祐一『ARIEL番外編2 家出艦長の里帰り』朝日ソノラマ/ソノラマ文庫

ムック類
 河森正治『河森正治デザインワークス』エムディエヌコーポレーション、インプレスコミュニケーションズ
 大久保淳二『出雲重機 INDUSTRIAL DIVINITIES』Enterbrain

コミック
 別格
 須藤真澄『長い長いさんぽ』Enterbrain/BEAM COMIX
 単発
 水上悟志『エンジェルお悩み相談所』芳文社/MANGA TIME KR COMICS STORY
 吉富昭仁『BLUE DROP 吉富昭仁作品集』メディアワークス/DENGEKI COMICS
 完結
 松田未来 監修:藤森篤『アンリミテッド・ウィングス 2』角川書店/Kadokawa Comics Dragon Jr.
 馬頭ちーめい+STUDIOねむ『BREAK−AGE外伝 ボトルシップ・トルーパーズ 完全版』Enterbrain/BEAM COMIX
 芦奈野ひとし『ヨコハマ買い出し紀行 14』講談社/アフタヌーンKC
 森薫『エマ 7』enterbrain/BEAM COMIX
 やまむらはじめ『カムナガラ 9』,『同 10』少年画報社/YKコミックス
 飯田馬之介『機動戦士ガンダム 宇宙のイシュタム 4』角川書店/Kadokawa Comics A
 ゆうの『麒麟町ぼうえいぐみ (上)』,『同 (下)』Enterbrain/マジキューコミックス
 開始
 志村貴子『青い花 1』,『同 2』太田出版/fx COMICS
 柏原麻実『宙のまにまに 1』,『同 2』講談社/アフタヌーンKC
 Kashmir『○本の住人 1』芳文社/MANGA TIME COMICS
 鈴城芹『看板娘はさしおさえ 1』芳文社/MANGA TIME KR COMICS
 大石まさる『水惑星年代記 AQUA PLANET CHRONOCLE』,『続水惑星年代記 AQUA PLANET CHRONOCLE AFTER』少年画報社/YKコミックス
 水上悟志『惑星(ほし)のさみだれ 1』,『同 2』少年画報社/YKコミックス
 継続
 篠房六郎『ナツノクモ Spinning web 6』,『同 7』小学館/IKKI COMIX
 荒川弘『鋼の錬金術師 13』,『同 14』,『同 15』SQUARE ENIX/ガンガンコミックス
 熊倉隆敏『もっけ 5』,『同 6』講談社/アフタヌーンKC
 那州雪絵『魔法使いの娘 4』新書館/WINGS COMICS
 カサハラテツロー『RIDEBACK(ライドバック) 6』,『同 7』小学館/IKKI COMIX
 あずまきよひこ『よつばと! 5』,『同 6』メディアワークス/DENGEKI COMICS
 脚本|倉田英之 漫画|Okama『CLOTH ROAD 3』集英社/ヤングジャンプ・コミックス・ウルト

映像
 TV
 監督:京田知己『交響詩篇エウレカセブン』毎日放送
 原作:川浦良枝『しばわんこの和のこころ』NHK
 監督:谷口悟朗『コードギアス 反逆のルルーシュ』毎日放送
 OVA
 監督:鶴巻和哉『トップをねらえ2! 5』,『同 6』GAINAX/TOP2委員会
 映画
 監督:細田守『時をかける少女』マッドハウス・角川ヘラルド
 監督:クリストフ・ガンズ『サイレントヒル』Silent Hill DCP Inc. and Davis Films Production

ゲーム
 SCEI『RULE of ROSE』PlayStation2
 Microsoft『Xbox360』Xbox360
 SEGA『CHROMEHOUNDS』Xbox360
 TAITO『クロニクル オブ ダンジョンメーカー』PSP

模型など
 『宇宙戦艦ヤマト メカニックファイル』BANDAI
 『GUNDAM FIX FIGURATION #0030 ZII』BANDAI
 『メガゾーン23 1/15 完全変形ガーランド』やまと
 『リボルテック No.7 キングゲイナー』海洋堂
 『ガンダムADAPT』BANDAI

楽曲
 MELL『Red Fraction』GENEON
 UVERworld『Colors of the Heart』Sony Music Records inc.
 RIDER CHIPS『FULL FORCE』avex mode

ネット(2007.02.02 追記)
 ラレコ『やわらか戦車』http://anime.livedoor.com/theater/2.html

黙祷
 俳優・曽我町子
 声優・鈴置洋孝
 声優・曽我部和恭
 コミケット・米澤嘉博
 漫画家・石川賢
 映画監督・実相寺昭雄

2006.12.04 記

 [セレーネ「月に願いを!」キャンペーン]に応募しました。
 http://www.jaxa.jp/pr/event/selene/index_j.html

2006.11.17 記

 昨日(11/16)、漫画家・石川賢氏が亡くなられたことを知りました。享年58歳。

 『魔獣戦線』が、とても好きです。自分のオールタイム・ベストの一つです。

2006.10.29 記

 kashmir『○本の住人 1』芳文社 を購入&読了。
 一昨日、昨日と、行きつけの本屋さんには入荷してなく、かつ、Amazon他では、ほぼ全滅な感じ(何故)で、非常に焦りましたが、地方的時間差効果が有効に働いたのか、行きつけの本屋さんに今日行ったところ、一冊だけ入荷していて、超ウッキーで即刻購入でした。

 …色々と、いわゆる「***分」(ex.シュークリーム分@あずまんが大王)を十二分に染み込ませた、素晴らしいヤミナベな一冊(賛嘆)ではないか、と。
 ぶっちゃけて言えば、オリジナル分+ばらスィー分+あずまきよひこ分+西川魯介分+田丸浩史分+あずまひでお分、カナ? カナ? みたいな。

