ルイス・ウォルフ ...last update 2003.01.11
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『海底旅行』角川文庫
購入:19??/??/?? 読了:19??/??/??(文庫奥付 昭和52年7月30日 初版発行)
大西洋の海底を、アメリカからヨーロッパまで「徒歩で」横断する物語です。
物語の大半は、大西洋の底を歩いてゆく行程で占められています。過度に劇的な展開(例えば、敵対する組織のエージェントや潜水艦が登場して妨害工作をする、みたいな[ハリウッド映画]風の成り行き)は全くありません。様々な[危機]や[事件]は起りますが、それらは基本的に[海]に起因するものです。そして、主人公達は[海]から与えられる[危機]や[事件]をクリアし、同時に、様々な海洋底の事物や驚異に遭遇しながら、ひたすら東(ヨーロッパ側)を目指して歩き続けます。
主人公達に海底を長期間に渡って歩かせるために、ホメオスタットと呼ばれる魔法的装置や未来的なウェットスーツ等が設定されていて、その機能の詳細の記述もあったりしますが、SF的な[虚構]はそれくらいで、全編に溢れているのは「私は実際にこんな旅行をしたい」という想いが窺える描写の数々です。
「海洋冒険小説というよりはリアリティに満ちた興味深い一種の啓蒙小説」(P312・訳者あとがき)というのが相応しいと、私も思いました。
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