天酒之瓢 ...last update 2016.04.04
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『ナイツ&マジック 1』ヒーロー文庫・主婦の友社
購入:2013/03/05 読了:2013/03/05
現代の日本人が、その記憶と才能を持ったまま、剣と魔法と巨人型兵器・幻晶騎士と魔獣が存在する世界に転生し、前世の趣味丸出しの暴走気味な人生を送る物語。
読み始めた時には、語り口や展開の強引さ・勢いに戸惑いました。
が、内容自体には大いに魅了されてしまったようで、初読以降、気が向いたら読み返し、を延々と繰り返しています(現在進行形)。
その関心のままに、
ウェブ小説版:http://ncode.syosetu.com/n3556o/
…も、第5章#59まで読了してしまいました。
***
以下、思い付くままに感想など。
読み込むにつれて幾つか、設定や展開に違和感・疑問を感じるようになりました。以下に、それを記したいと思います。…もちろん、作品内の描写の方が「正解」であり、感じた違和感は個人の好みでしかなく、せいぜい後知恵でしかないことは言うまでもありませんが。
『魔法の改造』(P42等)
『銃杖(ガンライクロッド)』(P74等)
…主人公は自分の異才を隠すように行動しているとは思えません。積極的に不特定多数に開示するような、思い上がった自己顕示の類はしないものの、身近な人々にまで隠している描写はありません。友人たちの一部には、その成果を教授することもしています。
主人公の祖父は、剣と魔法を体系的に教育する学園の学園長であり、主人公の父親は、その学園の剣技の教官であり、主人公の母親は、祖父・学園長の娘であり主人公に魔法の基礎教育をできる知識と能力を持っていて、その全員が、主人公と同じ家に住んでいます。
主人公が改造した魔法や、主人公が発案した銃杖が、母や父や祖父に注目されず関心も惹かない、とはとても思えないのですが、そんな様子は描かれていません。
その有用性・汎用性・利便性が描写されるほどに、周囲の人たちが驚いたり感心したり知りたがったり欲しがったり悩んだりする様子がない(描写がない)ことに、違和感を感じざるを得ないのでした。
主人公と友人二人が、主人公の父親から私的に剣技の指導を受けるようになった。(P58)
…ここは、明示的な描写はないものの、主人公の父親が主人公の友人たちに私的に剣を教えることについて、友人たちの保護者(親)に許可を求め・許可を得ていないと変ではないか・許可を得ているのだろうな、と思っています。主人公の父親は、教えるに当たって保護者(親)の許可が必要だと考え、主人公や友人たちに告げるのが当然ではないか、と。
親は、子供たちが何を学び・何が出来るようになる・なっているのか、を把握したいでしょうし、知ろうと考える・知っておくのが親として当然ではないか、と思うので。
この事を切っ掛けにして、家族ぐるみの交流が始まった、とかの可能性も考えられますし。
『紋章術式(エンブレム・グラフ)』(P118等)
…魔力転換炉(エーテルリアクタ)と組み合わせて、外壁の強化に使ったりしないのかな、と。
対魔獣戦は幻晶騎士による機動戦闘が全て、という前提なのかな、とも思えますが。
後半、成り行きで主人公と大事件の中心で行動することになった、主人公の先輩について、P278等の描写を読み。
大事件の終息直後に、主人公が祖父と父親に大事件の子細を報告する場面を用意して、その報告の中で、行動を共にしてしまった先輩のアフターケアを祖父と父親に依頼する、的なエピソードが欲しかったかも、と思うようになりました。
***(2013.04.07 追記)
『−−この世界で魔法と呼ばれているものは、簡単にいえば魔力(マナ)を現象へと転換する技術のことである。
この世界の生物はすべて、大気中に存在する『エーテル』を体内に取り込んで魔力へと精製する機能を有している。さらに魔力はある程度、身体の中にためることができる。』(P34)
『世界には2種類の生き物がいる。自力で魔法を使える生き物と、魔法を使えない生き物だ。この差は、体内に「触媒」を有しているかどうかによって決まる。魔法が使える生物は、体内にこの触媒にあたる結晶質の物質を持っている。
(中略)
人間は魔法を使えない。体内に触媒結晶を持っていない(以下略)』(P35)
『騎操士(略)鍛冶師(略)錬金術師(略)刻印術師』(P180)