 キャラでは、霧島・T・さくら/ちーちゃんが、インパクトの瞬間ヘッドが七転抜刀で凄すぎ、です。ちなみに「T」はティルトウェイトですと。

 参考:作者氏HP=http://www.picnic.to/~kashmir/

 あと、カバーの折り返し(表−2?)の下端、『カバーデザイン=里見』の部分に爆笑&驚愕でした (;´Д`)エエンカネ、コレ。

 題名の「○」には「何」が入るでしょう、と自分の胸に問うてみると……資本の「資」ぢゃねえ? とゆ〜応えが脳内にコダマするので、とりあえずはソレで。

2006.10.21 記

 映画『時をかける少女』監督:細田守 を鑑賞/二度目。

 愛媛県/松山での上映は、2006.10.22 まで、だそうで。


 いや実は、鑑賞後の気持ちが、いま弐か参くらい、すっきりしゃっきりしなかった、んです。
 まぁ大半は、自分自身の「不純/劣情」に直面させられた、自業自得な凹み、だったりするんですが。

 ふと今回。
 タイムリープの「実」は、何故あの時・あの場所にあったのか、と。
 それは実は、千昭が真琴を踏み切り事故から「救出」する(ネタバレ)ため? ではなかっただろうか、と。
 でも、そんな「裏」があるのであれば、千昭の言動の端々が「ヘン」になってしまうので、う〜ん(懊悩/Oh!No!! −−;)。

 でも、このことを思い付いて、ようやく感情でも、この作品を手放しで「好き」だと感じることができるようになった、感じだったりもします(謎 ^^;)。

 あとは…[停止した世界]が、普通に光景として「見えて」いることに、大いなる不満が(苦笑)。つまり、なんで[光が普通に光速度で運動している]のだろうか、と。

2006.09.30 記

 映画『時をかける少女』監督:細田守 を鑑賞。

 タイムリープの「実」(?)は、使用者に使用権を付与するだけのモノで、使用者を実際にタイムリープさせる(同時に、多重存在の回避を実行したりもしているのかもしれない)「何か」は、時空を越えた「どこか」にある、のかな? とか考えました。

「**で、待ってる」
「行く」
 …年齢差わ〜?! と心の中で叫んでみたり(爆)。
 ・・・あ。時空操作の手法(の応用?)で、どちらかの肉体年齢を操作すればいいだけ、ですね(笑)。きっと真琴が「自分の巻き戻し」を強力に要求する、に一票です。

 完全なリセット…実験室の「実」を真琴の転倒前に回収すれば(ネタバレ)、「全て無かったこと」に出来るのに、それをしなかったのは、真琴の約束=決意を尊重したが故、でしょうか。

2006.09.24 記

 瀬尾つかさ『クジラのソラ 01』(購入:2006.09.23)富士見ファンタジア文庫 を読了。

『十年前。地球は、異星人の圧倒的艦隊を目の前にして、一戦も交えず全面降伏した。
 彼らが人類に課したのは、ひとつのシステムである。
 それが、《ゲーム》だ。
 年に一度、《ゲーム》の勝者三名は、栄光をもって異星人の艦隊に迎えられる。』(P13〜14)

『《ゲーム》でワールドチャンピオンとなった者は宇宙へ連れていかれるが、その代わりとして贈与される異星人の技術は、各国が目の色を変え、懸命になって手に入れようと鎬を削る程に重要なのだ。』(P37)

 この基本設定に加えて、あと二つほど、宇宙的な設定/謎の存在が、物語の中盤から後半に掛けて提示されて。
 連想したのは、オースン・スコット・カード『エンダーのゲーム』と、アーサー・C・クラーク『幼年期の終わり』と、E・E・スミス《レンズマン・シリーズ》と。

 読了して。
 下柳郁恵の継続登場は確約されていると思えますが、関口準太は、はたして次巻以降も登場するのでしょうか、と、先ずは思いました(笑)。
 前記のSF的な「設定/謎」の解凍/解答への興味は二番目くらい、で(;´Д`)。

2006.08.27 記

 監督:鶴巻和哉『トップをねらえ2!』GAINAX/TOP2委員会 DVD全6巻を観終わりました。

 一番最後の、ラルクとノノの物語が終わった後の付け足しなエピソードに、「あのシーン」が別視点で具象化・視覚化されたことへの感動はあったものの、同時に、どうにもモヤモヤとした不満感を覚えました。

 ラルクとノノの物語に、あのシーンが水を差した、ように感じて。

 2006年10月1日から公開される『トップをねらえ2!&トップをねらえ!合体劇場版!!』であれば、あの「付け足し」は必要かも、とは思うのです。

 ん〜、落とし方そのものは嫌ではない、とも思います。気に入らないのは「見せ方/レイアウト」あたりなのかも、と。
 最後のカットは、私は、ラルクとノノの絵で終わらせて欲しかったのだ、と。

 あと、物語として、「トップレスという存在の意味」の言及・追求が曖昧な感じで終わったのが、個人的には残念、です。

2006.08.23 記

 米国・NASAの、スペースシャトルの後継の宇宙往還システムの宇宙船が「オリオン」と命名されました。
 → http://www.cnn.co.jp/science/CNN200608230031.html

 …「オリオン」宇宙船というと、どうしてもこれを連想したり。
 → http://ja.wikipedia.org/wiki/オリオン計画

 「オリオン」宇宙船は、往還システムとは言っても、見た感じでは、当座は「帰還」する/させるのは人員のみで、物資は基本的に持ち出ししか考えていない様に思えます。
 これまでのスペースシャトルの実績がそうだったのでしょうし、ISS組み立てや月基地設営、火星探査、等々、何らかの物資を地上に持ち帰るにしても、せいぜい人間程度の寸法と重量のものに限定できそうではあります。

