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2004年09月15日
アフターダーク/村上春樹 [ 読書 ]
短い。どのぐらい短いかというと、文字量でいえば「海辺のカフカ」の約四分の一。なんと「マリア様がみてる」(1巻め)よりも短い。
【文字量比較】
「アフターダーク」:41字×14行×286P=約16万4千字
「海辺のカフカ」:43字×18行×822P=約63万6千字
「マリみて」:42字×17行×244P=約17万4千字
単に短いだけではなく、これといって何も「おおごと」にならずにスッと終わってしまう。何人かの登場人物の身の上話を聞かされたり、生活の一部分を傍観したり、それだけだ。本のオビには「書下ろし長編小説」と書いてあるが、読後感としては「濃密な短編小説」という感じがする。
各章の頭に章題とともにアナログ時計のイラストがつけられていて、これは作中のリアルタイム時刻であるはずだが、第1章は午前0時ごろ、最終章は午前7時ごろだ。この「真夜中の時間帯」が、主要な二人の登場人物の人生が「夜」的な局面から「朝」的な局面に移っていく時期を象徴するような具合に、話はすすむ。間に、いかにも村上春樹らしい超現実的な場面が挿入されるのだが、正直これは無くても話は成立すると思った。意地の悪い言い方をすれば、「こういうのが入ってないと村上春樹らしくないよな」っていうぐらいのもの。
さすがに村上春樹なので書かれてることはおおむね面白くて、読んでいる間はとても楽しめた。でも、僕としてはあまりピンとこないというか、これは自分が必要としている物語ではない、とも思った。「物語を必要とする」っていうのはなんだか変な言い方だけど、つまり、一度読んで楽しめるだけじゃなくて、筋がわかっているのに何度も読んでしまうような物語というのは、その人にとって何かとても重要なことを表しているんじゃないんだろうかと。僕が村上春樹の小説でいちばん好きなのは「ダンス・ダンス・ダンス」なんだけど、何度か読み返してみても、毎度これは自分が必要としている物語だと感じる。そういうのに出会うのは運というか縁みたいなものなので、もちろん村上春樹に毎度それを期待してなんかはいないんだけど、この「アフターダーク」とか「スプートニクの恋人」みたく、もうちょっと長くして話を突っ込んでくれればまた違った感じになったんじゃないかなあと、なんとなく残念なこともある。
村上春樹も好きな人は無条件指名買いする作家だから別にオススメとかそういうのではないです。えっと、「こないだセカチュー読んですごく良かったんで、もっといろいろ小説読んでみたいんだけど村上春樹ってどう?」っていうような人は、まず「ノルウェイの森」から読むことをおすすめします。僕はセカチュー読んでませんが、聞いた話だと主人公が自分の不幸に浸って泣く話らしいので(笑)、それだったらその系統でレベルの高いやつを読んだらいいんじゃないかと。「ノルウェイの森」は村上春樹としてはとてもとっつきやすいです。先に挙げた「ダンス・ダンス・ダンス」は初期の三部作の後日談にあたるので、できれば三部作から先に読んだほうがいいです。
投稿者 ヒロツ : 2004年09月15日 06:00
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