« 2009年03月 | メイン | 2010年01月 »
2009年12月11日
MAXONのチュートリアル [ CINEMA 4D R11.5 ]
MAXONがやってるCINEMA 4Dのサービス契約(いわゆる年間保守/サブスクリプション)の特典としてPDF版のチュートリアルがもらえるんですが、それを僕が作っていまして、ようやく予定してた分ができました。R11の時期に作ってた分もR11.5に対応して内容がアップデートされています。サービス契約特典のほか、一般向けに5千円で販売もすることになったようです。サービス契約自体がトータルでは得になるはずなので、あえてこれをお金出して買うこともないと思うんですが、上司がサービス契約の予算にはハンコ押してくれないけど5千円ならなんとかなるとかいう人のためにバラ売りすることになったんじゃないでしょうか。たぶん。
で、内容なんですが、前の本(SUPERGUIDE)みたいな実作形式ではなく、細かい目的別に分けた辞書的な形式になっています(一部に実作形式のもあります)。辞書形式にしようというのはMAXONの宮田さんの発案で、じっくり腰を据えて学習するための教材というよりは、目の前の問題を解決するために役立つものをという、ユーザサポートの現場の目線から企画されたものになっています。ボリュームは7パート合計で104項目/約500ページ/サンプルファイル数175くらい。書いた本人もびっくりの大ボリュームになっております。グローバルイルミネーション編だけはMAXONのサイトで一般配布されているので、この調子で500ページ分あると思ってもらえればいいかと。
CINEMA 4Dの全機能から100あまりの項目をピックアップした基準は、僕の経験から得られた「それを先に言え」情報を集める、というところです。宮田さんのリクエストで入れた項目もかなりありますが、全体としては、
・適当に触ってみただけじゃわからない
・使いこなすのに予備知識が必要
・純正ヘルプの説明がいいかげん/サンプルファイルがないと意味不明
・しばらく使ってみてやっと気がつく便利なポイント
といったあたりを拾っています。全体を満遍なく網羅するんではなく、第一に役に立つ機能について書くということ、あとは見てすぐわかるようなことはあえて書かないとか、ヘルプに不備があったら重点的にフォローするとか、そういう基準でやっているので、このチュートリアルの項目だけ見るとけっこう偏っています。あと、専門的なモジュールとか需要がなさそうな機能とかは全く取り上げていません。当初はキャラクタアニメーションもやろうという話だったんですが、かなり難易度が高い上に需要がなさそうなので見送りとなりました。
それと、なんで今回は普通の書籍で出版するんじゃなくPDFで配ってんの? と思う人もいるかもしれないですが、これは僕のほうから言い出してそういう方法にしてもらいました。
まずコスト面。商業出版物として出すと、編集/印刷/流通といったコストがかかるので、全体としてはかなり大きな費用が必要になります。SUPERGUIDEの場合は、キャンペーン期間にMAXONがタダで配った分はMAXONが費用を負担していますが、それ以降はユーザが自分でお金を払って買っていますね。これを、PDFをWEBで配布する形式にすれば、初期の制作コスト以外はお金がかからないので、MAXONはずっとタダで配り続けられます(タダつってもサービス契約の特典という形になってますが)。
もうひとつ重要なのは、紙に刷ることのデメリットが大きい点です。書籍にしてしまうと、内容を更新できるのは本を改版するときだけなので、CINEMA 4Dみたいなあんまり売れないジャンルの本だといつそのチャンスがあるかわかりません。今回のチュートリアルはPDFなので、R11からR11.5へのアップデートも簡単にできました。また、紙の本はPDFのようにノートパソコンに入れて持ち歩くとか、キーワードで全文検索するとかいうことができないので、利便性でも劣っています。
最近はAdobeもAppleも紙のマニュアルやめちゃいましたし、ことPC関連の媒体に関しては、「紙の本」という形態は出版業界が対価を回収するための形式にすぎないんじゃないかなあと思ったりしています。
2009年12月10日
R11.5 [ CINEMA 4D R11.5 ]
たいへんごぶさたしております⊂ ̄ェ ̄⊃
R11.5の紹介を10月にちょろっと書いたんですが、そのまま放置しておりました。もう使ってる人にとってはいまさらな話ではありますが、折角なので上げておきます。
・バケットレンダリングの効果
レンダリングが従来の横一列じゃなく、いまふうの四角いバケットになりました。メモリ使用とかが最適化されたらしい。基本的にそれだけです。バケットレンダリングで誰もが期待するであろう単一画像のディストリビュートレンダリングはできません。NET Renderのプロトコルが普通のTCP/IPみたいなんで、サーバ−クライアント間でのデータやりとりはファイル単位でしかできないんじゃないですかね。そのかわり異なるOS混在のネットワークレンダリングとかは簡単にできてるんですけどもね。OS混在のディストリビュートレンダーできる3Dソフトってあるんだろうか?
