店主酔言
書籍・映画・その他もろもろ日記

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6月2日(日) 曇時々雨
 先月末からグズっていた鼻から、また風邪が侵入したらしい。昨日は胸が苦しくて「これが、恋ね(はぁと)」とかうそぶきつつ寝床で丸まっていたのだが、今日は不具合が腹に移動した。しかも必要に迫られて移動するたび猫がついて来て監視する。紫陽花の季節、雨の中、看護人に付き添われてサナトリウムの廊下を歩く…な〜んて文学的な気分にもならんわなぁ、所詮トイレの住人じゃ。
 ま、それはさておき、こういう時には日ごろ等閑にしている大部を片付けようと『屍鬼(小野不由美/著、新潮文庫)』に手をのばす。なになに、山に閉ざされた村に奇妙な一家が移住してくると。んで不可思議な病気が蔓延。貧血症状と発熱、そして数日で急激に悪化して死に至る…って、病床で読む本じゃねぇじゃん!と思ったが既に手遅れ、勢いに乗って突き進み、深夜に至って読破してしまった。わははは〜。もはやつける薬もないとはこの事よ!恐れ入ったか!<威張るな
 で、本編。「To Salem's Lot」と副題に掲げられ、スティーブン・キングの『呪われた町』に寄せられている…かに見える。
 この「かに見える」が曲者だ。上に書いたような骨子だけ取り出すと同じような印象、けど読み比べてみれば一目瞭然、全然違う話になっている。キング作品における「敵(と、あえて書く)」が、元の人格をすっかり無くした怪物であるのに対し、「屍鬼」たちは変わらない。変われないのだ。単に日光に耐えられず、飢えを満たすに血をもってせねばならぬ以外は。だから、かつての同朋を餌食とする己の存在に悩み、迷い、煩悶し、嘆き、餌たる人にさえすがろうとする。かと思うと、望んで不死となってさえコンプレックスを引きずり、身を処する知恵を持たず、迷妄にとらわれる。ふがいなく、身勝手で、愚かしく、甘ったれで、意固地で、情けなく、あろうことかいとおしい。そう、まさに死から「起き上が」った「だけ」と言えぬでもない。そうした者たちと対峙してゆく人間は、もちろん然り。かくて物語は始め人の側にはびこる不信を不安をいざこざを、やがて変貌した者たちの鬱屈と苦悩と欲望を描き、やがて来るカタストロフを両者の側から慄然と見せる。単純に「敵」と見なせない、互いを映しあう存在を描ききって秀逸である。
 ただ、だからってキング作品と比して優れているかっつーと、まるで土俵が違ってて比較できないんだけどね。同じネタで日常を崩壊させるけど、どっちも僕には「恐怖」を感じさせてはくれなかったし。もともとこのテの話って、どう描き込むかが勝負どころだと思うのだよね。で、この二者の場合の分かれ道は、スリルを味わわせるか、思いを深くさせるか。どっちも少々ラストが「ご都合」なんで、あえて言うなら『ジャクソンヴィルの闇(ブリジット・オベール/著、ハヤカワ文庫)』こそが面白かったぞってことでどうだろう。<をい
 ま、何はともあれ、読んで損の無い作品である。よし京極夏彦のパロディ『脂鬼』を先に読んでいようと、しっかり楽しめた。ことにも作中作の兄弟の物語は、ひとりの男の精神の軌跡と本筋をふたつながらに象徴しきって胸をうつ。ぜひお勧めしたい、風邪ひいて気弱になってる貴方に、ぜひ。<違うぞ

6月3日(月) 雨
 えぇ…お祭りなんてぇのは賑やかで楽しくって、んでもってちっとは危ないこともあるかなってぇぐらいなもんですが、最近ちまたで話題のサッカー祭り、ワールドカップってのは、アタシみたいなトーシロには後のほうばっかりが強調されてるように見えますな。なんつっても世界規模のお祭り、頭に血の上った威勢のいい人たちがやって来るってんで開催地お膝元は大騒ぎ。ヘリが飛ぶお巡りさんが列を作って訓練する。そんで市内にゃ自転車を持ち込むな、公共の場所からは灰皿やベンチを片付けろ粗大ゴミは早朝のうちに出せってヤカマシイから何かと思やぁ、乱闘騒ぎになると武器に使われちまうてんですね。ちょいと耳にしたとこだと、近在の保育園に通ってるお子さんたちは当日は早くお家に引き取んなさいってお触れが出たとか。ナマハゲだねまるで。何ですね、小さいお子供衆も捕まえて投げますかね。あと連れも投げたらダンジョン・マスター実写版ってとこでしょうか。
 特に危ねぇエゲレス人についちゃあ、見分けるための専門家も呼び寄せたてぇから物入りなこってすねえ。やっぱアレでしょうか、ヒヨコの鑑別みたいにやりますかね「サポーター、サポーター、フーリガン」とかって。かと思うと、それが見たいって不心得な連中もいたりして、まるで黒船来航か大戦が終わって露助が来たぞってぇところでございます。露助といえばね、アタシの母方の爺さんの若かりし日の渾名が露助でして…え、何だよ。露助って言うな?差別用語だ?バカ言っちゃいけませんよ、エゲレス人≒フーリガンみてぇに言ってるほうが差別じゃねぇのかい。それよかぁ地元の恥を外からのお客人に見せねぇように気をつけたほうがいいんじゃねぇのかねえ。