 そう考えると、宇宙から地球に向かう、大型貨物専用の帰還船が必要になる時が、宇宙開発が次の段階に入った印なのかもしれません。

2006.08.01 記

 映画『ゲド戦記』監督:宮崎吾朗 を鑑賞。

 アレンの物語を作ること/語ることにのみ注力・拘泥していて、その他の要素…ゲド、テナー、テルー、多島海世界の異変、等々…がなおざりにされている、と感じました。
 アレンの物語は、有体に言って『影との戦い』と同じものにしか思えず、それならば、《ゲド戦記》全体を扱うのではなく、『影との戦い』に限定すべきではなかったか、と思えます。

 終盤で、アレンの影がテルーに語る「アレンの分裂の真実」は、ちょっとした「驚き」を私に感じさせました。人の心の弱さと強さを感じさせる「驚き」に、私は、少なくとも「アレンの物語」については、この作品を肯定します。

 クライマックスで明かされる「テルーの秘密」は、多島海世界の変容の秘密を端的に示すもので、それは世界が「昨日と違う明日」を迎える象徴でもある、と、私には思えました。
 そして、見上げる空に舞う複数の翼は、今後、テルーと同じ者が増えることを示していて、でもそれは世界の危機ではなく進展なのだ、と、翼たちの穏やかさが言っているように感じました。

 上記の2点を私は評価しますが、それ以外の物語の語り方/示し方が、粗削り/投げやりで、熟成不足な感じを免れません。

2006.07.29 記

 茅田砂胡『クラッシュ・ブレイズ オンタロスの剣』中央公論新社 C・NOVELS FANTASIA(購入:2006.07.27)を読了(2006.07.28)。

 ベティ・マーティンのエピソードは、久々に良い読後感でした。このエピソードだけで物語を作って欲しかったくらいです。
 人非人たちとの派手派手しい暗闘話は、肝心の人非人たちが、あまりに定型的な「わるもの」に過ぎて。いっそ、ルゥかリィの「力」が超時空的に因果を操作して、二人の繋がりを二人に「堪能させる・実感させる」ためだけに創造した「敵」だったりして、とか空想してしまうくらいでした。

2006.07.18 記

 小松左京+谷甲州『日本沈没 第二部』小学館(購入:2006.07.12)を読了(2006.07.17)。

 1973年出版の『日本沈没』の続編です。今年公開された映画『日本沈没』とは繋がっていない、と私には思えます。

 『大きな枠組みとテーマは私が当初から考えていた構想に基づき、あと、具体的な人物設定、物語は皆で検討しながら、最後は執筆者の谷甲州君に任せた』(P477「あとがき」)

 固有の国土を失い、世界各地に難民として散らばった日本人の、遭遇するであろう艱難辛苦の数々を考察し、国/国民/文化について考えさせるもの、だと感じます。

 自国が名実を得るために/他国に名実を渡さないために、抜け目なく・苛烈に策動する大国は、日本の甘さを看過せず、つけこみ・出し抜き・追い詰めようとします。[国際社会を、それを「越えて」律する法]が存在しない、今現在の地球世界の、情け容赦無い「現実」の考察・描写には、慄然とさせられました。

 読み進めながら気になったのは、私が読み取れた限り、内面描写があるのは日本人だけ、という点です。日本人以外の登場人物は、外面的な行動の描写どまり、だったように感じてます。これが、私の錯誤ではなく、作者氏の意図的な書き分けだとしたら、はたして、どういう意図・意味があるのでしょうか。

 あと、「終章 竜の飛翔」の最終節は、一足飛びに過ぎて、性急・唐突・説明不足な、説得力に乏しい「夢想」でしかない、ように、私には感じられました。小松左京『果しなき流れの果に』のエピソードのひとつへのオマージュ、のようにも思えますが。「地球世界を越える」にしても、中間段階を端折り過ぎではないか、と、物足りなさを覚えてしまってます。

2006.07.16 記

 映画『日本沈没』監督:樋口真嗣 を鑑賞。

 印象に残ったこと。
 「日本列島が沈没する事」の発見・認知・周知は、さらりと流されている。
 「渡老人」がいない。
 完全な沈没は阻止され、日本そのものの消滅は免れる可能性が大きい。(←ネタバレなので背景色と同色の文字になってます)

 ネタバレで伏せた3番目の要素は、「それを成立させるために、日本沈没の基本的なメカニズムを変えたのではないか」と感じてしまったことや、「N2爆薬」(核爆弾を使わない「理由」を提示して欲しかった)や「無人の深海作業機を使わない」(これも「理由」が欲しかった)等の要素と合わさって、現時点では、個人的には好きになれない・納得できない、です。

 降灰と荒廃が、事態の進展と共に深刻化してゆく様子は、恐ろしかったです。

2006.07.08 記

 映画『SILENT HILL』監督:クリストフ・ガンズ を鑑賞。

 養子にした少女が夢遊病のような異常な行動をするようになり、その時に口にする、
「サイレントヒル」
が、大火で廃墟になった街の名前であることをネットで知った母親は、症状がひどくなる娘を連れて、その街へと赴いて。

 …悪意の生贄にされた弱者の復讐劇。そうして揮われる「力」は、それもまた悪意で。
 観終わって反芻すると、とてもストレートな展開で、その見通しの良さは後味の嫌みの無さとして、良い印象を持ちました。