…主人公は母親と書籍から、魔法の原理と使用法を学習します。この物語世界では、魔法は理論も実践も一般的な知識として共有されているものと思えます。主人公が通うことになる学園には、『魔法学基礎』(P100)という授業もあります。
このように、魔法についての研究・実践が広く行われている世界であるにもかかわらず、この作品では、魔術師/魔法使い、という呼称も個人も組織も、第1巻では記述がありません。一番近いのは「刻印術師」でしょうか。
つまり、この物語世界には、魔術師/魔法使い、という概念・呼称・役職は無いのかもしれない、と思えます。もしかすると、作者氏は自覚的に、魔術師/魔法使いという言葉を使わないようにしているのかもしれない、と思ったりも。…不思議です(笑)。
『馬車』(P17など)
…少なくとも、この物語世界には「馬」が存在しているようです。ただ、どのような外見をしているのか、この世界の「馬」は魔獣なのか否か、等は明記されていません。
家畜・家禽の類(犬・猫・牛・豚・鶏・羊・山羊、等)は、いるともいないとも記述はありません。
家畜やペットとして魔獣を飼っていたりするのか否かは記述がありません。
『幻晶騎士を構成する最も重要となる5つの要素−−すなわち頭脳たる魔導演算器(マギウスエンジン)、心臓たる魔力転換炉(エーテルリアクタ)、筋肉たる結晶筋肉(クリスタルティシュー)、骨格たる金属内格(インナースケルトン)、そして鎧である外装(アウタースキン)だ。』(P116)
『結晶筋肉とは触媒結晶を錬金術で加工したもので、特定の魔法術式(スクリプト)と魔力(マナ)の作用により形状を変化させる性質を有している。(中略)内部に魔力をためる性質も有しているため魔力電池としての役割も持っていた。』(P117)
…魔力を魔法に転換する触媒結晶の出所は、前記の「体内に触媒結晶を持つ魔獣」しか、第1巻では明記されていません。
とすると、恒常的に需要がある・常にある程度の量を確保しておく必要がある触媒結晶を、安定的に確保・供給するために、特定の魔獣を、たとえば牛や豚や鶏のような感じで品種改良したり、大量に飼育していたりするのでしょうか。
…第1巻では全く触れられていない点に、上下水道や灯火や調理などの火気、等があります。
電気の類が使われているか否かも、第1巻では全く触れられていません。
幻晶騎士の操縦席には『幻像投影機(ホロモニター)』(P175など)という呼称の、外部の映像を騎操士に見せる装置があるようです。が、これは呼称だけで、動作原理などは(おそらくは魔法によるものなのでしょうが)何も記述されていません。
揚水、送水、汚水処理、照明、調理、などにも魔法的なものが使われているのかもしれない、と推測はできますが、現在の処は謎な点です。
『ナイツ&マジック 2』ヒーロー文庫・主婦の友社
購入:2013/06/01 読了:2013/06/01
ウェブ小説版:http://ncode.syosetu.com/n3556o/
…は、第5章#61まで読了しました。
***
今回は、新型幻晶騎士と幻晶甲冑(シルエットギア)の開発と、新型幻晶騎士強奪事件、そして銀鳳騎士団の結成が命じられるまで、でした。
ウェブ小説版との最大の違いは、本文の末尾に付け加えられた1エピソードでしょう。他は、幻晶甲冑の試作機製造担当にバトソンが抜擢されたこと、くらいでしょうか。
挿絵のメカデザインが、『1』と比べて、やや縦長と言うかバランスが人間に近くなった感じです。
ヘルヴィさんのデザインは、ちょっと無防備というか露出部が多い気がします(苦笑)。
ディートリヒが、ウェブ小説版と同じく自力更生だったのは、個人的には少し残念です。
あとは、ウェブ小説版では具体的な原理や機構や構造の描写が無い魔導演算器(マギウスエンジン)の説明が、今後にあればいいな、と思ってます。
***(2013.06.02 追記)
新型幻晶騎士の開発には、学園の設備と生徒が学園長の認可の下に盛大に使用されているにもかかわらず、学園長を除く教師たちは参加どころか相談役とかもしている気配はなく、逆に生徒たちが学園長を巻き込んで独走している状況への懸念も反発もない様子、というのは、改めて考えると異様な気がします。
この物語に教師たちとの悶着は不要、とは思いますが、学園全体を巻き込んで行くのですから、教師たちの変化も描いて欲しかったです。