 とか何とか似非社会派なコトを思いつつ、ねこまと買い物に。いや、何でそんな考えになったかっつーと、行き先が試合会場のすぐ近所で、また今夜が試合だったからなんだが。もう開始時間目前だっつーに歩道は人の流れが絶えず、誘導の警察官が声を嗄らして叫んでいる。いやはや、ご苦労様なことである。実際に彼らが警戒してるのは、フーリガンもそうだろうけどテロがらみも少なくないんだろうな。中には試合を見たい人もいるんだろうに。とにかく無事に、みんな楽しんで終わるといいね。僕ぁ全っ然、興味ないですけど。つかTAKO'Sアニキ激烈お勧めの『少林サッカー』のほうを観なくては。『ギャラクシー・クエスト』以上に萌えいや燃えまくってるとこを見ると、徒事でないバカ映画に違いあるまい。観ねば!

 途上、書店パトロールで『ローマ人の物語(塩野七生/著)』の文庫版を見つけて飛びつく。読みたかったんだこれ!しかし元の単行本に負けて、どうしても手を出せずにいたのだ。言っとくが値段に負けたのではない。借金しようが一食抜こうが、欲しい本は手にして読む、それが書痴たるものの本能である。だが、しかし、この本ときたらデカかったのだ。美しい装丁はそれだけで心をくすぐったが、とにかく分厚く重い。それが全15巻。我が蓬屋(大家さんごめん)の何処にも置き場が無いんである。そう、容積に負けたのだ!負けたに変わりはありませんけど!しおしおのぷ〜。
 とまれ、ひっつかんでレジへ走り、幸せに帰宅。相方を忘れそうになって痛い目みたのはいうまでもないぞ。おそれいったか!<キサマこそ恥を知れ

6月5日(水) 晴
 ビジーというよりは猖獗をきわめた仕事が一段落し、休みをもぎ取る。まず自宅環境のトラブル(ハードディスクが異音を出すわメーラは固まるわ)を片付けてから、掃除その他はうっちゃってTAKO'Sアニキ激烈燃え御推薦の『少林サッカー』を観に。うむ、うむ、うむ、これはッ!
 バカですな。
 手加減無し待った無し、止め処もなき全力疾走。生半可では及ぶことない、怒涛の如きバカ映画。『ギャラクシー・クエスト』が知識の積み重ねによる大脳皮質バカなら、こいつはほとんど本能で動く延髄バカとでも言いましょうか。いや〜、観てよかった。いいわコレ。
 話は、お笑いではあるけれど、師匠が殺されてない以外はいわゆるクンフー映画の王道といってもいい。逆境にある主人公がクンフーで巨大な敵に立ち向かう。互いに思いを寄せる恋人はいるけれど、プラトニックなあまりすれ違い、ラストで互いの想いを確かめる。最初は非協力的だった兄弟弟子もやがて結束し力を貸し合い、自ら死地に飛び込んでの闘いを貫く。そして最大の危機が訪れた時、思わぬ人物が現れて……ね、形はそうなんだ。なんだけど、それが全部サッカーで、しかも「アストロ球団」やら「キャプテン翼」もかくやってばかりな超絶技の応酬なんだよな。常人の目には止まらない速さで走り、天空高く跳び、蹴る。飛んでくボールがソニックブームでフィールドを抉る。ネットなんざぁ当然突き破る、ゴールポストはへし曲がる。いや、CG満載なこの「闘い」だけじゃなく、実は話の筋もパターンの上で突き抜けまくっている。主人公や兄弟弟子の逆境たるや、純然たる、しかも赤貧洗うが如き(皿洗いしてたのもいたな)ビンボー。彼女との関係はプラトニックというよりは大ボケ。闘いに斃れる人々も、その演出があまり凄まじすぎて現実感なし、担ぎ出される担架の上でブルース・リーのパロディやられたひにゃあ息を切らして笑うしかない。そしてラストで叶う望みときたら、アレなんだ。おそるべし中国。
 難を言うなら、前半がちょっとダレてるかな。特にバーのシーンはテンポが悪いと思う。殴られシーンはいいとしても、演奏場面はあそこまで長くなくても良かったよ。こっちが殴りたくなっちまったぞ。は、それが狙いか?
 とまれ、ラスト数分の呆然&笑わせっぷりはとにかく凄い。Jリーグ興味なし、ワールドカップなんてうるせぇだけっていうアンチ党にこそ、お奨めしたい作品かも知れぬ。

