6 軌道エレベータの光と影
●と−で軌道塔を書くことに挑戦(笑)してみました。等倍フォントで見なければ意味のない図なので、この図のみCSS定義ファイルで総称フォントによる等倍の設定をしています(等倍にならない方、すいません/あと、一行の文字数が半角68字以上でなければ、月の位置などが折り返されてしまうと思われます…)。
地球 |ここらへんが静止軌道(約36,000km)高度 月(約38万km)
↓ ↓軌道塔が一番太い所 ↓
A ●−−−−−−−− ・
↑終端(約105,000km)
↓ここらへん(約25,000km)が中間点ステーション(A・C・クラーク等)
B ●−−−−−−−−−−−-
↑終端(約146,000km)
軌道塔の全長は、Aがシェフィールドの『星ぼしに架ける橋』の、Bがクラークの『楽園の泉』の設定のものです(どちらもハヤカワ文庫SF)。両者の長さの違いは、外側の終端にどれだけの「重し」…主に塔の振動を減衰させるため…を付けるかや、想定した建造方式や構造等の相違ではないかと思ってます。
地球を全角1字として、軌道塔の長さ(高さ)を概算で求めています(地球の直径を12,760kmとすると、クラークの『楽園の泉』の設定のものは 12,760:146,000=1:11.44)。
ちなみに、中間点ステーションより上の位置なら、軌道塔から自由落下しても(大気の摩擦等がなければ)地上には落ちないとか(楕円軌道の短径が地球より大きい、のかな)。
これが、太陽に対して23.5度程傾いて一日一回回転している訳で、そうすると、夏と冬には、軌道塔基部が夜でも、地上1万kmあたりから上の部分は地球の影の外側に出るみたいです(常に太陽に照らされている…地上でも、極地では白夜がありますからね〜)。春や秋には、軌道塔基部が夜になると、軌道塔全体も地球の影に入りますが。
そして、軌道塔の静止衛星軌道高度ステーションから見た太陽と地球の関係も、季節によって変わります。
静止衛星軌道高度ステーションからは、地球が足元に置いた、直径約50cmの球に見えます(地球の半径を6380km、静止軌道高度を地上36,000km、観測者の身長を1.7mとすると、足下の点から半径25.6cmの位置に地球の円周が見えることになる、はずです)。
春分と秋分には、太陽は赤道の真東から南方に23.5度程ずれた位置から顔を出し、正午には軌道塔を真上から照らして塔の影はなくなり、隠れ行くのは赤道の真西から北方に23.5度程ずれた位置の向こう側へ、となります。
夏至には、北極を上にみれば、明るく照らされた北極地方を前景に、太陽は左から右へと、地球の向こうを動くでしょう。(厳密には、大背景である天球が、光の球である太陽を嵌め込んでくるりくるりと回る、と言うべきでしょうか。正直、上手い言い回しが思いつきません。)
冬至には、太陽は、今度は明るく照らされた南極地方の向こう側に見えます。北を上にして見るなら、地球の下を左から右にくぐって行くのです(地球が、太陽の上方を右から左にすべって行くのです、かな)。
ですから、春分を起点とすると、夏至に到る3ヶ月は、段々と軌道塔全体の日毎の日照総量が増え、夏至でピークに達します。夏至から秋分までの3ヶ月は、日照量は段々と減って行きます。秋分を過ぎ冬至まで、再び日照量は増え、そしてピークとなる冬至を過ぎると、春分まで日照量は減って行きます。
正確な間隔は計算してませんが、春分/秋分を挟んだ何日間(?)かは、軌道塔全体が夜の影の中に入る時期があり、その間、塔壁への日照を利用した発電は出来ませんね。もっとも、塔の先端は春分/秋分のその日でも、20分程度で夜の影を横断するみたいです(^_^;)。上の図の寸法比率で、24時間で一回転している訳ですから…。ちなみに静止衛星軌道高度では、夜の影横断に2時間20分程かかりそうです。
[この項は私が以前 JACKIN名義で NiftySERVE FSF ハードSF蘊蓄講座 へ書き込んだ文章を編集したものです]