成り行きや描写から考えると、教師が生徒たちを指導する「学園」であるのは中等部までで、高等部とは言いつつも、実質は「ライヒアラの守備隊」として、見習いから一人前直前まで先輩が後輩を指導する形で・高等部の生徒たちが任されて運用されている、という想定もでき、そう考えれば納得できるなとも思えますが、もしそれならそれで、もっと事前に直截に明示して欲しいです。
生徒たちが、教師たちに積極的に相談したり助言を受けたりしている様子も、ないとは思えないので描いて欲しいです。
***(2013.06.06 追記)
『板状結晶筋肉(クリスタルプレート)』(中略)魔力貯蓄量に特化した性質を持つ結晶筋肉(P121)
…この世界の人間は、誰もが大気中のエーテルから魔力を生み出している、ということなので、これを身に着けて魔力を貯めれば、貯めた魔力と紋章術式で火や光を生成し、調理や照明に使えたりしないでしょうか、と思い付きました(笑)。
***(2013.06.07 追記)
展開を振り返っていて。
グゥエール(テレスターレ化)は、騒動の後で、カザドシュ砦に置いていった(ディクスゴード公爵に渡した)のかな? という疑問が浮かびました。
アールカンバーを回収したり砦の後始末を手伝ったり損傷したカルダトアを修理したり、の後、一段落して彼らが砦に来た理由を問われたら、建前としてグゥエール引き渡しを述べることになるでしょうから、引き渡した、と考えるのが妥当でしょうか。
それとも、帰路の危険性を考えると、グゥエールは護衛に欠かせない、として特別扱いに? エルネスティたちのモートルビートがあれば、とも思いますが、決闘級魔獣には心許ないでしょうし。
新型機の扱いの基本条件や、その後の段取りを考えると、グゥエールは公爵に引き渡し、代わりに砦のカルダトアを貸与(実質は供与)してもらってディートリヒが使い、それとエルネスティたちのモートルビートを帰路の護衛とした、という想定が出来そうではあります。
擱座したアールカンバーも、公爵に委ねたのか、別途・折りを見て取りに行く(行った)のか(騒動の直後に持って帰るのは無理でしょう)、という疑問も出ますが、こちらは、最後の方のエピソードでのエドガーとヘルヴィさんの会話から、ヘルヴィさん(や学園の人)が日を置いて(?)砦に出向いた感じなので、その時に持ち帰ったのかも、と思えます。
描かれた内容からすると、エドガーが意識不明であること・アールカンバーが大きく損傷したこと、等は、砦の騒動から間を置かず学園に伝えられ、即刻に迎え・増援が学園から遣わされ、エドガー(とアールカンバーも?)を引き取った、としか思えませんが、意識不明の怪我人の移送に躊躇は無かったのだろうか、と今更に思ったりもしてます。
***(2013.06.11 追記)
幻晶甲冑を幻晶騎士の操縦席に使う、という仕様追加をしないかな〜、と思い付きました(笑)。
『1』の陸皇亀戦の時のような二人乗り(違 は難しいかもですが、万一の脱出装置に出来そうですし、脱出後の戦闘力・防御力・機動力としても、さらに未だ生身が残ってる、的な安心感もある感じですので。
『ナイツ&マジック 3』ヒーロー文庫・主婦の友社
購入:2013/10/01 読了:2013/10/01
ウェブ小説版:http://ncode.syosetu.com/n3556o/
…は、第5章#64まで読了しました。
***
今回は、人馬型幻晶騎士の開発、フレメヴィーラ王国の人事更新(銀鳳騎士団のお披露目、王の交代、等)、魔力転換炉(エーテルリアクタ)の製法を得たエルネスティが専用機を建造、でした。
テレスターレ→カルダトア・ダーシュ→カルディトーレ、という流れはウェブ小説版と同じでしたが、さりげなく(というか地味に)『容量特化型の結晶筋肉』の実用化が追加されてました。
あとは、銀鳳騎士団の本拠地(ライヒアラ近傍の東の森の中に新設されたオルヴェシウス砦)が、特にエピソードもなく用意され運用が開始されたこと、と、魔力転換炉(エーテルリアクタ)の製法を得るエピソードに魔獣との大規模戦闘が絡んだこと、あたりが、ウェブ小説版との違いとして挙げられるでしょうか。
キャラクターとしては、バトソンやヘルヴィが健在だったことが嬉しいです。
バトソンを主軸に置いた、幻晶甲冑の全国展開あたりをネタにした外伝を読みたいかも、とか思ったり。
アールカンバー→アルディラッドカンバー、グウェール→グウェラリンデ、の機種転換は、もう少しエドガーやディートリヒが自分の意向や思い入れを語ったりするエピソードが欲しかったかな、と思いました。