 笑いまくった後で180度世界観の違う『囁く谺(ミネット・ウォルターズ/著、成川裕子/訳、創元推理文庫)』を読む。
 ひとりの男の死。浮浪者の彼が餓死した、その事実だけを取るなら不思議はないかもしれない。しかし、彼が自ら入り込んだ死地は見知らぬ女性の家のガレージで、そこには有り余るほどの食料があった。何故、そして彼は何者?
 という端緒から始まる物語は、主人公の記者が謎を追うごとに登場人物を増し深みを広さを拡大していく。また、それが一癖も二癖もありまくって、ミスディレクションどころではない幻惑感をもたらす。たとえば●●●は己の母親を殺してないか?とか、●●●は実は酷薄な犯罪者かも?とかいう疑念をじわじわ滲ませる。この作者のスタイルが、そういう不安感に彩られたものであることを考えると疑わしさは層倍だ。
 だがしかし、こういうお膳立てをしておいて、話はおりふし明るく、時にコミカルでさえもある。特に中盤以降、奇妙な生活が始まってからの出来事と、それらがもたらす変化は微笑ましくすらある。そしてラストはいささか甘く、運命論というかご都合な部分も多い。また事物を撒き散らしすぎて余剰になってるところも少々。アフリカにいる女性なんか、最後の最後まで正体不明だもんな。いや、たぶん一度も直接出てこないプログラマーだと思うんだけど、確証をもてるような記述がない。細部を緻密に描ききる、この作家らしくない気もする。
 しかし、読み終えて不満はない。それは、奇跡の無い世界に迷いつつ、だがしたたかに生きる人々と、それを承知でなおかつ捧げられたひとつの祈りに、和してみたい気持ちにさせられてしまうからだろう。結句、作者の筆力、押し勝ちである。
 だから素直に呟いてみたい。ただ、成就あれ、と。

6月7日(金) 晴
 夜が生温い。ワールドカップ注目の大一番、イングランド対アルゼンチンの開催日とあって、ドームから熱気が漂い出てもいるかのようです。どうですか、向う正面(どこ)の司葉さん。「そうっスねぇ〜。ということはですねぇ、これは汗混じりってことっスかね〜」うわ。何ぬかしやがんだこのデブ。

 …とイヤな妄想をつむぐともなく書店パトロールをし、荷物をひと山背負って帰宅する。まずは、待ちかねていた『週刊 日本の天然記念物』を開封。創刊第一号のイリオモテヤマネコは、やはりというべきならん、なかなかの出来栄えである。目がちょっとガチャなのがかえって可愛い。で、予約しておいたバインダーセットも引き取る。スペシャルアイテムのニホンオオカミの姿はきりりとしていて実に好ましい。ああ、生きた姿を見たいなあ。僕が見たことのある日本のオオカミったら、某所の資料館にあった剥製(エゾオオカミ)だけなんだもんよ。いや、それすら目にしてない人のほうが圧倒的に多いのだろうけど。
 『あずまんが大王 4(あずまきよひこ/著、メディアワークス)』。こちらはいよいよの最終巻。高校生活を描き、ちゃんとキャラクターたちが進級して卒業で終り、という潔い幕切れである。数年越しで高校1年だったりするコミックが山ほどあることを思うと奇異な感じさえするが、ひとつの物語としてきちんと形をなすにはこのほうが美しいよね。「残念だけどお別れ、でもみんなすぐ会えるとこにいるよ」って終わり方も好ましい。それに、いつに変わらない日常を重ねておいて、それぞれに成長している姿をきちんと見せてくれたのも良かった。「現実にありそう」な世界の外へいきなり踏み出したヤママヤーのエピソードには少々面食らったが、この生き物が榊さんにもたらした変化を思うと必要不可欠だったんだなぁと思えるし。なんたって「可愛い」ものを見ただけで硬直、食いつかれても怒れない彼女が「人に怪我をさせてはダメ」とマヤーを叱るんだぜ?うんうん、きっと良い獣医さんになるだろうな。獣医といえば、忠吉さんのかかりつけのジイサマ先生もいいね。「そうか、雑種か」のとこだけじゃなく、さらっと「2メートル」とか言うあたりが。こういう食えない人になりたいもんであある。
 他には外薗昌也を3冊と『魁!クロマティ高校(野中英次/著、講談社)』の3と4を購入。さっきはああ言ったけど、この学校の生徒に関しては、一生高校生やってて欲しい気がせんでもない。放し飼い禁止。つか誰か進級できるんだろうか?まして卒業なんて夢のような気がするなあ。ゴリラ以外は。

6月8日(土) 晴
 所用あって街中へ出る。どこへ行っても満開のアカシアの香りが漂っていて、いささか閉口。今年は気候が良くて植物はどれもハイスピードで年間の生育スケジュールをこなしてる感はあったが、それにしても凄まじい。道庁近辺を通りかかると、さらに濃密な甘い香りの中、ポプラとタンポポが綿毛を飛ばしまくっていて、なんか異世界じみている。『地球の長い午後』でもおっ始まりますか。となるとねこまなんざぁ最初に倒れますな、なんせこのテのアレルギー持ちだから。いや今だって危険かも知れぬ。この季節、街中へ出てきたがらないもんなぁ。
 ハンズへ寄り、ついでにイエローサブマリンへ足をのばす。さして珍しいものは出ていなかったが、ねこまがハマりまくっている人形の服の新着分が目に付いた。アゾン製ので、趣味がアレなものもままあるが、作りが細かくて出来がいい。ほうほうと眺め、ふと気付いたら店員さんを呼び止めていた。こ、これはもしかして物欲遠隔操作?労力もかけず財布にダメージもなく獲物をゲットするとは、我が相方ながらおそるべき奴である。<妄想

