店名の由来とあるじについて
銀鰻亭縁起
かつての日うかれ歩きし旧き都大路に 今 絶えて人影の無く
灰塵の中に立ちて思い馳すれど 追憶のみ空しゅうするばかり
さればとて滂沱の涙そそぐは我が性にあらざれば
土塊を取り石を積み 昔日の佇まいに似せたるを以って宿とせん
我、そのかみのあるじのごと うまし酒は注げねど


 「剣と魔法」という言葉がある。英語で言うとSwords & Sorcery。
 いわゆるヒロイック・ファンタジー一般を指す決り文句だが、この言葉の考案者が作家フリッツ・ライバーだというのは、意外と知られていない。
 んでもってご本人も、日本ではあまり知名度が高くないようだ。SF・ファンタジー・ホラーなどの分野で活躍し、『闇よ、つどえ』『放浪惑星』『バケツ一杯の空気』『ビッグ・タイム』『闇の聖母』などの著作がある、欧米ではビッグネームなのだが・・・・何故だろう。出版物のほとんどがサンリオSF文庫だの創元推理文庫だのに偏っているせいだろうか。前者はツブれてしまったし、後者は絶版の嵐だし。
 ・・・・前置きが長くなったが、当然ライバー自身もヒロイック・ファンタジーをものしており、わけても有名なのが『二剣士』シリーズである。北方の部族出身の大男ファファードと小柄な盗賊グレイ・マウザーのコンビが冒険行を繰り広げる物語群と思っていただこう。50年の長きにわたり書き継がれた物語はその年月の間多くの人に愛され、ファンジン物のミステリや楽屋オチ入りSFなんかを読むと、よくネタになっている。近年見かけたのはニーヴン&パーネル&フリンの『天使墜落』で・・・・って、こっちの話はまた今度。

 この『二剣士』のメイン舞台である、架空の都市「ランクマー」の片隅、「朧小路」の一角に、銀鰻亭という酒場はあった。かの二剣士が街にいる時は好んでとぐろを巻くところ。邂逅の頃、グレイ・マウザーがこの店の裏手に、彼の「姫君」とともに隠れ住んでいたこともある。この物語に読みふけった過去をもつ(シリーズ続行を求めて創元社へリクエストを書いたことさえある)身には、だから忘れがたい名なのだ。下手な詩句をひねって偲んでしまうほどに。
 で・・・・それだけなのだ。
 結論を先に言うと1行で済むところを、延々脱線し回り道して過程を楽しむ。ついでに他人を付き合わせる。そういう店主が、独り言を呟きつつ身の回りのものを並べておく場所に、好きな店の名をつけたという、そういうことである。
 そう、ここは『二剣士』のファンページですらないのだ。ご勘弁願いたい>ライバー翁

 店主の姓は司葉、名は柾樹・・・・と言いたいところだが、もとより本名ではない。Webなんてものが存在するはるか以前、高校生の頃から使っていた名である。
 さりとて筆名と名乗るほど、文章が上手いわけではない。もとよりそれを生業ともしていない。趣味はやたらに多いが、どれも一芸の領域には達しない。それを重々承知のうえでページなど開いているのは、単に知り人への近況報告のつもりである。一種、露悪趣味かもしれないが。
 そういうヤツである。以上の詮索はご無用に願う。万一どうしても詮索したくなった奇特な方は、のろのろと増える(であろう)ページを追ってみていただきたい。
 さらなる疑問が生まれたとしたら?それも司葉の一部である。


 なお、こんな店ゆえ基本的にリンクフリーだが、個人に属するものを多々並べるため、ページ内容については全て無断転載を禁じている。ご理解願う。



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