年末に拾った猫の「ぼたん」は、最近すっかりおとなびてきた。プロポーションが既に仔猫のものでなく、「サイズの小さな猫」になっている。脚長く頭小さく鼻筋尖り目は大きく、なかなかの別嬪であるのが妙に嬉しい。ほっそり長い尻尾の先がちょっと曲がっているのはご愛嬌だ。
が、この美少女、とにかく暴れん坊きかん坊である。
既に老境を通り過ぎて棺桶に両足突っ込んでる(なにせ21年も生きてるのだ)先住猫たちに飛びつき押し倒し蹴りまくるぐらいは序の口。彼女のここしばらくのご執心は天井の灯りに下がった紐なので、そこらに人間が突っ立ってると、あっという間に肩まで駆け上がってくれる。座っていると背中に登り、寝そべっていると立てた膝にとまる。総じて高いところが好きなのかと油断すると、今度は服の裾から潜り込む、布団から出ている足を齧る、猫発作を起こして熟睡中の体の上を駆け回ると傍若無人の限りを尽くしている。
とりあえず本気で噛んだり引っ掻いたりしない手加減はしてくれているのだが、このまま大きくなってしまったらどないしよう。いや、かつてこの不安を抱いた子猫たちはいずれも落ち着き払った怠け者に成長してくれましたけどね。
しかし彼女は今日も爪とぎポールのてっぺんで、室内で動くものに目を光らせているのであった。なんかのボスキャラみてーで怖いっす。
『ブルックリンの八月(スティーヴン・キング/著、文春文庫)』読了。4分割された短編集の最後の1冊は、残念ながら、ハズレ。がしかし、これは作者の咎ではない。
まず、当方としては目玉であるところの「ワトスン博士の事件」が既読。実にデキのいいホームズ・パスティーシュなのだけど、流石に初見の喜びは無い。で、他の作品が作者の息子の所属するリトルリーグに寄せられているので大マイナス。よく書けたノンフィクションなのは認める、だがこちとら野球が好きじゃないのだ!
とまれ、多面性の作家キングの面目躍如な短編集ではあった。ぜひまた1冊ものしていただきたく。
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