6月11日(火) 曇
 『神の街の殺人(トマス・H・クック/著、村松潔/訳、文春文庫)』読了。これまで読んできた「記憶」シリーズより前の作品。それかあらぬか、うっとうしいばかりな憂鬱カラーに全編が染め上げられている。しかもモルモン教総本家のソルトレークを舞台に、独特な宗教&歴史カラーに染まった人間をわらわら登場させてるものだから、誰もが独善的で疑わしく気味悪い。過去の出来事に失望し故郷・ニューヨークを捨ててきた主人公の孤独感がいや増す演出としては見事だが、こんなん書いてモルモン教徒に脅迫とかされんかったんだろうか。いや、作中のイメージにすぎませんけどね、これも。どだいモルモン教っつーと、日本人のイメージでは「自転車に乗ってやって来る2人一組の変なガイジン」「チョトイイデスカー?アナタハ神ヲ信ジマスカー?」でしかないと思うのだがいかがか。彼らの本拠地がソルトレークで、天理市みたいに丸ごと染まってるなんてのも知る由もない。せいぜいオリンピック開催地ぐらいのイメージしか持ってないだろう、そこの君。<誰
 というような(どういう)状況設定と読み進むごとに陰惨な事件、妄想に従って行動する犯人の視点という、さらに嫌〜んなネタ山盛りにもかかわらず、先を引っ張り読ませるのは作者の手腕であろう。うう、嫌々ながら尊敬。しかしオチは「記憶」シリーズよりさらに救いが無く、ある種の虚脱感の中に読者を置き去りにするものだと思う。上手い、けど再読はしたくないなってのが結論だろう。

 オマケの動物ストラップにつられ、久しぶりにBe-Pal誌を購入。狙っていたキタキツネが当たってわーいと思ったが、なんかデフォルメが過ぎて頭でっかち、本物の優美かつ獰猛な雰囲気は求むるべくもない。それにこれ、ストラップつーよか根付じゃないか?とか不平を言いつつ、それでも天然記念物と同じ棚に並べてみる。エキノコックスの媒介犯みたいに言われ不当に扱われているかれらが、本当に同列に並ばないことをせつに祈りつつ。

6月12日(水) 晴
 やむ大兄お薦めにてTAKO'Sアニキすなるというチャリ通を、我もしてみむとてするなり。つーことで、自転車で会社へ。いや実は月曜日にも一度やったんだけど、日記を書く気力がうせるほど草臥れてしまったのよ。初手ってことで、肩に力が入っていたらしい。マジで肩凝りしてたし。
 んで2回目の今日は、かなり気楽にペダルを踏んでみた。もちろん装備も万端、ちゃんと帽子も被っているし(初日は顔がヒリヒリした)日本手ぬぐい(タオルよりかさばらないし吸水性がいい)も用意した。バッグの中には出社して口にするつもりの軽食と小さいペットボトル。天気も上々、微風が心地よい。さぁ、どこへ行こうかな……って、会社だっつーの!
 ううむ、余裕があると別な危険が発生するな。一考の余地があるということで、ひとつ。

 とか言いつつ、帰途、JRで2駅離れた相方の勤務先へ立ち寄る。時間にして40分。そこから家までは20分強というトコなのだが、やはりさすがに疲れた。合計1時間じゃサイクリングの領域だもんな。「何処へでも行ける」ことは「何処へでも行ってしまいかねない」ことと肝に銘じておこう。

6月16日(日) 曇
 週の後半、仕事が暇になったのにあかせてアッチの方でイロイロ遊んでたら、週末に怒涛のビジーが押し寄せた。ほうほうのていで切り抜け、休みに入ったと思ったら雑用が山になっている。で、なんとか快適な居住環境を取り戻したと思ったら、今度は親父が襲撃してきた。うーむ、最高のタイミングで横っつらから殴りつけるとは。禅宗のクセに、やるな親父。いやそうじゃなくて。
 結局、自由になる僅かな時間を用いて、1/6人形の顔のペイントに挑戦してみた。そして出来上がったこれが初号機である(jpeg画像66k)。初めてにしちゃあ、まぁ悪くないんじゃないかな。とはいえ発注元たる相方ねこまの要望は「ぽや〜っとした感じ」だったから、そういう意味では大失敗であるが……って、何が悲しゅうてようやくゲットした空き時間に、ヒトサマの玩具をこさえてますかね僕は。うえぇ〜ん。

 そういえば今週はチャリ通で通したので、ほとんど本を読めていない。やっと取り掛かった『ローマ人の物語(塩野七生/著、新潮文庫)』もまだ1巻目半ばという体たらくだ。これはいかん、どこかで取り戻さねば。やはり通勤途上、大通公園あたりで芝生に引っくり返って読むのが良いだろう。んで、ふと気付くと夕方だったりして、さわやかな1日を終えると。まぁ会社からはすみやかに席が無くなり、キャリアを終えることになるだろうがな。

