早見裕司 ...last update 2003.03.20  [上]に戻る

『少女武侠伝 野良猫オン・ザ・ラン』ENIX
  購入:2003/01/24 読了:2003/03/18 

 少女が主人公の、特撮風味の活劇もの。
 多少なりとも似た感じとしては、私はTV『スケバン刑事』あたりを挙げたいかな、と。
 主人公は、少女なんですが一昔前なら多分、少年キャラとして設定されたんじゃないかな、と思ってしまうくらいに色気なし元気あり反骨精神旺盛な体育系猪突猛進真っ向唐竹割り行動派、です。
 少女のサポート役の大人たちは、七癖も八癖もある、自称も他称もマッド・サイエンティストな男と任侠系姐さんな女性の夫婦、少女の武道の師匠である、大陸から来た無頼派仙人風の老師、等々。加えて、主人公の少女の《補佐役》となる、マッド・サイエンティスト謹製のメカ虎(言葉を話しバイクに変形する)と気弱な少年。
 そして、人造人型機械少女・量子コンピュータ付き、が物語の台風の目になります。
 敵は、日本政界に隠然とした影響力を持つ[あの方]なる存在の使嗾者と、老師との因縁を秘めた大陸系一大犯罪組織の幹部です。

 敵たちに狙われる機械少女を、少女たちは新しい家族の一員として受け入れ護ろうとする、のが物語の縦糸ですが、その攻防は、雑魚としてヤクザ組織が横行する、私は泥臭い印象を持ってしまった、いまいち乗り切れない展開でした。
 気に入った点は、主人公の少女の戦う意志の強さと、機械少女との《絆》が生まれてゆく過程、です。

 この一作は、主人公の少女と機械少女の出会い編、な感じで、今後の展開を知りたく、想像を逞しくしています。直接の続編でなくて、何十年か後、今作の少女の子孫と、成長/変貌した機械少女の話とか。


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