4 軌道エレベータは横たわらない
点重力源…恒星、惑星、衛星、など…の周囲を公転する物体は、その物体が細長い形状の場合、その細長い方向を重力傾斜に沿わせる向きにしようとする力が働きます。
その理由は「点重力源に対して軌道運動を維持するのに必要な公転速度は、高度が高くなる(点重力源から離れる)に従って少なくなる」からです。
軌道運動をするまっすぐな棒を例に説明します。
棒の重心部分は、点重力源に対して軌道運動を維持するのに必要十分な運動速度を持っている、とします。
棒の、重心から離れた部分は、まっすぐな棒ですから、点重力源からの距離は重心部分の距離とは違ってきます。
点重力源に対して、重心よりも遠い位置にある部分は、その「遠い位置」での公転速度よりも早い軌道速度を持っていることになり、点重力源に対して遠心力が働くことになります。つまり、より遠ざかる方向に動かす力が働くことになります。
点重力源に対して、重心よりも近い位置にある部分は、その「近い位置」での公転速度よりも遅い軌道速度を持っていることになり、点重力源に対して求心力が働くことになります。つまり、より近づく方向に動かす力が働くことになります。
どちらの「動かす力」も、まっすぐな棒を点重力源に対して”立たせる”向きの作用をする力になります。
つまり、軌道運動をする棒状の物体は、積極的・能動的な姿勢制御をしなければ、重力に対して”立つ”形で安定する、のです。そして、”棒”が”紐”の場合、軌道運動する紐は、ぴん、と張る形で上下に延ばされる、ことになります。