『ダ・ヴィンチ・コード』を観る。
映像としては文句なし。原作で描写された舞台、アイテム、加えて作中で語られる歴史上のシーンまでビジュアル化してあって、ドラマつきの歴史検証番組のように視覚を愉しませる仕上がりになっている。絵面だけなら満点といっていい。
ただ、ストーリーの改変はどうにもいただけない。次々に現れるパズルを限られた時間内で解くのは難しい、またそれによって二転三転する疑惑の構図を語り尽くすのも無理と端折ったのは止むを得ない。けれど、あえて原作においては存在していなかった「敵」、まるで「悪の秘密結社」めいたそれを作る必要があったのだろうか。話を単純化して万人向けにし、かつセンセーショナルにする意図だろうけれど、原作どおり、誰も悪意を持っていなかった(どころか、黒幕に至るまでほぼ全員が己なりの正義と善意で行った)のに結果として血腥い悪事になってしまった悲劇として描いたほうが良かったのじゃなかろうか。歴史が常に一握りの人々のパワーゲームで作られてきたという陰謀史観は嫌いじゃないけれど、この物語にそれは似合わなかったと思う。つか、世界各国で起きたボイコットも受けずに済んだんじゃないか?
終幕に用意された答えは、小説よりもご都合風味が抜けていて悪くない。欲をいえば「彼女」は赤毛のほうが好ましかった気がするが…まあ、それは趣味の範疇か。いや、僕だけじゃない、原作者はもちろん、ダシに使われたダ・ヴィンチの趣味でもあるんじゃないかな、ねぇ?<誰に言ってる
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