 以下はネタバレで、文字の色を背景と同じにしてます。
 婦人警官シビルの報われなさは、唯一、私がこの映画で不満に感じた点です。
 てっきり、エレベーター前で殺されたのだと思っていたら、クライマックスの前座で、あんなことになってしまって。それならそれで、クライマックスの展開では、「消し炭」の目が開いて「悪」の因果応報っぷりを凝視する、みたいな「慰謝料」(^^;が欲しかった、です。

 シャロンとローズのサイレントヒル訪問は、アレッサが復讐を完遂しようと、一旦は「外」に避難させた(?)「良心」を呼び寄せたのでしょうか。それとも、シャロンの方がアレッサを求め、それを好機と判断したアレッサが動いた、のでしょうか。

 狂信に鎧われた「敵の牙城」を攻略する手段に、サイレントヒルを訪れたローズとシャロンを使い、アレッサは復讐を終えた、ように思える映画の顛末は、しっかり完結していて判り易いのですが、『サイレントヒル』の物語としては違和感を覚える点もあります。
 アレッサの「闇/狂気/怒り」は、それほど理性的なものなのか、もっと無差別・無分別なものではないのか、と。
 で、ならば私が得心できる「サイレントヒルの物語」とは、と考えたのは。
 −−−復讐は、サイレントヒルがアレッサの「闇/狂気」に覆われた時点で、或る意味ではもう「成って」いて。サイレントヒルでは、アレッサの「闇/狂気」に囚われる住人たちが、無限に繰り返される復讐劇の「役者」になっている、と。
 シャロンは、その地獄を終わらせるためにサイレントヒルに赴き/呼ばれ、ローズは、最初は「観客」として取り込まれかけるものの、だんだんと、シャロンの意志を実現する行動の実行者として闘うことになる、とか。

2006.07.06 記

 支倉凍砂『狼と香辛料 II』電撃文庫 (購入:2006.06.09)を読了(2006.07.04)。

『黒い空に、金色の月の姿が見え隠れしていたのだった。』(P364)
 …人の世の、諸々の事物への名付けの始まりの時に、ホロと危機をくぐり抜けて、こんな光景を見たら。
 月の姿の、あるいは月の色の、その名に「ホロ」と付けたいなぁ、と、何故か思ったことです。


 萩原一至『BASTARD!! 暗黒の破壊神 24 背徳の掟編 最終節』集英社 ジャンプ・コミックス を購入&読了。

 …[最終節III]の最後の方の、天を仰いで泣き笑い、そして死地かもしれない場所へと歩み始めたカル=スの姿に。
 地に落ちる影は離れず。地を踏む足音も離れず。
 あの場にイングヴェイがいたら、そんなふうに、カル=スに従って行くのだろうなぁ、と。

 狂気に侵され自壊する? ウリエルの暗黒体が撒き散らし始めた[黒い物体](ぶっちゃけ、天王寺きつね『ヱデンズボゥイ』角川書店のアレみたいな? ^^; 能動的に機動しているみたいなのは「違う」感じですが)。
 天使が神を呪った結果である堕天の末に狂ってしまったが故の「失敗」の姿、とすれば、「あれに触れた物は全て消滅する」それは、より純粋・本質的な「神への呪い/否定/絶望/虚無」の顕現、とか? とか感じますが、果たして「To be continued」は何時(核爆)。

2006.06.30 記

 藤原瑞記『刻印の魔女』中央公論新社 C−NOVELS Fantasia(購入:2006.06.27) を読了(2006.06.29)。

「(前略)僕は時を待ったのだ。魔法が発展し、魔導士が十分に増えるのを。(後略)」(P191)
 …ここまでの物語のどこに、そんな描写や言及があったのか、私には判りませんでした。ので、憎悪に歪んだ魂が見た妄想、としか思えませんでした。

 キャラクターは立っていて、彼らが織りなすドラマとその描写は、最後まで飽きさせずに読ませるものだった、と感じてます。
 が、キャラクター同士のドラマや状況設定を優先させる余りに、か、あるいは、それに注力した余りに、か、ドラマや状況設定に必然性・説得力/納得力を与える、社会構造の設定や整合性の考察が、かなり不足している、と私には思えます。
 端的には、この物語の舞台となったところの治安維持の体制や組織はどうなっているのか、という点、でしょうか。
 魔導士協会があり、悪意を持って魔法を使うことができなくなる「刻印」を魔導士に処置するべく、未処置の魔導士を探す捜索士(魔導士)や、協会や法律に従わない/逆らう魔導士を拘束する捕縛士(魔導士)がいる、という記述はあります。でも、魔導士でない一般の人々の治安を守る、魔導士でない人々による体制や組織については、概念的な説明や言及、その体制や組織に属する人物の設定、といったものは、全くありません。
 そして、辺境とは言え、村が一つ、焼かれて全滅した、という、社会基盤そのものを脅かしかねない非常事態にもかかわらず、魔導士協会の捕縛士部隊しか、村を焼いた犯人を追跡していない様子です。
 自警団/警察/軍隊、等々といった体制や組織がなく、それでいて治安が保たれている世界、というのは、私には想像できません。
 また、魔導士への不信や魔法への恐怖が人々にあるのであれば、魔導士協会を監視する、何らかの体制や組織があって然るべきではないでしょうか。
 この点について、納得できる説明や考察があったら、もっと物語に没入できたのではないか、と、残念に思ってます。

2006.06.18 記

 大楽絢太『七人の武器屋 レジェンド・オブ・ビギナーズ!』(購入:2005.09.19)、『七人の武器屋 結婚式をプロデュース!』(購入:2006.02.20)、『七人の武器屋 天下一武器屋祭からの招待状!』(購入:2006.05.22)富士見ファンタジア文庫 を読了(2006.06.13)。