6月17日(月) 晴
 所用あって早々に仕事を終え、街へ。用のほうも比較的短時間で片付いたので、ハンズをウロつく。気が付くと、ジョイント用の素材だのビーズだの手芸用ツールだのミニチュア造花だの、とりとめもない小物ばかりを買い込んでいるが、ま、いつもの事だ。気にしても始まるまい。<ちったぁ気にしやがれ
 日が傾く頃になってねこまと合流。入院中の母親の見舞いに行ってきた彼女だが、帰りがけにもかかわらず何やらデカい紙袋を手にしている。洗濯物かな?と思ったら、大半がゴミ、しかも菓子類のパッケージであった。ちょっと待て、母上は糖尿病の専門医にいるんじゃなかったのか?
 ねこま「アノヒトは心臓だし、同室の人は肝臓だからオッケーなんだけどね」
 そういう問題なのかなぁ。看護婦さんに見つかったら叱られるだろうに。
 ねこま「他の部屋の人のほうがコワイって。甘いものに飢えてるから」
 ううむ、それは僕にも似たような記憶があるぞ。大学時代、バイクでコケて膝かっぱがして入院した時、周囲が老人ばっかりなんで食事が少なくて。
 ねこま「いつもお腹空かせてたよねぇ」
 そう、見舞いは食い物限定と注文しまくったものだな。
 ねこま「隣のベッドのお年寄りがいなくなって、まさか!と思ったヨ」
 そう、アレは美味かった…って、ちょっと待て。病院の怪談にしてどうする!そもそも、思うな!

 とこう言いつつポストホビーへ。以前に購入した『メタルギア ソリッド』ドールの「リキッド・スネーク」と「メリル・シルヴァーバーグ」が並んでいるのを発見。おう、リキッドは悪くない出来だのう。このロングコートはカッコエエわ。しかし中身はやはり諸肌脱ぎ脱ぎなんだろうか。メリルは…ええと、メリルは…見なかったことにしたい。顔が厚化粧っぽくて怖いんだよう。こんなんなら無理に塗らんとデカールにでもしてくれよう。
 かくて泣きながら逃げ出し、塗料の類を購入して帰宅。む、やはりメリルを買ってくるべきだったか?ふんでもって即効リペイントと!<何か目覚めつつあるらしい

6月20日(木) 晴
 『ローマ人の物語1・2(塩野七生/著、新潮文庫)』読了。うむ、面白かった!と結論から入ってしまおう。
 はるか遠い過去の時代の人、事物、それらが交錯することによって織り上げられていく社会、そしてその中からまた生まれ出るものたちの連綿たる繋がり。イタリアに魅入られた一級の語り部が描き出すその変遷は、物語りめいていながらも密な調査と考察を背後に滲ませて活き活きとしている。読み口だけを言うなら、まるで長期の密着取材の果てにものされたルポルタージュのようだ。
 時々、ほんの少しばかり、これは贔屓目だよなぁと思う部分は無いでもない。けれど読み進むほどに興は深く、学生時代「世界史」で、ほんのサワリをかじっただけの世界が、かくも広く趣ふかいものであったかと感じ入らされる。逆を言うと通りいっぺんの解釈に従って丸暗記する歴史の味気なさが、ひしひしと身に迫って悔しくなるんだけど。よく描かれた歴史書を読むたびに思うのだ、ああ畜生、学校なんて行くもんじゃねーや時間の無駄だぜクソッタレ、と。あらゆる事物の入り口、いわば索引としては学校教育は有用なんだけど、ただ丸暗記を強いるだけで、そこからはみ出したり寄り道したりを許さない硬直化したシステムは害悪ですらあるんじゃねーかなぁ、ってね。ガラじゃないけどさ。
 ま、かくいう我らも歴史の河に流れ行くもの、判断は後世に委ねられるべきならんや。願わくば創造力枯渇の暗黒時代と言われませんように。誇り高き泉下のローマびとと違って、痛くも痒くもありませんけどね。

6月21日(金) 雨
 蒐集棚方面でお付き合いのある方から「『人形の国のアリス』第二弾が出るんですってね」と伺う。え?ナニソレ?聞いてないヨ!だってフルタのサイトでは何も言ってないし…とか思いつつ、念のためと海洋堂をチェックしたら。
 出てますがな。しかも6/17付で。
 考えてみたらフィギュアの著作権は留保してるんだろうし、フルタが新しいモデラーを探して出すとは想像しにくいものな。なんつっても、あのグレードで作って張りあえるようなモデラーはそうそういまい。かくて次シリーズは北陸製菓から発売だそうで、今から楽しみなことである。「白の騎士」「セイウチと大工」「白の王様・女王様」あたりは是非押さえてほしいな。あとお菓子のほうも期待したい。代表キャラのにやにや笑いに敬意を表してラング・ド・シャだったりして。そういえば北陸製菓からは、まもなく『ペンギンズランチ2』も発売なのだった。あのやさしい味のビスケットにチョコ味がプラスというから、いっそう愉しみなことである。ああ、今年は夏痩せとは無縁だなぁ。嬉しいような悲しいような。うぇぇぇぇん。<泣くな
 ところで海洋堂さん、フルタへの無念は消えないのかもしれないけど、いつまでも「あの経緯」をページの上のほうに出すのはやめてくれませんか。せっかくの新ネタが下のほうで見にくいんですけど。いや、見落としたのは僕の注意不足ですけどね、たぶんこういうヤツ他にもいますよ。

