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2 非定点設置型軌道塔 

 この物件の重心は、適当な高度で軌道速度を与えられて、惑星・衛星の人工衛星と見なせます。
 重心が静止衛星軌道高度よりも低い位置にあるので、その速度は、惑星・衛星の自転速度よりも速くなります。
 地上と塔部下端の連絡には、スペースシャトルを発展させた感じの航空機などを用いることになります。

 この物件は、林譲治『ウロボロスの波動』早川書房 のアムピスバイナなどの様に、惑星の衛星軌道ではない宇宙空間への設置も考えられます。
 構造強度が問題になるでしょうが、宇宙船の[方向転換機/軌道転轍機]としての用途もあり、かもしれません。

 ・ 塔部が地上に対して垂直になっている方式の軌道塔
 前述した定点設置型軌道塔の、定点設置という条件を外したものです。
 塔部の下端は、地上に対する相対速度をマッハ10程度に抑え、かつ、大気との摩擦を回避するため 100km程度の高度に位置するよう、重心の高度と塔部の規模を勘案します。

 ・、塔部を回転させる方式の軌道塔
 ロータベータ、ボロ・システム、等と呼ばれるものです。
 塔部は、重心の回りに回転しています。その回転は、人工衛星としての公転と同じ向き、同じ回転面です(転がる車輪の回転中心の移動方向と、その輻の回転と同じ関係、と言えるでしょうか)。塔部の先端は、地上に接することはありません。
 塔部を回転させない方式と比べると、重心の移動速度と塔部の回転速度を調整することで、塔部先端が最下端に来た時の先端の速度を、惑星・衛星の自転速度と同じ…相対速度=0(前述の[転がる車輪]の比喩の、地面と車輪の接する部分の相対速度が0であることと同じ)にできるので、地上との連絡が容易になる利点があります(大気との摩擦は増えますが)。