山本弘 ...last update 2004.01.03  [上]に戻る

『神は沈黙せず』角川書店
  購入:2003/11/05 読了:2004/01/02 

 2004.01.02 記。
 年が改まってからようやく読み始めて、興に乗ってしまい、ほぼ半日で読了してしまいました。

 以下、読み進める中で思ったことの幾つかを、思い出すままに。

 [人は信じたいものを信じる]
 …和久優歌、和久良輔、加古沢黎、柳葉月、大和田省二、[神]…山本弘は「どれ?」。

 [神は全てをみそなわす]
 …だまし絵、アスキーアート、モザイク画。等々の直喩的なものだけでなく、伝統的な芸術作品や書籍も、なかんずく[世界]の様々なレベルの様々な事物もまた、「それ」を構成する個々の要素は、「それ」を「それ」である、と見るものにとっては、「それ」を成す要素であり/でしかなく。「それ」が「それ」であることで「それ」に関心を注ぐものは、普段は「それ」を「それ」そのものとしてしか見ず、「それ」の個々の要素までをも不断に・明確に、すべからく把握・認識している/できる、ものではない/二の次である、と。

 『新世紀エヴァンゲリオン』?

 [世界]の真相が次々と白日の元に曝され[神]の実存が確実なものとなり、現実の脆さが露呈して、[神]の理解不能な意志によって不条理な現象が多発するくだりに、私は、竹本健治『腐食の惑星』新潮文庫/角川ホラー文庫 の前半や、ジョナサン・キャロルの諸作品(『月の骨』『炎の眠り』『空に浮かぶ子供』etc.東京創元社)を読んで覚えたものに近い「恐怖」を感じました。
 ありがたいことに、最終的に提示された結論は、私が覚えた「恐怖」を、大いに和らげてくれるものでした。
 その結論の前向きさ/澄明さに、私は安心と、多少の物足りなさを感じました。

 SBG仮説。
 [神]は、[世界]の[外]にあり/[世界]とは[別]の[他者]であり、[世界]と対峙している、と。
 人の活動と、人体(を構成する臓器・細胞)との相互作用に譬えられる、[世界]自身の活動に付随する現象、あるいは活動そのもの、と、私は見たかったり。
 [世界]は「グローバル・ブレイン」ではなく「グローバル・エンティティ」…[世界]=[神]であり。[世界]はそれ自身として在り活動し、また、[世界]の[外]と何らかの相互作用をしていて、人間の活動に伴う人体内部の反応に相当する、[世界]自身の活動や、[外]との相互作用に対する/に応じた[世界]内部の反応が、[世界]に起こる[現象]である、と。
 SBG仮説との違いは、[世界]の事物の成り行き/因果の[意味/意義]の違い、でしょうか。…う〜ん、違い、と強弁するほどの相違は、私の心情的な着地場所の違い以上のものでは無い気もしたり(^^;)。


 『時の果てのフェブラリー』が好きです。あと、《サーラの冒険》シリーズの続きが読みたいです。


 2004.01.03 記。
 [世界]=[神]という説では、この物語世界で起こった[超常現象の多発/世界律の変容]の説明が、[世界]=[神]とは別に必要なことに気付きました。え〜と、体調の変化…成長、病気、変身、等、とか(笑)。


上端へ