うえお久光 ...last update 2007.02.14  [上]に戻る

  『悪魔のミカタ』電撃文庫/ / 3、4/ / / / / / 10/ 11/ 12/ 13
  『ジャストボイルド・オ’クロック』電撃文庫
  『悪魔のミカタ666 スコルピオン・オープニング』電撃文庫

『悪魔のミカタ 魔法カメラ』電撃文庫
   購入:2002/04/09 読了:2002/07/14 

 ある事情から一人暮らしをしている高校一年生・堂島コウが、雷雨の土曜日に、部活動をシカトして惰眠を貪ろうとしていた午後1時。彼を訪ねて「悪魔」と名乗る者が戸口に立った。
「あなたの魂を、いただきに参りました」
と。

 いやまあ、別の本を一冊買おうとして、一冊だけなのも寂しいかも、とか思ったような記憶が、購入記録(なんてモノを付けてたりするんです)を見て思い出されたり。この本と第二作は、そんなふうな「ついで」で購入したものだったりします。
 で、寝る前に何か読もう、と《積ん読山脈》の一角に視線を向けて、目に止まったのが、この本。
 主人公や、その友人たちの、かなりの奇人変人多士済々怪力乱心ぶりを楽しみつつ読み進んでの中盤、意外な展開に驚かされ、あとは最後まで一気呵成。仕事があるのに、既刊の4冊を全部、読んでしまいました(読了は、午前5時過ぎ)。その日の仕事は…意外と眠くならずに過ごしました。

 ちょっと残念なのが、主人公の彼女の印象が、曖昧模糊としたモノしか読後に残らなかったこと。私の「読み」が足りない気もしますが、彼女に向かう主人公の気持ちに、いまいち乗れなかった(感情移入できなかった)ので。主人公が取った行動は理解できるのですが、私的に、そこまでするほどの存在だったか、という疑念が払拭できないので。

 あと、このシリーズの中で、彼女の顛末を《猿の手》なモノにはしないで欲しい、とは思ってたり(謎)。


『悪魔のミカタ 2 インヴィジブルエア』電撃文庫
   購入:2002/04/09 読了:2002/07/14 

 キャラクターだけでなく、この「物語世界」自体が大変に「怪しい/妖しい」モノらしい事に驚き、な第二巻。
 主人公の《極北のハーレム》状態を示す回、とでも言いましょうか(笑)。
 あるいは、舞原(まいばる)姉妹・紹介編、かも(←コレは、次の話を読んだからこそ、の感想ですが)。

 で、《インヴィジブルエア》ですが…大理石柱を使った代替トリックは、いちおう半分くらいは想像していた通りの「解答」だったので、嬉しかったり。


『悪魔のミカタ 3 パーフェクトワールド・平日編』電撃文庫
   購入:2002/06/08 読了:2002/07/14 
『悪魔のミカタ 4 パーフェクトワールド・休日編』電撃文庫
   購入:2002/07/09 読了:2002/07/14 

 前作を受けての、舞原(まいばる)姉妹・乱舞編、とでも言うべきカモ葱(舞うのは冒頭と巻末でだけ、でしたが)。
 あと、シリーズを通しての「敵」っぽい相手の登場編でもあり。「悪魔」の上司(こと創造主)、ハエ田さん、ことベルゼバブの登場編でもあり。

 …う〜ん、ここまで多数の女性を登場させ、それぞれに印象深く書けるのだから、一作目の冬月日奈(主人公の彼女)の「印象の曖昧さ」が、却って気になっている今日この頃だったり。


『悪魔のミカタ 5 グレイテストオリオン』電撃文庫
   購入:2002/09/07 読了:2002/09/08 

 表紙の先輩は、エピローグの後、だと思います。
 でも、この段階でこの話とは、横紙破りというか意外性バッチリ(死語)というか先輩を苛めるなというか。

 [片方の手を洗えば、両方とも綺麗になる]…[片方の手を自分で洗えば、両方とも綺麗になる]とした方が。自分以外の誰かに片方だけ洗ってもらった場合、もう片方は汚れたまま、では? とか、いらん揚げ足? あ、洗う方の手にゴム手袋とかしてたら(以下略)。