今回、物語の中で3年くらいの時間が経過しているのですが、それを実感できる描写やエピソードがもっと欲しかった、と感じました。
いっそ親方(騎操鍛冶師(ナイトスミス)隊長)が結婚したり、その親方の奥さんがオルヴェシウス砦の厨房の支配者になったり、エルやアディ,キッドの母親やステファニア・セラーティがオルヴェシウス砦の事務方に入ったり、的な周辺環境の地固めも欲しかったかも、などと空想しました。
***
『この世界の生物は例外なく魔力を身の内に蓄えている。体内に触媒結晶を持たず、魔法を使うことができないものにも魔力を生成する機能は存在するのだ。さらには生物の体の中で、この変換をおこなっているのは『心臓』であることがわかっている。呼吸と共に体内に取り入れられたエーテルは心臓に送られ、そこで魔力へと変化する。
「この変換をおこなう核心が、我々の心臓に存在する『触媒結晶』なのです」』(P340)
『「もともとね、私たち人間は体内に触媒結晶を持っていない、魔法の使えない種族だったのよ」』(1巻P35)
…上記引用文では、人間には触媒結晶がない、と言いつつ、この世界の生物の心臓には例外なく触媒結晶がある、と、大いに矛盾した言及がされているように思えます。
私には、本文の記述からは、この「人間は体内に触媒結晶を持たないが、人間の心臓には触媒結晶がある」という設定の矛盾を、矛盾としないような何らかの解釈は、いまのところできていません。
たとえば、魔法を使用可能にする体内の触媒結晶と、魔力を生成する心臓の触媒結晶とは、全くの別物である、といった類の言及を、本文の中に見つけることができません。
血液に浸かった状態だと触媒結晶は魔力を魔法に変換できない or エーテルを魔力に変換することしかできない、という一文でもあれば、とも思うのですが、それがあっても「人間は触媒結晶を持ってない」という言及があるので、なんとも好意的・肯定的な解釈ができないのです。
たとえば「血液や肉体には、触媒結晶としては働かないながらも、その素材/前躯体とでも言うべきものが含まれていて、肉体を還流する間に『生命の詩』の効果によってエーテルから魔力を生み出しているのです。そして『生命の詩』と血液だけでなく触媒結晶を付加すれば、自然の生物とは桁違いの魔力生成ができることが研究の中で判明したのです」とでもしてくれていれば、と思ったり。
***(2013.10.12 追記)
『勝手知ったるとばかりに駐機場へと入ってゆくツェンドリンブル。(中略)操縦席から飛び下りるようにして一組の少年少女が降りてくる。キッドとアディの双子だ。彼らは普段、ライヒアラ学園街にある実家で暮らしている。そこからオルヴェシウス砦まで通うための移動手段として、ツェンドリンブルを使っているのだ。』(P350)
…中盤くらいまでキッドとアディが使っていたツェンドルグは、ツェンドルグがツェンドリンブルへと変わるためのたたき台として、それ自身が最終的にツェンドリンブルに改修された、のでしょうか。
そして専用機扱いとは言え、通勤にツェンドリンブルを使うのは、現実世界で通勤に大型トラックか戦車を使う的な違和感・異常を覚えます。
それよりは、キッドとアディのモートルビートを改修して、たとえば合体機構を追加して・幻晶甲冑版のツェンドルグ/ツェンドリンブルな形になるようにして・その場合は動力/魔力源をどちらか片方から得るようにして・現実世界のオートバイな感覚で中距離高速移動能力に長けたものになる、みたいなモノを作り、それを通勤に使っている、とかで良かったんじゃないか、などと空想するこの頃です。
『ナイツ&マジック 4』ヒーロー文庫・主婦の友社
購入:2014/04/29 読了:2014/04/30
ウェブ小説版:http://ncode.syosetu.com/n3556o/
…は、第5章#72まで読了しました。
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今回は、世界征服の野心を持つ支配者を戴くジャロウデク王国が、前巻までの展開で強奪していた主人公たち/フレメヴィーラ王国の画期的な幻晶騎士の試作機から、その基幹技術を解明咀嚼適用し・自分たち流の運用戦術を含めた強力な量産機による幻晶騎士軍を組織し、さらに驚天動地の浮遊機関の実用化による飛空船を得て、疾風怒濤の侵略戦争を始め、ジャロウデク王国と並び立っていたクシェペルカ王国が、直系の王女一人を残して滅ぼされ、亡国の王女が主人公たち/フレメヴィーラ王国の支援もあって再起し新生クシェペルカ王国の建国を宣言する、という展開でした。