 ファンタジーな怪物…ドラゴンとか…が存在する世界。魔法は…魔法的な技術は存在してますが、直接的な魔法や魔法使いの類は(覚えている限りでは)存在しない感じの世界。
 そんな世界の、一地方都市(?)に住む少年少女七人が、胡散臭い宣伝ビラに惹かれて、閉店寸前の武器屋の共同出資者(オーナー)になって七難八苦を乗り越えようと頑張る感じの物語です。

 良くも悪くも漫画的な作品、ではないかと。
 けっこうシビアな状況を、できるだけ登場人物の創意工夫で乗り切らせようと感じられる展開は好きです。


 緋樫いつき『ヴァーミンロード』徳間ノベルズEdge 購入(2006.06.17)&読了。

 「オチ」の一部…多数の平行世界で『可能性』が云々、という私には蛇足としか感じられなかった言及…以外は、文章にも展開にも不満感や違和感を感じること無く、気持ち良く読了できました。
 道具立てや背景設定や人物配置や、読了後に演繹すると、いろいろと「こうしてもよかったんじゃ」とか「都合良すぎ、かな〜」とか思ってしまう点はありますが、読んでいる間は気にならなかったです。

2006.06.05 記

 雨木シュウスケ『鋼殻のレギオス』(購入:2006.03.20)、『鋼殻のレギオス II サイレント・トーク』(購入:2006.05.22)富士見ファンタジア文庫 を読了(2006.06.04)。

 地上全体が生命の存続に適さない不毛な環境に変わってしまった、未来の地球(?)。汚染獣と呼ばれる「怪物」のみが存在する世界で、人類は〈自律型移動都市(レギオス)〉と呼ばれる巨大な構造物の中で命脈を保っている、という背景設定の物語です。

 …ライトノベルは、私は作者か絵柄での購入が多い、です。
 この作品は、絵柄での購入でした。

 感想としては、今のところフェリちゃん(さま? ^^;)萌え〜、ということで(爆)。

2006.06.02 記

 三浦良『抗いし者たちの系譜 逆襲の魔王』(購入:2006.01.21)、『抗いし者たちの系譜 虚構の勇者』(購入:2006.05.22)富士見ファンタジア文庫 を読了(2006.06.01)。

 …剣と魔法の世界。強大な力を持った男と女の、ツンデレ同士の真剣勝負、と言ってしまいましょう(笑)。
 世界の厚みや存在感はもの足りませんが、二人の駆け引きや展開は、楽しく追わせていただきました。


 原作:BONES 著:杉原智則『交響詩篇エウレカセブン 4 HERE TO STAY ヒア・トゥ・ステイ』角川スニーカー文庫 を購入(2006.06.01)&読了。

 コーラリアンの出自がTV版とは異なっていて、そのために進退も異なり、そのためにエウレカの結末もTV版とは違ったものになった、ように感じてます。
 TV版と小説版と、コーラリアンの進退としては、私はTV版の方が、自分を肯定し存在し続け変化/向上を目指す積極性があって、好きです。

 あとがきで作者氏が、
「いまは解答を出せない」(P388)
と告白されています。エウレカセブンのテーマ(のひとつ)に対して、作者氏は解答を模索中なのだ、と。
 その「迷い」と「追求」があるが故に、『2』『3』の物語に迫真の「葛藤」が込められ私は見入られ、この『4』では「解答」を得られずに私は肩すかしな気分を持ってしまった、のではないか、と思ってます。

 以下、ネタバレな我が儘文句(^^;なので、背景と同じ色の文字にしてます。
 小説版の成り行きならば、エピローグで、セカンド・サマー・オブ・ラブから十数年後、レントンはメーテルと結婚し、娘が生まれ、エウレカと名付けた、くらいの暴走が欲しかったかも、と、ふと思ってしまいました(核爆)。

2006.05.30 記

 支倉凍砂『狼と香辛料』電撃文庫 (購入:2006.02.10)を読んで。

 P208の辺り、ロレンスがホロに「皮算用」を描いた紙を渡すシーンを読んでいて。

 もしかすると、2006.05.28の『ジオブリーダーズ 12』の
「あれはヒトが生み出した 情報そのもの なのよ/だから奴等はヒト無しには存在できない」(P176)
辺りの台詞が影響しているのかも、とも思ったりしてますが。

 こんなことを思い付きました…
[神は人の正の理想の光。魔は人の負の理想の影。人は自らの理想で自分を照らし、そうして出来る自らの影に自身の理想の魔を見る。]
…と。
 そして、こう続きます…
[その意味では、人の神も人の魔も、人の世界の中に在るモノで、だからこそ、神も魔も人と関わるのだ。]
…と。


 アニメ『BLOOD+』毎日放送・Aniplex・Production I.G について。

 第32話「ボーイ・ミーツ・ガール」で…
「この人からは大切なものをもらったから、わたしもお返しに血をあげただけ」
…と言ったディーヴァは、いったいリクから「何」を得たのでしょう(;´Д`)。

 物語のラスボスはアンシェルで、ディーヴァは、かつての「親」と同じような姿になっていたりして、とか想像してしまったりしている今日この頃ですが、果たしてヽ(`Д´)ノ。

2006.05.28 記

 伊藤明弘『ジオブリーダーズ GEOBREEDERS 魍魎遊撃隊 12』少年画報社 (購入:2006.05.27)を読んで。

「(前略)ところが太平洋戦争が終わるとラバウルから帰還した或る兵士が−−−紙という媒体を使って意匠の統合を図り奴等に強固な共通認識を与えた(後略)」(P174)
 …2回目で、上記の台詞のコマの画と合わせて、ようやくに思い至り、インターネットで検索して確認して、ゲゲゲのゲ!?