 前作(3+4)は 224 + 268 ページで二分冊、今回は 421 ページで一冊(全て本文最終ページの値)。で 510 + 530 円と、690 円(全て税抜き)。〈知恵の実〉の数は1個と1個+α(なんて可哀想な《レフトアーム=スピーキング》(笑))。

 『赤毛の美しい女』は「一字も」出ず(出てたら 1000 ページを越える分量になってた気はする…)。ついでに舞原(まいばる)姉も登場せず(「存在証明」的な記述はあったが)。その代わり(?) に《部長》が美味しい役(かなぁ…だよね?)を担ってたり。

 何にしても《極北のハーレム》状態は健在。

 が、今回の話は、基本的に先輩・真嶋綾の物語でしょう。分量的には「ボクシングで決闘」のエピソードで主人公話とのバランスを取っている様にも思えますが、ボクシング話は限界まで短く端折ったとしても、内容・構成的には問題ない様にも思えるので、やはり主役は先輩で決まり、と。


『悪魔のミカタ 6 番外編・ストレイキャット ミーツガール』電撃文庫
   購入:2002/12/07 読了:2002/12/07 

 あるいは、小鳥遊恕宇・九歳は、いかにして冬月日奈を好きになったか(←嘘・・・となるか否かは、次の巻へ持ち越し ^^;)。

 登場人物−−−
 小鳥遊恕宇…《見鬼》として、自身を取り巻く世界に向かって「私を認めろ!」と息巻く、不安定で危険な存在。
 冬月日奈…武器商人の娘・天然に良い子。意外なような、らしいような。
 舞原妹…すでにイハナで、すでにいんとみんとジィ・ニーを従え、確固たる目標(野心)を持って突き進んでいる少女。
 新見亜緒…クラスメイト。信念をもってヘソだしルックに勤しむ、登場人物の中では普通人な少女。
 二葉亭由真…クラスメイト。頭頂部にイモムシ風味の[ヘンナ生物]を常駐させている、納豆大好き少女。
 他、二名ほど。


『悪魔のミカタ 7 番外編・ストレイキャット リターン』電撃文庫
   購入:2003/01/09 読了:2003/01/09 

 あるいは、小鳥遊恕宇・九歳は、いかにして大人になったか。あるいは、いかにして『色』に目覚めたか。

 「ミーツガール」で記した[登場人物]の内、舞原妹は、今回の話には全く登場しませんでした。どうやら「ミーツガール」での登場はゲスト扱いだった感じです。
 内容への言及…
 まず、小鳥遊恕宇を[視点/語り手]に据えた[冬月日奈の話]だったのか、という読後感。
 次に、P234〜P235は、必ず本編の読了後に読みましょう、と。私は運良く、この「あとがき」の冒頭二ページを読まずに本編を読み、そうして「あとがき」を読んで[嬉しい驚きと、いや増す続巻への期待]を得ることが出来ましたので。
 冬月日奈の《物語》の[結び]に、私は、萩尾望都『白い鳥になった少女』を連想しました。


『悪魔のミカタ 8 It/ドッグデイズの過ごしかた』電撃文庫
   購入:2003/04/10 読了:2003/04/13 

 堂島コウの持つ《It》を狙う敵の出現。
 部長と部長の恋人(《悪魔のミカタ》になる以前の堂島コウの、人生色々相談相手? …にしても、何で私の妹と同じ名前デスカー(苦笑))が起こした騒動。
 全く無関係に始まった二つの成り行きが、堂島コウとアトリを結節にして絡まって行く…のが今作の展開でした、とまとめてみたり。

 BOSS…次巻で癒されたら、却って嘘臭く思ってしまいそうな。

 朝比奈菜々那…あの〜、活躍の結果だけ簡潔に書かれても、燃え/萌える手掛りが全然なくって、脱力〜。

 真嶋綾と舞原イハナの対話…イハナの意志/目標は、堂島コウではなく冬月日奈に向いている様な。堂島コウは、言ってみれば[契機/動き出すための理由・言い訳/妥当な報奨]であって、イハナが得たいと望む[結果/目的/目標]ではない、様な。


