葛西伸哉 ...last update 2002.05.06  [上]に戻る

 『石のハートのアクトレス』サークル文庫
 『青の時代のスタンド・イン』ノアール出版

『石のハートのアクトレス』サークル文庫
   購入:1998/??/?? 読了:1998/??/?? 

 夏休みに入った七月。私立の女子高校の演劇部に、時期外れの入部希望者が一人。一子と名乗った少女は、自分はロボットだと部員たちに告げた…。
 という始まりなのですが、宇宙からの侵略や秘密結社の暗躍といった、波乱万丈の活劇は、一切ありません。
 市井の一科学技術者が、自分が開発したロボットを、試験運用として学校に通わせることにしたのです。
 演劇部には科学技術者の姪が所属していたことで、より自然な仕草や口調を学習するために、そのロボット・一子は演劇部員になります。

 一子を造った科学技術者の姪である、高校二年生の桔梗野聡美が、この物語の主人公です。
 [人間に近づこうと「感情」を学ぶ一子と不安定な感情をあらわにするよりそれを制御し「演じよう」とする聡美。彼女の心境が一子と出会い変化してゆく…。]という裏表紙の紹介文が、この物語の主軸でしょう。

 地味な作品ですが、ロボットと人の関係とか、なかなか考えさせられて、私は気に入ってます。


『青の時代のスタンド・イン』ノアール出版
   購入:1998/??/?? 読了:1998/??/?? 

 『石のハートのアクトレス』の続編です。
 演劇部が高校生を対象とする大会に出場する話を縦糸に、部員の一人である富田紘枝を主人公として綴られます。

 ロボットの限界、個性、人間社会での役割、等など、前作同様、いろいろと楽しめる作品です。


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