6月22日(土) 曇のち雨
 どよーんと陰鬱な日。何もする気になれない。何せ俺様、太陽電池で動いとるけんのう。ということで雑用を片付けてから『見ないふりして(メアリ・ヒギンズ・クラーク/著、深町真理子/訳、新潮文庫)』を読む。小心者ですねわし。
 目撃した殺人犯につけ狙われ、証人保護プログラムによって片田舎(失敬)に隠れ住むヒロイン。しかし現場で手にしたものが事件の真相を示していたため、追跡者がじわじわと迫り来る…というストーリー。例によって才色兼備で恵まれた境遇にあるヒロインと、事件を介して知り合う魅力的な男性という●ーレクイン一歩手前みたいな部分はあるが、やはり大御所、展開の妙たるや良し。自分の過去すべてと切り離され、家族恋しさに煩悶するヒロインが、それゆえに落ち込んだ危険からいかに身をかわし生き延びようとするか、実にハラハラさせられるものがある。とはいえ、この作家なんだからオチはアレだろうな〜と思ってしまうきらいはあるんだけどね。話の構成やキャラの設定から、謎らしい謎にも出くわさないし。ま、そんなモノを期待しなければ実に楽しい読み物である。御年70ン歳にしてこれほどのものを編み出す作者に敬意と羨望を送りたい。あ、もちろん、読みやすくうつくしい日本語に織りなおしてくれる翻訳者様にも。
 続いて『家鳴り(篠田節子/著、新潮文庫)』。
 ホラーではない。おぞましいというか痛ましいというかうすら寒いというか、日常を一歩踏み外した先にぽかっと空いた陥穽の物語が並んでいる。大災害に直面した人間たちのエゴ、いわゆる「社会的弱者」のしたたかさと真に求められる救い、不倫、倒産、児童虐待、新聞を開けばいつでも目に出来る(ってのもどーかと思うんだが)主題ばかり。だから恐怖は覚えない、が、じわじわと血の気が引くような気分の悪さが充満している。かといって大昔の筒井康隆みたいな生理的嫌悪感は無く、ただ、なんというか、ものがなしい気持ちにさせられる。特に「操作手」は、痴呆老人を描きながら、ある意味「いとしのヘレン」の対極にあるSFを構成し、かつ切ないまでの叙情性をたたえてお見事。そこへ現実的きわまりない「金額」を、どかんと置いてみせるのもアイロニカルでいい。
 唯一、手放しでやさしい風景を描く純粋ファンタジー「春の便り」は、以前に他のアンソロジーで読んでいたのだが、これが真中にあることで読者にひと息つかせる構成も好ましい。惜しむらくは、一度読んでしまうとここから先へ進みたくなくなることだ。よし逃避と言わば言え、臭いものにフタがこの国の伝統であり、かつこの本のような作品を生み出す土壌なのだから。え?臆病モンの開き直りですか?<そうです

6月23日(日) 曇のち雨
 久しぶりに早起きして、リアルタイムで『ハリケンジャー』と『龍騎』を観る。どっちもずんずん面白くなってきていて、特に戦隊モノの王道を行きまくる前者は「カッコいい敵がいよいよ味方に?」な展開にさしかかった盛り上げどころ。でもなー、こういうパターンを踏むとその先で大概「こいつこんなに弱かったっけ?」ってことになるからなぁ。ねぇフリオニール兄さん(誰)。
 んで『龍騎』は、「戦わなければならない」「戦いを止めたい」2派の間に「戦い大好き」が乱入してきて、これまた先行きが気になる。並行して神崎兄妹の過去からライダー誕生の話も見えてきそうだし。また今シリーズは脇役の味付けが思わぬところで生きている。主人公のバイト先の編集長(そういえば学校の先輩でもあったんだっけ)の一言とか、その傍らで妙なスパイス利かせてるSEのお嬢さんとか。あと、クドい系演技が鼻についていた優依の叔母さんが、写真に反応した瞬間は良かったなぁ。騒々しくて勘違いしてる「真正オバさん」が見せるシリアスな顔。この一瞬のための役作りか?<そんなハズありませんて

 午後、だらだらとWebを遊弋。近ごろめっきりドール趣味に目覚めたねこまのリクエストでそのへんを歩き回る。6分の1計画…じゃなくて、1/6主体の彼女なのだが、CoolGirlにはいまいち食指が動かないらしい。むぅ、数年前に、なんかこーゆー欧風リアル系ドレスアップねーちゃん人形欲しがってたじゃないか、なんか「決闘」みたいな名前の。
 ねこま「デュ・エルのこと?」
 そう、それ。本物のミンクのコートとか着て、万単位の値段だったヤツ。ああいうのは卒業したんか?一応進歩しとるんか?
 ねこま「単に好み&お財布の問題ダヨ。今デュ・エル見たら、即買うもん」
 う〜む、ダメ人間として着実に成長しておるなぁ。
 ねこま「司葉クンに言われたくありませんヌ」
 いかさま、さようで。