個人的に気になる・気に入っている描かれ方として、登場人物たちは、自分たちの周囲とは個人的な・私的な対応・認識をしているのですが、敵対する存在同士は、直接対峙する場面でも個人として相対する状況は極めて少なく、せいぜいが幻晶騎士を介して戦うくらいで、想像するに「魔獣番」や「侵略者」程度のモヤモヤとした・幻晶騎士や飛空船や国旗や旗印といった「象徴」の姿で互いを認識していそう、な関係・状況が挙げられる、と思ってます。
アルヴの闊達なようじょ(30歳くらい)が主人公の嫁(自称)として押しかけてきて「本妻」と大立ち回り、みたいなラブコメ……を、読みたいか否か、は極めて難しい問題です。
飛空船の開発者氏は、穏やか系の夢を持っているのか、と思ってましたが、そうでもない感じがしてきました。
次巻は、ウェブ小説版の要素からすると、機械の鬼神と機械の邪竜の大決戦に向けての準備、になるのでしょうか。
『ナイツ&マジック 5』ヒーロー文庫・主婦の友社
購入:2015/04/01 読了:2015/04/02
ウェブ小説版:http://ncode.syosetu.com/n3556o/
…は、第6章#83まで読了しました。
***
今回は、旧クシェペルカ王国領の主要な地域を支配するジャロウデク王国が、新生クシェペルカ王国の攻勢に対して、緒戦の戦訓を得て完成させた飛竜戦艦という切り札で応じ、両者が旧首都近郊の城砦付近で決戦を迎え、主人公たちの活躍もあって、ジャロウデク王国という侵略者の撃退に成功する、という展開でした。
この巻で、とりあえずクシェペルカ王国とジャロウデク王国の戦争は終結し、人間世界に飛空船という新技術が広まる展開になったようです。
敗戦の将としてクシェペルカ王国の人質となったジャロウデク王国第一王女カタリーナと、危機を察してクシェペルカ王国から脱出した飛空船の創出者オラシオ・コジャーソは、今後に出番はあるのでしょうか。
『この世界の『真空』は、おそらくは純粋なエーテルに満たされた空間であろう』(P179)
という知見に、もしかしてこの世界は、長谷川裕一『轟世剣ダイ・ソード』のような「球状空間の内側にある世界」だったりして、という空想が浮かびました。
その天球の中心には、エーテルを放出する「源素恒星」のようなものが存在したり、とか。
…無限に広がる宇宙空間にエーテルが充満する状況、というのは個人的に納得し難いので、天球の内部世界なら、という思い付きです。
あるいは。
大地からエーテルは発生するけれど、エーテルは大気に浮く(重力に反する?)性質があって(高濃度源素には浮遊場効果あるので)、惑星の上空に溜まる、とかかもしれませんけど。
『ナイツ&マジック 6』ヒーロー文庫・主婦の友社
購入:2015/04/02 読了:2015/04/04
ウェブ小説版:http://ncode.syosetu.com/n3556o/
…は、第7章#97まで読了しました。
***
前回で『大西域戦争(ウェスタン・グランドストーム)』は収束し、物語はまたフレメヴィーラ王国での展開になりました。
銀鳳騎士団が王国にもたらした飛空船(レビテートシップ)技術がもたらす、世界・社会の激変を見越した(?)エルネスティ・エチェバルリアは、さっそく『空飛ぶ幻晶騎士』の開発に取りかかります。
そして、それが一応の完成を見た頃、飛空船もだんだんと普及し、フレメヴィーラ王国の人々は、東方に広がる、魔獣が跳梁跋扈する『ボキューズ大森海』への遠征を企てます。
その遠征の先遣として大森海に踏み込んだエルネスティたちは、幻晶騎士の天敵とも言うべき魔獣種と遭遇・交戦し、船団を守るために孤軍奮闘することになったエルネスティ/イカルガは、敵の群れと相討ちになってしまうのでした。
新たな展開には新たな敵。
智恵ある魔獣種の登場は、それが大森海の奥だけに棲息していること/フレメヴィーラ王国の地域までは展開・進出していないこと、について、何か理由付けが欲しく感じました。例えば、食性(そうなるに足る地域限定の食材や成分)とか環境(気象や地形や現象…エーテル泉とか)とか。
飛翔騎士シルフィアーネは、長く伸びる下半身の部分が、個人的な好みですが二回りほど大きくあって欲しかった点を除けば、素敵なデザインでした。
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