『悪魔のミカタ 9 It/ドッグデイズの終わりかた』電撃文庫
   購入:2003/05/09 読了:2003/05/11 

 落ち込んだりもしたけれど、悪魔のミカタは健在です。(…すこし違うカモ)

 アトリ萌え〜(やっと)。

 何かを選び取ることは、それと対立する何かを選び捨てること、なんだろうけれど、どれも捨てたくないから、人は悪戦苦闘してみる訳で。で、苦闘の果てに待っているのは往々にして、得たい何かを含めた事物の喪失/消失とかだったり。

 部長(組長にクラス・チェンジ?)は、きっと十ヶ月後には扶養家族が増えるんだ。くそ〜、バカップルがぁ(泣く)。


『悪魔のミカタ 10 It/スタンドバイ』電撃文庫
   購入:2003/08/10 読了:2003/08/11 

 現在、P74 の半ば程。
 なんでしょう、この饒舌は。あとがきの作者の昂揚が乗り移ったかの様な(笑)。

 表紙はジィ・ニー? 左手の団扇の文字は[大入]だけど、ジィの側から見ると[大人]だよね〜、とか。で、サラシってことは・・・。

 2003/08/11 記。
 ジィのナニについては、あっけらかんと本文でバラシてありました。絵師氏が本文を見て描いた、ということでしょうか >> 口絵コミック。

 饒舌に感じたのは、展開が何もないままで言葉だけが積み上げられていたから、と分析しました。
 まぁ、それは前半だけで、後半は怒涛の展開…と言うか
「Oh JESUS、これはステファン fan のカミングアウトだったのかい? ボク『SALEM'S LOT』(の訳書)と発火能力少女の話しか読んでないから、事ここに至るまで気付かなかったヨ、HaHaHa 」
とか言いたくなりましたが(笑)。

 今作は、インターミッション的な落ち穂拾い、設定の解説・確認、そして次の流れへの布石、と概観しました。
 キャラ的な眼目は、新キャラは顔見せとして、菜々那とジィ・ニーの描写が印象に残りました(菜々那は、相変わらず主題とは絡まない描かれ方しかされてませんが)。

 今回の新キャラが「ザンス〜」、既出のアレを「ガンス〜」と見れば、次々回の敵は「フンガ〜」でしょうか(爆)。

『悪魔のミカタ 11 It/ザ・ワン』電撃文庫
   購入:2003/11/08 読了:2003/11/09 

 2003/11/08 記。
 読み中(これを記している時点で P142 あたり)。
 ナニをやってますかサクラさまわ。タイトルが「ワン」だから「にゃん」ナノデスカ〜?(笑)

 2003/11/09 記。
 読了。
 結局、今回も朝比奈菜々那は(以下略)。それどころか主人公たる堂島コウすらも(同左)。…って、それはつまり、今回の話は実質「番外編」もしくは「予告編」あるいは「紹介編」だった、と?

 神。
 全知全能の存在。
 私は、小松左京の中編(短編)「神への長い道」を、神の存在に対しての答にしてたりします。
 私自身の言葉で言えば「神が存在するとしたら、神は世界に対して何もしない」「在る事物はなくなることはない/全て…かつてあったもの・いまあるもの・やがてあるであろうもの…は既に在り・いま在り・これからも在り続ける」「究極的平行世界に遍在する存在、みたいな/つまり「世界」そのもの」

 ザ・ワン…極相は「そして誰もいなくなった…ザ・ワン以外は」となるような?
 ミレニアム構想は、何らかの[間引き]がなければ、立錐の余地なく世界がザ・ワンで満たされることになるような? そして[間引き]が行われるのであれば、ミレニアムは「嘘/きれいごと」でしかない訳で。


『悪魔のミカタ 12 It/ストラグル』電撃文庫
   購入:2004/02/08 読了:2004/02/09 

 2004/02/10 記。
 ストラグル:STRUGLE=苦闘…作者の?