・レンダーインスタンス
インスタンスとか複製系ジェネレータのオプション。オンにするとレンダリング時間と使用メモリが節約できます。ビュー表示も軽くなるようです。効果は複製数やポリゴン数が多いほど顕著です。ポリゴンがものすごく多いオブジェクトのインスタンスとか、MoGraphで一万個クローンとかすると体感できます。ただしレンダーインスタンスに対してはデフォーマやHyperNURBSが適用できなくなります。
・「一体化」でテクスチャタグ/ポリゴン選択範囲タグ自動設定
いままで何でできないんだと散々言われてたあれです。一体化するとテクスチャタグと関連づけられたポリゴン選択タグが自動で設定され、元のマテリアルがちゃんと維持されます。あと、一体化して元は削除するコマンドも追加されてます。
・マテリアル一括置換
従来は「マテリアルからテクスチャタグ選択>選択されたタグ全部の参照するマテリアルを入れ換え」と2ステップ必要でしたが、マテリアルマネージャで1ステップでできるようになりました。
マテリアルマネージャでマテリアルAをマテリアルBにAlt押しでドラッグ&ドロップすると(マテリアルBが太枠でハイライトされます)、シーンのマテリアルBは全てマテリアルAに置き換わり、マテリアルBは削除されます。このときAlt+Ctrl押しにするとマテリアルAのコピーでマテリアルBが置き換わります。両者の違いは、元からマテリアルAが適用されていたオブジェクトとマテリアルBから置き換えたオブジェクトで、同一のマテリアルを共有するのか、設定が同じで別のマテリアルをそれぞれ使うのかということですね。別にしておけば後から個々に変更できます。マテリアルBはなくなっちゃうので、残しておきたいときはあらかじめ複製しておく必要があります。
・謎のスピードアップ
何がどのくらい速くなったというアナウンスがないので謎なのですがいろいろスピードアップしてるらしいです。
たとえばアニメーションのビューでの再生速度なんかが上がってるようです。
拡張OpenGLの表示も速くなってるみたいです。特にうちのMacは劇的です。まあこれは元が異常に遅かったと見るべきなんですけども(Appleのドライバがダメだったという説もあったけどどうなんだろう)。
87万ポリゴンのスタンフォードドラゴンを表示してテスト。オブジェクト数が少なくてポリゴン数が多いと拡張OpenGL有利のようなのでこれを選んでいます。
MacOS 10.5.8 Xeon2.8GHz*2 GeForce8800GT
R11 通常8fps 拡張8fps(動き始め遅延あり)
R11.5 通常10fps 拡張110fps
R11まではGeForce8800GTが持ち腐れだったんですが、ようやく仕様に見合った性能が出るようになりました。
Windowsのほうも多少速くなっています。こっちは元からそんなにひどくもなかったのと、ビデオカードの性能が低いのでまあそこそこです。
WinXP SP3 AthlonX2 6000+ 3.1GHz GeForce7600GS
R11 通常5fps 拡張17fps
R11.5 通常5fps 拡張26fps
拡張OpenGLはハードウェア依存なうえにシーンの得手不得手があるのでなんともいえないですが、いままで「使い物にならない」という感触だったMacユーザの人は試してみるといいかもしれません。