ガメラ 見知らぬ明日  [上]に戻る

 太陽表面の活性化が、観測により判明する。
 このまま太陽が活性化すると、百年を待たずして、地球表面は増大した太陽活動によって大打撃を受け、人類を含む、殆どの地球生命は死滅することが予測された。

 電波状況が悪化し、無線通信の類は使用不能になった。
 両極地の氷が融け始めた。
 人類を含む地上の生物の間に、増加する紫外線による障害が広がっていった。

 飛翔するガメラが、地球上の至る所で目撃される。ガメラは太陽に向かって咆吼している。

 世界各地の火山に、ガメラは〈分身〉…明るい灰色をした小ぶりのガメラ…を残してゆく。〈分身〉は、火山の《力》を吸収して成長・巨大化する。
 〈分身〉ガメラの数は、どんどん増えて行く。

 増殖するガメラに恐怖した人類は、ガメラたちを攻撃する。

 人類の一部は、太平洋地区の〈分身〉ガメラたちを、クローン技術により秘密裏に再生・研究していたギャオスを餌に一カ所におびき寄せると、新兵器・Q爆弾の力で一掃しようとした。
 しかし、凶々しい爆発の光球の中から出現したのは、ギャオスと〈分身〉ガメラたちが、爆弾のエネルギーによって変質・融合した魔獣…ギメラだった(ギャオス=キメラ=ガメラ)。
 人類の暴挙によって誕生したギメラは、ギャオスの気配に引かれて集結した残りの〈分身〉ガメラたちに襲いかかった。
 〈分身〉ガメラたちはギメラと死闘を演じるが、圧倒的なギメラの戦闘力の前に、次々と捕食・吸収される。

 世界を巡っていた〈元祖〉ガメラが飛来し、ギメラとの戦闘を開始する。

 激闘。

 ギメラは、〈元祖〉ガメラが渾身の力で放ったウルティメット・プラズマ・ファイアーもろとも、〈元祖〉ガメラの全てを吸収してのける。

 〈元祖〉ガメラの残したU・P・Fの光輝が、地球全体から送られる波動と共に、ギメラの全身を覆って行く(地球の生命体の一部…大木、鯨、そして浅黄…の肉体は、その全てが輝く波動に変換され、ガメラの光に合流する)。
 輝きの中でギャオスの〈影〉が消滅し、凶々しい輝きを振り払い黄金色となった光球は、そのまま宇宙へと飛び出す。
 地球の波動を受ける光球は、やがてガメラの形へと再生され、更に、巨大な甲殻へと変容してゆく。

 奇跡の甲殻は、活性化する太陽活動から、地球を遮蔽する楯になった。その代わり、地球は、数万年先にピークを迎えることになる氷河期に向かって歩み始めるのだった。
 ガメラは当座の滅亡から、現地球生命相を救った。しかし、氷河期に向かう地球で、人類が生き延びるか否かは、人類自身の努力如何にかかっている。

                                     おわり

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