 古風な物言いをしたところで『末枯れの花守り(菅 浩江/著、角川文庫)』を読了。花に託された想いをめぐり、心を捕らえて形に篭めんとするものと、それを阻み自然(じねん)の生を行かせようとするものの、あやかしの物語。うん、まぁ綺麗にまとまっているのではないかな。ひとつ一つの物語もちゃんと落ちてるし、キャラクターたちの在りようの謎が徐々にほどけてゆく引きも効いている。
 ただ、それが激賞に値するかというと、そうでもない。比較するのも妙だが、同じような主題を考えるなら、たとえば波津彬子氏や今市子氏の漫画のほうが、読後も興趣深いものがある。というか、この物語自体が随所にコミック的な表現が用いられていて、なんだかネームを読んでいるような気分にさせられることが多々あるのだよな。また言葉を尽くして情景を説明しているのが、却ってわずらわしく無機的に感じることも多い。すぐれた描き手を得て、漫画化してもらったらさぞや名作ならん、というのが最終的な感想だ。
 あと巻末解説で某伝奇作家が「鏡花の再来」と持ち上げているが、いかがなものか。鏡花と本作を比べるのは、ジュモーとドルフィーを並べて論うようなものではなかろうか。値段はさておき、どちらも持ち手に玩賞されるには違いなかろう、だがその質の違いたるや明白ではないかと思うのだ。
 そういえばドルフィーは楽しそうな素材だよな。いっぺんいじってみたいもんだ。<ダメ人間進化中

6月24日(月) 曇
 やたらめったら寒い日。最高気温が15度とか言ってるからすさまじいやね。いよいよ氷河期か?トワイライトゾーンの真夜中の太陽か?ネタバレごめんなさいか?いやそうじゃなくて。
 先週末から妙な呼吸をしていた猫が、ことさら不調のようなので、相方が病院へ連れて行った。とはいうものの、既に癌(乳腺腫)と診断されているので、かねて警告されていた肺への転移と覚悟を決めてのことである。
 しかし結果は「肺に水が溜まった」というもの。胸水ってヤツである。胸のリンパ節に転移が起き、分泌された水が溜まっていき、自分の体液で溺れているようなものだ。とりあえず麻酔して抜いてもらったそうだが、なまじ元気だったので事前の計量やレントゲンの段階で大暴れをしたらしい。いやはや。
 それにしても、これまでは乳腺腫を各個撃破してたのが、いよいよ本腰を入れて前面闘争せねばならなくなった気がする。とはいえ、PETPETなんかで見ると、乳腺腫には効果的な抗癌剤は無いけれど、リンパ腫にはそれなりに効くものがあるらしいから手段はあるのだろうが…しかし最終的には治るもんでもない以上、どこまで病院嫌いの猫につき合わせるかというのも考えるべきだろう。獣の本能で切り抜けられない局面を長引かせるのは、飼い主のエゴの部分が大きい気もするからねぇ。悩ましいこってある。

 夜、『ポポロクロイス〜はじまりの冒険〜(PS2)』をプレイ開始。つーても自分でやるのではなく、このシリーズの最初からハマっているねこまの肩越しに眺めるだけなのだが。うむ、3D化してもキャラは可愛いのう。姿かたち、しぐさのどれもが微笑ましい。また前作の絵本世界を綺麗に立体化した背景も悪くない。
 ただ、それを上手に見せているかというと、否定的にならざるを得ない。カメラ位置が悪くてマップが把握しにくい。視点移動はできるのだが、極度に限定されていて却ってフラストレーションが溜まる。せっかく立体化したんだから、自分視点で見回せてもいいんじゃないか?SD『キングスフィールド』みてぇでさ。いや、それは冗談としてもだ、とにかく、イライラするんだよ!by朝倉ってな感じだ。あと読み込みがやたらに多く、長い。ソニーのソフトだけにハードディスク販売促進活動中ですか?初期のPC-98あたりで『ウィザードリィ』やってるワケじゃないんだから、もうちょっと何とかしていただきたいもんである。
 まだ始めたばかり、それにストーリーをこそ楽しみにしているのでこのまま続けるとは思うが、こういう呑気なユーザーにしてこの感想である。たぶんセッカチな向きには最後まで遊んでもらえないんじゃないだろうか。たとえばぶん投げられるとか中古屋に叩き売られるとか、コントローラを押し付けられる…のは我が家だけですかそうですか。

6月25日(火) 晴
 昨日、発売になっていたはずの『ペンギンズランチ2』を、勤務先にほど近いスーパーで発見。即効で箱買い。いや、ええと、その、大人だし。<大人買いしたがる時点でコドモだっつの
 相変わらず、造型はいい。今回は特に構図の取り方、ベースとの構成がナイスである。荒れる海から「ぴょん」と帰還するジェンツーペンギン、小石の山に仁王立ちのキガシラペンギンが特に動きを感じさせて好ましい。もちろんヒナ(今回はジェンツー)の可愛らしさもよく出ている。あと、ジェンツーとアデリーは前シリーズにもあったので、合わせて並べるとコロニーらしくなるのが嬉しい。この企画、ダブって嬉しいという点では特殊だよなぁ、まったく。
 ビスケットも、相変わらず美味。ただ、チョコのはあまりソレっぽい味がしないなぁ。もう少し苦味が欲しい…って、オトナみたいなこと言っちゃいけませんね。ごめんなちゃい。