2006.05.11 記

 原作:BONES 著:杉原智則『交響詩篇エウレカセブン 3 NEW WORLD ORDER ニュー・ワールド・オーダー』角川スニーカー文庫 承前。

 小説版では、絶望病は、発症した者の体がスカブ化してゆく、TV版とは別種の「病気」として設定されています。
 なので、ウィリアム&マーサは、この小説版では登場しないのではないか、と現時点では思ってます。

2006.05.10 記

 原作:BONES 著:杉原智則『交響詩篇エウレカセブン 3 NEW WORLD ORDER ニュー・ワールド・オーダー』角川スニーカー文庫 を購入(2006.04.29)&読了。

 ビームス夫妻とトレゾア技研は、もしかすると出ない、のでしょうか。まぁ、それはTV版のための構成要素で、小説の結構では使わない・使えない、とされたのかもしれない事は、大いに有りそうですが。

「(前略)トラパーとは果たして何なのか?」(P94)
 これは、デューイがレントンと直接に対面して語った言葉の一部です。
 トラパー、セブンスウェル、コーラリアン、アーキタイプ、コンパク・ドライブ、アミタ・ドライブ、サマー・オブ・ラブ、アドロック・サーストン、等などについて、デューイの口からレントンに語られる形で、総括的に述べられています…その言説に、どれだけデューイの「都合」が入っているのか、は考慮に入れるべきでしょうけど。
 そして、アドロック・サーストンの「その後」が明かされ、レントン&エウレカ&ニルヴァーシュは、デューイの手によって、対コーラリアン用の武器になることを強制されることになります。

 そして物語は、TV版の最終決戦の様相を帯び、レントン&エウレカ&ニルヴァーシュも、ゲッコーステイト/ホランドも、TV版以上の苦境の中で、理想は失っていないものの、そこへと至る明確な方法・手段を得られないままに悲壮な戦いに挑む姿を描いていて、次巻へと続いています。

 次巻が、待ち遠しいです。

2006.05.05 記

 PSP『新世紀エヴァンゲリオン2 造られしセカイ −another cases−』バンダイナムコ ゲームス 購入(2006.04.27)&とりあえずノーマルエンド?

 ほぼ毎日、寝る前の時間に少しずつ。携帯機ならではの機動性(笑)が、このゲーム&私には合っていたようで、めでたく[シナリオ選択/SENARIO−01 使徒、襲来]を最後まで終わらせることができたように思えます(アスカの最後の台詞、で終わったので、たぶん ^^;)。

 戦闘で何度か失敗して、シナリオ終了になりました。直前のセーブデータから再開して、二度目で全部勝てましたので、戦闘の難易度は、内容を知っていれば勝てるレベルではないかと思います。

 使徒の正体とかサードインパクトの意味・目的とか、TVや映画では明文化されていなかった事柄の一部が、ある程度説明されていました。
 でも、『新世紀エヴァンゲリオン』の物語としては、TV&映画を視聴済みであることが前提で、このゲーム単品では「抄録」ではないか、という印象を「SENARIO−01」には覚えました。

 最初のプレイを振り返ると、TV版の流れに沿ったシナリオであることと、それに応じるパラメータの強制的な変化が、ワールド・シミュレーターとして見るには、プレイの自由さを阻害していた・プレイの方向を固定的にしていた、ように感じます。
 今後は、気が向いたら他のシナリオで、適当にユルユルな(^^;プレイをしてみるかもしれません。


 DS『NINTENDO DS Lite (USG−001) エナメルネイビー』任天堂 購入(2006.04.23)。
 同時購入は、DS『LOSTMAGIC』TAiTO です。

 『LOSTMAGIC』の内容を知って、プレイしてみたいと思い、先日、店頭売り(定価・新品)の『DS Lite』を見つけて、購入してしまいました。

 『DS Lite』…なるほど指紋が付き易く、付いた指紋が激しく目立つ表面仕上げですね。私は羊羹を連想しました(;´Д`)。

 『LOSTMAGIC』…リアルタイム戦闘ゲームで、私には、かなり難易度が高いです。ヒロイン(?)と出会った直後の戦闘に、今のところ負け続けです(爆)。

2006.04.15 記

 米澤穂信『春期限定いちごタルト事件』『夏期限定トロピカルパフェ事件』創元推理文庫 購入(2006.04.13)&読了。

 中学時代の「失敗」を繰り返さないために、互恵関係…「失敗」しそうになった時に、互いが相手に手を貸す約束…を結ぶ小鳩常悟朗と小佐内ゆきが高校進学を果たした早春から初夏にかけての頃の出来事が『春期〜』の話。
 そして、『春期〜』から一年少々が経った、高校二年の夏休みの話が『夏期〜』。

 この話は小鳩常悟朗の視点で語られます。
 『春期〜』は、ささやかなミステリーから始まって、直接的には小鳩常悟朗の思考を描写しながら、間接的に小佐内ゆきの行動を見せていって。
 そして『夏期〜』は、『春期〜』で示された状況の「変貌」が語られて。

 …『夏期〜』のクライマックスを読み返しては、「小佐内ゆき」という「謎」は、私には解けそうにないかも、とか思ったり(爆)。

 『夏期〜』の解説氏が期待するところの『秋期〜』や『冬期〜』は、果たして綴られるのか否か。や、続きがあるのなら、是が非でも読みたいものではありますケド。

 …と。ネットを検索しましたら。あっ!! ・・・ http://www.pandreamium.net/ 。

2006.04.14 記

 吉岡平『シャルロット・リーグ 1〜3』ファミ通文庫 読了。

 まず、十年以上前に角川書店『The Sneaker』誌に掲載されたと言う短編『シャルロット・ホームズの冒険』が三作あって。その短編の基本設定を元にした新作長編に、元の短編を一作づつ添えて三冊、という刊行形態は、個人的には、長編の構成内容と合致していなかったのでは、と、読了後に思いました。
 長編「シャルロット・リーグ」だけを、『3』の「−幕間−」までの上・下の二冊で出して、「最終話 旅路」+短編三作で『シャルロット・リーグ 完結編』として出す、みたいな方が、長編「シャルロット・リーグ」の読後感は良かったのではないかなぁ、と。