 読了。
 結局、今回も主人公たる(後略)。

 「夕日を連れた男」の企みが控えている、という言及は、今現在進行中の物語が「主人公の物語の終幕」ではないことを言っているように思えてしまいます。それは「いつ明けるとも知れない闇夜」を「古びた暗幕に囲われた書き割りの舞台」化しかねない、と感じてしまいました。
 …それ故の、堂島コウの不在なのでしょうか。彼の物語と併存する、彼ではない者たちにとっての「終幕になるかもしれない物語」である、と。


『悪魔のミカタ 13 It/MLN』電撃文庫
   購入:2004/07/09 読了:2004/07/10 

 2004/07/10 記。
 一学期終了…よぉし、次は夏休みだ〜(笑)。
 ところで、小学校ですか中学校ですか高校ですか? ぃや、就学対象は登場人物たちですか、『悪魔のミカタ』自体ですか、それ以外の何か…作者とか読者とか…ですか?

 MLNかわいいよMLN。
 もし世界が百人のMLNだったら…百人のアトリと、どちらが怖いでしょ〜? と言うか、やがて「数多(レギオン)」になりますか? >> MLN。

 猫の森…えろぃ、えろぃ、れま・さばくたに、と言ってみたりしてみたり。

 『屈辱的な罰ゲーム』…仮面のメイドさん見習い、とかとか?(←妄想)。

 「王国(キングダム)」、「獣の数字」、ミレニアム…全ては予言されたこと、なんだって〜?(←それはMMR)


『ジャストボイルド・オ’クロック』電撃文庫
   購入:2006/09/10 読了:2006/09/12 

 2006/09/12 記。
 「あとがき」に曰く…
『(前略)「ヒーロー物を書きたい」という思いが先にありました。(中略)そして、SF−−−は無理でもせめてSFっぽいものを書いてみたいなぁ、とも思っていました。』(P329)
 ……既刊13巻の[↑↑]は?
『今作はもはや別物です。』(P328)
 …え〜?

 ん〜〜、もしかして「空想科学小説」をして「SF」と読んでませんか? 「すこしふしぎ」でも「SF」ですよ。 私は、私が読んで「SF」だ、と思ったものを、「SF」だ、と思ってますよ。ですから、既刊13巻の[↑↑]だって「SF」ですよ。
 もちろん今作も。

 論理のアクロバットとガチンコさでは、決して ウィル・マッカーシー『コラプシウム』ハヤカワ文庫SF あたりには負けてませんよ、私の脳内では。

 科学は極めれば魔法です。科学的態度は論理と実証です。神的機械だろうと、そこに物語世界の論理と実証があればSFです。
 閑話休題。

 レイディ・ドラゴンのキャラクター造形は、惜しいというか勿体ないというか、完全に「続き」を意識した「つくり」、みたいな。
 そういう意味では、鈴蘭・ミカル・クタバティのキャラクター造形も同じく。

 さて問題。今作のヒロインは誰なんでしょ〜か(笑)。
 …ジュード? それともアル? (核爆)


『悪魔のミカタ666 スコルピオン・オープニング』電撃文庫
   購入:2007/02/10 読了:2007/02/14 

 2007/02/14 記。
 本編の前に[悪魔のミカタ これまでのあらすじ]があり、その内容に、かなり愕然……え〜、私の印象記憶と色々と違うますがぁ(;´Д`)。

 で、作品タイトルも変更が加わり、カバー折り返しの裏表紙側の【電撃文庫作品】でも項が分かれて記されているので、この感想も別項に。

 ハエ田さんが世界の秘密(の一部)をあれこれとぶっちゃけて、《知恵の実》が内包する意味・意義・意図が露わにされ、それを巡る物語は新たな様相へと転移して、敵味方の構図も激変し始め。

 サクラの不在の意味は、はて何でしょう。あと、今後のいつかMLNが関わってきたりするのでしょうか。そして、今度こそ朝比奈菜々那が(以下略)。

《我々『悪魔』はルールを無視できない》(P140)
 そして、悪魔が願い・求め・欲し・企み・暗躍する『目的』が明かされて(P157)。
 …そのルールは、神の慈悲/罠/隙? なのでしょうか。悪魔はソレに、すがっているのでしょうか。付け入って・利用して、いるのでしょうか。あるいは、そうすることを定められている、のでしょうか。
 《知恵の実》を巡るルールが、ゲーム/闘争の規約だとして、そうすると、プレイヤーは、人間と悪魔ということに、なるのでしょうか。そのゲーム/闘争は、神の『試し』、なのでしょうか。


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