6月27日(木) 晴
 猫を連れて病院へ。週明けねこまが行った際に採取したサンプルの分析結果を聞きに行ったのだが、基本的に予想どおりな状態だった。リンパ節の腫瘍は悪性。肝臓と腎臓の数値も上がっており、今回担当の医師の経験によれば、もって半年程度だろうという。
 とりあえずは抗癌剤を投与して腫瘍を小さくする試みを行い、なるべく苦しくない状況へもっていって、餌が食えれば少しは長持ちするかもしれない…という、極めて後向きな戦端を開くこととなった。いずれにしても負け戦、撤退に戦略的もクソもない、転進と言い換えるも愚かなことだが、それでも出来るだけ静かに、ダメージを少なくしてやりたいものである。いや、飼い主の懐は大ダメージですけどね。抗癌剤投与に至る血液検査・抗アレルギー剤投与・抗癌剤本体・それに前から続いている利尿剤と消炎剤で、13,000円強かかるんだぜ!
 …ちなみに猫は捨て猫を拾い主から貰ったモンである。げに只より高いものはないのぉ。

6月29日(土) 晴
 例によって猫を病院へ。待合室でつくねんとしていたら、以前にお会いした年配のご婦人が近付いてきた。やはり手持ち無沙汰に待っておられるらしい。お互いのペットの病状についてひとしきり会話した後、彼女はニコニコとこう言った。
 「この前一緒だったのは娘さん?」
 は?僕はねこま以外は「生猫」としか此処へは来ないが?しかし人相風体を問うても毛むくじゃらでヒゲがぴ〜んとかじゃ無い、どうも彼女に間違い無さそうだ。
 ご婦人、僕と彼女は同い年なのですが?
 「あらあらあら。高校生ぐらいかと思ってたわ〜」
 そりゃまあ、我が相方は大学の時に中学生と間違われた過去がありますけどね。40目前の今、高校生ってのは幾らなんでも無理っすよ。つか目ぇ悪いでしょアナタ!僕だって20代後半ぐらいに見てくれても!<無理

 午後、久しぶりに柚さんご来臨。お土産をぱくつきつつ、かねてより録画しといた『あずまんが大王』のアニメをご覧に入れる。かなりお気に召したご様子、何よりである。時々絵を使いまわしてリピートギャグを入れる点を除けばテンポよく、4コマの空気もソコソコ生きてるし、アニメならではの表現も上手く取り入れられて結構な出来栄えだものなぁ。ただ、柚さんはさのみでもないが、欲を言えば声が…というのが、原作ファン共通の思いだろう。それも、人によってバラバラに。たとえば僕は「ちよ父」が合わない気がする。できれば森山周一郎にやって欲しい…って予算に見合わないだろうけど、ね。
 柚さんからはまた『レディホーク』のDVDの情報もいただいた。テレビの前に彼女をほったらかして、即刻購入の手配をする。ううむ、便利な時代になったものよのう…って、すいません柚さん。つか最初から予測の範疇だったみたいで、それも非常に不本意なんですが<ダメダメ

6月30日(日) 晴
 今日も猫と病院へ。ねこまも一緒についてきたが、人間が増えたから何か出来るワケでもない。猫が自分で餌を食うようになるまで、ひたすら注射に通うのみである。
 帰途、豊平川の土手でしばし日向ぼっこ。老人と猫の風景・野外版といった趣である。しかし陽差しが異様に強まってきて、シワシワ状態をスッ飛ばして干物になりそうな気がしてきたので早々に撤収した。紫外線がことのほか堪える、お肌のヘヤピンカーブな年頃である。

 午後も遅くなってから、水槽の掃除。今日は汚れも目立たないし、のんびりイケるな〜…と思っていたら、なぜかコンセントが1個外れているのを発見した。ん?これ何よ?
 フィルターだぁっ
 声にならない絶叫。つまりアレか、1週間動作してなかったってことか?ギャース!ファッキュー!つかさのばびーっち!もう何をどう言ったらいいか分かりませんがなのパニック状態。それにしても、なんで気付かなかったんだ?つか、みんな健康に生きてるのは何故よ?
 ねこま「水作クンがいるからと思われ」
 へ?確かに、夏本番前の用心にサブフィルタとして「水作」を入れたが…こんなチッポケなモンで1週間を乗り切ったのか?むむぅ。はなはだ疑問ではあるが、他に解釈のしようはない。とりあえず有難う水作君!
 ちなみにメインフィルタの中身は壮絶に臭いどぶ泥と化していた。これに塩を振り掛けると汚い磯の雰囲気が味わえますってなモンだ。あと豊平の方のコ●コーラと明●の工場が並んでる辺りで同じ匂いがしますが何故でしょうか。いやローカルネタなのは分かるけど疑問なんだよな。中で半魚人でもこさえてますか?それとも対トリフィド用自走式海水砲でも開発してますか?関係者の方、ここ見てたらぜひリークしてくださいよろしく。<見てねぇだろうな

 夜、病猫はようやく餌を口にした。モノは僕らの皿から取り分けてやったマグロの刺身。筋のないところを細かく刻んでやったら、ふた口ほどもぞもぞと食べたのである。僕は安堵し、ねこまは大喜びしていた。しかし相方よ、このまま贅沢猫になったらどうする気だ?僕ぁ某クリンゲンショーエンの遺産相続人ではないのだよ。ってちっとも某になってませんな、すいませんクィラランさん。近々続巻が出るそうなので楽しみにしてますでーす。


翌月へ




[ 銀鰻亭店内へ ]