 「最終話 旅路」の締め方は良かった、と言うか、ほっとしました。
 ジャックと正木が、彼女の左右に/彼女を真ん中に、右腕を内側にして前後を向いて立ち、敵と相対する、みたいな光景を想像したりして。

2006.04.08 記

 大久保淳二『出雲重機 INDUSTRIAL DIVINITIES』Enterbrain 購入(2006.04.02)。

 土木や建築に使われている、いわゆる「重機」の外観・印象を惹起させるデザインでまとめられた、仮想の機械の画集、です。

 重機の印象はありますが、大半のデザインが、明確な「機能」が判別できる/付与されているのは「脚」部だけで、それ以外の部分は機能を想像するしかない「箱」な感じのメカなので、現実の風景の中に佇んでいても、現実的な役割や用途が想像し難い、キカイ(機械/奇怪)な「物体/作品」としか見えないものが多いです。

 もっとも上記の「特徴」は、
『いつもの「街の風景から浮かない」とか、「目的や使途不明だが重機」といったコンセプト』(P61)
と作者氏自身が言及しているように、明確に自覚・意識しての処理/仕様のようですが。

 脚メカではなく、腕メカを見てみたいかも、とか、上記の文章を考えながら思ったりしました。

2006.04.05 記

 鈴城芹『看板娘はさしおさえ 1』MANGA TIME KR COMICS 購入(2006.04.04)&読了。

 舞台は質屋。その店の一人娘が早潮小絵(さしおさえ・小学校一年生)です。
 小絵の母親・早潮桜子さんが、一番(いろんな意味で)強力なキャラクターで、おもしろいです。


 久世番子『甘口少年辛口少女』WINGS COMICS 購入(2006.04.04)&読了。

 『暴れん坊本屋さん』で有名(らしい)作者氏の、普通の漫画作品の短編集。
 「甘口少年辛口少女」「少年目少女科」「ハーメルバーレルの侍女」「瞳の中で会えるなら」「カレンダー」の5作品+「あとがきアワー」が収録されてます。
 私は、「少年目〜」「甘口〜」「瞳の中〜」が好きです。「ハーメル〜」と「カレンダー」は、前の三編よりも生硬な感じがして、個人的に「いまいち」でした m(_;_)m。

2006.03.31 記

 榊一郎『まじしゃんず・あかでみぃ VII 父親奪還!?』ファミ通文庫 購入(2006.03.30)&読了。

「(前略)まあ未だ三ヶ月でできたばかりなんだが(後略)」(P267)
 …誰の、誰に対する、どういう状況での、どういった台詞なのか、は、本編を読んでいただくとして(爆)。
 てっきり私は、「生まれて三ヶ月」と解したんですが、最後まで性別が明かされなかった点から考えると、どうやら「妊娠三ヶ月」の様で。
 上記の子供の性別が女なら、今後の登場の可能性あり、と踏んでますが、果たして(<<無謀)。

 今回のお話は、でも、内容としては「前編」ではないか、と。クライマックスにボス敵が全く顔出しすらしてなくて、そのため、読後の私の印象として、締めてない/落ちてないこと夥しい感じ、が残ってしまってます。

 ガブやん&アガりんの「活動」とかも、今後の伏線だとしても、できればこう、もうちょっと何とか(我が儘)。

2006.03.05 記

 笹本祐一『ARIEL番外編2 家出艦長の里帰り』ソノラマ文庫 読了(2006/03/01 購入)。

 表紙絵は、もしかしてアバルトではなくてゲルハルト? とか思ってしまったり(^^;。

 最後のシーン、出席者の中に、自力(笑)探検行の途中だった河合美亜や、銀河社会を勉強中だった西島由貴が、シェラに連れてこられてたりして? とか妄想(^^;;;。

 今回の敵は、なかなか意味深と言うか、支配/指導の体制が王政だろうが議会民主制だろうが、近代以降(?)の経済主眼の輩には関係ないのかな〜、とか、ぼんやりと。

 銀河帝国/ゲドー社/アバルト・ハウザー艦長にスポットを当てた番外編は、話の転がり具合は一応の区切りになった感じです。
 できれば、他の人たちの話も読みたいかな〜、と思ったりしてますが、はたして。

2006.03.04 記

 三雲岳斗『ランブルフィッシュ 10 学園炎上終幕編』角川スニーカー文庫 読了(2006/03/01 購入)。

 最後に至って明かされた、「メインメカ=RFが、人型をしている理由」が、(わたしの)感情的に非常に納得できた、希なお話でした。だいたい、人型メカ=ロボットが主役機になっている作品では、それが人型であることの必然性は、ほぼ完全に無視、と言うか、「理由なんてない/人型であることが大前提」な印象を私は持ってますので。

 ところどころにある、あざとい誤誘導含みの思わせぶりな描写が、それは小説の技巧として「あり」ではありますけど、できればもっと素直に書いて見せて欲しいな〜、と。でも、「素直に書いて見せ」ると、もしかして盛り上がりも作品のボリュームも半減してしまうかな、とも思えるのが痛し痒し、ですけど。

