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2005年02月08日
魔法使いの困惑/ピアズ・アンソニイ 山田順子訳 [ 読書 ]
ザンス14巻。
形式上ラクーナという34歳の女性が主人公だが、大部分は情報の魔法使いハンフリーの回想録とハンフリー一家失踪事件の顛末。ザンスのシリーズ開幕以前の部分、ハンフリーの少年時代から情報の魔法使いとして落ち着くまでの過程が語られるのだが、初期のザンスシリーズの持つ冒険的な色合いが濃く、とても面白い。その後、シリーズ1巻から13巻までの物語がハンフリーの視点から語られ、ハンフリーが直面していた問題の解決、ハンフリー一家の帰還に至る。
それからラクーナがハンフリーに与えられた使命を果たし、自分自身の問題も解決するのだが、このあたりがかなりあっけなく過ぎてしまう。解決のされかたもなんだか八百長くさいというか、それがアリならなんでもアリじゃんか、というか。ザンスの世界観自体、屁理屈や駄洒落の上に成り立っているという面もあり、物語のクライマックスに突飛な屁理屈を持ち出してきて読者を納得させられるかどうかは、そこに至るまでの過程でリアリティを演出できるかどうかにかかっていると思う。本作は大部分を結末と関係ないハンフリーの回想録に費やしてしまっているせいか、読んでいてもあまりラクーナに思い入れを持てないままで、ラクーナの幸福が実現してもなんとなく他人事のようにしか感じられない。最後の落としかたに雑なものを感じてしまうし、過去のザンスシリーズのような感動的なクライマックスにはなっておらず、尻すぼみというか、続きを読まないと納得いかねえというか、そんな終わりかただ。
うっかり先に読んでしまった15巻「ゴブリン娘と魔法の杖」は、原題が「The Colour of Her Panties(彼女のパンティの色)」となっている。確かに使いにくいタイトルではあるが、これは14巻でハンフリーに問われる謎が15巻で解明されるという続きネタなので、頑張って使ったほうがよかったんじゃないかと思ったりした。
投稿者 ヒロツ : 20:57 | コメント (0) | トラックバック (0)
2005年02月07日
ゴブリン娘と魔法の杖/ピアズ・アンソニイ 山田順子訳 [ 読書 ]
「魔法の国ザンス」シリーズ15作目。ザンスは刊行の間が結構空いてるので、それまでの話の展開を忘れてたりして、新刊を読んでいてハテこれは何の話だったかということがよくある。が、各巻ごとに主人公が替わっていくシリーズなので、ストーリーも直接前巻の続きというわけではなく、忘れてたら忘れてたなりに問題なく楽しめたりする。本作もそういう気構えで読み始めたのだが、かなりの重大事件が既に終わった話としてさらっと書かれていたりして、それが全然頭に入ってなかったりして、読んでいて若干不安になった。読了後、既刊情報を調べてみたら、実は前作の第14巻を読んでいなかった。読んだ話を完全に忘れていたのではなかったという意味では安心したが、1巻とばしてるのに気がつかなかったのは我ながらどうかと思う。
で、本作。ゴブリンの首領の娘グウェンドリンのグループと、人魚・女人喰い鬼・人間の女のグループ、それぞれが使命というか目的というかそういうのを果たすための冒険行。ザンスはシリーズ初期に比べるとだんだん話がぬるくなっているのだが、本作は特にぬるい。主人公たちが直面する試練も八百長くさいというか出来レースっぽいというか、生命の危機があってもどうせお約束で助かるだろうというのがあまりに見え見えなので、勇敢な行動や気高いはずの自己犠牲も心を打つものがない。結末にちょっとしたどんでん返しというか謎の解明があるのだが、それもなんだか都合が良すぎる感じ。登場人物と世界観がとても魅力的なので最後まで楽しく読めてしまうのだが、過去のザンスにあったような構成の巧みさや痛快なストーリー展開はない。最近のザンスは各巻の間に時代のギャップがなくストーリーの連続性も強くなっているので、あるいは本作は前作と次作の「つなぎ」にあたる部分で、次作の大ネタの前フリをやっているということなのかもしれない。
その後、とばしてしまった14巻を読んでいるのだが、こちらは文句なしに面白い。※追記:前半は文句なしだったが、最後が尻すぼみだった。
投稿者 ヒロツ : 20:20 | コメント (0) | トラックバック (0)