2006.02.28 記

 月見草平『魔法鍵師(ロックスミス)カルナの冒険4《世界で一番好きなあなたへ》』MF文庫J 読了(2006/02/24 購入)。

 甘めの大団円、でした。

 作者氏は「終盤少し駆け足」とあとがきに書かれてますが、カルナの感情の積み重ねとか、師匠の想いとかエクセラのツンデレラッぷり(爆)とか、もっともっと書き込んで欲しかった、と感じてます。
 今回の展開では、イメージ的に千人規模の軍隊が出張っている筈なのに、その人いきれがほとんど感じられなかった点が、ちょっと残念に思えました。

 できれは、カルナとアネルカとスターリングの「新しい話」が読めますように。

2006.02.21 記

 原作:BONES 著:杉原智則『交響詩篇エウレカセブン 2 UNKNOWN PREASURE アンノウン・プレジャー』角川スニーカー文庫 を購入(2006.02.01)&読了。

 TVアニメの制作者たちから、きっと作者氏は「すべて」を聞いて。
 『1』は、その源流を示すように、TVの『交響詩篇エウレカセブン』をなぞりつつ、小説の結構の中に、TVアニメ版とは違う流れを散見させて。
 そしてこの『2』は、小説の形に最適化された『エウレカセブン』の物語が書かれていた、と私は感じました。杉原智則という作家・個人の理解・解釈・把握の結果として咀嚼され勘案され執筆された小説『エウレカセブン』は、私にとって、TVアニメ版に感じていた、物足りなさ/齟齬/違和感を、かなり癒してくれるものでした。
 やがて出るはずの『3』で、TVアニメ版では現在進行形の「結着」の部分を、はたしてどう「綴って見せて」くれるのか、楽しみです。

2006.02.12 記

 秋津透『バトルジャッジ』リーフ、星雲社/ZIGZAG NOVELS を購入(2006.02.02)&読了。

 舞台は遠い(?)未来の、西方系(インディア)、東方系(チャイナ)、北方系(ユーロ)と通称される三つの植民社会集団(グループ)が、ほぼ同時に植民を行った辺境(?)の惑星・トリグランド。
 互いに反発し合うグループは、全面戦争への危機を、開拓機(マシン)と呼ばれる人型の機械同士による限定された決闘(公式なルールでは白兵戦のみ許可)=バトルジャッジによって、個々の問題を解決することで回避し、トリグランドの社会的な安定を維持していた、という設定のもと、バトルジャッジの人型機械の操縦者の青年を主人公にした物語が綴られます。

 主人公は、腕はそれなりなものの、一匹狼を気取って自転車操業の結果、機体を壊して修理の算段がつかなくなり、廃業の危機に。
 そこに、トリグランドの「外」=連合中央から主人公を名指しで、バトルジャッジに投資したいと言うスポンサー(生真面目そうな女性)が、連合中央の最新鋭高性能軍用機体を持参して出現。
 都合良すぎる話(苦笑)ではあるものの、進退窮まっていた主人公は契約を受け。
 しかし渡された機体は、そのままではバトルジャッジ用としては「使えない=勝てない」状態で。
 懇意の修理屋から紹介されたメカニックは、連合中央で一流のメカニックに成り上がりたい、という大望を持った少女(三つ編みメガネっ娘)で、なんと、その実力は高く、主人公の望む性能を引き出して。
 ところが、急に本社から、スポンサーの女性の仕事に対して監査が入ることになり、投資が回収可能であることを早急に示すことが必要になり、なりゆきで合法ギリギリの、武器使用可能なローカルルールのトーナメントに出ることになり。

 最後まで飽きることなく読み終えました。が、あまり「燃え」も「萌え」も覚えませんでした。
 思い返すと、スポンサーの女性が、物語を転がすための道具な感じが拭えません。メカニックの少女の、大望に向かって一所懸命、な様子が、それなりに描かれているので余計に、スポンサーの女性の印象が淡白なものになっていて、そこが不完全燃焼な祖語を感じる要因になっている、ように思えています。

2006.01.28 記

 吉富昭仁『BLUE DROP 吉富昭仁作品集』メディアワークス を購入&読了。

 この作者氏の作品は『EATMAN』を途中で読まなくなって以来、でした。

 おかっぱ/ボブカットな黒髪のセーラー服少女が何人も登場する連作短編で、エピソードの時系列が収録の順番と違っていることもあって、一度の通読では、私は内容の把握にとまどいました。

 100年前の異星人との戦争の影響が残る地球での話で、かなり悲惨で残酷な設定があったりしますが、整理された流麗な描線がクールな印象で、活劇はあるものの、あまり重さは感じませんでした。

2006.01.14 記

 高里椎奈『風牙天明 フェンネル大陸 偽王伝』講談社(2006.01.13 購入)を読了。

 五巻目にして、シリーズ名である(?)「偽王」が登場しました。それは、まぁある意味、一巻目から想像していた通り、と言いたくなったりならなかったり。
 不意に、グールという存在(設定)が、今後どうなるのか気になりました…第一巻の冒頭のエピソードが、どういうふうに今後の成り行きに絡まってくるのか来ないのか、と。
 そして偽王が明示されたことで、「フェンネル大陸」なる呼称についても気になったり。

 偽王…皇王への対立者として名乗る銘(?)ですが、これは偽の王、ではなく、人の為の王、でしょうか?
 偽王が、それを名乗るに至る展開は、事前の検討や熟慮や沈思黙考があった訳ではない描かれ方に感じました。
 普通に王と宣言するのではなく、なぜ「偽」王と名乗ることを選んだのか。「偽王」と言う単語には、この物語世界の中で、何か特別な意味があるのか。いまひとつ、こう名乗るに到った判断基準が私には見えず、もっと明確な解説が欲しい、と思いました(苦笑)。

 展開を思い返すと、物語世界の見通しの悪さを感じます。それはでも、主人公という個人の見識に触れた範囲の世界をのみ提示しているからなのかな、と、なんとなく思えたりする今日この頃です(w。